新築マンションの価格高騰を受けて、中古物件を購入してリフォームする需要が増えています。しかし、物件費用と工事費を合わせた住宅ローンを申し込んだものの、希望額が審査落ちするケースもあります。原因は、銀行が行う「担保評価」の壁にあります。本記事では現役銀行員が、中古物件+リフォームの住宅ローン審査の仕組みと、低金利で希望額を借りるための「正しい段取り」を解説します。
物件の「担保評価」が問題で、リフォーム費用を含めたローン希望額を借りられないケースも
近年の物価高や建築資材の高騰、さらには人手不足の影響により、新築物件の価格は高い水準で推移しています。このような背景もあり、内装をリフォームする前提で価格が比較的落ち着いている中古物件を購入する方が増えています。
「物件費用とリフォーム費用を合わせて住宅ローンで借りられる」という認識の方が少なくないですが、じつは、審査の際に落とし穴があります。
それが「担保評価」です。実際に筆者も銀行の窓口でご相談いただいたお客さまに対して「担保評価」の問題でお断りせざるを得ないケースもあります。
「担保評価」とは
銀行にとって、住宅ローンは数千万円を長期で貸し出す金融商品です。返済中に病気や倒産などで返済が難しくなる可能性もあるため、銀行は購入する家と土地を「担保」として確保します(これを抵当権の設定と呼びます)。
もし返済が滞ってしまったら、銀行はその担保物件を競売(けいばい)にかけて売却し、貸したお金を回収しなければなりません。つまり、銀行にとっての「担保評価」とは、「この家を今すぐ売りに出したら、最低でもいくらで売れるだろうか」という資産価値の査定なのです。
住宅ローンの金利が、カードローンやフリーローンに比べて大幅に低いのは、ひとえに「不動産という強力な担保があるから」です。だからこそ、銀行は物件の価値を厳格に審査します。
【関連記事】>>中古住宅の住宅ローン審査は新築よりも厳しい! 現役銀行員が教える希望額を借りるための対策とは
市場価格(売値)と銀行の評価額の「大きなズレ」
ここで多くの方が、「借り主が不動産会社から購入する値段(市場価格)」と「銀行が計算する担保評価額」がイコールではないという事実に気づいていないのです。
銀行は、路線価や公示地価、法定耐用年数などの基準を用いて評価します。たとえば、建物の価値は法律で定められた「法定耐用年数」(木造戸建てなら22年、鉄筋コンクリート造のマンションなら47年)をベースに計算します。
仮に築30年の木造中古戸建てを3,000万円で購入しようとした場合、不動産市場では「立地が良いから3,000万円の価値がある」と取り引きされていても、銀行の担保評価の計算上では「築22年を超えているので、建物の価値はほぼゼロ。土地の価値である1,500万円しか担保価値がありません」と判断されるケースが多々あります。
リフォームの価値は銀行には見えない
もう一つ、たとえば、1,000万円かけてリフォームします。最新のシステムキッチン、無垢材の床、最新式のユニットバスなど、これらは住む人にとっては間違いなく金額に見合った価値があります。
しかし、銀行の担保評価において、リフォーム費用は原則として担保価値を増加させるものではないとみなしています。
なぜなら、内装のデザインや設備の好みは主観的な価値であり、競売にかけた場合、その費用が丸ごと売却価格に上乗せされる保証はないからです。銀行が見ているのは、あくまで「土地そのものの価値」と「建物の構造的な残存価値」という数字だけなのです。
つまり、仮に「中古物件3,000万円+リフォーム費用1,000万円=合計4,000万円」を借りたいと窓口にお見えになっても、銀行の担保評価額が1,500万円しかなければ、基本的にはその評価額までしかお貸しできないのです。
リフォーム費用も住宅ローンで借りるための「正しい段取り」
「まとまった予算がなければ、中古物件+リフォームはできないのか」と不安に思われたかもしれません。しかし、銀行は理由なく融資をお断りするわけではありません。
正しい手順を踏めば、リフォーム費用も含めたローンは十分に可能です。
1、「リフォーム一体型住宅ローン」の活用
現在多くの方が利用されているのが、物件の購入とリフォームの費用をまとめた「リフォーム一体型住宅ローン」です。
この商品は、リフォーム費用部分にも「住宅ローンと同じ水準の低金利」が適用され、最長35年の長期で返済が組めます。
ただし、銀行側にとっては「担保評価(たとえば1,500万円)を超えて、多額の資金(4,000万円)を貸し出す」という取り引きになります。
そのため、物件の担保評価だけでなく、顧客の「人物としての信用力(属性)」が審査されます。年収、勤務先、勤続年数、過去のクレジットカードの支払い履歴などに問題ないことが必須の条件となります。
そして、「リフォーム一体型住宅ローン」の必須条件として、スケジュールの管理が挙げられます。銀行は、住宅ローンの事前審査の段階ですでに確定した「リフォーム工事の見積書」と「改修後の間取り図(プラン)」の提出を求めます。「いくらかかるか分からないけれど、とりあえず4,000万円で審査してほしい」という進め方では、審査を受けることができません。
2、住宅ローンとリフォームローンを別々に借りる
もし、一体型ローンの審査が通らなかった場合、物件購入は「住宅ローン」、工事費用は「リフォームローン」として、別個にローンを組む方法があります。
リフォームローンは基本的に「無担保」「ネット完結」で借りられるため、先ほど説明した「担保評価」を気にする必要がありません。
しかし、デメリットも明確です。無担保である分、銀行のリスクが高いため、金利が住宅ローンに比べて高く(2026年現在で2.0%〜4.0%程度)、返済期間も最長10年〜15年と短く設定されます。
そのため、一体型ローンに比べて毎月の返済額が増えてしまい、家計を圧迫します。
◼︎リフォーム一体型ローンとリフォームローンの違い

銀行員から「中古物件+リフォーム」ローン借り入れのアドバイス
ここまでお読みいただくと、中古物件+リフォームのローン審査がいかに借り主の事前の段取りにかかっているかをご理解いただけると思います。
物件探しの前に、まずは銀行の窓口へ
筆者が窓口で見てきた中で、とくに多い失敗のパターンがあります。それは、不動産会社に急かされて物件の売買契約を結んでしまい、ローン特約の期限が数週間後に迫った状態で、初めて銀行に相談に来る方です。
ローン特約とは、決められた期日までにローンの本審査が通らなければ契約を解除できる、という売買契約上の取り決めです。
この状態から「リフォーム一体型ローンを組みたいので、これからリフォーム業者を探して見積もりをとります」と言われても、時間が足りません。結局、金利の高い別口のリフォームローンを組まざるを得なくなったり、最悪の場合は時間切れで物件の購入自体を諦めたりすることになってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、物件探しを本格的に始める前に、一度、お近くの銀行のローン窓口に足を運んでみることです。源泉徴収票や直近の給与明細、もしあれば気になっている物件のチラシなどをお持ちいただければ結構です。
「自分たちの年収で、リフォーム費用も含めていくらまで借りられるのか」、「このエリアの中古マンションだと、担保評価はどれくらいになるのか」
これらを事前に知っておくだけで、物件探しの精度とスピードは大きく上がります。
成功のための「ワンストップ」という選択肢
もし、これから中古物件+リフォームを検討されるなら、物件探しからリフォームの設計・施工、そして住宅ローンのあっせんまでを一つの窓口で完結してくれる「ワンストップ型」のリフォーム会社を利用するのも一つの選択肢です。
銀行が事前審査でどんな書類(見積書やプラン図)をいつまでに求めているかを熟知しているため、スケジュールでつまずくリスクを減らすことができます。
まとめ
中古物件+リフォームの住宅ローンでは、物件価格とリフォーム費用の合計をそのまま借りられるとは限りません。銀行は「担保評価」で物件の価値を測り、リフォーム費用は担保価値に加算されないためです。
この問題を乗り越える方法は、大きく2つあります。低金利で長期返済が可能な「リフォーム一体型住宅ローン」を使うか、住宅ローンとリフォームローンを別々に組むかです。前者は金利面で有利ですが、事前審査の段階で確定した見積書とプラン図が必要になります。
つまり、中古物件+リフォームのローンは、事前の段取りによって結果が大きく変わります。
不動産価格の高騰や金利の先行き不透明感など、マイホーム購入には不安が付きまとう時代です。だからこそ、一人で悩んだり、自己判断で進めてしまう前に、ぜひ銀行の窓口を活用してください。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
イオン銀行は、特にリフォームに力を入れています。リフォーム資金を住宅ローンで調達するだけでなく、リフォームプラスの借り換えを考える人にはいいでしょう。
金利の更新が頻繁でないため、イオン銀行は半年と同じままということもあり、他銀行の金利が上昇傾向のときは、いつの間に金利が自然と低くなってしまうこともありますね。
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