中古マンション上昇率トップ10は港区がほぼ独占! 1位「虎ノ門」、2位「東新橋」などが上昇した理由は?

2025年10月29日公開(2025年10月28日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

東京23区の中古マンション価格は高止まりが続くなか、港区の上昇が際立っている。なかでも「虎ノ門」エリアは平均価格が3億円を超え、10年前の約2.7倍に。「浜松町」は約3.8倍も上昇している。一方、千代田区などは価格は高いが上昇率は低いことがわかった。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

港区の新築マンション平均価格は3億円超え

マンションが立ち並ぶ港区
マンションが立ち並ぶ港区(出所:PIXTA)

 不動産経済研究所の調査によると、2024年の首都圏の新築マンションの平均価格は7,820万円。その中でも、東京23区は平均1億1,181万円と突出しており、神奈川県(6,432万円)、千葉県(5,689万円)、埼玉県(5,542万円)を大きく上回っている。
参考:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024 年のまとめ

 2025年に入ってからもこの傾向は続いており、東京23区の新築マンション平均価格は7月に1億3,532万円、8月に1億3,810万円と、1億3,000万円台が続いている。都心部では1億円を超えるのが当たり前となり、物件によっては平均価格が2億円台、3億円台に達する新築マンションも登場している。

 区別の平均価格を見てみると、LIFULL(ライフル)が運営する不動産ポータルサイト「LIFULL HOME’S」に掲載された2025年1月から5月にかけての新築マンションの平均価格を23区別に比較した調査で、もっとも高かったのは港区だった(図1)。

図1 東京23区の新築マンション平均価格トップ10

 港区の平均価格は3億5,080万円、平均㎡単価は424.3万円。専有面積70㎡の物件なら約2億9,701万円、100㎡なら約4億2,430万円、200㎡では約8億4,860万円に達する計算だ。富裕層向けに広い専有面積の物件が多く、価格の高さが際立っている

 10位の目黒区までは平均価格が1億5,000万円以上、16位の台東区までは1億円を超えていた。

 一方、23区でもっとも平均価格が低かったのは墨田区の5,060万円。平均専有面積が45.15㎡と比較的狭い。2025年前半に分譲された物件はコンパクトタイプが中心だったことが、平均価格の低さにつながったと見られる。

新築も中古も価格の高いエリアほど上昇率が大きい

 新築マンションの平均㎡単価の前年同期比を見てみると、東京23区全体では120.1%の増加。中でも港区は142.5%、中央区は139.0%と、平均価格の高いエリアほど上昇率も大きい傾向にある。

 港区や中央区などで新築マンションを購入する層は、もともと高所得者や資産家が中心であり、多少の価格上昇があっても購入意欲が衰えることはないものと思われる。

 高額マンションを販売するデベロッパーの担当者によると、「居住用として購入する場合でも、資産ポートフォリオの一環として資産価値を重視する人が多く、価格の上昇はむしろ資産価値の証拠として前向きに受け止められる」と話す。

 新築マンションの高騰に引きずられる形で、中古マンション価格の上昇も続いている。

 マンション情報サイト「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドでは、東京23区の中古マンション価格と騰落率を定期的に調査している。価格の高い都心5区(港区、千代田区、中央区、渋谷区、目黒区)における中古マンション価格(70㎡換算)の上昇率(10年前比)は、図2の通りとなっている。

図2 都心5区の中古マンション70㎡価格と10年前比の騰落率(2025年6月)

 東京23区で中古マンション価格がもっとも高いのは、新築マンションと同じく港区。2025年6月時点の70㎡換算価格は1億9,527万円。次いで千代田区が1億5,784万円、中央区が1億5,211万円となっている。

 2015年と比較した騰落率を見ると、港区が173.6%、千代田区が136.5%、中央区が150.0%と、いずれも高い伸びを示している。新築と同様に、価格帯の高いエリアほど上昇率も高くなる傾向があるようだ。

港区「虎ノ門」の中古マンション平均価格は3億円超え

 ただし、ひとくちに港区といっても、地域によって環境も価格も大きく異なる。港区内にはJR各線や京急線、地下鉄各線が縦横に走っており、最寄り駅から徒歩5分以内の物件では、価格が一気に跳ね上がる。

 一方で、芝浦・海岸・港南の一部や高輪の一部など、最寄り駅まで徒歩10分以上かかる交通機関空白エリアでは価格が比較的抑えられる。

 では、東京都の中古マンション価格上位5区のなかで、高いエリアはどこなのか。ワンノブアカインドでは、都心5区内の町名別に中古マンションの平均価格を算出し、ランキングを作成している。そのトップ10までの70㎡換算価格と、10年前からの騰落率をまとめたのが図3だ。

図3 都心5区の町名別の中古マンション70㎡価格と10年前との騰落率

 トップとなったのは港区「虎ノ門」で、70㎡換算価格は3億29万円。唯一の3億円超えとなり、10年前に比べて176.5%の上昇、つまり10年間で資産価値が約2.7倍になった計算となる。

 虎ノ門には、「虎ノ門ヒルズ森タワー」「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー」「麻布台ヒルズ」などの高層レジデンスが立ち並ぶ。

 これらはいずれも高額で取り引きされており、一般に出回らないクローズド取り引きが中心となる。富裕層向けに限定的に売買されるケースが多く、一般市場ではその実態が見えにくいのが実情だ。

【関連記事】>>虎ノ門駅(東京都)の中古マンション価格推移(10年後予想)!今後の相場は高騰する?

港区「浜松町」は10年で約3.8倍も価格が上昇

 町名別ランキングの2位は同じく港区「東新橋」で2億8,999万円、3位は千代田区「四番町」の2億7,752万円だった。

 13位の千代田区「六番町」までが2億円台。トップ10までに入った区をみると、港区が7町、千代田区が2町、渋谷区が1町。港区の強さが際立っている。

 さらに10年前との騰落率を見ても、港区の町は上昇幅が大きい。中でも「浜松町」は279.8%と、10年前の約3.8倍に資産価値が高まっている。港区「三田」までは160%以上上昇しており、港区エリアの価格上昇トレンドを象徴している。

【関連記事】>>浜松町駅(東京都)の中古マンション価格推移(10年後予想)!今後の相場は下落する?

千代田区は高額だが上昇率はゆるやか

 一方で、上昇率が低いのが千代田区の町だ。3位の四番町は127.4%、富士見は67.1%にとどまる。

 千代田区の中でも、古くから富裕層に人気の高い一番町から六番町までの「番町エリア」は、10年前、20年前の時点ですでに高価格帯に達していたため、直近10年間の価格高騰の影響を受けにくかったと考えられる。

 これに対して港区の各町は、もともとビジネス街や商業地として発展していたエリアが多い。さらに再開発事業によりタワーマンションが次々と建設され、あらためて住宅地として注目されるようになったことで、マンション価格が大きく上昇したという経緯がある。

港区は取引件数も多くなっている

 取引件数を見ても、港区の町の多さが際立っている。2025年上半期の販売件数は、価格のトップ10の中でもっとも多かったのが港区「三田」の445件。次いで「六本木」が301件、「東新橋」が261件と続く。一方で、千代田区は「四番町」が36件、「富士見」が51件にとどまり、取引件数の差は歴然だ。

 港区は高額物件が多く、一般層にとっては手が届きにくい価格帯だが、富裕層や高額所得者にとっては選択肢が豊富で魅力的なエリアといえる。一方の千代田区は、取引件数が少なく、富裕層などが購入したくても、希望条件に合う物件が見つかりにくいエリアといっていいだろう。

 超高額マンションといっても、エリアによって市場の特性や取引動向には大きな違いがあるようだ。

【関連記事】>>「三田ガーデンヒルズ」驚きの再販価格は21億円!? 新築時の3倍も上昇した理由とは? 同様の値上がりを見せたマンションも紹介

まとめ

 都心のマンション価格は、新築・中古ともに高水準を維持しており、とくに港区「虎ノ門」などは価格、上昇率、取引件数のすべてで他区を大きくリードしている。千代田区「番町」エリアはすでに成熟した高級住宅地として安定した価格を保っている。

 購入を検討する際は、「資産価値の上昇を狙うなら港区」「安定した価値を重視するなら千代田区」といったように、エリアの性格や将来性を見極めて選ぶことが重要だろう。

【関連記事】>>東京都港区の中古マンション価格推移(10年後予想)!今後の相場は高騰する?

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