住宅ローンは「毎月返済して完済すれば終わるもの」と思われがちです。しかし現実には、失業や病気、事業の失敗などさまざまな理由でローンの返済が不可能になるケースがあります。本記事では、住宅ローンの破綻について、どのようなプロセスを踏むことになり、最終的に何が残るのか。銀行員が見てきた厳しい現実についてお話しします。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員)
住宅ローンの破綻による「代位弁済」とは
住宅ローンには、保証会社が保証する「保証付きローン」と、銀行が直接融資する「プロパーローン」の2種類があります。
保証会社付きの場合、銀行子会社や信販会社、消費者金融会社などが保証をし、その信用によって住宅ローンを利用できますが、保証料などの手数料が発生します。
本記事では、一般的な保証会社付きローンが破綻した場合の「代位弁済」の流れを中心に解説します。プロパーローンでも基本的なプロセスはほぼ同じです。
代位弁済とは?
住宅ローンの返済が数カ月(通常3〜6カ月)続けて滞納すると、銀行は「契約者からの返済継続は難しい」と判断します。このとき、銀行は保証会社に対して「契約者に代わって残りのローン全額を支払ってください」と請求します。
これを受けて、保証会社が銀行にローン残高を一括で支払うことを「代位弁済(だいいべんさい)」といいます。「代位」とは、他人の地位や権利を代わりに引き継ぐことです。「弁済」は返済とほぼ同じ意味です。
つまり、保証会社が契約者の代わりにローンを肩代わりする仕組みですが、当然ながらこれで借金がなくなるわけではありません。
借金が消えるわけではない
代位弁済が行われると、債権(お金を請求する権利)は銀行から保証会社に移行したことになります。しかし、借金自体が消滅するわけではなく、今度は保証会社に対して返済義務を負うことになります。
しかも、保証会社は原則として残債の一括返済を求めます。そして、ほとんどの場合、担保である自宅を売却して返済に充てるよう求められます。分割返済に応じてもらえるケースもありますが、それはあくまで例外的です。
異動とはブラックリストに載るということ
代位弁済が実行されると、その事実は個人信用情報機関に「異動」として登録されます。この記録があると、新たなローン契約やクレジットカードの発行はほぼ不可能になります。
この状態は「ブラックリストに載る」と呼ばれていますが、実際には信用情報機関に金融事故として記録されることを意味します。
家の売却方法は「任意売却」か「競売」
住宅ローンを返済できなくなった場合、家を売却して返済に充てるという選択肢もあります。その売却方法は「任意売却」と「競売(けいばい)」の2つに分かれます。
任意売却
任意売却とは、自分の意思で不動産を市場に出し、一般的な売買と同じように売却する方法です。競売に比べれば高値で売却できる可能性がありますが、債権者(銀行や保証会社)の同意が必要になります。
担保権者(銀行や保証会社など)が「この金額で売るなら担保を外す」と認めなければ売買は成立しません。担保が残ったままの物件を購入する人はいないためです。
競売(けいばい)
競売は、裁判所が主導し、入札形式で不動産を強制的に売却する手続きです。
競売にかけられる前の段階では、物件が裁判所に差し押さえられるため、その時点で家を明け渡すことになります。競売による売却価格は一般的に市場価格の5〜7割程度といわれています。
最近では「任意売却で有利に解決」といった宣伝も多いですが、現実には任意売却でも競売でも、市場よりかなり安値で買い叩かれるケースが多い点に注意が必要です。
【関連記事】>>住宅ローンが破綻したら「任意売却」の検討を! 「競売」よりも高値売却が可能?
住宅ローン破綻による最終手段である法的整理
住宅ローンの返済が困難になり、売却でも解決できない場合には、弁護士や裁判所を通じた法的整理を検討することになります。代表的な方法が「債務整理(任意整理)」や「自己破産」です。
ここでは住宅ローンに焦点を当て、債務整理の流れを解説します。
債務整理を選んだ場合
債務整理とは、正式には任意整理と呼ばれ、弁護士などを代理人として債権者(銀行など)と交渉し、返済可能な金額まで減額してもらう手続きです。
弁護士は依頼を受けると、債権者に受任通知を送付し、「今後は本人への直接連絡を控え、代理人を通じて対応してください」と通知します。これにより、取り立てや督促は止まり、法的な交渉が始まります。
任意整理は、主にカードローンなど多重債務者が利用しますが、住宅ローンを含む場合には「個人再生」や「住宅資金特則」などの制度を活用して再建を目指すことも可能です。
自己破産を選んだ場合
自己破産を申し立て、裁判所から免責が認められると、原則として借金の返済義務は免除されます(税金など一部を除く)。
ただし、家や車など価値のある資産はすべて手放すことになります。破産は一度決断すれば後戻りできない一方通行の道。銀行員としては、最後の手段としてしかすすめられない選択肢です。
まとめ
銀行員として多くのお客様と接してきて、一つ確信できることは、「最悪の事態を回避するために、いち早く銀行の担当者に相談してほしい」ということです。
返済が少しでも苦しくなったら延滞が重なる前に銀行の担当者に相談することがが、あらゆるリスクに対する最大の防御策なのです。返済計画の見直し(リスケジュール)など、打てる手はあります。
住宅を購入する際は、万が一のリスクにどう備えるかを話し合ってみてはいかがでしょうか。その話し合いこそが、あなたと大切な家族の未来を守る、一番の保険になるはずです。
【関連記事】>>住宅ローン返済が苦しいなら「リスケ」の検討を!メリット・デメリットと、必要な条件を解説
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淡河範明さん
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