住宅ローン金利が上昇しているため、金利上昇リスクのない固定金利型のローンへの関心が高まっている。とくに、フラット35の伸びが著しく、なかでも「保証型」は対前年同期比で2.7倍に増えている。なぜそこまで急増しているのか。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
変動金利型の利用者が中心だった超低金利時代
住宅ローンは、大きく分けると変動金利型と固定金利型がある。
変動金利型は、借入後に金利が変われば、それに応じて適用金利が変わる。金利が下がれば適用金利が下がるが、金利が上がれば適用金利も上がり、返済額が増えるリスクがある。
2024年までの実質ゼロ金利やマイナス金利政策の時期は、当面金利上昇のリスクはないと考えて、変動金利型を利用する人が圧倒的多数派だった。しかし、2025年の政策金利の利上げによって住宅ローン金利の上昇が始まり、流れが変わりつつある。
固定金利型は、借入後に金利が上がっても適用金利は変わらず、返済額も増えないので安心感がある。金利の上昇が予想される時期だと変動金利型のリスクが大きくなるので、金利上昇によるリスクのない固定金利型の利用者が増えるのは当然のことだろう。
ただし、固定金利型は金利上昇リスクがないという安心感はあるが、金利そのものは高めに設定されている。
2026年2月現在、変動金利型は各種の金利引下げ制度により、1.0%以下で利用できる金融機関が多いが、固定金利型は2.0%台から3.0%台になる。
この金利差があるから、多少のリスクはあっても、変動金利型を利用する人が多かったわけだ。
金利上昇リスクのない固定金利型が見直されている
住宅金融支援機構では、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人を対象に定期的に調査している。
それによると、2025年4月調査では、変動金利型の利用者が2024年から2025年にかけて77.4%、79.0%と8割近くまで増えたのが、2026年1月調査では75.0%に減少している。さほど大きな変化とはいえないかもしれないが、利用する金利タイプの傾向に変化が起きつつあるのは間違いないだろう。
図表1 利用している住宅ローンの金利タイプ(単位:%)
フラット35の申請戸数は前年同期比の1.5倍
変動金利型に代わって利用者が増加している固定金利型ローンの代表格ともいえるのが、フラット35だ。
フラット35は、独立行政法人の住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している住宅ローン。住宅金融支援機構はかつて国が推進してきた住宅金融公庫の後継機関であり、フラット35は半ば公的なローンと位置付けられる。
そのため、金利は民間機関に比べて低く設定されている。さらに、良質な住宅の建設を促進するという国策に応じて、長期優良住宅など基本性能の高い住宅については、当初5年から10年間の金利が最大1.0%引き下げる制度が実施されている。
つまり、長期優良住宅などを取得する場合、固定金利型にもかかわらず、当初の5年間は変動金利並みの低い金利で利用できるというわけだ。
そのフラット35の利用者が、いま急増している。
2025年10月から12月にフラット35を利用したいと申請した人の申込戸数は1万4955戸だった。2024年10月から12月は1万55戸だったので、前年同期比は148.7%になり、およそ1.5倍になっている。
2025年の秋から冬にかけては、国土交通省の「建築着工統計調査」では、前年同期比のマイナスが続いていた。住宅建築は減っているにもかかわらず、フラット35の利用申請者が1.5倍に増えているというわけだ。
つまり、金利上昇リスクを避けて、多少金利が高くても固定金利型が安心と考えるフラット35の申込者が増えているのだろう。
フラット35「保証型」は前年同期比2.7倍に増加
フラット35には、「買取型」と「保証型」がある。
「買取型」というのは、民間機関が消費者に融資する債権を住宅金融支援機構が買い取ることが前提になっている。民間機関にとっては、債権を住宅金融支援機構に買い取ってもらえるので、ローン破綻などのリスクを回避できる。
しかし、融資額や利用者の条件、返済方法などの条件は住宅金融支援機構が決める。他社と差別化を図ることができない。利用者からすれば、どの金融機関で借りても差はないわけだ。メリットは頭金がゼロ円でも利用できる点だろう。
それに対して「保証型」は、金融機関が利用者に提供する債権に、住宅金融支援機構が保険(保証)を付けることによって、民間の機関が長期固定型のローンを可能とする仕組み。金融機関は、ローン破綻などのリスクを負うことになるが、その分、融資額、金利などの条件を独自に決めることができる。
たとえば、利用者の条件を厳しくして優良な申込者に絞り込み、融資可能額を増やし、適用金利を低くするなどの対応が可能になる。
その「保証型」の利用者が格段に増えている。図表2の通り、「買取型」は前年同期比133.8%にとどまっているが、「保証型」は前年同期比269.1%と、2.7倍近くに増えているのだ。
図表2 フラット35の2025年10月~12月の申請戸数と前年同期比
フラット35「保証型」は「買取型」より金利が低い
フラット35「保証型」が増加している最大の理由は、金利の低さにあるだろう。「買取型」の2026年2月の金利は、返済期間21年~35年で2.26%だが、「保証型」はそれより低い金利で利用できるようになっている。
フラット35の取扱件数がもっとも多いSBIアルヒは「保証型」を扱っているが、金利は申請者の自己資金(頭金)の比率によって異なっている。
民間機関からすれば、自己資金比率が高い人ほどローン事故の起きる確率が低い優良顧客とみることができ、その分、低い金利が設定できる仕組みだ。2026年2月のSBIアルヒのフラット35「保証型」の金利は次のようになっている。
「買取型」の2.26%に比べると、「保証型」の自己資金比率が5割以上の人であれば、2.11%と0.15ポイントも金利が低くなる。
借入額5,000万円、35年元利均等・ボーナス返済なしの条件だと、金利2.26%なら毎月返済額は17万2380円。
自己資金比率5割以上の金利2.11%だと、16万8,467円に減少する。月額にして3,913円、年間では4万6,956円、35年の総返済額では164万3,460円の差になる。
【関連記事】>>アルヒの住宅ローンの最新金利、金利推移、手数料、団信、審査基準、デメリットは?
フラット35「保証型」なら借入可能額も多くなる
借入可能額にも差がある。フラット35「買取型」の借入可能額は、1戸当たり100万円以上8,000万円までだが、SBIアルヒでは夫婦や親子のペアローンであれば、1億6,000万円まで可能になる。
近年の住宅価格の高騰で、東京23区や都心部の高額マンションの購入は、「買取型」では資金不足で購入のハードルが高くなっている。「保証型」であれば、高額物件にも手が届くようになるのではないだろうか。
さまざまなメリットがある「保証型」だが、導入している金融機関はまだ少ない。
2026年2月現在の「買取型」は全国314機関が実施しており、一部のメガバンクを除いてはほとんどの信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンク、モーゲージバンクで利用が可能である。
一方、「保証型」が利用できるのは、日本住宅ローン、SBIアルヒ、財形住宅金融、クレディセゾン、住信SBIネット銀行、日本モーゲージサービス、ファミリーライフサービス、ドコモ・ファイナンスの8社にとどまっている。
社数は少ないものの、ネットを通して全国で利用が可能なので、各社のホームページからチエックしてみてはどうだろうか。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
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・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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淡河範明さん
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