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相続が発生したら要注意!? 税務調査対象になりやすいケースや対策を税理士が解説!相続税の専門家インタビュー/弓家田良彦(1)

2021年11月30日公開(2021年11月30日更新)
古井一匡:ライター
監修者 弓家田良彦:税理士法人 弓家田・富山事務所 所長

一般の人にとって相続税の申告は一生に1、2回あるかないかです。もし、自分が相続税の申告を行う立場になったら、税務調査の対象になるのか、なりやすいのはどのような場合なのか、どのような準備をしておくとよいかなどについて、連載を監修していただいた、税理士法人 弓家田・富山事務所の弓家田良彦氏にインタビューしました。

コロナ禍で税務調査の件数は減少

 1年以上にわたって続けてきた「不動産と相続」シリーズもいよいよ終わりに近づきました。今回と次回は、協力・監修をお願いしてきた税理士法人 弓家田・富山事務所の弓家田良彦氏に、相続税の税務調査の実際と対策について伺いました。

 弓家田氏は年間70~100件の相続税申告を手掛けるなど相続税の実務に詳しく、一般向けの解説書なども多数執筆されています。そのお話は具体的で分かりやすく、多くの方にとって参考になるはずです。

――相続税の申告は一生に1、2回あるかないかの経験です。税務調査についても、どのように行われるのか分からないのが普通です。まず、相続税の税務調査のアウトラインから教えてください。

 相続税の税務調査は、相続税の申告を行った人のうち、だいたい7~8人に1人に対して行われています。

 タイミングとしては、相続税の申告書を提出した翌年から翌々年の秋に行われるケースが7~8割程度です。

――今回のコロナ禍で、相続税の税務調査にも影響があったのでしょうか。

弓家田良彦
税理士法人 弓家田・富山事務所の弓家田良彦氏

 相続税に限らず税務調査の件数は全体的に、2~3割ほど減少しているようです。しかし、その分、調査担当者は申告資料などを詳しく分析、整理していると思います。

 そもそも相続税の税務調査では、目を付けた案件は事前に相当な時間をかけて、被相続人の財産状況などを調べます。

 特に、預貯金や上場株式などについては、銀行や証券会社に出向いて、相続開始の数年前からの動きを調べます。場合によっては、預金の出入りを10年くらいさかのぼってチェックすることもあるといわれます。

 調査対象となる件数はこれまでと変わらないはずなので、今後、感染状況が落ち着いてくれば集中的に税務調査を行ってくる可能性が高いでしょう。

税務調査の対象になりやすいケースとは?

――相続税の税務調査の対象になりやすいケース、なりにくいケースはあるのでしょうか。

 傾向として、相続税の税務調査の対象になりやすいケースというのは確かにあります。いくつか挙げてみましょう。

 第1に、遺産額が2億円以上、特に3億円を超えると確率はかなり高いといっていいでしょう。相続税は累進税率になっており、適用税率の高い大口案件を調査したほうが税務調査の効率が良いからです。

 第2に、亡くなった被相続人の妻や子が多額の預金を持っているケースも、税務調査に入る確率が高くなります。税務署は被相続人の口座がある金融機関に対して、被相続人の財産と同時に親族の口座についても一緒に照会します。その結果、妻や子が多額の預金を持っていると、実質上は被相続人の財産である「名義預金」ではないかと疑うのです。

 第3に、多額の借り入れがある場合も税務調査の対象になりやすいと言えます。相続税の計算では、借金はプラスの財産から控除できます。借金が多いということは、その借金で購入したなんらかの資産があるはずだと税務署は考えるのです。資産の購入以外にも、例えば親族に資金を貸すため借金をしていた場合、貸したお金は「貸付金」として相続財産に入れなければなりません。

 第4に、「相続時精算課税」による生前贈与を行っているケースです。贈与した親が「相続時精算課税」を選択して贈与税の申告手続きを行っていたものの、子がこの制度の適用を受けていたということを認識していないため、相続税の申告時に記載漏れが生じてしまうことが結構、あります。

 第5に、件数はそれほど多くはありませんが、海外に財産があるケースです。毎年12月末時点で海外に保有する資産の合計額が5000万円を超える国内居住者は、翌年3月15日までに税務署に「国外財産調書」を提出しなければなりません。また、金融機関を通しての海外への送金については、200万円を超えるものはすべて把握されています。近年、国際的な課税情報の交換も進んでおり、厳しく指摘してきます。

――遺産額が2億円以上、特に3億円を超えると税務調査の確率が高いということですが、遺産の中身による違いはあるのでしょうか。

 一般的に、遺産の中身が金融資産メインであるほうが、不動産がメインより税務調査の対象になることが多いといえます。金融資産はいろいろ移したり、隠したりしやすいからでしょう。

 ただし、例外もあります。 ひとつは、相続した不動産に“元番”の土地(枝番の付いていない土地)が多いケースです。土地の相続税評価額は、実際の面積で計算することになっており、通常は登記簿に記載された面積を使いますが、“縄のび”といって登記簿面積より実際の面積が広いことがあり、昔から所有している元番の土地に多いのです。

 土地を切り売りする場合、売却する土地は測量して正確な面積で取引するので、縄のびは発生しません。残った土地に“縄のび”がどんどん集約され、登記簿との違いがはっきり分かるようになるのです。

 あるいは、過去に不動産を売却している場合も注意が必要です。税務署は事前調査で、被相続人の年収を所得税の確定申告などで把握していますし、不動産の売却についても譲渡所得の申告などで把握できます。

 例えば、被相続人が亡くなる前に2億円で不動産を売却し、ローンの残りや譲渡費用、譲渡税を払った残りが1億円であれば、相続時にはそれを使って取得した資産やそれなりの現金などが残っているはずです。

 相続税の申告書にそうした資産や現金が見当たらなければ、申告漏れがあるのではないかと考え、税務調査で追及してくるとみておいたほうがいいでしょう。

相続税の税務調査の流れとは

――実際の相続税の税務調査は、どのような流れで行われるのでしょうか。

 通常、相続税の申告を行った税理士に連絡があり、日程調整を行った上で調査日を決めます。

 当日は、午前10時に税務署の調査官(だいたい2人)が被相続人の自宅を訪問し、税務署の調査官、相続人の代表者(一般的には被相続人の配偶者、同居相続人)、税理士の三者が一堂に会して行われます。

 午前中の税務調査は、被相続人の生い立ちや趣味、職歴、預貯金の管理者などの聞き取りが中心です。正午近くになると調査官は食事に出かけます。

 午後は、通帳、印鑑、権利証などの重要なものがどこに保管されているか、現物確認を行います。相続人が引き出しや金庫などのある場所に現物を取りに行くとき、調査官もついてきて、その場所を確認するとともに周辺も見せてくれるよう要求してきます。

 また、「印鑑調べ」といって、その家にある印鑑を出してもらい、「誰の印鑑なのか」「何に使用している印鑑なのか」などを聞いたあと、まず朱肉をつけないで印鑑を押し、次に朱肉をつけて印鑑を押すといった作業を行います。これは、よく使用している印鑑は朱肉をつけなくてもある程度印影がうつるので、どの印鑑がよく使われているかを調べ、印鑑と通帳の関係を確認するのです。

 貸金庫がある場合には、自宅での調査の後、貸金庫のある銀行に行って中身の確認を行います。 こうした一連の調査がだいたい午後4時頃で終わり、調査官は帰ります。

――税務調査で何も指摘されなければ、それで終了ということでしょうか。

 いいえ。被相続人の自宅を訪問して行う調査は通常、1日で終わりますが、その日に結論が出るわけではありません。 調査官は、調査の最後の頃になって、「これは申告漏れではないか」といった自分たちがつかんでいる情報について話し、疑問に思っていることを宿題として出したりします。

 その後、実地調査で新たに判明した事実などとあわせて、どのように処理するか、現地調査から3週間から2カ月ぐらいの間に、税理士と意見のすり合わせなどをしながら、最終的な決着が図られます。

――税務調査では、追徴課税を覚悟しておいたほうがいいのでしょうか。

 当初の申告内容に問題がなければ追徴課税もありません。ただ、申告漏れがあったり、意図的な脱税と認定されたりすると、当然、追徴課税となります。

税務調査にどのように備えるか?

――税務調査に対する準備はどのようにすればよいのでしょうか。

弓家田良彦

 何より、当初の申告をきちんと行うことです。相続税がかかるようなケースでは、税理士に依頼して申告書の作成を行ってもらうのが一般的でしょう。その際、どんな税理士に頼むかが、まず重要です。

 なぜなら、相続税の申告件数は年間10万件ほどなのに対し、登録税理士は8万人ほどいます。多くの税理士にとって相続税の申告は臨時業務なので、詳しくない税理士が圧倒的多数です。

 相続税の申告に慣れた税理士なら、相続人と事前に面談し、家計の管理状況、相続人名義の口座、残された配偶者の職業の有無などを確認し、申告漏れを防いでくれます。

 また、税務署が不審に感じそうな点については、その理由や背景について詳細に説明する文書をまとめて、申告書に添付してくれます。 こうした対応をしておくことで、税務調査そのものを避けることも可能になります。

――税理士との事前面談で、忘れずに伝えておいた方がいい事柄などはありますか。

 先ほど申し上げたように、税務調査で最も目を付けられやすいのは、「名義預金」や「名義株」です。思い当たる節があれば、税理士にきちんと伝えてください。

 被相続人が亡くなる前、被相続人の口座から預金などを引き出したことがあれば、それも伝えてください。被相続人が病気で亡くなったような場合、亡くなる前にある程度、葬式の費用や残された家族の生活費などとして預貯金をおろすことがあります。

 そのこと自体、税務上の問題はないのですが、生前に引き出した預貯金は、被相続人の財産に含まれます。自宅に現金で置いていたり、相続人の口座に入れておいたりしても、相続財産に計上する必要があります。

 もうひとつ、専業主婦だった相続人の預貯金は要注意です。どうやってためたのか、必ず聞かれます。「妻自身の親などから贈与や相続でもらったもの」とか「結婚前に働いていたときに貯めたもの」といった理由があれば問題ありません。

 しかし、「夫からもらったもの」や「生活費の余りをためたヘソクリ」であれば夫の財産として相続税の対象になります。そもそも税務当局は家事労働の対価を認めておらず、ヘソクリは夫の資金を妻が管理していただけであり、夫の財産とみなすのです。税理士には、正直に説明してください。

 なお、共働きの場合は、被相続人と相続人のそれぞれの所得、家計費の分担などについて、メモでいいので簡単にまとめておくとよいでしょう。

 いずれにしろ、税務調査においてひとつでもウソがばれると、調査官は心証として「他にもウソをついているのではないか」と考え、細かく追及してきます。

 当たり前のことを当たり前に処理し、説明できることは前もって説明しておくことが、何よりの準備になります。

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