住宅ローンを提供している銀行は、必ずといっていいほど「返済額シミュレーション」を用意しています。しかし、各銀行のシミュレーションの機能はバラバラで、中にはいいかげんな試算しかできないシミュレーションもあり、注意したほうがいいのです。
シミュレーションでぬか喜び




◆FP麻美さんの解説
10年固定金利などの「期間固定金利タイプ」は、固定期間終了後は何もしなければ変動金利に変更となります。その際に金利がドーンと上がることがあるだけでなく、その後の変動金利は銀行の都合で引き上げられる可能性があります。
【参考記事はこちら】>>住宅ローンのシミュレーションサイトを活用すれば、総支払額と、金利上昇時のリスクを把握できる
伊藤さん家族は、夫(35)、妻(32)、長女メイ(3)の3人家族。家が手狭になり、娘が"イヤイヤ期"に差し掛かってきたことから、生活を一新するために住宅の購入を検討し始めた。ただ、住宅ローンの知識が何もないので、悪戦苦闘することになる。
その相談に乗ってくれるのが、ファイナンシャルプランナーの麻美さん(年齢不詳)。東京出身で、小さい頃に父親が会社を潰して苦労したことがあるだけに、お金についてはシビアに判断する。フリーで活動しており、歯にきぬ着せぬ物言いで、相談者の悩みをズバズバ解決していくが、たまに暴走することも…。
今回のトラップはなに?




【参考記事はこちら】>>住宅ローンのシミュレーションサイトを活用すれば、総支払額と、金利上昇時のリスクを把握できる
マイナス金利で大儲け!?




◆FP麻美さんの解説
海外では住宅ローン金利がマイナスになったケースもありすが、日本ではまだありません。もし、マイナスになるとしても可能性があるのは変動金利くらいで、市場金利が上昇すれば銀行もすぐに変動金利を引き上げるでしょう。ずっとマイナス金利が適用されるというのは現実的ではありません。
【参考記事はこちら】>>変動金利の住宅ローンは、金利が何%まで上昇すると考えれば破綻しないで済むのか?
シミュレーションの注意点とは?
住宅ローンを取り扱う銀行・金融機関は、返済額シミュレーションを用意しています。借入額、借入期間、金利などを入れれば、月々の返済額や総返済額を試算してくれるので、便利な機能です。しかし、各銀行のシミュレーションは仕様や機能が違うため、注意が必要です。
注意点①
固定期間終了後の金利が入れられない
大手銀行やネット銀行のシミュレーションは比較的機能が充実していますが、それでも「固定期間終了後の金利」を入れられない返済額シミュレーションがあります。
例えば10年固定金利を選択した場合、当初10年間の金利は入れられるけど、11年目以降の金利入力欄がないという返済額シミュレーションもあります。これでは毎月返済額などを正確に試算することができません。
そもそも、固定期間終了後の金利が何%になるのか、分かりやすく書いている銀行も少ないという問題もあります。住宅ローンの金利は、「基準金利から優遇幅を引いて計算」するのですが、当初の固定期間終了後は優遇幅を変更するという複雑な計算をしている銀行もあります。住宅ローンの素人では、到底計算することは困難です。
注意点②
諸費用の取り扱いがまちまち
住宅ローンを借りる際は、さまざまな諸費用が発生します。
住宅ローンを借りる際には、銀行に対して手数料または保証料を支払います。それ以外に、抵当権を設定するための抵当権設定費用(司法書士への報酬と、登記費用)のほか、契約書に貼る印紙代も必要です。こうした諸費用については、シミュレーションによって取り扱いが違います。そのため、A銀行とB銀行の金利、手数料が一緒であっても、総支払額が違ってしまうことがあります。
複数の銀行の住宅ローンを比較する場合は、各銀行の返済額シミュレーションの結果を比較するのではなく、同じ返済額シミュレーションサイトを使って自分で試算しないと正しい比較ができません。
注意点③
将来の金利は何を入れればいいの?
返済額シミュレーションでは、「将来の金利を入れる」という項目が付いているケースもあります。
変動金利などを選んだ場合、銀行は将来的に金利を上げる可能性があるため、こうした機能がついています。しかし、一体何%になると考えればいいのでしょうか。どの銀行の返済額シミュレーションを見ても何も書いていないので、困った人も多いでしょう。
過去の住宅ローン金利を見ると、変動金利は8%台になったこともあります。しかし、それは極端なケースで、過去の平均金利を見ると約4%であることがわかっています。
現在の基準金利は2.475%に設定している銀行が多く、それからすれば、「+1.5%程度上昇する」ということになります。
当面は日銀が低金利誘導政策をとっているため変動金利が上昇する可能性は少ないので、5年後、10年後に、金利が現在よりも+1.5%となると考えてシミュレーションし、それでも毎月返済額が十分に支払える金額であるかどうかをチェックすれば、金利上昇リスクに備えることができるのではないでしょうか。
なお、漫画では「マイナス金利」について書いていますが、実は住宅ローン減税による税金の戻しを考えれば、金利1%以下で借りている人はマイナス金利状態となっています。2022年以降の税制改正でこうした過剰な減税措置は見直される可能性が高く、住宅ローン減税については2021年が「最後の大盤振る舞い」となるかもしれません。
複数の銀行を比較できるシミュレーションが理想
各銀行の返済額シミュレーションは便利な機能ではありますが、複数の銀行の住宅ローンを比較して、本当にお得な住宅ローンを探す際は、あまり役に立ちません。
比較するのであれば、複数の銀行の住宅ローンを登録しているシミュレーションを使うのが便利です。また、各銀行は多数の商品を用意しており、どれが自分にとって最も有利かを調べるのは非常に困難なので、商品登録数が多いシミュレーションを選ぶようにしたいものです。(編集協力・株式会社ゲネシス)
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【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
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評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
SBIグループの企業で、変動金利が低い「住宅ローン」(住信SBIネット銀行の商品)と、全期間固定金利が低い「フラット35」を取り扱っています。
住信SBIネット銀行の住宅ローンについては、住信SBIネット銀行自身で販売しているローンとは商品性が若干違います。融資実行時までに住宅建築にかかる土地購入代金等が必要な人に対しては、「つなぎ融資」の取扱いがあるのです。
また、店舗販売専用の商品なので、店舗で相談しながら手続き出来ます。ただし、住宅ローン相談窓口は全国に10店舗しかないため、居住地域によっては利用が困難です。
審査は住信SBIネット銀行と同じだと思っていいです。また、事務手続きに比較的時間がかかります。