住宅価格の高騰に加え住宅ローン金利の上昇が続くなか、見直したいのが「元金均等返済」だ。金利が高くなるほどそのメリットは拡大し、借入額5,000万円では元利均等返済に比べて総返済額が数百万円少なくなることもある。金利上昇時期の必須知識として解説する。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
住宅ローンの元利均等返済と元金均等返済の違い
住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済がある。かつては、ほとんどの銀行が元利均等返済のみの扱いだったが、最近では多くの銀行で元金均等返済が採用され、利用者の希望によってどちらかを自由に選択できるようになっている。
民間金融機関の住宅ローンだけではなく、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して実施しているフラット35も同様だ。図表1は両者を比較したものである。
図表1 元金均等返済と元利均等返済のイメージ
元金均等返済は毎月の返済額のうちの「元金」分のみが「均等」で、利息分は返済が進むほどに減っていき、元利合計の返済額も減少する。当初の返済額は元金均等返済のほうが多くなるが、やがて元金均等返済のほうが少なくなる。結果、完済までの総返済額は元金均等返済のほうが少なくなる。
元利均等返済は、毎回の返済額の元金分と利息分の「元利」の合計が「均等」になり、金利が変わらなければ初回から完済まで同じ返済額になる。当初は返済額に占める利息分の割合が大きく、返済が進むほどに利息割合が小さくなって元金割合が大きくなる。
元金均等返済の利用者は50人に1人程度と少数
実際の利用状況をみると、ほとんどの人が元利均等返済を利用しており、元金均等返済は少数派にとどまっている。
住宅金融支援機構のフラット35利用者を対象にした調査によると、2024年度のフラット35利用者のうち元金均等返済の利用者は2.2%、50人に1人程度にとどまっている※。元金均等返済なら総返済額が少なくなるのに、なぜなのだろうか。
※出典:住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査データ」
それには理由がある。元利均等返済のほうが当初の返済額が少なくなるので、借りやすく、買いやすく見える。そのため、不動産会社や金融機関では元利均等返済をすすめることが多く、なかには元金均等返済の存在を説明しないまま話を進めるケースもある。
最近はマンションをはじめとする住宅価格が高騰しているため、当初の返済額が少なくてすむ元利均等返済でないとローンを組めないという事情から、元利均等返済が選択されているという面もあるのかもしれない。
金利が上がるほど元金均等返済のメリットが大きくなる
一方で、元金均等返済は金利が高くなるほど総返済額が少ないというメリットが大きくなるので、金利上昇時期にこそ注目したい。
たとえば、借入額5,000万円、金利2%、35年・ボーナス返済なしの毎月返済額は、元利均等返済が16万5,631円。元金均等返済は20万2,182円だから、月4万円近く差が出る。これだけの負担差があれば元利均等返済を利用したくなるのもうなずける。
しかし、返済から10年が経過すると、元金均等返済の返済額は17万8,571円に減って、15年が経過すると16万6,666円と元利均等返済とほぼ同じような水準になる。16年目以降は元利均等返済より少なくなり、その差はしだいに大きくなって、元金均等返済のほうが格段に楽になってくる。
結果、35年間の総返済額は、元利均等返済が約6,957万円。対して元金均等返済は約6,754万円と、元金均等返済のほうが約203万円少なくなる。
住宅ローン金利の上昇が続くのか?
35年間で約203万円の差なら、当初の返済額が少なくてすむ元利均等返済でいいじゃないかという人がいるかもしれないが、この試算はあくまでも金利2%の場合だ。金利水準によって、この差は大きく違ってくる。
金利が高くなるほど元金均等返済のメリットが大きくなるので、現在のような金利上昇局面には、元金均等返済の利用を検討することをおすすめしたい。
実際にどれくらい金利が高くなっているのか、また、これからどうなりそうなのか、フラット35の金利の動きをみると図表2のようになっている。
図表2 フラット35の最低・最頻金利の年間推移(単位:%)
フラット35の金利は金融機関・返済期間などによって異なるが、最も多くの機関が採用する最低金利は2.71%(2026年5月の返済期間21年〜35年)だが、1年前の2025年5月は1.82%だった。
この1年の間に急速に金利が上昇していることがわかる。特にこの数か月は、明らかな右肩上がりのトレンドを形成している。
2026年5月現在、中東など国際情勢が不安定なため追加利上げの動きが止まっているが、落ち着いてくれば利上げが行われ、金利は一段と上昇するだろう。
【関連記事】>>住宅ローンの金利推移(変動・固定)は? 最新の動向や金利タイプの選び方も解説【2026年】
元利均等と元金均等の返済額を比較
金利が上がると、元利均等返済と元金均等返済の返済額がどう変わるのかを比較してみよう。
図表3 金利別の毎月返済額・総返済額の差
設定条件:借入額5,000万円、35年返済・ボーナス返済なし

金利1%では、元利均等返済の毎月返済額は14万1,142円に対して、元金均等返済の初回返済額は16万615円。元金均等返済のほうが2万円近く多くなるが、35年間の総返済額は元金均等返済が約51万円少なくなる。
金利2%になると、初回返済額は元金均等返済が4万円近く多くなるものの、総返済額は元金均等返済が約203万円少なくなる。
これが金利3%になると、初回返済額は元利均等返済が19万円台に対して元金均等返済は24万円台と毎月の負担が約5万円重くなるが、35年間の総返済額の差は約451万円に拡大し、元金均等返済のほうが少なくてすむ。金利4%では、総返済額の差は約790万円まで広がる。
図表3で比較した通り、金利が5%まで上がると初月の返済額は元利均等返済が25万円、元金均等返済は32万円台と7万円以上の差になる。35年間の総返済額は、元利均等返済では1億円を超える。
それに対して元金均等返済の総返済額は約9,385万円で、元利均等返済より約1,213万円少なくてすむ。これだけの差があるのだから、当初は7万円以上返済額が多くなっても、総返済額でみると元金均等返済を選ぶメリットは大きい。
当初の負担が重くなっても、元金均等返済を選ぶメリットは大きい
住宅ローン金利がいきなり5%まで上がるとは考えにくいが、かつてのバブル時代には7%、8%まで上がったことがある。
金利が徐々に上がってきた今、一定の時間をかけて4%、5%へと上昇していく可能性がないとはいえないので、住宅ローンを選ぶ際には元金均等返済も視野に入れてみてはどうだろうか。
【関連記事】>>住宅ローンの10年後の変動金利は2.322%〜3.847%まで上昇と予想! 12銀行を試算
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
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Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
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淡河範明さん
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