住宅ローンで重要なのは金利ですが、とはいえ借入時に必要となる「融資手数料」や「保証料」などを含めないと、正確な商品比較は行えません。 総支払額は「トータルコスト」とも言い、それを利回りに換算した実質金利は、アメリカでは住宅ローン選びの一般的な指標となっています。ベストな住宅ローンを決めるには、欠かせない考え方です。
住宅ローン選びの最終判断は、トータルコストの比較で行う
住宅ローン選びで大切なのは、「どこで借りるか」ではなく、「何をどのように借りるか」です。「何を」とは、どの商品ということで、「どのように」というのは、どのような条件で借りるのかと言い換えられます。
商品によって、金利や費用が異なってきますし、同じ商品であっても借り方によって違いは出ます。そのため、当初の金利や、費用を個別に見ても、完済するまでにいくらかかるかを知らなければ、正しい判断などできないでしょう。
トータルコストは、借入条件によって、そして金利の変化によって決定します。借入条件は、金融機関や商品にもよりますが、およそ9つあります。この決定がコストを左右するため、慎重に選択しなければなりません。
■「金利」以外の、気をつけたい借り入れ条件 | ||
条件 | 選択肢 | コストを下げるには? |
借入金額 | 1億円以下(商品により1億円超も可) | 金額を少なくすればよい(少なくしすぎると、目的となる物件が買えないおそれあり) |
借入期間 | 35年以内(商品により50年以内も) | 期間を短くすればよい(家計収支が悪化するおそれあり) |
金利タイプ | 変動金利、固定期間選択型(1~30年)、全期間固定、その他 | 固定期間を短くすればよい(金利上昇時に負担が増えるおそれあり) |
返済タイプ | 元利均等、元金均等、ボーナス、増額他 | なるべく早く返すように元金均等にすればよい(ただ、はじめは家計収支が悪化したり、審査的にきびしかったりする) |
借入タイプ | 一括融資、分割融資 | 金利や諸費用によりどの場合が安くなるかは一概には言えない |
融資手数料タイプ | 定率制、定額制、その他 | 金額が大きい場合は、定額制、小さい場合は定率制が有利 |
保証料タイプ | 前払い、後払い、なし | 期間が短ければ安くなるが、審査による 保証料なしにすると、融資手数料が高くなるのが一般的 |
優遇タイプ | 当初期間優遇、全期間優遇 | 期間が短ければ当初期間優遇、長ければ全期間優遇が安くなる |
団信特約タイプ | 疾病特約、介護特約、就業不能特約他 | 特約をつけなければ安くなる |
(注)いずれの条件もすべての金融機関で選べるものではないため、事前に確認しましょう。 |
上記9つの中で、「借入金額」と「借入期間」については、おそらく商品を選ぶ前に決めるべき内容でしょう。従って、それ以外の7つは、個々の商品にあわせて選択すべきか検討しなければなりません。この7つの中で重視すべきは、金利タイプです。その理由は、総支払額の中で、元金以外では金利の支払いが最も大きくなる可能性があり、また、選択の違いによって最も大きく変化するものだからです。
そこで、まずは「金利タイプ」を決め、住宅ローンの金利ランキング等を参考に商品を絞り込んでいきます。しかし、最終的に自分に合ったベストな一本に決めるには、金利以外の情報もチェックする必要があります。というのも、金利は低いものの融資手数料が割高になっていて、トータルで見れば得しない商品もあるからです。
【※関連記事はこちら!】>> 【住宅ローン「実質金利」ランキング(変動金利)】新規借入で、本当にお得なローンを毎月発表!
トータルコストを計算してみよう
具体的には、商品の価値を正しく判断するには、以下の計算で借入から完済までの「トータルコスト(≒実質金利)」で比較します。
●「全期間固定金利型」商品
=元本+金利+諸費用
●「変動金利型」商品
=元本+当初の金利+諸費用+将来の金利
●「固定期間選択型(固定金利期間選択型、固定金利選択型)」商品
=元本+当初固定期間の金利+諸費用+固定期間終了後の金利
※「金利ミックス型」商品の場合は、選んだ金利タイプごとに計算して合計
たとえば、ソニー銀行には「変動セレクト住宅ローン」と「住宅ローン」(商品名です)という大きく2タイプの借り換えローンがあります。この2タイプそれぞれに変動金利と固定金利が用意されていますが、ここでは変動金利について見てみましょう。
「変動セレクト」の場合、変動金利は0.457%、手数料は借入額×2.16%(借入額3000万円なら、64万8000円)。これに対し、「住宅ローン」は変動金利0.757%とやや金利が割高ですが、手数料は借入額にかかわらず、一律4万3200円と低く設定されています。
この2つのローンで、同じ借入額3000万円を借入期間30年で借り入れた場合、どちらがお得かを即答できる人はいないでしょう。答えは下表のとおりです(2019年年2月時点)。
■ソニー銀行「変動セレクト」「住宅ローン」のトータルコストの違い 〈借入金額3000万円、返済期間30年、変動金利、元利均等払い〉 |
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商品タイプ | 金利(変動) | 手数料 | 支払金利総額 | トータルコスト |
変動セレクト住宅ローン | 0.457% | 64万8000円 | 210万8991円 | 3275万6991円 83万円お得! |
住宅ローン | 0.757% | 4万3200円 | 354万4586円 | 3358万7786円 損! |
※借入期間中、金利の変動はなかったものとして計算 |
手数料の比較では、「変動セレクト」のほうが約60万円多くかかりますが、金利が0.3%低いため、30年間のトータルでは約83万円の得となります。ただし、手数料の少ない「住宅ローン」のほうが自己資金は少なくて済みます。
このように住宅ローンの損得は、トータルコストで比較しないと判明しません。さらに、人によっては、借りやすさや返済計画なども考えて、総合的に判断する必要があるのです。
「金利計算」では、固定期間終了後の優遇幅に注意!
トータルコストの計算方法を見ていきましょう。まず「金利」の計算は、選んだ金利タイプによって微妙に異なります。全期間固定金利型は金利が一定のため、金利計算も単純ですが、ほかのタイプは多少計算が複雑です。なぜなら、金利が変化することで支払金利総額が大きく変わってしまうからです。
変動金利型では、現状維持シナリオとして「現在の金利が完済まで続いた」場合と、リスクシナリオとして「返済開始から11年後に基準金利が4%に上昇」した場合の金利を計算するのが、私(淡河)独自の金利上昇リスクを計算する方法です。 4%は過去の平均値です。
固定期間選択型では、変動金利型と同様に、現状維持シナリオとリスクシナリオの2パターンの金利を計算します。ポイントとなるのは固定期間終了後の金利設定です。固定期間終了後は何も手続きしなければ変動金利に移行しますが、注意しなければならないのは、その際に金利の「優遇幅」が小さくなる商品があることです。「基準金利-優遇幅」が実際の借入金利ですから、優遇幅は金利を決めるカギを握るものです。固定期間終了後の優遇幅をしっかりと確認のうえ、金利計算を行いましょう。
「諸費用」には3つのタイプがある
最後は「諸費用」についてです。諸費用のうち、手数料と保証料は各銀行のホームページを見れば記載されていますが、計算の仕方や金額がまちまちです。そのため、割安なのか割高なのかひと目で判断がつきづらくなっています。
そこで目安として、諸費用のタイプを以下の3つに分類してみました。一部、該当しない金融機関および商品もありますが、基本的にはいずれかに似ているはずですので、手数料や保証料をチェックする際の参考にしてください。
(1)メガバンクに多い「王道タイプ」
手数料3万2400円、保証料は借入額×2.06%(借入期間35年の場合)でほぼ横並びです。残存期間に応じて保証料が減っていく方式を採用している銀行が多いので、借入期間が短い人はお得になるケースが多くなります。保証料は繰上返済すると、利用していない期間の分を返ってきます。
(2)ネット銀行に多い「見かけに騙されるなタイプ」
保証料を無料とし、手数料でとるところが多くなっています。
一部のネット銀行では、借入金額に応じて手数料が発生します。借入額×2.16%と高めの設定にしているところもあります。ちなみに同じ方式をフラット35で採用している株式会社優良住宅ローンの場合、手数料は借入額×0.66%、保証料なしとなっています。借入額3000万円なら、手数料は19万8000円です。
(3)フラット35など「定額ポッキリタイプ」
一部のネット銀行は、手数料は一律定額、保証料なしという明朗会計を採用しています。ソニー銀行や楽天銀行などがこのタイプです。
手数料は各金融機関で異なりますが、ソニー銀行4万3200円、SBI新生銀行5万4000円、楽天銀行32万4000円と総じて安く抑えられています。
【※関連記事はこちら!】>> 【住宅ローン「実質金利」ランキング(変動金利)】新規借入で、本当にお得なローンを毎月発表!
- 【住宅ローンの基礎知識 リンク集】
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- ◆住宅ローン選びの実践法◆
- (3)諸費用込みの「総支払額」で比較しよう!
- (4)変動金利なら「金利上昇リスク」の想定を
- (5)固定金利は、固定期間終了後に注意!
- (6)借入金額、借入期間、金利タイプ決め方は?
- (7)正しい「ランキングサイト」の見分け方
- (8)「シミュレーションサイト」の使い方
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
【金利動向】おすすめ記事 | 【基礎】から知りたい人の記事 |
【今月の金利】 【来月の金利】 【2024年の金利動向】 【変動金利】上昇時期は? 【変動金利】何%上昇する? |
【基礎の8カ条】 【審査】の基礎 【借り換え】の基礎 【フラット35】の基礎 【住宅ローン控除】の基礎 |
新規借入2024年11月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.459%
- 総返済額 3242万円
- 表面金利
- 年0.329%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 75,629円
①「がん・4疾病50%+全疾病+月次返済保障」が無料!
②住宅ローン金利優遇割ならダントツの低金利
③三菱UFJ銀行とKDDIが立ち上げたネット銀行。ネット申し込みで、全国に対応
- 実質金利(手数料込)
- 0.512%
- 総返済額 3271万円
- 表面金利
- 年0.375%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+33000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,229円
①注文住宅なら、分割融資に対応でお得
②手数料不要の「借入時負担ゼロ型」は、将来住み替えを考えている人におすすめ
③中古物件でもリフォーム資金含めて借り入れが可能
- 実質金利(手数料込)
- 0.531%
- 総返済額 3281万円
- 表面金利
- 年0.390%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+55000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,426円
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住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
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- 年収に対して安心して買える物件価格は?
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- ・年収200万円で妻が妊娠中の家族の上限は1600万円!?
- ・年収250万円の単身者の上限は1800万円!?
- ・年収300万円の4人家族の上限は1800万円!?
- ・年収350万円の2人家族の上限は2100万円!?
- ・年収400万円の単身者の上限は2500万円!?
- ・年収450万円の4人家族の上限は2000万円!?
- ・年収500万円の4人家族の上限は3000万円!?
- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
- ・年収600万円の40代独身の上限は3000万円!?
- ・年収700万円の共働き夫婦の上限は5000万円!?
- ・年収800万円の3人家族の上限は4500万円!?
- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
- ・年収1000万円の40代4人家族の上限は3500万円!?
- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
auじぶん銀行の魅力は、業界トップクラスの変動金利です。変動金利が大好きな人なら、最上位にすすめたいですね。最大2億円まで借りられるのも大きなポイントです。
審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
団信では「がん・4疾病50%保障団信」が無料で付いているので、通常の団信より手厚いと言えます。通常、保障を厚くするのであれば、金利を上乗せする必要がありますが、無料でつくのは魅力です。