2024年12月、注目されていた追加利上げは見送りが決定しました。そこで本記事では、日銀の決定を反映して、2025年に住宅ローンの実行を予定している人向けに、変動金利の予想とおすすめの住宅ローンについて詳しく解説します。(住宅ローン・不動産ブロガー 千日太郎)
12月の利上げは見送り、2025年に持ち越しに
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。
12月の金融政策決定会合で、日銀は追加の利上げを見送り、政策金利を0.25%に据え置きました。
主な理由としては、春闘での賃上げの勢いとトランプ政権下でのアメリカ経済の不確実性を慎重に見極めたいとのことです。
いつになくハト派寄りの印象を受けますが、早ければ「2025年度末を目途に1%の中立金利※を目指して利上げを行う」という姿勢姿勢に変化はなく、変動金利の上昇リスクは変わらないと見ています。
※中立金利とは、政策金利が緩和でも引き締めでもない中立の金利のこと
日銀の利上げが強く意識されていますので、住宅ローン金利は変動金利タイプ、固定金利タイプともに上昇傾向にあります。
2025年も大筋でこの傾向は変わらないでしょう。
住宅ローン金利の現状と2025年の動向は?
ただし、2024年12月時点では、銀行や金利タイプによって上昇幅にかなりの差があるのが現状です。
現在の利上げ局面(利上げしそうだけどもまだ本格化していない瞬間)は、伝統的な銀行業にとって、預金のかき入れ時となります。
低金利で調達できる預金をどれだけ安定的に多額に集められたかが、利上げ後の銀行の利益に大きく影響するのです。貸し出しに対して預金のボリュームが足りないと、そこで利益が頭打ちになってしまうわけです。
最近、従来の数十倍もの高金利で預金金利のキャンペーンを展開する銀行が増えてきているのは、これが理由です。『損して得取れ』ということですね。
金利の上げ幅が小さい銀行
住宅ローンについても同様の傾向があります。住宅ローンの利用者は、その銀行をメインバンクにしますから、安定した預金者の獲得手段です。
そのため、利上げ局面で新たな預金者を集めるインセンティブの高い銀行は、金利上昇局面でも、あえて住宅ローン金利を上げないという措置をとるわけです。
その傾向は、特に変動金利タイプに顕著に出ています。変動金利タイプは後から金利を上げることができるというのがミソですね。
金利の上げ幅が大きい金利タイプ
金利タイプでは、前述したように新規の預金者を集めたい銀行の変動金利タイプが上がりにくい状況にあります。
逆に、金利が上がりやすいのは固定金利タイプです。銀行にとっては、その固定期間にわたって金利を上げることができないので、現在のような利上げ局面では、あらかじめ固定金利タイプを上げておくことが経済的に合理的となるわけです。
ただし、固定金利タイプであっても、住宅金融支援機構の取り扱うフラット35については、政策的に金利の上げ幅を小さく抑えています。
政策金利1%時代の変動金利はどこまで上がるか?
では、変動金利はどこまで上がることを想定すべきでしょうか?変動金利は日銀の政策金利に連動する建前となっています。
現在の政策金利は0.25%であり、日銀が想定している中立金利の水準は最低でも1%とされていますので、現在の政策金利の水準はかなり緩和的であるという見方は変わっていません。
つまり、0.25%の政策金利に対して、中立金利の1%まで、今後0.75%の上がり代があるわけです。
既存客の金利はプラス0.75%
現状の変動金利は0.4%~0.6%で分布しています。今、変動金利で住宅ローンを借りた場合、日銀が1%まで政策金利を上げた後の変動金利の水準はプラス0.75%で、1.15%~1.35%くらいになると見ています。
新規客の金利はプラス0.45%
一方で、利上げ後の新規客に対しては、前述のように、預金を集めたい民間銀行は変動金利の上昇を抑える傾向が続くと見ており、中立金利に達するまでが利上げ局面であると考えます。
2024年7月に政策金利を0%から0.25%に上げた際(ゼロ金利解除時)の新規客向けの利上げ幅と既存客向けの利上げ幅を比較したのが、表1です。
表1ゼロ金利解除時の銀行ごとの利上げ幅
既存客よりも新規客向けの利上げ幅を小さく抑えている銀行は、約0.1%の差をつけていますね。
新規客向けの変動金利の上げ幅が、利上げ一回ごとに0.1%小さく抑えられると仮定すれば、上げ幅は次のようなシナリオが考えられます。
新規客:0.15%×3回=0.45%上昇
そうすると、政策金利が1%になった時の金利は、表2のようになると予想できるわけですね。
表2 政策金利が1%になった時の銀行ごとの金利予想
2025年も新規向けの変動金利を上げない傾向が続くと予想
2024年の利上げ局面では、新たなユーザーを取り込みたい銀行は住宅ローンの基準金利を上げつつ、新規向けには引き下げ幅を拡大するという方法で、低金利競争が行われてきました。この傾向は2025年にも続くと見ています。
銀行は安定した預金を預けてくれる資産の多い顧客を囲い込むため、その入り口となる住宅ローンの獲得を重視しています。特に、富裕層やその予備軍となるような人をターゲットに、低金利の住宅ローンを展開するという傾向があります。
最近では貸金庫の盗難時事件が話題となりましたが、これもそうした富裕層囲い込みの一つですね。銀行とのつながりを強くすることで囲い込みを狙うものです。貸金庫については今回のことで内部統制リスクが顕在化しましたが、住宅ローンはこちらがお金を借りる側なので、不正によってお金を盗られるというリスクはありません。
変動金利は、日銀の利上げによって金利が上がることがリスクですが、中立金利を目指すフェースである2025年については、銀行の顧客囲い込み活動が活発化しているので、まだ変動金利を利上げ前の低金利水準で借りられる期間が続くと見ています。
前述のように、借りた後は既存客となり、その後の日銀の利上げに伴って適用金利が上昇することは想定しておきましょう。
しかし、自分よりも以前に変動金利で借りた人よりは、金利優遇幅が大きくなるため、将来の金利上昇後でもアドバンテージは守られる可能性が高いです。
2025年におすすめの住宅ローンは?
日銀が2025年度後半に1%の水準まで段階的に利上げしていく姿勢を変えていない以上は、今回の利上げを見送った分だけ、次回会合以降の利上げの可能性が高まっていくことを意味します。
利上げを前提とすると、変動金利については新規客向けに低金利に抑えている銀行がおすすめということになりますね。
三菱U F J銀行を筆頭に、りそな銀行やSBI新生銀行がそれに当てはまります。ただし、SBI新生銀行には変動金利の5年ルールが適用されませんので、その点注意が必要です。
【関連記事】>>最新の住宅ローン変動金利ランキング132行比較!
フラット35【子育てプラス】も検討の価値あり
また、変動金利が1%前後まで上がっていくことを前提とした場合、固定金利で1%以下で借りられる商品の選択肢としては、フラット35で【子育てプラス】の金利引き下げを行う方法ですね。
12月のフラット35の金利は1.86%ですが、【子育てプラス】で最大1%の引き下げがあると0.86%で、当初の期間(5年~)固定することができます。
そうすれば、中立金利の1%まで上がった時点よりも低金利で借りられる可能性があります。
フラット35は、金利上昇局面でも政策的に金利上昇を抑える傾向がありますし、政府の少子化対策によって子育て世帯の住宅ローン金利を下げているのがポイントです。
【関連記事】>>フラット35の金利、手数料を徹底比較【最新版】 おすすめの銀行は?
まとめ 中立金利は上振れも下振れも可能性がある
今回の記事では、中立金利1%を前提としています。ただし、この中立金利はかなり予想に幅があるのです。現時点でよく言及されている1%は推計範囲の下限とされていますので、上振れする可能性もあるわけです。ちなみに推計範囲の上は2.5%だそうです。
中立金利が1%よりも上振れすれば、フラット35のお得度は上がってくることになりますし、フラット35でなくても民間銀行の固定金利タイプでもお得になる可能性があります。
一方で、中立金利が1%を下回る可能性についても無視はできません。また、日銀は中立金利を目指してはいますが、それ以前に日本経済が不況になってしまうと利下げしなければならなくなるので、その志半ばでとん挫する可能性もあるのです。
今回、利上げを見送った背景には2025年の賃上げの勢いとトランプ新大統領の経済政策の影響がそれだけ大きいということがあります。
住宅ローンで変動金利を選ぶ人が多いですが、一つの金利タイプだけで審査を通して運を天に任せるのは危険です。フラット35などタイプの違う住宅ローンでも複数審査を通しておき、情報収集に努めることが重要になってきます。
【関連記事】>>住宅ローンの10年後の変動金利はどこまで上昇する? 12銀行を試算
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
【金利動向】おすすめ記事 | 【基礎】から知りたい人の記事 |
【今月の金利】 【来月の金利】 【2024年の金利動向】 【変動金利】上昇時期は? 【変動金利】何%上昇する? |
【基礎の8カ条】 【審査】の基礎 【借り換え】の基礎 【フラット35】の基礎 【住宅ローン控除】の基礎 |
新規借入2024年12月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.413%
- 総返済額 3218万円
- 表面金利
- 年0.284%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 75,045円
①「がん・4疾病50%+全疾病+月次返済保障」が無料!
②住宅ローン金利優遇割ならダントツの低金利
③三菱UFJ銀行とKDDIが立ち上げたネット銀行。ネット申し込みで、全国に対応
- 実質金利(手数料込)
- 0.512%
- 総返済額 3271万円
- 表面金利
- 年0.375%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+33000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,229円
①注文住宅なら、分割融資に対応でお得
②手数料不要の「借入時負担ゼロ型」は、将来住み替えを考えている人におすすめ
③中古物件でもリフォーム資金含めて借り入れが可能
- 実質金利(手数料込)
- 0.531%
- 総返済額 3281万円
- 表面金利
- 年0.390%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+55000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,426円
①「団信革命」は要介護まで保障も
②自社商品なら、最大3億円まで借り入れOK!
③【期間限定】WEB完結金利優遇キャンペーン実施中。変動金利が年0.390%~
-
住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る
-
今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
|
- 年収に対して安心して買える物件価格は?
-
- ・年収200万円で妻が妊娠中の家族の上限は1600万円!?
- ・年収250万円の単身者の上限は1800万円!?
- ・年収300万円の4人家族の上限は1800万円!?
- ・年収350万円の2人家族の上限は2100万円!?
- ・年収400万円の単身者の上限は2500万円!?
- ・年収450万円の4人家族の上限は2000万円!?
- ・年収500万円の4人家族の上限は3000万円!?
- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
- ・年収600万円の40代独身の上限は3000万円!?
- ・年収700万円の共働き夫婦の上限は5000万円!?
- ・年収800万円の3人家族の上限は4500万円!?
- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
- ・年収1000万円の40代4人家族の上限は3500万円!?
- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
auじぶん銀行の魅力は、業界トップクラスの変動金利です。変動金利が大好きな人なら、最上位にすすめたいですね。最大2億円まで借りられるのも大きなポイントです。
審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
団信では「がん・4疾病50%保障団信」が無料で付いているので、通常の団信より手厚いと言えます。通常、保障を厚くするのであれば、金利を上乗せする必要がありますが、無料でつくのは魅力です。