住宅ローン借り換えシミュレーション
「全期間固定」から「20年固定」への借り換えで、
リスクほぼゼロで500万円もおトクに!
住宅ローン借り換えの注意点(4)

【第4回】2020年4月4日公開(2020年6月18日更新)
淡河範明:住宅ローンアドバイザー

住宅ローンの借り換えで、「全期間固定金利」を借りている人は、基本的には「全期間固定金利」へと借り換えるが、場合によっては「固定期間選択型金利(20年固定金利など)」を選択してもいいケースがある。期間設定をうまくすれば、毎月支払額はほとんど変わらないので、金利上昇リスクを取りたくない人は、ぜひシミュレーションをしてみよう。

残存期間によっては、固定期間型への借り換えも

3人家族
出所:PIXTA

 今回は、Bさん(48歳・会社員)のケースで⾒てみましょう。Bさんの家族構成は、Bさん、妻(46歳・パートタイマー)、⻑男(18歳・大学生)の3⼈です。

 Bさんは14年前、住宅ローン2800万円を全期間固定⾦利3.1%で借りていました。

 金利が高いことから、このほど、金利0.95%の20年固定⾦利(固定期間選択型)に借り換えました。下記のシミュレーションによれば、⾦利を2.15%下げたことで、総支払額は約497万円も削減することができました。

 全期間固定金利に比べて、20年固定金利は金利が低くなっています。問題なのは、20年の固定期間終了後は変動金利を選択せざるをえないことですが、残りはわずか1年ですから、金利上昇リスクも少しです。

 なお、借り換えの諸費用は、銀行に支払う手数料が6万円、抵当権設定のための登記費用やそれを依頼する司法書士への報酬、印紙代として合計20万円ほどかかります。こうした諸費用を払ってでも497万円も得するのですから、借り換えすべきです。

【全期間固定金利で借り入れていたBさんのシミュレーション】

  借り換え前 借り換え後
借入時期 2006年 2020年に借り換え
金利タイプ 全期間固定金利 20年固定金利
金利

3.10%

0.95%(20年)
0.85%(1年)
残りの期間 約21年 約21年
毎月返済額

10万9323円(現在)

8万8583円(20年)
8万8529円(1年)

残高/借入額 2023万円(残債) 2023万円(借入額)

借り換え諸費用

26万円(手数料、登記費用等)

総支払額

約2755万円

約2258万円

約497万円おトク)

借り換えなしの場合と、借り換えをした場合の総支払額推移。住宅金融支援機構の「返済プラン比較シミュレーション」で作成したグラフに、編集部で一部加筆
借り換えなしの場合と、借り換えをした場合の総支払額推移。住宅金融支援機構の「返済プラン比較シミュレーション」で作成したグラフに、編集部で一部加筆

 Bさんの当初の住宅ローン選びが間違っていたわけではありません。残存期間が20年を超えるのであれば、全期間固定金利を選ぶのがセオリーです。しかし、借り入れてから14年が経ち、残存期間は21年となっていました。

 そのため、20年固定に借り換えたとしても、そこから将来、変動金利で返済しなければならないのは1年だけです。上記のシミュレーションでは、現在の金利水準がずっと継続するとして、20年後の変動金利は0.85%として試算しているので、毎月の支払額は若干減っています。仮に、20年後に変動金利が4%まで上昇したとしても、月々の返済額は1000円弱しかアップせず、総返済額にはほとんど変化が見られません。

 こうした状況から、たとえ金利が上昇してもあくまで許容範囲であり、多少ならリスクを取ってもいいと判断し、20年固定金利への借り換えを選択しました

住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションで作成。編集部で一部加筆
住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションで作成。編集部で一部加筆

貯蓄がある人、固定期間終了後の残存期間が短い人向け

 このように、金利が上昇した想定でリスクをシミュレーションしてみて、多少月々の返済額がアップしても支払いが可能な額であれば、安心してリスクを取ることができます。

 全期間固定金利から、固定期間選択型金利や変動金利への借り換えは、目に見えて月々の返済額が減るため魅力が大きいのですが、金利上昇リスクが生じるため、選択は慎重を期すべきです。

 しかし、Bさんのご家庭のように「お子さんがすでに大きく、固定期間終了後の残存期間が短い」といった場合には、リスクがあってもそれに対処できる可能性が高いため、リスクテークする選択肢があってもいいでしょう。

 まとめると、

・固定期間終了後の残存期間が短い
・貯蓄が安定的にできていて、金利が変動しても問題が起こりにくい
・これ以上、子どもが増える可能性がない

など、固定金利選択型のリスクを許容できる人は、「全期間固定」から「固定期間選択型」への借り換えを、ぜひ検討してみましょう。

【住宅ローン借り換えの注意点 リンク集】

◆基本編◆
(1)借りてから5年未満でも、チャンスあり
(2)借り換えでマイナス金利のメリットを享受
◆シミュレーション編◆
(3)「固定金利」から「固定金利」に借り換え
(4)「固定金利」から「期間固定」に借り換え
(5) リフォームなら、借り換え時がチャンス
(6)「5年固定」から「30年固定」に借り換え
(7)「10年固定」から「10年固定」に借り換え
(8)「変動金利」から「10年固定」に借り換え
(9)「変動金利」から「全期間固定」に借り換え
(10)「リバースモーゲージ」に借り換え
(11)「ミックスローン」から「ミックスローン」に借り換え
(12)「元金均等」から「元利均等」に借り換え
◆実行編◆
(13)「条件変更」と「借り換え」どちらがいい?
(14)変動、固定…。金利タイプは何にする?
(15)変動金利と全期間固定の金利差は1%以下!
(16)借り換え時の3つのタブーとは?
(17)おとくな商品の見分け方
(18)借り換え手続きでの4つの疑問点
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借り換え2023年9月最新 主要銀行版

住宅ローン
変動金利ランキング

※借入金額2500万円、借入期間30年

住宅ローン金利優遇割で、金利年▲0.15%
実質金利(手数料込)
0.298%
表面金利
年0.148%
手数料(税込)
借入額×2.2%
保証料
0円
おすすめポイント

①「がん・4疾病50%+全疾病+月次返済保障」が無料!
②au金利優遇ならダントツの低金利

2023/9/1現在の金利であり、実際の借入日の金利により変動する。審査の結果によっては保証付金利プランとなり、上記とは異なる金利になる。 保証付金利プランは固定金利特約が3年、5年、10年に限定され、審査の結果、保証会社を利用する場合は、保証料相当額を上乗せした金利が設定されるが、別途、保証料の支払いは不要。住宅ローン金利優遇割は、au回線、じぶんでんき、J:COM NET、J:COM TVをセットで利用した場合、金利引下幅は最大▲年0.15%。J:COM NET優遇割、J:COM TV優遇割は戸建のみ対象
口コミ・団信・審査基準などを表示

特徴・評判

諸費用

審査基準

団体信用
生命保険

  • 三菱UFJ銀行とKDDIが共同で立ち上げたネット銀行で、変動金利は業界トップクラスの低金利
  • 無料団信が充実しており、「がん・4疾病50%保障団信」「全疾病保障」「月次返済保障」が無料で付帯
  • ネットだけで契約を完了でき、仮審査は最短当日回答、本審査は最短2~3営業日で回答など、審査スピードも速い

プロの評判・口コミ

淡河範明さん
住宅ローンアドバイザー
淡河範明さん

auじぶん銀行の魅力は、業界トップクラスの変動金利です。変動金利が大好きな人なら、最上位にすすめたいですね。最大2億円まで借りられるのも大きなポイントです。

審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。

団信では「がん・4疾病50%保障団信」が無料で付いているので、通常の団信より手厚いと言えます。通常、保障を厚くするのであれば、金利を上乗せする必要がありますが、無料でつくのは魅力です。

関連記事 auじぶん銀行の金利推移、審査基準、注意点は?
手数料(税込)
融資額×2.20%(税込)
保証料
0円(審査の結果、保証会社を利用する場合があるが、保証料相当額は金利に含まれており、別途、保証料は発生しない)
繰上返済手数料(一部)
0円(1円以上1円単位)
繰上返済手数料(全額)
・変動金利/0円
・固定金利/3万3000円(税込)
借入額
500万円以上、2億円以下
借入期間
1年以上35年以内(1ヶ月単位)
融資を受けられるエリア
全国
使い道
本人または家族が住むための以下の資金
・戸建・マンション(中古物件含む)の購入資金
・戸建の新築資金
・他の金融機関で現在借入中の住宅ローンのお借換え(住宅ローンとリフォームローンの一括での借り換えを含む)資金
・上記に伴う諸費用
年収
(給与所得者)
200万円以上
勤続年数
(給与所得者)
年収
(個人事業主等)
200万円以上
事業年数
(個人事業主等)
年齢
(借入時)
満18歳以上〜満65歳未満
年齢
(完済時)
満80歳の誕生日まで
その他条件
無料の団信
一般団信(借入時年齢:65歳以下)
+がん・4疾病50%保障団信(借入時年齢:50歳以下)
+全疾病保障団信(借入時年齢:50歳以下)
+月次返済保障団信(借入時年齢:50歳以下)
死亡・高度障害と診断された場合。または、すべてのけが・病気で入院が180日超の場合、ローン残高が0円。がんと診断された場合、ローン残高が半分)。急性心筋梗塞、脳卒中を発病し60日以上労働制限等が継続または手術を受けた場合、肝疾患または腎疾患で60日以上入院した場合、ローン残高が半分に。
オプション
(特約)の団信
がん100%保障団信(借入時年齢:50歳以下)
上乗せ金利年0.05%
死亡・高度障害状態、がんと診断された場合、または、すべてのけが・病気で入院が180日超の場合、ローン残高が0円。4疾病50%保障は付帯せず。
がん100%保障団信プレミアム(借入時年齢:50歳以下)
上乗せ金利年0.15%
死亡・高度障害、がんと診断された場合。ローン残高が0円。急性心筋梗塞、脳卒中を発病し60日以上労働制限等が継続または手術を受けた場合、肝疾患または腎疾患で60日以上入院した場合、ローン残高がゼロ円に。
ワイド団信(借入時年齢:65歳未満)
上乗せ金利年0.30%
死亡・高度障害と診断された場合、ローン残高が0円
※新団信は2023年7月1日以降借入れの人に適用
閉じる
自社商品は、3大疾病50%保障が無料付帯
実質金利(手数料込)
0.450%
表面金利
年0.299%
手数料(税込)
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保証料
0円
おすすめポイント

①3大疾病50%保障+全疾病保障が無料
②先進医療特約も無料で付帯

※同社または保証会社の審査結果によっては、表示金利に年0.1%~0.75%上乗せ
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特徴・評判

諸費用

審査基準

団体信用
生命保険

  • 三井住友信託銀行とSBIホールディングスが設立したネット銀行で、変動金利の低さではトップクラス
  • 通常の団信に加えて、3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)50%保障(40歳未満)と、全疾病保障(8疾病+病気・ケガ)を無料で付帯
  • フラット35も取り扱う

プロの評判・口コミ

淡河範明さん
住宅ローンアドバイザー
淡河範明さん

住信SBIネット銀行の強みは業界トップクラスの金利の低さでしょう。ネット銀行なのですが、何故か店舗の方が金利や団信サービスで魅力的なことがあるのもユニークです。

 

住宅ローンの品揃えもバラエティで充実しています。利用するなら、金利の低い変動型がいいですね。

 

審査はとても厳格です。提出書類は、一切の代筆を許さない厳格さがありますね。もちろん書類に不備があればいちいち取り直しになったりし、意外と手間が発生することもあります。書類をしっかり用意することがポイントですね。

 

審査が通って融資実行までは3週間以上あけるのが原則なので、年末年始をまたいだりすると実際の融資実行がかなり遅れることがあるので注意です。

 

ただし、金利設定の細かな条件を理解していないと後で「そんなつもりじゃなかった」ということになりかねません。例えば、「固定金利特約タイプ」は、特約期間中に金利タイプを変更することはできません。その上、固定金利期間終了後は、何もしないと変動金利になりますが、その場合の変動金利はかなり高くなる(現在の金利設定の場合)ので、気をつける必要があります。

 

なお、給与振込銀行は別にしておきたい場合、住信SBIネット銀行は自動で毎月の返済分を他の銀行の口座から無料で吸い上げてくれる仕組みがあって便利です。

関連記事 住信SBIネット銀行の金利推移、審査基準、注意点は?
手数料(税込)
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0円
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■自社商品
0円(1円以上1円単位)
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0円(10万円以上)
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■自社商品
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・借換の場合:[35年-借換対象となる住宅ローンの経過期間]が上限
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■自社商品
全国
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使い道
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住宅に関する次の資金
・【新規住宅ローン】ご本人またはご家族がお住まいになるための住宅の新築・購入資金、これにかかわる諸費用、健全な個人消費資金
・【借換住宅ローン】ご本人のご自宅にかかわる現在お借入中の住宅ローンの借換資金、これにかかわる諸費用、借換えと同時に行う増改築資金、健全な個人消費資金
年収
(給与所得者)
■自社商品
安定かつ継続した収入がある人
■フラット35
総返済負担率が、
年収400万円未満は30%以下
年収400万円以上は35%以下
勤続年数
(給与所得者)
■自社商品

■フラット35
年収
(個人事業主等)
■自社商品
安定かつ継続した収入がある人
■フラット35
総返済負担率が、
年収400万円未満は30%以下
年収400万円以上は35%以下
事業年数
(個人事業主等)
■自社商品

■フラット35
年齢
(借入時)
■自社商品
満18歳以上満65歳以下
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70歳未満
年齢
(完済時)
■自社商品
80歳未満
■フラット35
80歳未満
その他条件
■自社商品
住信SBIネット銀行指定の団体信用生命保険への加入を認められる方、国内に住んでいる方
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一般団信
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+スゴ団信・3大疾病50プラン(借入時年齢:40歳以下)
+先進医療特約
一般団信(死亡・高度障害と診断された場合)
全疾病保障(けが・病気により就業不能状態が12ヵ月継続すると、住宅ローン残高がゼロ円に)
3大疾病50プラン(がんと診断、または急性心筋梗塞・脳卒中で60日以上労働の制限か後遺症が継続した場合または手術を受けた場合、ローン残高が50%に)
オプション
(特約)の団信
スゴ団信・3大疾病100プラン(借入時年齢:40歳未満)
金利+0.20%
がんと診断、または急性心筋梗塞・脳卒中で60日以上労働の制限か後遺症が継続した場合または手術を受けた場合、ローン残高が0円
スゴ団信・3大疾病100プラン(借入時年齢:40歳以上)
金利+0.40%
がんと診断、または急性心筋梗塞・脳卒中で60日以上労働の制限か後遺症が継続した場合または手術を受けた場合、ローン残高が0円
ワイド団信
金利+0.30%
死亡・高度障害と診断された場合、ローン残高が0円
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※実質金利は、借入金額2500万円、借入期間30年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。変動金利は現在の水準が継続と仮定。実質金利の計算法はこちら。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。保証料は、大手銀行の一般的な保証料率を記載しているので、銀行によっては違う保証料率となる。主要銀行・金融機関の主な商品を対象とし、ランキングに掲載するのは各銀行の商品の中で最も実質金利が低い商品のみとする。ホームローンドクター代表の淡河範明氏の監修で作成。変動金利ランキング完全版はこちら

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