マンション価格が高騰しているという話題が、日々メディアを賑わしています。「都内でマンションを持ちたいけれど、価格が高すぎて手が出ない」。そんな声を聞くことが多い昨今ですが、戦略的な住み替えによって、一般的な年収の人でも都内マンション購入への道筋をつけることは可能です。いきなり都心一等地のマンションを買うのではなく、資産性の高い中古物件を購入し住み替えることで、無理なく資産を築き上げていく。都心マンション購入までの現実的なロードマップを考えてみたいと思います。(一心エステート株式会社代表取締役:高田一洋)

高騰する都心マンション市場で有効な住み替え戦略
2025年の東京23区新築マンションの平均価格は1億円を超え
(※
東京都は転入超過の状態で人口が増え続け、
こうした状況では、今すぐに都内のマンションを買えなくても、手が届く範囲の資産性の高い中古マンションを購入し、住み替えを何度かして最終的に都内のマンションを手に入れる購入戦略が重要になってきます。
20代後半から始める「住み替えロードマップ」
では、住み替えを前提とした中古マンション購入について、いつから動き始めるべきなのか。私のおすすめは、ずばり20代後半です。大学卒業後、2〜3年の社会人経験があれば住宅ローンは通りますので、25〜26歳頃から、1件目の購入は積極的に進めるべきでしょう。
現在の日本には、世界に類を見ない低金利の住宅ローン制度があります。NISAなどの投資だけでなく、マンション購入による資産形成も若ければ若いほど効果は高くなります。のちほど解説しますが、20代後半の方ですと1LDKのマンション購入がおすすめです。
では、実際に住み替えロードマップの具体的な流れを考えていきましょう。ゴールを都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)のタワーマンション購入と設定すると、私の試算では、3~4回の住み替えで購入できる可能性が高まると想定しています。
1件目:20代後半、40㎡の1LDK(4000万円以内)
1件目の物件は、以下が目安となります。
エリア | 横浜、大宮、船橋、千葉、吉祥寺、三鷹 |
駅徒歩 | 10分以内 |
築年数 | 10年前後 |
広さ | 40㎡ |
間取り | 1LDK |
価格 | 4000万円以内 |
最初の物件は、必然的に1LDKになるでしょう。重要なのは、売却時によい金額で売れるかどうかです。
また、付け加えるなら、賃貸需要が確実に見込めるエリアを選ぶことです。これは、将来的な住み替えのタイミングで売却の他に、賃貸として貸すなどの選択肢も考慮するためです。治安などの細かい条件よりも、人が集まる繁華街の近くで賃貸ニーズが高い場所を優先することをおすすめします。

具体的なエリアとしては、横浜、大宮、船橋、千葉、吉祥寺、三鷹といった副都心機能を持つ衛星都市駅とその周辺の駅です。
築年数は、10年を目安にしてください。エリアの優位性と築年数は反比例の関係にあります。駅から近い良いエリアなら多少古くても問題ありませんが、立地が劣る場合は新しくなければ厳しいです。
駅距離と築年数のどちらを優先するかといえば、基本的には築年数を重視してほしいところです。ただし、駅徒歩10分以内という条件は外してはいけません。
物件価格と居住期間
住宅ローンは、年収の8倍程度が現実的な借入限度額です。新卒3年目の年収が400万円と仮定すると、8倍の3200万円の物件ということになります。親の援助などを含めても、3500万~4000万円が物件価格の目安になるでしょう。上記エリアなら、十分目当ての物件が見つかる価格です。
ちなみに、3500万円を金利1%で35年借りた場合、月々の返済額は約10万円。23区の単身者向け賃貸物件の賃料が10万円を超えたという報道がありました。それと比べても妥当な負担といえるでしょう。
居住期間は5〜7年程度を想定しています。結婚、出産、2人目の誕生といったライフイベントは、おおむね5年スパンで起こることが多いといわれています。そのため、30代半ばには住み替えることを念頭に置いておきましょう。
1件目の住み替えでどれくらいの利益を見込む?
5年後の売却を前提とした場合、私は1000万〜1500万円程度の売却益(価格上昇+残債減)を目安としてお話しすることが多いです。
40㎡(約12.1坪)の物件で1000万円の利益を出すには、年間で坪単価が16万円程度上昇すれば達成できる計算になります。過去の東京圏の価格推移を見れば、決して非現実的な数字ではありません。だからこそ、資産性の高い物件を選ぶことが重要なのです。
2件目:30代中盤、55~60㎡の2LDK(7000万~9000万円)
2件目の物件の目安について見ていきましょう。
エリア | 衛星都市~23区周縁エリア |
駅徒歩 | 10分以内 |
築年数 | 10年前後 |
広さ | 55~60㎡ |
間取り | 2LDK |
価格 | 7000万~9000万円 |
1件目の物件で1000万円の売却益が出たと仮定して、30代半ばでは55〜60㎡の2LDKで7000万〜9000万円の物件を狙います。この年齢になると、結婚や1人目の出産などで、1LDKでは手狭になっているはずです。

エリアは衛星都市から、山手線の一回り外側(世田谷区の外縁部や北区、墨田区、足立区など)まで範囲を広げることができるでしょう。
1000万円を頭金として、残りの7000万~9000万円を夫婦のペアローンで借り入れた場合(金利1%)、月々の返済額は約20万~25万円となり予算内に収まるのではないでしょうか。
この55~60㎡サイズのマンションは、居住用として需要の高い広さです。そのため、5年後の売却においても物件選びさえ間違わなければ、十分に利益を出すことができます。23区の周縁で駅近の築浅物件であれば、2000万円の売却益を出すことも十分に狙えます。
3件目:40代、70㎡の3LDK(1億円前後)
3件目の物件は、下記が目安となります。
エリア | 23区(都心以外) |
駅徒歩 | 10分以内 |
築年数 | 10年前後 |
広さ | 70㎡ |
間取り | 3LDK |
価格 | 9000万~1億円強 |
40代になれば70㎡、3LDKで1億円前後の物件に住み替えます。子どもが大きくなり、自分の部屋が必要になったり、2人目の子どもが生まれたりと、住まいに広さが必要になる頃です。
この段階で資産的にも都心に近づくことができるでしょう。都心6区以外の地域、中野区や品川区、江東区などがターゲットになります。
仮に、売却益2000万円を1億円の頭金に充当すれば、毎月のローン負担はこれまでと同程度の約22.5万円です。広さの必要な期間は、だいたい10年前後だと思いますので、10年後の売却を見据えて購入する物件を選定していきます。
この先の不動産市況を鑑みれば、1億円のマンションは住み替え時に1億5000万円になっている可能性もあります。そのためには、リセールが利く資産性の高いマンションを選ぶことが重要なのです。
4件目:40代後半~、都心6区のタワーマンション(~1億7000万円)
そして最後の住み替えは、都心6区のタワーマンションです。予算は上限1億7000万円が無理のない範囲だと思います。

現在、都心6区のタワーマンションは高騰し、中古でも2億円、3億円といった価格が珍しくありません。ですが、探せば予算内で購入できるタワーマンションはあります。
住み替えで得た売却益を充当すれば、物件価格は1億円を切るケースもあり、仮に1億円を1%の35年ローンで借り入れた場合、毎月の支払い額は28万円台。40代後半から50代は、人生において最も給与が高い年代でもあることから、決して非現実的な金額ではありません。
何よりも、都心6区のタワーマンションを取得できれば、数年でさらに価格が上昇している可能性もあり、老後の住まいの選択に幅が広がるでしょう。
住み替えを阻むわなと成功のポイント
このように上手な住み替えを紹介してきましたが、これはあくまでも理想のロードマップです。住み替えが困難になる要因はいくつかあります。
例えば、保育園、小学校、病院、習い事など、地域に根ざした生活基盤ができ上がってしまい、住まいを移せなくなるという理由です。
そのため、最初のエリア選択では、多様な選択肢がそろっている都市を選ぶことが重要です。千葉駅から少し離れると選択肢がなくなる、横浜駅から南下すると同様の状況になる、といった具合に、エリアによっては将来の選択肢が大きく制限されてしまう場合があります。
また、多くの人が陥りがちなわなとして、広さを求めてしまうことが挙げられます。カップルで3LDKの広さが必要でしょうか。多くの方は、必要ではありませんよね。「将来子供が生まれたときのために」「大は小を兼ねる」という考えが頭にありますが、過ぎたるは及ばざるがごとしです。使わない部屋は在庫でしかありません。
今まさに必要な広さと間取りに絞って住み替えを進める。これが、軽やかな住み替えを実現するコツなのです。
また、定期的に自身のマンションがいくらなのかを把握しておくことも大切です。年に一度、不動産の情報収集(査定など)を行い、現在の資産価値を把握しておきましょう。市場価格の変動を常に意識していれば、最適な売却タイミングを逃すことはありません。
まとめ
冒頭でもお伝えしたとおり、東京23区の新築マンション価格は、建築費の高騰や土地不足などにより価格上昇が継続的に見込まれています。新築価格に引っ張られる形で、23区中古マンション価格も最高値を更新し、上がり続けています。
こうした局面で「最後の低金利で、買い時かもしれない」と考える派と「価格が高すぎるからもう少し賃貸で」と考える様子見派の二極化が進んでいるといえるでしょう。
一生そこに住む前提で考えてしまうと、完璧を求めすぎて動けなくなってしまいます。しかし、5〜7年で次のステップに進むという考え方なら、「現在必要な条件を満たしていれば十分」という判断ができます。
不動産価格上昇・経済成長に比例して、収入が上がり、住宅ローン借入金額が増加していることや、結婚後、夫婦でペアローンを活用すること、住み替えられる状況の維持など、前提条件は多々ありますが、自身の住み替えロードマップを描きながら、自分に合ったライフスタイルで適切なサイズの住まいを確保していく。これが、現代の賢い住宅購入術だと思います。
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対応物件 | マンション、戸建て、土地 |
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対応物件 | マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所 |
紹介会社数 | 最大6社 |
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対応物件 | マンション、戸建て、土地、一棟マンション、一棟ビル |
紹介会社数 | 最大6社 |
運営会社 | ウェブクルー |
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◆イエウール | |
特徴 |
・掲載企業一覧を掲載、各社のアピールポイントも閲覧可能 |
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対応物件 | マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地 |
紹介会社数 | 最大6社 |
運営会社 | Speee |
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◆LIFULL HOME'S(ライフルホームズ) | |
特徴 |
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対応物件 | マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件 |
紹介会社数 | 最大6社 |
運営会社 | LIFULL(東証プライム) |
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◆マンションナビ | |
特徴 |
・マンションの売却に特化 |
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対応物件 | マンション |
紹介会社数 | 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社) |
運営会社 | マンションリサーチ |
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◆いえカツLIFE | |
特徴 |
・対応可能な不動産の種類がトップクラス ・共有持ち分でも相談可能 |
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対応物件 | 分譲マンション、一戸建て、土地、一棟アパート・マンション・ビル、投資マンション、区分所有ビル(1室)、店舗、工場、倉庫、農地、再建築不可物件、借地権、底地権 |
紹介会社数 | 最大6社(売買2社、買取2社、リースバック2社) |
運営会社 | サムライ・アドウェイズ(上場子会社) |
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一括査定サイトと合わせて
利用したい査定サイト!
◆ソニーグループの「SRE不動産」売却査定 | |
特徴 | ・両手仲介・囲い込みを行わない ・上場企業のソニーグループが運営 ・売却専門の担当者がマンツーマンで高値売却を追求 |
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対応物件 | マンション、戸建て、土地(建物付きを含む)、収益用不動産 |
対応エリア | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県 |
運営会社 | SREホールディングス株式会社(ソニーグループ) |
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