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住宅ローン借り換えシミュレーション
「10年固定→全期間固定」がセオリーだが、
リスク覚悟で「10年固定→10年固定」の選択も住宅ローン借り換えの注意点(7)

【第7回】2020年4月22日公開(2020年6月18日更新)
淡河範明

淡河範明(おごう・のりあき)氏:日本興業銀行(現・みずほ銀行)出身で、過去10年で延べ5000件の住宅ローン相談実績を誇っています。2006年に設立したホームローンドクターにて、「住宅ローン借り換えクリニック」を運営しており、住宅ローンの借り換え・新規借入に、様々な相談に対応しています。

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住宅ローンを10年固定など「固定期間選択型」で借りている人は、固定期間の終了するタイミング(早い分に越したことはありません!)で、ぜひ借り換えを検討してみるべきです。固定期間終了後に借り換えをせず、当時結んだ不利な条件で選び直す必要はありません。10年前に比べて、金利は大きく下がっています。借り換えした場合と借り換えしない場合をシミュレーションで比較したところ、今回の事例では500万円以上もお得になることが分かりました。

低金利効果で、総支払額が500万円以上減少

4人家族の住宅ローン借り換えシミュレーション
出所:PIXTA

 会社員のEさん(45歳)は、専業主婦の妻(42歳)と2人のお子さま(長女12歳、長男10歳)の4人家族です。10年前に35年ローンでマンションを購入し、10年固定金利を選択。まもなくその10年固定が終了するにあたり、終了後の金利タイプの選択をどうするか迷っていましたしかし、Eさんの借入条件を精査したところ、借り換えのほうが得なことが分かりました。

 住宅ローン金利は、小さな波はあるものの、ここ何十年もの間、下がり続けています。借り換えれば、現在のお得な金利が適用され、数百万円単位で得する人はたくさんいるのです。

 当初、住宅ローンは4000万円借りましたが、10年たって、住宅ローン残高は3139万円まで減少しているので、この金額を借り換えます。

 なお、借り換えの諸費用は、銀行に支払う手数料が72.4万円(借入額×2.2%)、抵当権設定のための登記費用やそれを依頼する司法書士への報酬、印紙代として合計20万円ほどかかります。シミュレーションしてみると、こうした諸費用を払ったとしても、総支払額は573万円も得する計算となりました(下表を参照)。

【10年固定金利で借り換えた場合のEさんのシミュレーション】

  借り換え前 借り換え後
借入時期 2010年 2020年に借り換え
金利タイプ 10年固定金利 10年固定金利
金利

2.100%(10年、現在)
2.075%(25年、変動金利)

0.645%(10年)
0.429%(15年、変動金利)

残りの期間 25年 25年
毎月返済額

13.5万円(10年、現在)
13.4万円(25年)

11.3万円(10年)
11.2万円(15年)

残高/借入額 3139万円(残高) 3139万円(借入額)

借り換え諸費用

92.4万円(手数料、登記費用等)

総支払額

4033万円

3460万円

573万円お得)

シミュレーションでは、4年後に元が取れる

借り換えなしの場合と10年固定借り換えをした場合の総支払額推移比較シミュレーション
借り換えなしの場合と、借り換えをした場合の総支払額推移。住宅金融支援機構の「返済プラン比較シミュレーション」で作成したグラフに、編集部で一部加筆

 残存期間25年なら、本来は全期間固定金利への借り換えをおすすめしたいところです。この先、25年間、低金利が続くとは考えづらいですし、現在の全期間固定金利は1%前後です。変動金利より高いとはいえ、過去を振り返ると、全期間固定金利は2010年以前は3%超、2010~2014年も2~2.5%程度でした。1%前後という現在は異次元の低金利であることがお分かりになると思います。

 しかし、Eさんは全期間固定金利ではなく、10年固定金利への借り換えを選択。10年固定金利2.1%から10年固定金利0.645%(金利差1.455%)へ借り換えることで、毎月返済額を2万2,000円減らすことができました。金利の総支払い額は借り換えしない場合は894万円、借り換えした場合はわずか228万円です(下表参照)。

 全期間固定に借り換えるよりも金利が低い分、リスクは高くなりますが、万が一、将来金利が上がっても、家計状況から考えると、返済に困ることはないと判断しました。

 結果、諸費用を計算に入れても、総額で573万円も得することになりました。

 上のグラフは、借り換えをしなかった場合と、借り換えをした場合の総支払額推移です。緑のラインが、借り換えをしなかった場合と、借り換えをした場合の総支払額が同額となるポイントなので、借り換えから約4年後には、元が取れることが分かります。

 ただし、10年固定は、銀行が表面的にお得に見えるさまざまなわなを仕掛けやすい商品です。そのため、商品選びは慎重に行う必要があります。当初10年間の金利は低くても、固定期間終了後に金利優遇幅(各銀行が設定する店頭金利からの割引金利)が小さくなり、毎月返済額と総返済額が跳ね上がるローンもあります。

 最終的にEさんは、当初の金利はやや高くても、固定期間終了後の金利優遇幅が大きい、りそな銀行の10年固定(WEB申し込み限定プラン・はじめがお得!当初型・借り換え、2020年4月の金利は0.645%)を選びました。

住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションで作成。編集部で一部加筆 
住宅金融支援機構の返済プラン比較シミュレーションで作成。編集部で一部加筆 

「10年固定から10年固定」への借り換えは、コストもリスクも抑えたい人におすすめ!

 借入時の金利は低い順に並べると「変動金利<10年固定金利<全期間固定金利」ですが、将来の金利上昇リスクを低い順に並べると「全期間固定金利<10年固定金利<変動金利」と逆になります。このことからもわかるとおり、10年固定から10年固定への借り換えがおすすめなのは、コスト(総支払額)を抑えたいと同時に、リスク(金利上昇リスク)も抑えたいという欲張りな人です。

 ここ10年で金利は驚くほど下がっていますから、同じ金利タイプの商品に借り換えるだけでも総返済額を大幅に減らせるケースが多くなります。仮に、毎月の返済額を現在と同程度に維持すれば、金利が下がる分、返済期間を短縮できるでしょう。その結果、さらに総返済額を減らすことが可能になります。

 もちろん、借り換えてから10年後、金利が大幅に上昇していて、「あの時、全期間固定金利に借り換えておけばよかった」というようなケースも起こりえますが、少なくとも10年間は金利上昇のリスクがありません。

 一方で、10年間、金利にほぼ変化がなければ「変動金利で借り換えていたほうが得だった」となるでしょうが、全期間固定金利よりはコストを抑えられるのも事実です。

 よって、前記のとおり、コスト(総支払額)も、リスク(金利上昇リスク)も抑えたい人向けの借り換えパターンとなります。

 とはいえ、やはり重視すべきは金利上昇リスクです。低い金利に目がくらんで、返済に余裕がないのに10年固定を選ぶような大博打を打つべきではありません。あくまで全期間固定金利への借り換えを基本としたうえで、収入や貯蓄額、家族構成などから見て、ある程度のリスクを許容できる人(=金利が上がっても返済し続けられる人)は、10年固定から10年固定への借り換えを検討してみてもいいでしょう。

【住宅ローン借り換えの注意点 リンク集】

◆基本編◆
(1)借りてから5年未満でも、チャンスあり
(2)借り換えでマイナス金利のメリットを享受
◆シミュレーション編◆
(3)「固定金利」から「固定金利」に借り換え
(4)「固定金利」から「期間固定」に借り換え
(5) リフォームなら、借り換え時がチャンス
(6)「5年固定」から「30年固定」に借り換え
(7)「10年固定」から「10年固定」に借り換え
(8)「変動金利」から「10年固定」に借り換え
(9)「変動金利」から「全期間固定」に借り換え
(10)「リバースモーゲージ」に借り換え
(11)「ミックスローン」から「ミックスローン」に借り換え
(12)「元金均等」から「元利均等」に借り換え
◆実行編◆
(13)「条件変更」と「借り換え」どちらがいい?
(14)変動、固定…。金利タイプは何にする?
(15)変動金利と全期間固定の金利差は1%以下!
(16)借り換え時の3つのタブーとは?
(17)おとくな商品の見分け方
(18)借り換え手続きでの4つの疑問点
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【2020年9月最新版】競争が激しく、過去最低水準の低金利!
◆「変動金利」住宅ローン金利ランキング(借り換え)
※借入金額2500万円、借入期間30年(詳細な条件は表組の下に記載)
順位 銀行名 <商品名>
実質金利
(費用等含む)
表面金利
(費用等除く)
保証料
(税込)
事務手数料
(税込)
1
◆auじぶん銀行 <住宅ローン 全期間引下げプラン(借り換え、じぶんでんきセット割引)>
0.531%
全疾病+がん50%
0.380%
0円
借入額×2.2%
【auじぶん銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
三菱UFJ銀行とKDDIが共同で立ち上げたネット銀行。変動金利の競争力が高く、業界トップクラスの低金利となっている。がんと診断されると住宅ローン残高が半分になる「がん50%保障団信」「全疾病保障」が無料付帯。ネットだけで契約を完了でき、仮審査は最短即日回答、本審査は最短2~3営業日で回答など、審査スピードも早い。じぶんでんきセット割引は、新電力サービス「じぶんでんき」に加入できた場合、金利を0.03%引き下げるもので、適用されない場合の金利は0.41%となる。
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1
◆ジャパンネット銀行 <住宅ローン 全期間引下げプラン(自営業、市街化調整区域は不可)>
0.531%
0.380%
0円
借入額×2.2%
【ジャパンネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
ネット銀行のジャパンネット銀行は2019年7月末に住宅ローンの貸し出しをスタート。最大の特徴は、業界最低水準という低い金利で、特に「変動金利」「10年固定金利」に強みがある。オプションの団体信用生命保険も豊富に取りそろえる。
【関連記事】ジャパンネット銀行の住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
公式サイトはこちら
3
◆住信SBIネット銀行 <住宅ローン 通期引下げプラン(借り換え、ネット専用)>
0.549%
全疾病保障付き
0.398%
0円
借入額×2.2%
【住信SBIネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
三井住友信託銀行とSBIホールディングスが設立したネット銀行で、表面金利の低さではトップクラス。借り換えを重視しており、変動金利(通気引き下げプラン)は、新規借入よりも金利を低く設定している。また、通常の団信に加えて、全疾病保障(8疾病+病気・ケガ)を無料で付帯しているので、魅力的だ。女性には、がんと診断されると30万円が支給される保障も無料で付けている。審査結果によっては、表面金利に年0.1%を上乗せする。
【関連記事】住信SBIネット銀行の住宅ローンの金利、手数料、ポイント、注意点は?
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※実質金利は、借入金額2500万円、借入期間30年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。固定期間終了後は変動金利を選択(現在の水準が継続と仮定)。実質金利の計算法はこちら。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。保証料は、大手銀行の一般的な保証料率を記載しているので、銀行によっては違う保証料率となる。主要18銀行・金融機関の主な商品を対象とし、ランキングに掲載するのは各銀行の商品の中で最も実質金利が低い商品のみとする。ホームローンドクター代表の淡河範明氏の協力で作成。

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