以下は2024年10月時点の金利予想です。
住宅ローン10年後の変動金利を試算(2024年10月)
まずは、12銀行の10年後の変動金利を試算してみましょう。各銀行が発表している固定金利から試算すると以下のようになりました。試算の結果は、絶対的なものではなく、あくまでも参考値だと思ってください。

ゼロ金利解除後、12銀行は変動金利の上昇時期を何年以内と予測しているか
次に、各銀行が変動金利の上昇時期をどのように想定しているのか、試算してみましょう。
2024年3月に日銀は、「マイナス金利解除」と長期金利を0%に誘導する「イールドカーブ・コントロール(YCC)政策」の撤廃を決定し、非伝統的な金融政策が終了しました。(参考記事:日銀は3月会合でマイナス金利政策を解除!今後の住宅ローンへの影響は?)
また、同年7月には「ゼロ金利解除」も行われ、「金利のある世界」が到来することとなりました。(参考記事:日銀の追加利上げで「金利のある世界」の到来! 住宅ローンを変動金利で借りている人は5年ルールのツケを払えるか?)
ゼロ金利解除後、日銀は政策金利を0.25%まで引き上げましたが、10月時点では、大手銀行の住宅ローン変動金利は0.15%程度しか引き上げていません。
これまで銀行はさまざまな理由から積極的に変動金利を引き下げてきましたが、金利の引き上げには慎重になっているようです。
おそらく周りの銀行の動きを見ながら、徐々に金利を引き上げていくような印象を受けました。
今後は、日銀が政策金利を中立金利に近づけるタイミングに注目すべきです。中立金利とは、金融緩和や金融引き締めを行わない自然な状態の金利のことで、中央銀行は政策金利を中立金利と同じ水準にするというのが世界的な傾向です。
この中立金利が何%なのか、そして現在の緩和的な状況をいつ、どのように解消していくのかに、市場の関心は移りつつあります。
短期金利(政策金利)は3.0%まで上昇と予想
日銀による「ゼロ金利政策の解除」により、今後の短期金利はどうなるのでしょうか。
過去のゼロ金利解除時は変動金利が1.875%程度でしたが、緩和的状況が続く中、金利の上昇スピードはこれまでよりもかなり遅いものとなり、私の事前の予想は外れてしまいました。
現在、市場関係者や日銀のレポートでは、中立金利が1.0%くらいと見ている人もいるようですが、政策決定会合の議事録を見ると、2.0%後半と考えている委員が多いようです。
個人的には3.0%くらいと見てもよいと考えており、これからは、時期はともかく短期金利が2.0~3.0%へ向けた上昇が始まると見ています。
変動金利は何年以内に1.0%上昇するか?
では銀行は、政策金利が1.0%上昇するのは何年以内と考えているのでしょうか。
政策金利が1.0%になるということは、変動金利が1.0%上昇するということです(銀行にもよりますが)。その時期を、12銀行が何年以内に予想しているのかを試算した結果は以下のとおりです。
時期 | 銀行名 |
---|---|
2年以内 | 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行 |
3~7年以内 | みずほ銀行、ソニー銀行、イオン銀行、楽天銀行 |
8~10年以内 | auじぶん銀行 |
11~15年以内 | 住信SBIネット銀行、PayPay銀行、SBI新生銀行 |
試算の結果、みずほ銀行をはじめ、12銀行中8行が7年以内(うち4行は2年以内)に変動金利が1.0%上昇すると予想しているようです。
メガバンク、信託銀行、変動金利の金利競争から一歩身を引いている銀行は、金利上昇がある程度早く来ると予想しているようです。
住信SBIネット銀行、PayPay銀行は、これまでのスタンスから大きく変わらず、10年以内に大きな金利上昇はないと予想しているようです。
なお、SBI新生銀行は、前回、前々回と店頭金利が変更されていないので、予想が変化しているかどうかはわかりません。
今後10年、20年、30〜35年までの変動金利推移を予測(12銀行)
それでは各銀行の「X年後の変動金利推計」を試算していきます。
銀行により固定金利の最長固定期間が、10年、20年、30年or35年と3パターンあるので、3つに分けてグラフを作成してみました。
今後20年までの金利推移予測(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、ソニー銀行、SBI新生銀行、三井住友銀行)
今後30年or35年までの金利推移予測(三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行)
今後10年までの金利推移予測

イオン銀行と楽天銀行は、金利上昇のペースが以前よりも緩やかになると予想しているようです。
具体的には、5年以内に金利が+1.0%程度上昇し、10年後まで2.0%程度に緩やかに上昇するという予想です。
今後20年までの金利推移予測

三菱UFJ銀行
1年以内に変動金利が1.0%以上上昇すると見込んでいるようです。その後、5年以内に変動金利は2.5%近くまで上昇すると予想。その後は、金利が低下し10年後にまた金利上昇が始まるというような、循環型の金利推移を予想しているようです。ある程度オーソドックスな予想のように思われます。
ただ、10月の変動金利は0.345%と適用金利を据え置いたので、将来の金利上昇を前提に、戦略的に変動金利の顧客を囲い込みに来たように見えます。
みずほ銀行
金利上昇は緩やかになると想定していて、変動金利が1.0%以上となるのは7年後と想定しているようです。その後、金利は徐々に上昇していきますが、3.0%程度までと緩やかながら安定成長を見込んでいるようです。
三井住友銀行
金利上昇のスピードが速いと考えているようで、2年で+1.0%の上昇を見込んでいます。ただ、その後は好況局面が終了し、10年後に3.0%まで、緩やかに上昇すると予想しているようです。
りそな銀行
2年以内に金利は+1.0%になると見ているようですが、その後は少し下がり、また10年後を目指して4.0%超まで上昇すると見込んでいるようです。
やや不自然なくらいに右肩上がりの金利上昇となっていて、10年以降は営業的な観点から数値を付けにいったにおいがしますが、このように景気が回復すればよいと願わずにはいられません。
ソニー銀行
7年以内に金利は+1.0%になるという、やや緩やかな金利上昇を予想しているようです。その後もゆっくりとした金利上昇を見込んでいますが、10年かけて1.5%程度に上昇、その後は2.5%近くまで緩やかに上昇すると見ているようです。
SBI新生銀行
これまでの銀行とは大きく異なり、金利が+1.0%になるのは11年目以降と、金利上昇がほとんどないというシナリオを持っているようです。
とはいえ、店頭金利の設定が1年半ほど全く変わらないため、予測というよりは、営業政策的な設定なのでしょう。
今後30年or35年までの金利推移予測

三井住友信託銀行
2年以内に金利は+1.0%上昇すると見込んでいるようです。3年たって景気は減速するも徐々に持ち直し、20年後までに変動金利は4.0%まで上昇するという、明るい予想です。
住信SBIネット銀行
5年かけて徐々に金利が上昇しますが、+1.0%以内におさまると予想しており、+1.0%になるのは、11年以降になると見込んでいるようです。
11年後以降は急上昇し、20年後には6.0%近辺まで上がると、かなり極端な予想となっています。おそらくこれは予測ではなく、営業的な金利設定により生じた"ゆがみ"ではないかと思われます。
auじぶん銀行
10年以内に金利は+1.0%になると予想しており、その後、20年後くらいまで金利が緩やかに2.0%に、30年後には3.0%近くまで上がるという予想です。
金利設定についてあくまで個人的な見解ですが、担当者があまり考えず適当に設定したようにしか見えません。
PayPay銀行
金利+1.0%は11年目以降になると見ているようで、15年目にはまたいきなり3.0%近くまで上昇するという非常に大胆は金利設定となっています。やや見識を疑ってしまいますが、おそらく営業政策的な金利設定なのでしょう。
変動金利上昇は想定すべき
以上のように、銀行によって変動金利の金利の見通しはかなり違います。また繰り返しになりますが、あくまで固定金利との金利差から試算したものであり、確定的な情報ではありません。
とはいえ、「主要12銀行は、10年後の変動金利が1.076%〜2.255%と想定している」と試算できることはお分かりいただけたかと思います。
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