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住宅ローン借り換えシミュレーション 
「元金均等の全期間固定→元利均等の全期間固定」で
手元に現金を残し、子どもの教育費を準備!住宅ローン借り換えの注意点(12)

【第12回】2020年5月3日公開(2020年6月18日更新)
淡河範明

淡河範明(おごう・のりあき)氏:日本興業銀行(現・みずほ銀行)出身で、過去10年で延べ5000件の住宅ローン相談実績を誇っています。2006年に設立したホームローンドクターにて、「住宅ローン借り換えクリニック」を運営しており、住宅ローンの借り換え・新規借入に、様々な相談に対応しています。

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住宅ローンを借り換える際は、コスト削減にばかり目を向けず、将来の大きな出費に備えて現金を残すという視点も大切です。今回の事例は、全期間固定から全期間固定への借り換えに伴い、「元金均等返済」から「元利均等返済」へと返済方法を変更するパターンをシミュレーションしています。

コスト削減も大切だが、手元に現金を残すのも重要

住宅ローン借り換えを検討する家族
出所:PIXTA

 自営業者のJさん(41歳)は、パート勤めの妻(40歳)と長男(10歳)の3人家族です。12年前に全期間固定金利で住宅ローンを組みました。

 今回、Jさんが借り換え先に選んだのも、全期間固定金利です。ただし、単に表面的な金利差だけを目当てに借り換えたわけではなく、返済の仕方も併せて変更しました。

 住宅ローンの返済では、毎月の返済額が一定の「元利均等返済」と、毎月の返済額のうち元金が一定の「元金均等返済」のいずれかを選びます。

 「元利均等返済は返済額(元金+利息)が一定であることから返済計画が立てやすい半面、当初は返済額に占める利息の割合が多いため、元本の減りが遅いというデメリットがあります。同じ返済期間なら「元金均等返済」より総返済額が多くなるということです(下図、右)。

 それに対し「元金均等返済は、返済額に占める元金の割合が一定なので、返済が進めば返済額は少なくなっていきます。「元利均等返済より元金の減りが速いため、同じ返済期間なら総返済額は少なくなりますが、当初の返済負担が重く、借入時に必要な収入も多くなります(下図、左)。

元金均等返済と元利均等返済の違い
元金均等返済と元利均等返済のイメージ図

 Jさんのケースでは、借り換え前の住宅ローンは、リスクをゼロにしながらも、総返済額を抑えようと「元金均等返済」を選んでいます。そのため、借り換えも「元金均等返済」で考えていました。Jさんの貯蓄額は700万円。決して貯蓄が少ないわけではありませんが、「人生の3大支出」といわれる教育費、家の修繕費、老後資金という額の大きな支出に対し、十分な備えがあるとはいえないと判断し、「元利均等返済」の全期間固定への借り換えを提案しました。

借り換えシミュレーションでは、330万円もお得に

 当初、住宅ローンは3400万円借りましたが、12年たって、住宅ローン残高は2234万円まで減少しているので、この金額を借り換えます。

 「元金均等返済」なので、当初の毎月返済額は15.9万円ですが、徐々に減っていき、最後は8.1万円となります。12年経過した現在の毎月返済額は、13.3万円まで減少しています。

 なお、借り換えの諸費用は、銀行に支払う手数料24.6万円(借入額×1.1%)、抵当権設定のための登記費用やそれを依頼する司法書士への報酬、印紙代として合計20万円ほどかかります。シミュレーションしてみると、こうした諸費用を払ったとしても、総支払額は330万円も得する計算となりました(下表を参照)。

【全期間固定金利で借り換えた場合のJさんのシミュレーション】

  借り換え前 借り換え後
借入時期 2008年 2020年に借り換え
金利タイプ

全期間固定(元金均等)

全期間固定(元利均等)
金利

2.76%(変動、現在)

1.25%(全期間固定)

残りの期間 23年 23年
毎月返済額

15.9万円 → 8.1万円

(現在、13.2万円)

9.3万円

残高/借入額 2234万円(残高) 2234万円(借入額)

借り換え諸費用

44.6万円(手数料、登記費用等)

総支払額

2946万円

2616万円

330万円お得)

※1万円単位で借りられる金融機関は少ないですが、比較のため、借り換え額は借り換え前と同額としています

元金均等返済の方が総支払額は安くなるが、低金利で差額はわずか

元金均等返済で借り換えた場合と元利均等返済で借り換えた場合の年間返済額推移シミュレーション
元金均等返済で借り換えた場合と元利均等返済で借り換えた場合の年間返済額推移。住宅金融支援機構の「返済プラン比較シミュレーション」で作成したグラフに、編集部で一部加筆

 借り入れ当初と現在(2020年4月)では、金利水準が2.76%から1.25%まで下がっていたため、今回の借り換えで、金利分の総返済額が712万円から338万円に減り、諸費用を支払っても330万円得する結果となりました(下表参照)。

 仮に、元利均等返済よりも総返済額が安くなる元金均等返済を選択したとしても、その差は16万円です。借り換えによって330万円も総支払額が少なくなるのですから、16万円くらいは総支払額が増えても大きな影響はありません。そのため、まずは毎月返済額を抑えて、手元に現金を残していくことを選びました。

【関連記事はこちら】>>元利均等返済と元金均等返済、どちらがお得? 超低金利時代が続く限り、総返済額に大差なし!おすすめは毎回の返済額が同じ「元利均等返済」

 元金均等返済で借り換えた場合と元利均等返済で借り換えた場合の年間返済推移額を比較したグラフからも分かるように、借り換え後から約19年間は、元利均等返済の方が毎月返済額が少なく、借り換え手数料も1年程度で元が取れてしまうので、その分貯蓄に充てることが可能です。

住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションで作成。編集部で一部加筆
住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションで試算。編集部で一部加筆

人生の3大支出への備えが十分でない人向け

 この借り換えパターンがおすすめなのは、将来の大きな支出に対し、まだ準備が十分にできていない人です。

 仮に金利が4%なら、総返済額が膨らんで、子どもの教育費や老後資金を食いつぶしてしまうので、「元金均等返済」を選ぶメリットがあります。しかし、超低金利の今、「元金均等返済」と「元利均等返済」の総返済額の差はわずか。これなら、今、無理して総返済額を減らすより、まずは手元に現金を残して貯蓄を増やしていったほうが、はるかにメリットが大きいといえます。

 コストを減らすことはもちろん大切です。とはいうものの、Jさんのケースを見てもわかるように、どちらの返済方法を選ぶかは「コスト(総返済額)」と「手元に現金が残らないリスク」の兼ね合いで変わってきます。コストだけに目を向けず、現在の貯蓄額を含めた家計全体で住宅ローンを考える視点を持つと、家族全員が幸せになる借り換えが可能になるでしょう。

【住宅ローン借り換えの注意点 リンク集】

◆基本編◆
(1)借りてから5年未満でも、チャンスあり
(2)借り換えでマイナス金利のメリットを享受
◆シミュレーション編◆
(3)「固定金利」から「固定金利」に借り換え
(4)「固定金利」から「期間固定」に借り換え
(5) リフォームなら、借り換え時がチャンス
(6)「5年固定」から「30年固定」に借り換え
(7)「10年固定」から「10年固定」に借り換え
(8)「変動金利」から「10年固定」に借り換え
(9)「変動金利」から「全期間固定」に借り換え
(10)「リバースモーゲージ」に借り換え
(11)「ミックスローン」から「ミックスローン」に借り換え
(12)「元金均等」から「元利均等」に借り換え
◆実行編◆
(13)「条件変更」と「借り換え」どちらがいい?
(14)変動、固定…。金利タイプは何にする?
(15)変動金利と全期間固定の金利差は1%以下!
(16)借り換え時の3つのタブーとは?
(17)おとくな商品の見分け方
(18)借り換え手続きでの4つの疑問点
 
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【2020年8月最新版】競争が激しく、過去最低水準の低金利!
◆「変動金利」住宅ローン金利ランキング(借り換え)
※借入金額2500万円、借入期間30年(詳細な条件は表組の下に記載)
順位 銀行名 <商品名>
実質金利
(費用等含む)
表面金利
(費用等除く)
保証料
(税込)
事務手数料
(税込)
1
◆ジャパンネット銀行 <住宅ローン 全期間引下げプラン(自営業、市街化調整区域は不可)>
0.531%
0.380%
0円
借入額×2.2%
【ジャパンネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
ネット銀行のジャパンネット銀行は2019年7月末に住宅ローンの貸し出しをスタート。最大の特徴は、業界最低水準という低い金利で、特に「変動金利」「10年固定金利」に強みがある。オプションの団体信用生命保険も豊富に取りそろえる。
【関連記事】ジャパンネット銀行の住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
公式サイトはこちら
2
◆住信SBIネット銀行 <住宅ローン 通期引下げプラン(借り換え、ネット専用)>
0.549%
全疾病保障付き
0.398%
0円
借入額×2.2%
【住信SBIネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
三井住友信託銀行とSBIホールディングスが設立したネット銀行で、表面金利の低さではトップクラス。借り換えを重視しており、変動金利(通気引き下げプラン)は、新規借入よりも金利を低く設定している。また、通常の団信に加えて、全疾病保障(8疾病+病気・ケガ)を無料で付帯しているので、魅力的だ。女性には、がんと診断されると30万円が支給される保障も無料で付けている。審査結果によっては、表面金利に年0.1%を上乗せする。
【関連記事】住信SBIネット銀行の住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
公式サイトはこちら
2
◆SBIマネープラザ <ミスター住宅ローンREAL・通期引下げプラン(借り換え)>
0.549%
全疾病保障付き
0.398%
0円
借入額×2.2%
【SBIマネープラザの住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
SBIマネープラザは、証券、保険、住宅ローンなどを取り扱う、SBIグループのマネー相談プラザ。支店において対面で相談できるので、初心者でも安心だ。変動金利が低い「ミスター住宅ローンREAL」(住信SBIネット銀行の商品)と、全期間固定金利が低い「ARUHIのフラット35」を取り扱っているので、2種類の住宅ローンを比較して申し込みできる。
【関連記事】SBIマネープラザの住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
公式サイトはこちら
※実質金利は、借入金額2500万円、借入期間30年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。固定期間終了後は変動金利を選択(現在の水準が継続と仮定)。実質金利の計算法はこちら。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。保証料は、大手銀行の一般的な保証料率を記載しているので、銀行によっては違う保証料率となる。主要18銀行・金融機関の主な商品を対象とし、ランキングに掲載するのは各銀行の商品の中で最も実質金利が低い商品のみとする。ホームローンドクター代表の淡河範明氏の協力で作成。

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