首都圏の中古マンションは年収500万円でも購入可能! 価格は新築の6割でも今後は高騰して買えなくなる?

2025年12月2日公開(2025年12月1日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

新築マンションは価格の高騰とともに新規発売戸数が減少している。首都圏のマンション市場では、中古マンションが注目を浴びるようになってきている。これからマンションの購入を考えるならば、中古マンションが第一の選択肢になる時代だ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

首都圏のマンション市場では中古が9割近くを占める

 首都圏のマンション価格相場の動向をみると、2000年代当初は、年間10万戸近くの新築マンションが販売され、価格も4,000万円台と現在よりもはるかに安かった。そのため、マンション選びはまずは新築から探すという時代であった。

 しかし、最近では首都圏の新築マンション供給戸数は年間2万戸台まで減少。2024年度の首都圏の平均価格は8,135万円、東京23区では2年連続で1億円を突破し1億1,632万円となっている(※)。これでは、460万円とされている平均的な会社員の収入では、希望のエリアで物件を見つけることは極めて難しい状況だといえる。
※参考:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2024年度(2024年4 月~2025年3 月) 

 そこで注目されているのが中古マンションだ。新築の価格に比べて割安感があり、さまざまな場所でたくさんの物件が売りに出されているので、選択の幅も広くなる。新築の購入を諦めて中古に目を向ける層だけではなく、最初から中古マンションを探す人も増えているといわれる。

 そのため、今やマンション市場の主役は新築から中古に移りつつある。まず、マンション市場における流通量をみると図表1のようになっている。

図表1 首都圏マンションの流通量と新築マンションの割合

 不動産専門データバンクの東京カンテイの調査によると、年間のマンション流通量は、2021年には20万690戸。そのうち新築マンションは3万9,184戸であり、新築のシェアは19.5%と全体の2割程度を占めていた。

 それが、2024年には総戸数25万4,840戸に対して新築マンションは3万1,415戸と、12.3%まで低下しており、全体の1割強程度になっている。

中古マンションなら新築の6割程度で購入できる

 新築マンションのシェアが低い中で選択肢は限られる。ここで、首都圏の新築マンション平均価格と中古マンション成約価格の推移をみてみよう(図表2)。

図表2 首都圏新築マンション平均価格と中古マンション平均成約価格の推移

 首都圏で平均価格の8,135万円の新築を購入となると、1,000万円強の自己資金を用意し、7,000万円を金利1.0%、35年元利均等でボーナス返済なしの条件で借り入れると、毎月の返済額は19万7,599円に達する。返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を、家計の安全を考えて25%とした場合、必要年収は948万円である。

 首都圏の新築マンション購入には、1,000万円近い年収が必要になる。

中古マンションなら必要な年収が500万円台まで下がる

 次に中古マンションを見てみよう。東日本不動産流通機構のデータによると、先の図表2にあるように、2024年度の首都圏平均の成約価格は4,939万円。新築マンションのほぼ6割程度で取得できる

 1,000万円ほどの自己資金を用意し、4,000万円のローンを組むとすれば、金利1.0%、35年元利均等でボーナス返済なしの条件で借り入れると、毎月の返済額は11万2,914円。返済負担率を25%とすれば、必要年収は542万円になる。これなら、平均的な年収の人でも手が届きやすくなる。

 月々の返済額も11万円台となり、賃料をローン返済に変えれば、将来的な資産の形成にもなるので安心感が高まることになる。

中古マンションを選んだ購入の理由は

 中古マンションのメリットは価格の割安感だけではない。大手および中堅の住宅・不動産仲介会社を会員とする不動産流通経営協会では、住宅を取得した人を対象にした調査を毎年行っている。

 そのなかに、既存(中古)住宅を買った人に対して、購入理由を調査している項目がある。その結果が図表3だ。

図表3 既存住宅を購入した理由

価格が手頃で供給も豊富なため希望エリアで探しやすい

 中古住宅を購入した理由の1位は、「希望エリアの物件だったから」の67.6%。2位の「手頃な価格だったから」の62.6%を5.0ポイント上回っている。

 先にも触れたように、新築マンションの発売戸数は減少傾向にあり、競争率も高いため、簡単に手に入らないことが多い。

 それに対して中古マンションなら、多くのエリアで多数の物件のなかから選択できるというメリットがある。しかも、価格帯の幅も広く、自分たちの条件に合う物件を探しやすい。

中古マンションにも良質な物件が増えている

 とはいえ、中古マンションは古くて住みにくいのではないかという不安を感じる方も多いのではないだろうか。

 新築に比べると経過年数に応じた傷みや汚れなどが目立つようになってくるが、それも物件しだい。以前の居住者が丁寧に使っていれば、良好な状態が維持されているものもある。

 先の不動産流通経営協会の調査では中古住宅を選んだ理由として、「良質な住宅だったから」が43.4%で3位に挙がっていることから、捜しようによっては良質な状態の住宅を手に入れることができる。

 また、地震大国の日本であれば気になるのが耐震性だが、1981年以降建設のマンションなら新耐震基準で建設されている。念のため、専門家にインスペクション(建物検査)してもらうと不安も解消できるだろう。

 居室部分の専有部に関しては、最近はリフォーム、リノベーション技術が進歩しているので、価格が安くなる分、ある程度のお金をかければ、新築並みに仕上げることが可能になっている。

【関連記事】>>リフォーム一体型の住宅ローン金利ランキング【新規借入】

中古マンションの価格も年々上昇している

 しかし、中古マンションの最大のメリットである割安感がいつまでも続くものではないので、注意しておく必要がある。

 先に見たように、最近の価格の推移は、新築マンションはこの10年で5,088万円から8,135万円と、10年間で59.9%上がっている。中古マンションは2,789万円から4,939万円に77.1%も上昇。新築に比べて上昇率が大きくなっている。

 それだけ中古マンションを購入する人が増えていけば、当然、中古マンション価格を押し上げる要因となる。今後、中古マンション価格の上昇が続くと、現状では新築の6割で手に入るのが、7割、8割と上がっていくことは十分に考えられる。

 中古の最大のメリットである割安感が小さくなってしまいかねないため、購入を目指すのなら早めに動いたほうがよいかもしれない。

【関連記事】>>中古マンションの相場(購入・売却)、今後の価格推移は?

 
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