住宅ローンの返済計画で多くの人が検討する「ボーナス払い」。月々の支払額を抑えられる魅力的な選択肢に見えますが、現役銀行員の視点で見ると、そこには35年という長期スパンならではの無視できないリスクが潜んでいます。本記事では、ボーナス払いが破綻する典型的なパターンと、後悔しないための「安全装置」の作り方を詳しく解説します。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員)
住宅ローン返済のボーナス払いは将来のリスクになる
銀行員として、住宅ローンの相談を受けていると、目先の負担を減らすために「ボーナス払い」を選ぶ方が多いように感じます。しかし、今の楽が将来のリスクに変わる可能性があるため注意が必要です。
年功序列や終身雇用は、もはや過去の話です。今の雇用環境や給与体系が、返済期間が終了する35年先まで維持されているという保証はありません。
たとえば、今は共働きでボーナス支給が安定していても、完済を迎える60〜70代までその状況が続くとはかぎりません。
また、転職が一般的になった現代では、転職によって給与体系がガラリと変わるリスクがあります。そうなれば家計のやりくりを大きく変える必要に迫られ、返済プランが狂い始める引き金にもなりかねません。
住宅ローンの契約とは、個々人の経済情勢の変化を予測してはいないものです。
ボーナス払いが破綻を招く3パターン
銀行の窓口に住宅ローンの返済が苦しくなったと相談にいらっしゃる原因を探っていくと、その多くがボーナス払いが足かせになっています。
そこでここからは、銀行員の筆者が実際に見てきた、ボーナス払いが破綻に至る3つのパターンをご紹介します。
パターン1:業績や働き方の変化による「ボーナスカット」
もっとも多いのがこのパターンです。ボーナスは会社の業績に連動するものであり、支払いが義務付けられている基本給とは性質が異なります。つまり、業績が悪化すれば真っ先にカットされる可能性があるのです。
実際、コロナ禍では安定していたはずの大企業でもボーナスが大幅減額や支給なしとなったりしました。貯蓄を切り崩して返済を続け、限界を迎えてから銀行へ相談に来られるケースが後を絶ちませんでした。
また、残業規制による手取りの減少や、役職定年による減収など、働き方の枠組みの変化も大きく影響してきます。
パターン2:ライフイベントとのバッティング
30代でローンを組むと、10年から20年後には教育費のピークが訪れます。大学の入学金や授業料の納付時期がボーナス時期と重なるケースもあります。また、修繕費などの臨時出費が重なることもあります。
本来、ボーナスはこうした「まとまった支出」や「貯蓄」に充てるべき資金です。しかし、返済でボーナスを全額返済に充てる設定になっていると、不足分を補うために教育ローンやカードローンを借りざるを得ない状況に陥りかねません。
また、産休や育休中はボーナス支給額が減少することも珍しくありません。世帯年収が下がる時期にやってくる高額な引き落としは、家計だけでなく精神的にも大きな負担となります。
パターン3:定年後の「空白期間」
最近は完済年齢を80歳まで設定できる銀行が増え、40〜50代でも35年ローンを組むことができます。
しかし、一般的な定年は60歳から65歳ですが、再雇用後の給与体系では現役時代のようなボーナスは期待できないのが現実です。もし70代までローンが残っていてボーナス払いを設定していた場合、「年金だけではボーナス月の返済ができない」という事態に陥りかねません。
現役時代の「なんとかなる」という見通しが、老後の資金計画に大きな影響を及ぼすことになります。退職金での一括返済も選択肢の一つですが、退職金は減少傾向にあり、老後の生活費として温存しておきたいものです。定年後の収入減を見越した慎重な計画が必要です。
【関連記事】>>住宅ローンが返済できなくなったらどうなる? 破綻時の選択肢や注意点などを解説!
なぜ銀行はリスクを知りつつもボーナス払いを提案するのか?
住宅ローン相談時に提示された返済シミュレーションを見て借入に踏み切れない方に、ボーナス払いを併用して月々の返済額を抑えたプランを提示するのはよくある光景です。
たとえば、次のようなケースです。
【例:借入額3,000万円・金利0.7%・35年返済の場合】
- ・ボーナス返済なし
毎月返済額:80,556円
- ・ボーナス返済300万円(10%)
毎月返済額:72,500円
ボーナス月返済額:120,895円(加算額:48,395円)
- ・ボーナス返済900万円(30%)
- 毎月返済額:56,389円
ボーナス月返済額:201,576(加算額:145,187円)
- ・ボーナス返済1,500万円(50%)
毎月返済額:40,278円
ボーナス月返済額:282,257円(加算額:241,979円)
※金融広報中央委員会 暮らしに役立つ身近なお金の知恵・知識情報サイト 知るぽると「しっかり借入返済額シミュレーション」で試算
このように月々の返済額を圧縮して見せることで、「これなら今の家計でもなんとかなるかも」とお客さまが前向きになるのは事実です。
しかし、これはあくまで支払うタイミングをずらしているだけであり、総返済額やリスクが減るわけではないという点に注意が必要です。
ボーナス払いを設定するなら考えたい3つの「安全装置」
ここまでリスクを強調してきましたが、ボーナス払いは公務員や業績が安定した企業の方、育児で世帯年収が低いが数年後には共働きに戻るといったライフプランがある場合は有効な選択肢になります。
それでもボーナス払いを選択する場合には、リスクを最小限に抑えるための「3つの安全装置」を必ず意識してください。
1. ボーナス返済は総額の「20%以内」が安全圏
多くの銀行では融資額の50%まで設定可能ですが、限度額いっぱいは禁物です。安全圏は、20%以内が理想です。
たとえば4,000万円の借入なら、ボーナス分は800万円まで。この範囲なら、万が一ボーナスの支給が止まっても月々の返済額への上乗せが比較的スムーズに行えます。
2. 「ボーナスの半分で払える額」を目安にする
設定額は直近の支給額ではなく、想定される最低ラインを基準にしましょう。目安は、ボーナス手取り額の半分以下で支払える金額設定です。残りは固定資産税や急な出費のために残しておくべきです。
3. ボーナス払いのために普段から貯めておく
もっとも実践的な対策は、毎月の給与から「ボーナス払い分を積み立てる」ことです。「出なかったら払えない」という自転車操業状態を防ぐため、常に半年〜1年分を口座にプールしておけば安心です。
筆者もこの方法で、ボーナス加算額の6分の1を毎月積み立てています。準備ができていれば、実際のボーナス支給日を心に余裕を持って迎えられます。
現在ボーナス払いで返済が苦しい方が検討すべき3つの対策
もし、「すでにボーナス払いの負担が重い」と感じている方は、放置しておけば状況は悪化するばかりです。
対策1. ボーナス払いをなくす(減らす)
現在借入中の銀行で、ボーナス払いを廃止、または割合を減らす「条件変更」の相談が可能です。原則としてどの金融機関でも対応しており、認められればボーナス月の多額の引き落としを解消できます。
ただし、ボーナス分を月々に振り分けるため、毎月の返済額は増加します。増えた月額を今の家計で無理なく支払えるのであれば、ボーナス支給額に左右されない安定した返済計画へ立て直すことができます。
対策2. 借り換えを検討する
現在のローン金利が高いと感じているなら、低金利の銀行に借り換えることで、総返済額を減らしつつ、ボーナス払いをなくすことができるかもしれません。
借り換えは他行で住宅ローンを新たに借り直すことで、ボーナス返済の有無や増額の割合なども柔軟に設定することが可能です。
対策3. リスケの相談をする
返済が滞る前に、借入先の銀行に相談して返済額を減らす相談も可能です。これは、返済期間を延長したり元金返済を一時的に減らしたりする「リスケ(リスケジュール)」と呼ばれるものです。
リスケは、今のままでは返済は無理と銀行側から判断されることになるため、その銀行での新しい借り入れが不可能になるなどの弊害があります。しかし、返済が滞れば最終的に家を失うことになります。早めに金融機関と相談してください。
もっともやってはいけないのは、カードローンなどでお金を借りて住宅ローンの返済に充てることです。多重債務への道を転げ落ちてしまうおそれがあります。
銀行員として、住宅ローン破綻した人の多くがこの「多重債務」を抱えているのを見てきました。一時的に借りて補填すればいいという考えが、取り返しのつかない状況を招くのです。
【関連記事】>>住宅ローン返済が苦しいなら「リスケ」の検討を!メリット・デメリットと、必要な条件を解説
まとめ
ボーナス払いにおけるリスクについてお伝えしましたが、ボーナス払いが悪いわけではなく、上手に使えば毎月の負担を抑えた生活設計も可能になります。大事なのは、ご自身のライフスタイルに合わせて返済方法を選択することです。
住宅ローンは借りてからがスタートです。目先の返済額の安さだけにとらわれず、長期的な目線でご自身に適した堅実なプランを選んでください。
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