住宅建築中に死亡したら、つなぎ融資はどうなる?
無保障期間は「短期団信」でリスクを回避しよう

2018年4月28日公開(2020年6月8日更新)
淡河範明:住宅ローンアドバイザー

注文住宅を建てるのに「つなぎ融資」を使った場合、借り入れ中に借り手が死亡したり、高度障害になったりしたらどうなるのでしょうか? 住宅ローンを組むとき、多くの人が団体信用生命保険(団信)に加入しますが、つなぎ融資の借り入れ中にも、実は「短期団信」という保険が存在します。つなぎ融資のリスク対策を、住宅ローンアドバイザーの淡河範明さんにアドバイスしてもらいました。

注文住宅の建築中は「無保険」!?
契約者の身に何かあったら大変

相談内容:
読者 近々、土地を購入して、注文住宅を建てる予定です。自己資金で足りない分は、つなぎ融資を利用するつもりですが、ひとつ心配なことが…。もし、私がつなぎ融資の借り入れ中に突然死したり、高度障害になったりしたら、一体どうなるのでしょうか? 連帯保証人には妻がつきますが、なにせ専業主婦ですので、返済は難しいと思います。そのまま妻名義で住宅ローンを組むことはできるのでしょうか? できなかった場合、建築中の家はどうなるのでしょうか? 銀行は問題ないと言いますが、気が気でなりません。

 淡河  私の相談者のなかにも、注文住宅の建築中にお亡くなりになった方がいらっしゃいました。突然の不幸は誰の身にも起こりうることですので、心配になる気持ちもわかります。

 住宅ローン契約者が死亡・高度障害により返済不能状態になった場合、「つなぎ融資」の債務や、建築代金の未払い分はすべて相続人に引き継がれます。実行予定の住宅ローンはご破算となり、相続人の名前で改めて審査を受けなければなりません。今回のケースでは、相続人が専業主婦であるため、間違いなく審査に通りません。債務を負いたくなければ、相続放棄するしかありませんが、建築中の家は失うことになります。

 さらに、「つなぎ融資」で連帯保証人を要求する商品は少ないですが、連帯保証人になってしまっている場合はもっと深刻です。相続放棄しても債務が免除されなくなり、最悪、自己破産も選択肢の一つになってきます。

 酷な話ですが、注文住宅の建設中は「無保険」と考えておいた方がいいでしょう。

【関連記事はこちら!】
>> 共働き夫婦が住宅ローンを借りるなら、「連帯保証」を選んでいけないのはなぜ? 連帯債務、連帯保証、ペアローンを徹底比較!

つなぎ融資には団信が存在しないので、
「無保障」の空白期間があることに注意

 「いやいや、団体信用生命保険があるじゃないか」と思う人もいるかもしれませんね。たしかに団信に加入していれば、債務者が死亡したとき、残債はすべて保険金で弁済されます。そのため、家族は返済を負担することなく、家を手にすることができます。

 ですが、団信が保障してくれるのは“住宅ローンの残債”のみ。「つなぎ融資」に団信がついている商品はほとんどないため、家を取得するための費用(つなぎ融資+建設未払金)は保障の対象外なのです。つまり、つなぎ融資を実行してから住宅ローンの本契約を結ぶまでの間は、リスクに対する保障がなにもない空白の期間なのです。

 前述したように、そのまま住宅ローンを借りて、残債を引き継ぎたいと相続人が思っても、審査に通らなければ借りられません。つなぎ融資もただちに返済を求められます。土地を売却しようとしても、建築途中の建物があるため、簡単な話ではありません。

 もし死亡保険金が潤沢に入るのであれば、なにも悩むことはありません。ですが、それほど多額の保険金をかけている人はそう多くはないでしょう。だからといって、家が建つまでのわずか半年から1年程度の保障のために、保険の掛け金を増額しようという人も少ないのが現実です。

「短期団信」に加入することで
建築代金の未払いリスクをカバーできる

 そんなとき、ぜひ検討したいのが「短期団信」への加入です。正式には「融資実行前団体信用生命保険」といいます。

 通常の団信は住宅ローンの“融資実行後”の残債をカバーしますが、「短期団信」は商品により補償の範囲が異なります。多くの商品は、住宅ローンの“融資実行前”にかかる建築代金の未払い分をカバーします。具体的には、工務店やハウスメーカーと交わした工事請負契約書に記載されている「工事請負代金」の未払い分を、万が一の際に保障します。

 短期団信にはいくつか商品がありますが、共通する特徴は以下のとおりです。

~「短期団信」の3つの特徴~

1、住宅完成前に契約者が死亡もしくは高度障害になった場合、土地代や工務店等の工事請負代金を保証(商品によって異なる)

2、保障期間は工事の着工日から住宅ローンの融資実行日(引渡し時)まで。保障期間が短いため、保険料が安い

3、原則、加入は任意。火災保険と同じように独立した商品のため、各銀行のつなぎ融資に付帯できる(申込先は各商品の取り扱い会社)

 短期団信の代表的な商品を2つ挙げておきます。

●建物を保障する「すぽっと団信」(e-ハウスプロジェクト)

 保障範囲を、建築代金の「未払い分」に限定した短期団信です。そのため、着手金や中間金などを既に支払い済みの分は保障の対象外となります。借り手が亡くなった場合は、遺族につなぎ融資の返済義務が残ります。

 建設中の死亡リスクがフルサポートされる保険ではありませんが、その分保険料が安いのが特徴です。保証料は5000万円まで、一律3万円の前払い。保証期間は着工日から住宅ローンの融資実行日までとなります。

●つなぎ融資も保障する「ぽけっと団信」(トータルソリューション)

 土地代金、工事代金代金の内、住宅ローンを予定されている金額分(つなぎ融資実行分+未払いの残金)を保障します。つなぎ融資で土地代金や建物代金の一部を実行していても、その分も保障対象になります。ただし、すでに現金で支払い済みの分は対象外です。結果的に、住宅ローンの融資予定額の大半をカバーできるので安心です。保証料は、住宅ローンの融資予定額(=保証額)1000万円ごとに5000円(1カ月分)で、前払いです。

 代表的な短期団信、どちらを選ぶ?
  すぽっと団信 ぽけっと団信
要件 ローンの実行が決まっている ローンの実行が決まっている
対象年齢 19才6カ月以上50才6カ月未満 19才6カ月以上、70才6カ月未満
保証対象 工事代金の未払分のみ 土地代、工事代の内、住宅ローン支払予定分
保険料 一律3万円 6万円程度
(保証額3000万円、4カ月の場合。1カ月の保険料は、保証額×0.05%で計算)

短期団信は「つなぎ融資」だけでなく
「分割融資」のリスクも軽減

 注文住宅を建てるとき、つなぎ融資と並んで利用されるのが「分割融資」です。本来、住宅ローンの融資実行は建物の完成時に一度だけですが、分割融資なら土地の購入や工事の着工金など、必要に応じて何回かに分けて実行してもらうことができます。

 分割融資はつなぎ融資と違って住宅ローンの一種なので、実行分については通常の団信への加入が原則義務付けられています。そのため、万一の場合は実行された分の融資金額が団信で保障されます。ただし、建築代金の未払い分については保障の対象外となります。

 つなぎ融資に比べれば、短期団信に未加入でも傷は浅く済みますが、未払い分は相続人の名前で住宅ローン審査を受け直さなければならないため、引き続き住宅ローンを借りられる保証はありません。土地だけ購入して、家は作りかけのまま立ち往生…、なんてことにもなりかねないので、やはり短期団信に加入しておくほうが賢明です。

【関連記事はこちら!】
>> 「土地代金」「注文住宅の工事代金」はどう借りる? 住宅ローンの「分割融資」「つなぎ融資」を完全解説

火災や地震などのリスクについても
目を配って対策を!

 今回は短期団信について取り上げましたが、火災や地震など、注文住宅の建築中のリスクはほかにもたくさんあります。工務店は建築中の建物に対して火災保険はかけますが、地震保険には原則加入できません。代わりに、「天災(地震など)による損害についてはお客様の負担とする」といった条項が約款に加えられていることが少なくありませんが、こちらは契約時に内容を差し替えるよう交渉するのもいいでしょう。

 保険会社によっては、建築から一定期間経過すれば地震保険に加入できる場合もありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。ただし、地震保険は火災保険の半額分しか補償されない点に留意しておいてください。

 いずれにせよ、住宅は人生最大の買い物です。動くお金も大きいだけに、なにかあったときのダメージも大きくなりがちです。後悔のないよう、予期できるリスクについてはできるだけ手を打ち、わからないことがあれば住宅ローン専門家に相談してみましょう。

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 今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。

【調査概要】
調査日:2023年12月
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調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とする

 アンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。

【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
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Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
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