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住宅ローンの基礎知識[2019年]
【第10回】2019年5月29日公開(2019年6月5日更新)
淡河範明
淡河範明

淡河範明(おごう・のりあき)氏:日本興業銀行(現・みずほ銀行)出身で、過去10年で延べ5000件の住宅ローン相談実績を誇っています。2006年に設立したホームローンドクターにて、「住宅ローン借り換えクリニック」を運営しており、住宅ローンの借り換え・新規借入に、様々な相談に対応しています。

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住宅ローンの借り換えでは、金利上昇を回避するため、1カ月以内の融資実行を目指そう!住宅ローンの基礎知識 第10回

住宅ローンの金利は、審査や融資を申し込んだときの金利でなく、融資実行時の金利が適用されます。金利は毎月見直されるため、申し込み時と融資実行時で月をまたぐと、予定していた金利で借りられないケースも出てきます。特に借り換えの人は金利を下げるチャンスですから、わずかな金利上昇も回避すべきです。それには、借り換えを1カ月以内に完了するのがポイントです。

金利上昇を避けるため、最短の期間で借り換えを

住宅ローンの借り換えは短期間で

 住宅ローン審査のスピードは銀行によるため、どんなにミスなく進めても、申し込みから融資実行まで、1カ月以内に終わらせる確実な方法はありません。とはいえ、借入条件にもよりますが、ほとんどのケースで、金利が0.1%下がるだけで、総返済額は数十万円も減少します。ですから、できるだけ最短での借り換えを実現して、金利上昇リスクを避けるべきです。

 もちろん、月をまたぐことで金利が下がることもあるかもしれません。けれども、ご存知のとおり、現在はかつてないほどの超低金利時代。採算割れの低金利で融資している銀行もあり、今後、金利が下がるよりも上がる可能性が高いのではないでしょうか。過去には変動金利の基準金利が1年間で約2%上昇したこともあります。

 また、借り換えを検討した時点では、確実に借り換えメリットがあるでしょうが、翌月になって金利が上昇し、借り換えメリットが減少してしまうと、借り換えの実行をためらうことになるかもしれません。

 特に、借り換えは2銀行(現在借りている銀行と、借り換え先の銀行)とやりとりをしなければならず、手続きが煩雑になるので、一気にやりきってしまうのが得策といえます。

 本気で1カ月以内の融資実行を目指すなら、ポイントは次の2つです。

1、「事前審査は月初に申し込む」
2、「同時に、現在の住宅ローンの銀行に完済手続きを申し込む」

 では、解説していきましょう。

事前審査は、月初に申し込む

 1つは、「事前審査は月初に申し込む」こと。そのためには、事前審査を申し込む前月から金利やトータルコストの比較検討を開始し、商品を絞り込んでおきます。この際、5~10の商品を候補に残し、同時に書類等の準備も手を付けられるところから始めるようにしてください。

 そして、月が変わったら、候補に残した商品の金利を再確認して、最終的に申し込むローンを3つに決めます(もちろん、4つでも、5つでも構いませんが、迅速に申し込みを進めないと時間的に間に合わなくなります)。このとき、決定に時間をかけ過ぎ、月初に申し込む時間的メリットを失ってしまうことがないよう注意してください。

 また、通常はインターネットから申し込むのが最速ですが、店頭で申請し、今月実行を強く希望しておくことで、手続きを早めてくれる銀行もあります。事前審査を申し込む前月までに、店頭で相談するなどして、リサーチを済ませておきましょう。

事前審査と同時に「完済手続き」を申し込む

 1カ月以内の融資実行を実現する、2つ目のポイントは、「借り換え先の銀行に事前審査を申し込むのと同時に、現在の住宅ローンを借りている銀行に完済手続きを申し込む」ことです。

 大半の銀行では「借り換えで完済手続きを申し入れるのは、本審査に通ってからとしてください」とお願いしていますが、借りている側からすると、本審査にパスしてから完済を申し出ていては、月内に借り換えを完了するのが難しくなります。なぜならば、完済手続きには1カ月(早い銀行でも2週間)かかるからです。

 事前審査の申し込みから本審査に通るまででも、最短で2週間程度はかかります。そこから借り換え手続きに1カ月かかるとなると、月内の借り換えは絶望的。2週間でもギリギリのラインです。

 ですから、ぜひとも1カ月以内に借り換えを成功させたいと考えるなら、事前審査の申し込みと同時に、現在ローンを借りている銀行に完済手続きを申し入れておくのです。そして、「完済手続き日」が、借り換え先の「融資実行日(借入金が入金される日)」と同じ日になるように、完済手続き日から逆算して本審査への申し込みのリミットや契約のスケジュールを決めていきます。

 なお、現在借り入れている銀行には次の3点を確認しておきましょう。

  • ・抵当権抹消書類の受け取り可能日と受け取り方法
  • ・完済予定日時点における完済に必要な金額
  • ・完済金額の振込口座

月内で契約できないと、面倒な手間が生じる覚悟を

 ただし、この方法は最終的に借り換えの審査に時間がかかったとき、または落ちたときにデメリットを伴います。

 まず、思いのほか、借り換えの審査に時間がかかってしまい、申し込んだ完済手続き日に間に合いそうもない場合に、現在借り入れている銀行に、「今月は完済が難しくなった。新たな予定日が決まったら連絡します」と電話を入れる必要があることです。

 加えて、完済手続き時には、完済日付で完済に必要な資金総額(元金・利息・手数料など)がわかる書類(「ローン期限前返済依頼書」「繰上償還計算書」など呼び方はさまざま)を元の銀行に発行してもらい、借り換え先の銀行に提出する必要がありますが、完済日が変更になると、借入残高や利息などが変わってしまうため、こうした書類も再取得しなければなりません。

 さらに、全ての借り換え審査に落ちてしまったときは、現在借り入れている銀行に頭を下げて、毎月返済の自動引き落としの手続きを復活させてもらうなど、相当に肩身の狭い思いをすることになります。

 ただし、ペナルティが付くなどの“実害”が発生するわけではありません。成功したときのメリットは大きいので、こうしたリスクをしっかり踏まえた上で、チャレンジする人はぜひ実行してみましょう。

融資実行日と完済日が同日でなければならないワケ

 ところで、「融資実行日」と「完済日」が数日ずれるくらいいいじゃないかと思う人もいることでしょう。たしかに、融資さえ月内に実行してもらえれば、完済手続きが翌月にずれ込んでも、借入金利が変わる心配はありません。ところが、銀行のルール上、そうはいかないのです。

 住宅ローンは建物と土地に対し、担保として抵当権が設定されています。借り換え先の銀行の融資が実行され、完済手続きを終えただけでは、登記上の抵当権は元の銀行に設定されたままです。そこで、完済手続きの際、司法書士に現在の抵当権抹消と借り換え先の金融機関の抵当権設定を同時に行ってもらう必要があります。

 借り換え先の銀行からすれば、抵当権を設定せずに融資を実行し、万が一、借り手が元の銀行に完済手続きをしなかった場合、第一抵当権を設定できません。きわめて高いリスクを抱えたまま、お金を貸し続けることになってしまいます。

 もちろん、そんなことを許す銀行はありません。そのため、「融資実行日」と「完済手続き日」は同日であることが決まりなのです。

まとめ

 以上が、住宅ローンの借り換えを成功させるためのノウハウです。

 借り換えを検討している際に、金利上昇のリスクを避けるためには、申し込みと同月内で融資実行するのが無難です。そのためには、①事前審査は月初に申し込む、②事前審査の申し込みと同時に「完済手続き」も申し込む、という2点に気を付けることが重要です。

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