以下は2023年11月時点の金利予想です。
住宅ローンの変動金利予測(2023年11月時点)
以下は、2023年11月時点の12銀行の10年後の変動金利を試算した表です。
日銀の異次元金融緩和の解除は何年後?
日銀による「異次元緩和」は、マイナス金利および長短金利操作(YCC=イールド・カーブ・コントロール)が主な政策であり、これが解除されれば金利は上昇します。
日銀による金融政策導入のタイミングで大手銀行の住宅ローンの変動金利は0.5%程度下落しました。それからすると、異次元緩和が解除されると0.5%程度上昇し、変動金利は1.0%を超えていくと予想しています。
試算した結果は以下のとおりです。
2年以内に金融緩和解除の動きが何もないと予想しているとみられる銀行は、みずほ銀行、ソニー銀行、りそな銀行、楽天銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行、SBI新生銀行の7行でした。
2023年4月に確認した時は、同じように見ている銀行が6行で、金利が上がらないと考える銀行の総数は増えています。
ただ、りそな銀行と楽天銀行は、前回は2年以内に金融緩和解除があると予想していましたが、2年後以降に変更になると予想を変えたようです。
また、住信SBIネット銀行は、前回は10年後以降と予想していたようですが、いきなり2年以内と大胆な変更をしたようです。
ただ、2024年3月にマイナス金利を解除しており、2年以内に変動金利が1%を超えると予想している銀行は、かなり独自の見通しをもっているか、営業政策的に金利設定を低くおさえているのか、どちらかでしょう。個人的には後者ではないかと考えます。
日銀のゼロ金利解除は何年後?
先程の異次元緩和の解除(変動金利が1%を超える)からさらに一歩踏み込み、日銀による「ゼロ金利政策」が解除されると、変動金利はどうなるのでしょうか。過去のゼロ金利解除時は、変動金利が1.875%程度だったので、それを超える時期を試算してみました。
質的・量的金融緩和を解除はするものの、景気の好循環に向かうための準備段階であり、本格的な回復期には至っていないという段階ですが、金利は本格的に上昇を始める時期です。
5年以内にゼロ金利スタート時の金利水準を超えると予想しているのはたった2行しかなく、この点は前回の調査と変わりません。
それだけ景気回復が正常なサイクルに入るのが難しいと考えているのでしょう。ただ、 6~10年以内については前回は2行でしたが、5行に増えました。
銀行は、融資業務を通じて日本の経済実態を観察しているでしょうから、日本の経済成長が少しずつ持ち直してきていると考える銀行が増えてきたようです。
SBI新生銀行は、今後20年以内には変動金利は1.875%以上にはならないと予想しているようです。これは、住宅ローンの金利水準が変わってしまった、または、日本の経済成長はゼロ成長のまま、と考えているのでしょう。確かに、「住宅ローン金利にもニューノーマルが来てしまった」という恐れは否めないところです。
「X年後の変動金利」を銀行ごとに試算(2023年11月時点の予想)
2023年11月時の各銀行の「X年後の変動金利推計」を紹介していきます。
銀行により固定金利の最長固定期間が、10年、20年、30年or35年と3パターンあるので、3つに分けてグラフを作成してみました。
今後20年までの金利推移予測(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、ソニー銀行、SBI新生銀行)
今後30年or35年までの金利推移予測(三井住友信託銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行)
今後10年までの金利推移予測
三井住友銀行は、金利上昇のスピードが速いと考えているようで、5年という期間で急速に金利は上昇し、2%までの上昇を見込んでいるのは前回の調査と変わりません。ただ、景気後退後に金利が1.5%前後まで低下すると予想していたのが、2%前後への低下にとどまると変更しました。
物価2%がある程度安定的になれば、変動金利はその水準を超えて大きく下がる可能性は低いので、物価の先行きについてもインフレ傾向を見込んでいるものと思われます。
イオン銀行、楽天銀行は、10年かけて、緩やかに2.0%以上に上昇するという予想で、2年以内に「マイナス金利やイールドカーブ・コントロールの制限解除」を想定しているようです。6~10年以内に、金融政策の転換で通常の金利水準となり、経済成長が徐々に始まるイメージなのでしょう。
今後20年までの金利推移予測
三菱UFJ銀行は、異次元緩和(YCCとマイナス金利)は2年以内に解除を見込んでいるようです。その後、5年以内にゼロ金利の解除を見込んでいるようで、三井住友銀行と同様に日本の将来が明るいと予想しているようで、元気がもらえます。
10年後の金利予想だけが落ち込んでいるのは、10年固定金利を営業政策上、低めに設定しているからでしょう。その後も、景気は好況と不況を繰り返し、11~15年以内には金利が4%超となるのを見込んでいて、金利が経済成長率を上回る正常な状態になると見ており、理想的な経済成長を想定しているようです。
みずほ銀行は、金利上昇は緩やかに起こると想定していて、変動金利が1%以上となるのは7年後以降と想定しているようです。その後、金利は徐々に上昇していきますが、上昇してもせいぜい2%を超える程度でとどまると見ているようです。
りそな銀行は、2年以内に1%を超えると見ており、異次元緩和の解除による金利上昇を見込んでいるようですが、金利は緩やかな上昇となります。その後も、持続的な経済成長により金利は4%程度まで上昇するという予想です。やや不自然なくらいに右肩上がりの金利上昇となっていて、10年以降は営業的な観点から数値をつけにいったにおいがしますが、このように景気が回復すればいいなと願わずにはいられません。
ソニー銀行は、7年以内はほぼ横ばいから微増なので、「質的・量的金融緩和の解除が行われない」と予想しているようです。その後は、一気に金融政策は正常化され、8~10年以内には、景気が好循環するところまで改善すると見込んでいます。なお、10年後の金利予想だけが低いのは、10年固定金利を営業政策上、低めに設定しているためでしょう。
SBI新生銀行は、「10年かけて金融緩和の正常化をゆっくりと行い、変動金利は1.6%程度まで緩やかに上昇していく」の予想は前回と大きく変わらないようなのですが、金利の上昇のペースを少し落としたようです。驚きなのは、前回と店頭金利の設定が大きく変わっておらず、営業政策上金利を大きく上げないようにしているのではないかと思われます。
今後30年or35年までの金利推移予測
三井住友信託銀行は、「2年以内に質的・量的金融緩和が解除される」と見込んでいるようです。その後は、経済成長がゆっくり進むと予想しているようで、ゼロ金利解除まで15年以内とみているようです。その後、景気は好循環に入り、変動金利は4%弱まで上昇すると予想していて、比較的明るい予想です。
住信SBIネット銀行は、他の銀行と異なって、変動金利がマイナスになったり、5%超まで金利が上昇したりするという結果になっています。かなり極端な結果ですが、おそらくこれは予想ではなく、営業的な金利設定により生じたゆがみではないかと思われます。異次元緩和の解除が11~15年以内とかなり将来の予想をしています。
auじぶん銀行は、異次元緩和の解除は10年以内との予想です。その後は緩やかに景気が回復し、変動金利は3%前後にまで上昇すると予想しています。ゼロ金利解除は20~30年以内で、30~35年以内にようやく景気が好循環になると予想しているようです。
PayPay銀行は、異次元緩和の解除は3年後と見ているようで、景気回復のスピードは速いと見ています。しかしその後の金利上昇はなだらかです。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
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淡河範明さん
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