衆議院選挙での自民党の大勝後、長期金利は静観する状況に見えるものの、日銀の利上げペースが加速するなか、すでに住宅ローンを変動金利で借りている人には3つの選択肢が挙げられます。本記事では、具体的な数字を用いてシミュレーションを行い、得するパターンを導き出します。(住宅ローン・不動産ブロガー 千日太郎)
自民党の圧勝で住宅ローンの借り換え判断が一段と難しくなった
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。
2月8日に投開票が行われた衆議院選挙で自民党が単独過半数を獲得。株価は高騰し、マーケットはリスク選好に傾いています。高市首相の景気対策や財政拡張への期待ですね。
一方で長期金利は、財政拡張が国債増発につながり、債券価格の下落から金利上昇が予想されたのですが、株高の勢いほどには国債が売られなかったという現実があります。
その結果として、長期金利は上がりにくい一方で、下がる要素も乏しいという、今後の動向が読みにくい状況になっています。
この状況が住宅ローンにどのように影響するのか。重要な点として、住宅ローンの変動金利がより強く影響を受けるのは、長期金利ではなく短期金利だという点です。
長期金利が上がらなくても、日銀が利上げに進めば短期金利が上がって変動金利の見直しがあります。ここが判断を難しくしているポイントです。
GDP前年比プラスと利上げムードが意味するもの
内閣府が発表した2025年10月から12月までのGDP(国内総生産)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で、前期比プラス0.1%になったと報じられています。
※出典:2025年10~12月期四半期別GDP速報 (1次速報値)令和8年2月16日 内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部
そうなると市場の空気として、3月または4月の日銀金融政策決定会合で次の利上げムードが強まってくるでしょう。
「利上げしないほうがサプライズ」のような状況は、日銀の利上げの後押しとなります。変動金利の上昇ペースは、以前よりも早まる方向に修正する必要があります。
住宅ローン変動金利の上昇シナリオ
ここで、まだ毎月の返済額が上がっていないから大丈夫だという様子見は禁物です。変動金利の毎月返済額は遅れて上がってくるからです。5年ルールの適用がある場合は、金利が上がっても毎月の返済額に反映されるのは5年たってからです。据え置き期間のツケは、そのとき一気に顕在化します。
また、適用金利が上がっていないから大丈夫だという意識も禁物です。住宅ローンの基準金利の見直し月は、多くの銀行で4月と10月(銀行の規定による)に設定されています。昨年12月の0.25%利上げは、この記事を執筆している2月時点では、大多数の銀行で未反映ですが、あと1カ月から2カ月もすれば、適用金利が上がることが予定されています。
このタイムラグがある以上、現在の返済額が変わっていなくても、将来の到達金利の補助線は先に引いておくべきなのです。
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変動金利で住宅ローンを借りている人の3つの選択肢
このような状況のなか、すでに変動金利で住宅ローンを借りている人には、次の3つの選択肢があります。
- 1.長期金利がさらに上がらないうちに固定金利へ借り換える
- 2.今のうちにより低金利な変動金利へ借り換える
- 3.変動金利で借り換えメリットが出るなら、金利交渉で適用金利を下げてもらう
また、現在の利上げ局面では、日銀の利上げ回数も考慮しなければなりません。
日銀が想定している利上げがあと何回あって変動金利が何%まで到達すると、固定金利と金利が逆転するのか。また借り換えた場合は、借り換え費用を何年で回収できるのか。シミュレーションして補助線を引けば、おのずと結論は定まってきます。
今の金利と将来の到達金利
ここからは一般的なモデルでシミュレーションをします。個別事情で結論は変わりますが、補助線の引き方は共通です。借入残高は約5000万円とします。
- 【変動金利の前提】
3年前に融資実行:0.40%
↓ - 2026年2月現在:0.80%
- ↓
- 2026年4月見直し:1.05%
- ↓
- 2年で4回の利上げ:2.05%
今から約3年前(植田日銀による利上げ以前)に変動金利0.4%前後で借りたケースを前提とします。その後の2回の利上げ(2024年7月と2025年1月)によって基準金利が0.4%(主要銀行の上がり幅の中央値)上昇したとすれば、0.8%が2026年2月現在の適用金利です。
そして3回目の利上げ(2025年12月)が反映される2026年4月に0.25%上がれば、適用金利は1.05%に上がることになります。ここまではかなり確度の高い数字です。
次は、今後2年の予想です。日銀は直近の会合で年に複数回の利上げを示唆しています。1年に2回とすれば合計4回となり、これをメインシナリオとします。0.25% ×4回で1.0%の上昇とすれば、最終到達金利は2.05%ということです。
当初5年:1.76%
↓
その後:2.26%
2026年2月のフラット35(買取型)の金利2.26%を基準とし、3月融資分からスタートする「子育てプラス」で、当初5年間は0.5%引き下げ(子ども2人で2ポイント)が入って1.76%とします。
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1.変動から固定(フラット35 )への借り換え
まず結論から言いますと、当初0.4%前後で借りた層が、今このタイミングでフラット35に借り換えて得するケースは減ってきています。
理由は単純で、固定金利がすでに高く、借り換え費用が重いからです。借り換え費用を120万円程度とすると、固定へ移した瞬間に、まず費用面でマイナスからスタートします。
さらに、当初5年の金利が1.76%であっても、その後は2.26%で固定されます。変動金利が2年で2.05%に到達するメインシナリオでは、固定金利が得する材料がないということです。
つまり、変動金利が今後+1.0%程度の上昇で、到達金利が2.05%とすれば、固定金利に借り換えずに返済を続けるほうが、総支払額が少なく済むということです。
したがって、年2回程度の利上げペース=あと2年で+1.0%というシナリオの範囲では、固定金利への借り換えは、総支払額が増える方向になりやすい。
あせって借り換えて損をするというパターンに陥りやすいということです。
固定金利に借り換えて得する利上げシナリオとは?
むろん、固定金利への借り換えで得になるシナリオもあります。今から固定金利に借り換えて得になるのは、変動金利の到達金利が2.55%付近、つまり日銀の利上げ+1.5%が現実味を帯びたときです。年3回の利上げペースに上振れし、2年で+1.5%、到達2.55%のシナリオまで織り込むなら、ようやく固定が互角に寄ってきます。
ただし、ここでも勝ち目は薄い。借り換え費用120万円の回収が必要なので、総支払差は出ても、体感では誤差の範囲に収まりやすい。固定が圧勝するというより、ようやく負けにくくなる、という位置づけです。
すでに変動金利が1.5%台に達している人
もうひとつ、当初借りた変動金利が高い人も固定金利への借り換えが得になる可能性が高いです。具体的には、現時点で変動金利が1.5%台に到達しているなら、固定金利は互角以上になり得ます。
これは当初の変動が0.8%や0.9%と高めで、見直し反映後に1.55%近辺にいるようなケースです。この場合は、フラット35(買取型)の2.26%との差が縮まり、当初5年1.76%の恩恵も効き、固定への借り換えが数字上得になりやすくなります。
ただし、借り換え費用が120万円かかることがあるため、劇的な勝ちではありません。固定で大きく得をするというより、変動が高くなり過ぎた人が固定で損しないところに着地する、という意味合いが強いです。
自民圧勝で長期金利が静観に見える状況の今は、固定金利が自然に勝てる局面ではない。ここが1つ目の結論です。
2.変動から変動への借り換え
次に変動から変動です。ここはやり方を間違えなければ成立します。3年前に0.4%の変動金利で借り、2026年4月に1.05%で残存32年程度ある人が、0.6%の変動金利に借り換えるケースを置きます。今後2年の上昇は同じ+1.0%(+0.25%×4回)として、到達が2.05%ではなく1.6%程度に平行移動できる、という考え方です。
金利が全体的に下がるので、金利差が大きくなればなるほど、得になるのは自然です。ただし、借り換え費用の120万円が問題になります。
まずはこれを回収しなければならないのですが、このケースの毎月の返済改善は約1万円なので、回収にかかる期間は約10年かかる計算になるのです。(120万円/1万円 = 120か月)
借り換え費用の回収に10年以上かかる借り換えは、借り換えメリットが出るにしても割り引いて判断する必要があります。なぜなら、その10年の間に住み替え、繰り上げ返済、教育費、転職、家計の変化が入りやすいからです。
借り換えメリットは、理論上の総支払差が出ることですが、借り換え費用の回収にかかる期間も考慮に入れなければなりません。回収前に終了すれば、結局は費用の負けだけが残ってしまうからです。
- ・借り換え費用の回収に5年以内、かつ、住み替えの可能性が低いならGOサイン
- ・借り換え費用の回収に10年超要するなら慎重に判断
借り換えでメリットが出やすいケースとしては、金利差に加えて、ローン残高が大きいことや残期間が長いことが挙げられますが、ローン残高が大きいということは、つまり借り換え費用にはまとまった金額が必要ということです。
金利差だけ見て飛びつかず、銀行に借り換え費用を見積もり計算してもらい、その回収にかかる期間が何年になるのかという点も判断材料としてください。
3.変動のまま金利交渉して金利を下げる
最後が金利交渉です。筆者の個人的な見方として、交渉が成功しやすい環境要因が増えていると見ています。
ここ最近の利上げ局面で銀行の収益環境が良くなっています。3メガバンクグループの2025年4〜12月期決算では、合計の連結純利益が前年同期比13%増の4兆2281億円となり、3年連続で最高益を更新したことが報じられています。国内の金利上昇による金利収入、貸出残高の増加が業績を押し上げています。
さらに自民大勝の株高局面で企業の資金需要増の期待が上がります。銀行は安い調達資金である預金を確保したい。住宅ローン利用者は給与振り込みや生活口座を抱えやすく、安定預金者になりやすい。
そもそも、住宅ローンは安定預金者を囲い込む手段という位置づけが大きいのです。こういう構造が強いほど、借り換え審査に通る状態を作ってから金利見直しを依頼する交渉は、通りやすくなるというわけです。
そして金利交渉の最大の強みは、かかる費用が小さいことです。借り換えではなく条件変更なら、費用は数万円程度に収まることが多い。仮に6万円として話を進めます。
例えば現状の変動金利1.05%を0.8%に下げられたとします、毎月の返済減は借り換えの半分の5,000円程度となります。しかし約1年で回収できるのです(6万円 /5,000円 = 12か月)。
つまり、金利差が小さくても金利交渉は回収が圧倒的に早いのです。
借り換えの120万円回収に10年かかるのに対して、交渉は1年程度で回収できるという点がポイントです。ですから借り換えを検討する人が今の局面で必ずやっておくべきなのが、今の銀行に対して金利交渉することです。
- ・借り換え審査に通る状態を作ることが交渉の起点
- ・引き下げられた金利が小さくても回収は十分早い
交渉にハッタリは必要ありません。他行に借り換えられる状態を示すだけで十分です。銀行は残すか、逃すかを天秤にかけたうえで、引き下げる金利を提案してきます。成功の可能性は銀行の営業方針、こちらの審査属性、ローン以外の取引状況、エリア、勤務先、残高、預金の動きなどで結果は変わります。
むろん引き下げてくれない可能性もありますが、これによって銀行との関係が悪化することはありません。むしろ借り換えなかったことに感謝されます。
【関連記事】>>返済中の住宅ローン金利を下げさせる交渉術は?〜銀行員がリアルに解説
まとめ
自民党の大勝後、意外にも長期金利が静観に見えるものの高止まりしている分、固定金利への借り換えが自動的に有利になる局面ではなくなっています。
固定金利への借り換えで逆転するとすれば、目安は変動金利が2.55%相当に到達するシナリオ、もしくは現時点で自身の変動金利が1.55%近辺に到達しているケースです。
そこに届いていないなら、固定金利への借り換えは得しにくいでしょう。なお、ここでは金利差だけをクローズアップしていますが、実際に借り換えが得になるかは、ローン残高に加えて残期間、借り換え費用など複数の要素が絡みます。
変動金利から変動金利への借り換えは、金利差が大きい場合でも、借り換え費用の回収年数に注意が必要です。回収が5年以内なら実行に前向き、10年を超えるなら慎重判断が合理的です。
そして3つ目は金利交渉です。成功率は個別判断だとしても、費用が小さいため回収が圧倒的に早いのが特徴です。
もし借り換えで大きく改善するならば、費用が小さい分、交渉も確実に得になりやすいのです。だから、借り換えを考える人ほど、まず交渉の選択肢も確保すべきです。
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