リバースモーゲージ型住宅ローンへの借り換えは、毎月の返済額を減らし、家計にゆとりを持たせることができる借り換えプランです。ただし、銀行によって異なる融資条件をはじめ、さまざまな注意点があるため、よく理解した上で借り換えを検討する必要があります。今回の事例では、リバースモーゲージで、毎月返済額をどれくらい減らせるのかをシミュレーションしてみました。
返済が金利分だけなので、支出が減り家計がラクになる
Hさんは現役の会社員ですが、62歳を迎えています。妻はずっと専業主婦で、一人っ子だった長男はすでに30歳となり、3年前から新しい家族を持っています。
すでに子育てが終了し、今後、大きな出費が伴うイベントは少ないHさんですが、会社は中小企業で経営状態が芳しくなく、退職金もあまりあてにできません。さらに、住宅ローンの返済がまだ6年残っているため、不安を抱えています。
似たような状況に置かれている人は少なくありません。役職定年や定年退職後の再就職による減収などで、住宅ローンの返済が厳しくなってきた人は、リバースモーゲージ型の住宅ローンに借り換えるというのも一つの手です。
銀行ごとに融資条件はさまざまですが、申込時年齢が55歳以上(65歳以上のところも)、自宅を担保に入れて住み続ける場合は、毎月の返済額は借り入れた金額の金利部分のみというのが一般的です(リバースモーゲージの仕組みを参照)。
元本の返済は、契約者または契約者夫婦2人が死亡した後、銀行が自宅を売却して現金化し、そのお金で借入金を清算するか、相続人による一括返済(リコース型と言い、相続人の返済義務がないノンリコース型もある)で行われます。融資限度額は、売却時の元本割れを防ぐため、自宅の不動産評価額の40~80%程度です。
シミュレーションでは、毎月返済額が1.65万円に
当初、住宅ローンは2200万円借りましたが、29年たって、住宅ローン残高は804万円まで減少しているので、この金額を借り換えます。
なお、借り換えの諸費用は、銀行に支払う手数料が5.5万円、抵当権設定のための登記費用やそれを依頼する司法書士への報酬、印紙代として合計20万円ほどかかります。借り換えシミュレーションでは、こうした諸費用を払った上で、毎月返済額を金利部分のみ、1.65万円に抑えることができました(下表を参照)。
【リバースモーゲージに借り換えた場合のHさんのシミュレーション】
借り換え前 | 借り換え後 | |
借入時期 | 1991年 | 2020年に借り換え |
金利タイプ | 変動金利 |
リバースモーゲージ |
金利 |
6.700%(変動、現在) |
2.475%(変動金利) |
残りの期間 | 6年 | 死亡時まで |
毎月返済額 |
13.6万円 |
1.65万円 |
残高/借入額 | 804万円(残高) | 800万円(借入額) |
借り換え諸費用 |
ー |
約25.5万円(手数料、登記費用等) |
総支払額 |
3169万円 |
未定 |
※変動金利は、今後も現在の水準を維持するものとして試算しています |
リバースモーゲージというと、これまでは、月に数万円~数十万円の資金を受け取る「年金型」が主流でした。しかし、最近では銀行がリバースモーゲージに力を入れ始めており、枠内で自由に借入額を設定できる「枠内自由引出型」や、リフォーム費用など目的の決まったお金を借りる「目的特定型」など、使い勝手のいいタイプも登場しています。
Hさんのケースでも、リバースモーゲージに借り換えたことで、返済が金利部分の1.65万円だけになり、キャッシュフローは格段に改善されました。ただし、このケースのように借り換えに対応できる銀行はまだまだ少ないので、事前に確認が必要です。
さらに、リバースモーゲージには以下のようなさまざまな注意点があるので、融資条件をよくチェックしておきましょう。
- ・担保物件は担保価値の高い大都市圏などに限られる
- ・変動金利のため、金利が上昇すると返済額が増える
- ・不動産価格の下落幅が大きく、借入残高を下回ると、全額または差額分を銀行に返
- 済しなければならない
- ・マンションは利用できる銀行が限られる
- ・長生きすると早い段階で融資限度額に達してしまう
リバースモーゲージは、住宅ローンの返済が厳しくなっている人向けのプラン
リバースモーゲージへの借り換えがおすすめな人は、役職定年や転職による減収などで毎月の住宅ローン返済がつらく、家計をラクにしたい人です。
一方で、万が一、担保物件の価値が下がり、自宅を売却してもローンを返済しきれない場合は、相続人が返済しなければならなくなるため、相続でもめる可能性のある場合にはおすすめできません。また、基本的に同居家族は配偶者のみ認められるので、子どもと同居している人は利用できないといった注意点があることも踏まえて、借り換えを検討することが大切です。
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今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
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プロの評判・口コミ
淡河範明さん
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審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
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