「親子リレーローン」という住宅ローンをご存じだろうか。通常、個人や夫婦で借りる住宅ローンを、親子で借りるというものだ。フラット35だけではなく、最近は民間の銀行でも親子リレーローンを取り扱っている。「二世帯住宅のローンを親子で支払う」という使い方だけではなく、「一時的な年収不足で住宅ローンが借りにくいので、親の年収を計算上だけでいいから合算したい」という場合にも使える。そこで、住宅ローンの専門家に親子リレーローンについて詳しく聞いてみた。
「親子リレーローン」の審査なら、
親の収入を減額せず、フルに加算が可能!
「家を建て替えたいけれど、住宅ローンを組むなら80歳までの完済と決まっている。そうなると、返済期間が短くなって月々の支払いが厳しい……」と嘆くお父さん世代。
「家を買いたいけれど、収入を考えると借りられる住宅ローン金額が少ない。買える家も限られるな……」と呟く子ども世代。
拡大画像表示
この悩める二世代の両方から注目されている、住宅ローンの新しい借り方がある。それが、「親子リレーローン」だ。半官半民の「フラット35」で取り扱っているだけでなく、最近は三菱UFJ銀行、りそな銀行、千葉銀行、常陽銀行などの民間銀行も対応するようになってきた。
特に、フラット35の親子リレーローンには以下の特徴がある。
(1)親子の収入をフルに合算することが可能
(2)親子は同居しなくてもいい
(3)子どもの年齢を基準に返済期間を設定できる
この3つの特徴により、まさにいいとこ取りの住宅ローンになる。そこで、住宅ローン専門会社で審査業務を担当し、現在は住宅購入に関する情報サイト「いえーる すみかる」などを運営している、iYell(イエール)の窪田光洋社長に親子リレーローンについて解説してもらった。
まず、「(1)親子の収入をフルに合算することが可能」とはどういうことなのか。
実は、親子2世帯での住宅購入では、以前までは「親子合算ローン」が頻繁に使われていた。ただし、使い勝手が悪かった。
「従来の親子合算ローンでは、年齢などを考慮して親の収入を実際よりも減額して審査を行うのが一般的でした」(窪田氏)
一方、フラット35の「親子リレーローン」は、親の収入が減額されることはなく、100%そのまま加算されて審査が行われる。これは、借り手にとってのメリットが大きい。
なぜなら、収入に不安がある子ども世代でも、親の年収をフルに合算して、高額の物件を購入しやすくなるからだ。
もちろん、年収が低いのに無理をして高額物件を購入するのはオススメしないが、たまたま直近の年収が低くて住宅ローンの審査が通りにくくなってしまった場合などには、有効な手段になる。
【関連記事はこちら!】
>> 住宅ローン借り換えにライターが挑戦! フラット35でトップシェアのアルヒは「連帯債務」契約なら、2人とも住宅ローン減税に対応
次に、「(2)親子は同居しなくてもいい」という特徴を説明しよう。
親子リレーローンのうち、フラット35であれば、「購入した家に親と同居する必要がない」という大きなメリットがある。都心に住む息子が、田舎に住んでいる親とローンを組む、といった使い方もできてしまうのだ。こうした「申し込みに同居条件がない親子リレーローン」はフラット35だけではなく、民間の銀行でも取り扱いを増やしている。
さらに、支払い口座をひとつにすることができるので、親主導の場合なら親だけでローンを返済、子ども主導の場合なら子どもだけでローンを返済、という支払い方法が可能になる。「お父さんは支払いをしなくてもいいから、名前だけ貸してよ」といった手続きが有効なローンなのだ。もちろん、名前を貸していると言っても、実際は連帯債務人になるので、子どもが支払えなくなった場合は親が支払わなければならないといった説明をする必要はあるだろう。
一方で、「(3)子どもの年齢を基準に返済期間を設定できる」こともメリットが大きい。
親世代が住宅ローンを借りるときには、年齢が問題になることが多い。借入期間は80歳までという銀行が多いため、例えば60歳で住宅ローンを借りる際は、20年間しか借りられない。ただし、親子リレーローンならば、子ども世代の年齢を基準にして返済期間を設定できるので、通常の住宅ローンを借りるよりも長期のローンを組めるため、毎月の返済額を少なくすることができる。2世帯住宅などで、子ども世帯がそのまま家を引き継ぐ場合などは、使い勝手が良いローンだろう。
団信は「親が加入」するのがお得!
保険料のミスマッチを利用しよう
「あまり大きな声では言えませんが……」と前置きして、窪田社長は続ける。「個人的に親子リレーローンで一番おいしいと思うのは、団体信用生命保険(団信)が使えることですね」
「団信」とは、住宅ローンの返済中に契約者が病気や事故で死亡したり、大きな障害が残ってしまったりした場合に、残りの住宅ローンの支払いを生命保険会社が肩代わりしてくれるものだ。
親子リレーローンの場合は、申し込み時に親か子どものどちらが団信の対象になるかを決める。その際、ポイントは「親を団信の対象にする」ことだ。そうすれば、先述のように子どもが主導してローンを組んで、支払いも子どもだけという場合でも、親が亡くなった段階で住宅ローンはなくなるのだ。団信は80歳までしか加入できないので、親が80歳になると、団信は子どもが引き継ぐことになる。つまり、親が80歳までに亡くなれば、住宅ローンの支払いは免除されるということだ。
フラット35の団信は保険料が金利に含まれており、何歳でも保険料は一緒だ。本来、80歳に近い人の保険料は高くなるものだが、フラット35が半官半民の商品であるため、そうした経済合理性がない保険料設定になっている。この保険料のミスマッチを使わない手はない。
しかし、親にストレートに「団信に入ってくれ」というと、煙たがられるかもしれない。それでも、合理的な選択ではあるので、根気強く親を説得するのがいいだろう。また、民間の銀行だと、最初から「(団信は)親子それぞれ、融資金額の2分の1ずつ加入(りそな銀行『親子二世代型』)」という規定になっているケースもあるので、各銀行に確認しよう。
義理の親子でも借り入れ可能!
さらに「祖父と孫」でもOK
利用者は少ないと思うが、ややマニアックな話題にも触れておこう。
「親子リレーローン」は、血縁関係がなくても組むことができるのだ。子ども世代からみれば、例えば妻の父親(義父)と親子リレーローンを組むことができる。
「自分の父親が、まだ自宅の住宅ローンを支払っていて、新しいローンは組めないといった場合などに有効です」(窪田氏)
一方で、親世代からすると、息子がすでに自宅を購入してローン返済中でも、息子の妻(嫁)と親子リレーローンを組むこともできる。
戸籍上は親子でも元はといえば赤の他人。借り入れを共有するのは抵抗がある人も多いかもしれないが、選択肢のひとつとして知っておいて損はない。
さらにいえば、祖父と孫といった形でも親子リレーローンを組むことができる。こうなると、まったく「親子」ではないのだが、契約上は問題ない。
「名前を貸しただけ」のつもりが、
自分のローンが組めないトラブルも!
メリットが多い親子リレーローンだが、デメリットはないのだろうか。
強いて挙げるなら、実家の建て替えなど親主導でローンを組む場合、住宅ローンに詳しくない子どもが親子リレーローンを安請け合いしてしまうと危険だ。子どもが「名義を貸しただけ」という意識で親子リレーローンを組み、実際のローン支払いはしていないケースでも、債務者として記録されているので、親子リレーローンの完済までは新規の住宅ローンが組めなくなる。長期間拘束されることになるため、絶対に安請け合いはせず、事前によく話し合ってから申し込みを決めよう。
他に、気をつけるべき点は通常の住宅ローンと変わらないことばかりだ。親世代に比べて子ども世代が経済的に貧しくなっていると言われる現代。まさに時流にあった住宅ローンとして、今後、注目が集まりそうだ。
【関連記事はこちら!】
>> フラット35の住宅ローン金利ランキング! メリット、手数料、おすすめの主要銀行を紹介
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
【金利動向】おすすめ記事 | 【基礎】から知りたい人の記事 |
【今月の金利】 【来月の金利】 【2024年の金利動向】 【変動金利】上昇時期は? 【変動金利】何%上昇する? |
【基礎の8カ条】 【審査】の基礎 【借り換え】の基礎 【フラット35】の基礎 【住宅ローン控除】の基礎 |
新規借入2024年11月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.459%
- 総返済額 3242万円
- 表面金利
- 年0.329%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 75,629円
①「がん・4疾病50%+全疾病+月次返済保障」が無料!
②住宅ローン金利優遇割ならダントツの低金利
③三菱UFJ銀行とKDDIが立ち上げたネット銀行。ネット申し込みで、全国に対応
- 実質金利(手数料込)
- 0.512%
- 総返済額 3271万円
- 表面金利
- 年0.375%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+33000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,229円
①注文住宅なら、分割融資に対応でお得
②手数料不要の「借入時負担ゼロ型」は、将来住み替えを考えている人におすすめ
③中古物件でもリフォーム資金含めて借り入れが可能
- 実質金利(手数料込)
- 0.531%
- 総返済額 3281万円
- 表面金利
- 年0.390%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+55000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,426円
①「団信革命」は要介護まで保障も
②自社商品なら、最大3億円まで借り入れOK!
③【期間限定】WEB完結金利優遇キャンペーン実施中。変動金利が年0.390%~
-
住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る
-
今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
|
- 年収に対して安心して買える物件価格は?
-
- ・年収200万円で妻が妊娠中の家族の上限は1600万円!?
- ・年収250万円の単身者の上限は1800万円!?
- ・年収300万円の4人家族の上限は1800万円!?
- ・年収350万円の2人家族の上限は2100万円!?
- ・年収400万円の単身者の上限は2500万円!?
- ・年収450万円の4人家族の上限は2000万円!?
- ・年収500万円の4人家族の上限は3000万円!?
- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
- ・年収600万円の40代独身の上限は3000万円!?
- ・年収700万円の共働き夫婦の上限は5000万円!?
- ・年収800万円の3人家族の上限は4500万円!?
- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
- ・年収1000万円の40代4人家族の上限は3500万円!?
- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
auじぶん銀行の魅力は、業界トップクラスの変動金利です。変動金利が大好きな人なら、最上位にすすめたいですね。最大2億円まで借りられるのも大きなポイントです。
審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
団信では「がん・4疾病50%保障団信」が無料で付いているので、通常の団信より手厚いと言えます。通常、保障を厚くするのであれば、金利を上乗せする必要がありますが、無料でつくのは魅力です。