フラット35の団体信用生命保険の制度が大幅変更!
「団信」を実質値下げした上に、保障内容も拡充

2017年7月16日公開(2022年12月23日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

2017年10月1日から、長期固定型住宅ローン「フラット35」の団体信用生命保険(団信)の制度が大きく変わった。これまで団信の加入は任意であり、加入しないという選択肢も可能であったが、10月以降は原則、加入することになった。ダイヤモンド不動産研究所でフラット35の新旧の制度を比較したところ、団信保険料が実質値下げされるだけでなく、保障内容も大幅に拡大されることになり、従来の制度よりはるかにお得に借りられるがわかった。

 2017年10月に変更されたフラット35の団信には、大きく分けて3つの特徴がある。

(1)保険料が「金利上乗せ」となり、実質値下げ
(2)保障範囲が、「死亡」・「身体障害保障」となり、実質拡大
(3)オプション保障「3大疾病付団信」は、「介護保障」もカバー

 以下、これらの特徴について解説していこう。

(1)保険料が「金利上乗せ」となり、実質値下げ

 団信とは、住宅ローン契約者に万一のことがあった場合、その時点で残っている住宅ローンが全額返済される保障制度のことだ。

 従来のフラット35の団信は以下のような制度だった。

・フラット35の団信への加入は任意
・住宅ローン返済とは別に保険料を支払い(毎年1回、融資残高×0.358%が目安)

 実は、民間の住宅ローンは団信を無料で付帯している。それだけ、団信という商品は、加入するのがあたり前の商品なのだ。しかし、フラット35は「加入は任意」という制度であり、仕方なく別途に保険料を支払って、団信に加入しているという人も多い。こうした制度は分かりにくいだけでなく、保険料を別途払うため、割高感もあった。さらに、支払いが一度でも遅れれば、団信は失効してしまうため、それ以降は保障が受けられなくなるという問題もあった。

 そこで、2017年10月から、フラット35の団信は以下のように変更される。

・原則、フラット35の団信へ加入する
・保険料を実質値下げ(金利に+0.28%上乗せ)

 新しい団信の保険料は、民間銀行と同様に、金利に含まれることになる。団信保険料分として、金利を0.280%上乗せする。従来とは保険料の支払い方が若干違うものの、保険料率が約0.358%から0.280%に引きげられるため、実質的な値下げになる(後述するが、団信に加入しない場合、新しい団信付きの金利から0.2%引きの金利が適用となる)。

 では、この「値下げ」はどの程度の効果があるのだろうか。下の表は、借入額3000万円、借入期間35年でフラット35を借りた場合の、新旧団信の総支払額を比較したものだ。住宅金融支援機構のホームページを参考に作成した。

 フラット35の新旧団信は、どちらがお得?
  旧団信
(~2017年9月)
新団信
(2017年10月~)
金利
(現在の金利水準が継続と仮定)
1.09% 1.37%
(金利+0.28%
団信保険料 約204万円
(年1回、融資残高×0.358%が目安)
毎月返済額 8.6万円 9.0万円
総返済額 3833万円 3798万円
35万円お得!
※金利が同じケースを想定して比較。借入金額3000万円、借入期間35年、機構団信(新機構団信)に1人で加入した場合で試算。事務手数料は借入額×0.66%を採用。住宅金融支援機構のホームページを参考に作成

 上表のように、新しい団信は毎月返済額が旧団信より4000円増えてしまうが、旧団信は年1回まとめて支払っているので、新しい団信は、総返済額が35万円もお得になる

 なお、健康上の理由で団信に加入できない人や、団信に加入したくない人は、新しい団信付きの金利から0.2%引きの金利が適用される。例えば2017年10月のフラット35金利は1.36%(団信付き)だが、団信なしにした場合の金利は1.16%となる。なるべく団信を使ってほしいことから、団信を使わない場合に差し引く金利は少なくしたのだ。

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(2)保障範囲が、「身体障害保障」へと拡大

 さらに、フラット35の新制度では、団信の保障内容が大幅に拡大された。新旧制度の違いは以下の通りだ。

旧団信の保障内容死亡+高度障害
新団信の保障内容死亡+身体障害保障

 新団信の「身体障害保障」とは、身体障害者福祉法の1・2級に該当し、かつ身体障害者手帳の交付がなされている人のことだ。身体障害者福祉法によって障害者手帳が交付されるのは1級から6級までであり、中でも「1・2級」は重度の障害が認められる場合のみに認定される。

 そういっても、具体的にどのくらい保障が拡大されたのかイメージできないだろう。以下の表は、従来の「高度障害」と、10月以降に適用される「身体障害保障」の保障内容を比較したものだ。まずは身体系の病気・ケガに対する保障を見てみよう(表現が専門的でわかりにくいため、ダイヤモンド不動産研究所で一部表現を変えた)。

 団信(フラット35)が保障対象を拡充(身体系)
  「高度障害」
(~2017年9月)
「身体障害保障(※)
(10月~)
 視力 失明 両眼の視力の和が0.04以下など
 聴力 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの(両耳全ろう)
 言語 全機能を失う
 両上肢(両腕) ・手関節以上で失う
・全機能を失う
すべての指を欠く
機能の著しい障害
 一上肢(片腕) 2分の1以上を欠く
機能の全廃
 両下肢(両足) ・足関節以上で失う
・機能をすべて失う
下腿の2分の1以上を欠く
機能の著しい障害
 体幹 座っている、立っていることが困難
※「身体障害保障」は、身体障碍者福祉法が定める1級または2級の障害に該当した場合に対象となる

 上表を見ると、「高度障害」の保障は体の各部位の機能をすべて失った場合に適用されるのが基本であるのに対し、「身体障害保障」では、保障の対象となる症状が緩和されていることがわかる。

 例えば、視力の場合、「高度障害」では「失明」すると保障されるのに対し、「身体障害保障」では「両眼の視力の和が0.04以下」であれば、住宅ローンはゼロになる。聴力に関しては、「高度障害」では何の保障もないが、「身体障害保障」では、「両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上」であれば対象となる。

 また、腕についての「高度障害」は、「片腕」は対象となっておらず、「両腕の全機能を失う」ことなどが要件となっていた。しかしこれでは、「脳梗塞の後遺症によって右半身が麻痺して歩行できず、常に他人の介護が必要だ。しかし、食事は正常である左手で自分で食べることができる」といったケースは保障されない。脳梗塞の後遺症は、全身の麻痺ではなく、半身の麻痺が残ることが多いが、それは保障されていなかったのだ。

 新しい団信の「身体障害保障」は、「片腕の機能の全廃」についても保障されるようになったため、脳梗塞による半身の麻痺についても一部カバーされるようになる。

 なお、「身体障害保障」では身体障害者福祉法の1・2級が保障の対象となるため、表には2級にあたる障害を記載している。1級はこれ以上の重い障害なので、表に含まれている。

 次に、内臓系の病気に対する保障を見てみよう。

 団信(フラット35)が保障対象を拡充(内臓系)
  「高度障害」
(~2017年9月)
「身体障害保障(※)
(10月~)
心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、肝臓、免疫機能 日常生活が極度に制限される(ただし身体障害1級のみ)
※「身体障害保障」は、身体障碍者福祉法が定める1級または2級の障害に該当した場合に対象となる。一部の病気は、身体障害等級によって、対象外となることがある

 新団信の「身体障害保障」は、身体障害1級であれば、心臓機能、腎臓機能、呼吸器、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、肝臓機能、免疫機能など内臓系の障害も保障されるようになる。従来の「高度障害」では保障されなかったものだ。

 例えば、ペースメーカーを植え込んでいる人、人工透析を受けた人、内臓の切除を行った人など日常生活が極度に制限されている人で、「日常生活が極度に制限される」のであれば、保障されることになった。

 また、「肝臓」、「免疫機能」については、身体障害2級以上が対象となっており、肝機能障害、エイズ感染などにより、「日常生活が極度に制限される」人が該当する。以上の保障範囲拡大により、かなり広範囲の人が保障を受けられるようになったはずだ。

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(3)「3大疾病付団信」は、「介護保障」もカバー

 さらに、オプション保障である「3大疾病付団信」についても制度が拡充された。通常、3大疾病付きと書かれている場合は、通常の団信に加えて、「ガン・心筋梗塞・脳卒中」が保障されるのだが、新団信制度では、新たに「介護保障」が付随する。

 つまり、2017年10月以降の「3大疾病付団信」の保障範囲は、以下の通りとなる。

・死亡+身体障害保障
・3大疾病(ガン・心筋梗塞・脳卒中)
・介護保障(要介護2〜5)

 「介護保障」では、公的介護保険制度で要介護2〜5の人が保障対象となる。要介護は症状によって1~5の5段階があり、数字が大きいほど介護を多く必要とする。保障対象となる中で最も症状が軽い「要介護2」とは、「排せつ、入浴、歩行や起き上がり、部分的な介護が必要な状態」と定義されている。これ以上の症状があれば、保障対象になるというわけだ。通常の団信の保障範囲である、「身体障害保障」では保障されていないだけに、制度拡充の意味は大きい。 

 3大疾病付き団信の保険料は、金利を0.52%上乗せで付けることができる(現在の金利水準比)。例えば6月のフラット35の金利1.09%の場合、3大疾病付機構団信を付けたときの金利は1.61%となる。

 身体障害者福祉法で定められた身体障害が保障の対象となる団信は、2017年10月時点ではフラット35だけ。将来、病気になることに不安がある人は一考の価値があるだろう。

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 なお、団信への加入年齢、保障期間については、新旧の団信では変化はない。以下の通りとなっている。

 団信への加入年齢と保障期間(新制度)
  通常の団信 3大疾病付団信
 加入年齢 満15歳以上・70歳未満 満15歳以上・51歳未満
 保障期間 満80歳の誕生日の属する月の末日まで 満75歳の誕生日の属する月の末日まで
(それ以降は満80歳の誕生日の属する月の末日まで通常の団信に切り替わる)

 通常の団信については、満15歳以上・70歳未満、保障期間は満80歳の誕生日の属する月の末日まで。一方で、3大疾病付団信は厳しくなっており、加入年齢は満15歳以上・51歳未満、保障期間は満75歳の誕生日の属する月の末日までで、それ以降は通常の団信に保障が切り替わる(ただし、満80歳の誕生日の属する月の末日まで)。 

 保障期間は従来通り変わっておらず、保障内容だけが分厚くなった制度改定だ。

長期固定住宅ローンを借りるなら「フラット35」!

 以上がフラット35の新制度の概要だ。ダイヤモンド不動産研究所で毎月発表している「住宅ローン『実質金利』ランキング(35年固定)」では新制度変更後、団信保険料が実質値下げとなったことから、フラット35の順位が軒並み上昇し、ランキング上位を席巻する結果になった。長期固定型住宅ローンの新規借り入れなら、まず、新しく生まれ変わったフラット35を検討してみよう。

 また、地域は限定されるが、子育て世帯や転入等に対して、当初5年間は金利を0.25%も優遇するフラット35「子育て支援型・地域活性化型」制度も新たに創設されているので、各自治体に問い合わせて、忘れずに活用したい。

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住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る

 今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。

【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とする

 アンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。

【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。

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