どうせマンションを買うのなら、居住性に優れているだけではなく、将来の資産価値上昇が期待できるエリアで購入したいもの。その資産価値を決定するのは、物件個別の条件もさることながら、何をおいても立地が重要。どこのマンションを購入するかで、将来の資産価値が大きく左右されるのだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
都心部のマンションは資産価値の上昇が期待できるが、価格も高額
マンションの資産価値の上昇が期待できるエリアといえば、何より東京圏などの大都市部、それも都心や都心に近い場所ほど値上がりが期待できると考える人が多いだろう。
たしかに、10年前の分譲価格と現在の中古マンションとしての取引価格を比較したリセールバリュー調査(東京カンテイ調べ)によると、2022年の首都圏のリセールバリューの平均は132.5%だった。
平均すると10年間で3割程度上がっており、なかでも都心やその周辺部では2倍前後に上がっているエリアが少なくない。
駅別にみると、東京メトロ南北線の「六本木一丁目」駅のリセールバリューは251.6%で、10年間で何と3.5倍に上がっている。そのほか山手線の内側を中心とする都心部では、リセールバリューが150%以上といったエリアが多い。
しかし、残念ながらこうしたリセールバリューの高いエリアは、価格相場が高い。「六本木一丁目」駅の2022年の平均坪単価は1216.7万円だから、20坪、約66㎡のマンションだと約2億6000万円に達する。一般的な年収の会社員ではとても手が届かない。
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大都市圏の郊外エリアは資産価値低下のリスクも
だったら、価格の安い郊外エリアのマンションを買えばいいのではということになるが、都心から離れれば離れるほどリセールバリューが低下するのが現実だ。
首都圏全体では10年間で3割程度の上昇だが、首都圏でも遠隔地になるとリセールバリューが100%以下、つまり資産価値が10年前に比べると低下しているエリアがある。
たとえば、北は埼玉県のさいたま市大宮区以北、西は東京都の立川市以西、南は神奈川県の横浜市栄区以南、東は千葉県の千葉市緑区以東などに低下エリアがある。
こうしたエリアでマンションを購入して、将来的な値上がりを期待するとガッカリすることになりかねない。
だったら、郊外ではなく、東京圏からの脱出を考えてみてはどうだろうか。全国の都道府県単位で考えると、実は三大都市圏以上にマンション価格が上昇している県があるのだ。
テレワークが可能な仕事に就いている人であれば、必ずしも東京圏などにこだわる必要はないし、広く全国を対象にマンションの購入を考えてみてはどうだろうか。
福井県の中古マンション価格は10年間で1.8倍になった
図表1をご覧いただきたい。これは、マンション情報サイト「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドが、全国都道府県の中古マンションの70㎡換算価格を算出、10年前の2013年7月と、2023年7月との騰落率(上昇率)をランキング化し、そのベスト10を示したものだ。
図表1 都道府県別の中古マンション騰落率ランキングベスト10
10年間でマンション価格が最も上がったのは、実は大都市圏の都府県ではなく、トップは福井県で、騰落率は83.8%となっている。つまり、10年間で中古マンション価格が1.8倍も上がっているわけだ。
2位は新潟県の71.7%で、3位には大阪府が入っているが、4位には沖縄県が続いている。5位は東京都だが、ベスト10の顔ぶれをみると、福岡県、北海道、石川県などの三大都市圏以外の県が少なくない。
福井県ならファミリータイプが3000万円以下で買える
地方のマンションでもエリアを選べば、十分に資産価値の向上が期待できるわけだが、そうしたエリアでマンションを買うことのメリットはそれ以外にもさまざまに考えられる。
何より、地方ならマンション価格、住宅価格が安くてゆとりを持って生活できる点が第一だろう。価格が安い分、広めの住まいを手に入れることができ、自宅で仕事をするスペースを確保しやすい。加えて大都市圏に比べて自然に恵まれ、のびのびと子育てできるなどのメリットがある。
たとえば10年間の騰落率トップの福井県の中古マンション相場をライフルホームズのデータでみると、2LDK~3LDKが2146万円で、3LDK~4LDKが2524万円となっている。
県庁所在地の福井市ではやや高くなるが、それでも2LDK~3LDKが2249万円、3LDK~4LDKが2738万円だ。
福井県ならローン返済額が5万円台ですむ可能性も
福井市の3LDK~4LDKは2738万円だから、全額ローンを組んだとしても、35年元利均等・ボーナス返済なし、金利0.375%で利用すると、毎月返済額は6万9572円ですむ。
738万円の自己資金を用意すれば、2000万円の住宅ローンになって、毎月返済額は5万819円にダウンする。大都市部の賃貸住まいの人であれば、これ以上の家賃を支払っている人も少なくないだろう。
それに対して、東日本不動産流通機構によると、首都圏中古マンションの2022年度の成約価格の平均は4343万円だ。
上と同じ条件で全額ローンを組むと、毎月返済額は11万355円。343万円の自己資金で、借入額を4000万円に減らしたとしても、毎月返済額は10万1639円と10万円台になってしまう。首都圏では福井県で購入する場合に比べると、返済額はおおむね2倍になる計算だ。
ローン返済額にこれだけの差がある上、地方都市だと各種の物価や生活費が安くなるはずだから、東京圏に比べてかなりゆとりをもって生活できるようになるのではないだろうか。
地方企業に勤めると給与が安くなる可能性があるが、テレワークで東京の会社に勤務できれば、東京の給与水準のまま地方の物価で生活できるわけだから、ゆとり度が一段と高くなるだろう。
しかも福井県は、北陸新幹線の敦賀までの開業が2024年3月に迫っているというメリットがある。新幹線で東京と直結することになり、東京から福井までは2時間51分、東京・敦賀間が3時間8分になる。新幹線開業で地価や不動産価格の上昇も期待できる。在宅勤務中心で、たまに東京の本社に出社するのもかなり便利になりそうだ。
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山形県の中古マンション価格は10年間で26.9%下落
しかし、選択を誤ると資産価値の上昇がさほど期待できない県もあるので注意が必要だ。
図表2は、先のマンションレビューのランキングから、10年間の騰落率が低かったワースト10を示している。上昇率が低いといっても、青森県は20.9%の上昇とそれでも10年間で2割上がっている。
図表2 都道府県別の中古マンション騰落率ランキングワースト10
しかし、山形県だけはマイナス。下落幅も-26.9%とかなり大きくなっているので要注意だ。山形県では、2020年1月には地元老舗百貨店が経営破綻、閉鎖され、全国で唯一の「百貨店ゼロ」の県となった。
中心市街地の活気が乏しくなり、マンションの資産価値も低下しているわけだ。そのほか、騰落率がプラスでも一桁台の県もあるので注意しておきたい。
コロナ以降、東京圏からの転出者が増加傾向
このように一部には例外があるが、地方にマンションを買っても東京圏並みかそれ以上の資産価値の上昇が期待できる県があるのは間違いない。
また、東京圏からの地方への転出者数が増加傾向にある。総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告 2022年(令和4年)結果」によると、コロナ禍以前の2017年、2018年は東京圏からの転出者数は35万人台だったが、コロナ禍が発生した2020年には36万人台に増え、2021年、2022年も36万人台が続いている。
東京圏のなかでも、東京都から周辺3県への転出が増えているといわれているが、それと同時に思い切って地方圏に移住する人が少なくないといわれている。
企業によっては、地方へ移住する場合、たまの東京本社への出社については、飛行機代や新幹線代を補助するといったケースも登場しているし、現在はそうした制度のない企業でも、いずれ制度が充実するかもしれない。
この際、地方でのマンション購入を考えてみてもいいのではないだろうか。
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東京そのほか
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対応物件 | マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件 |
紹介会社数 | 最大6社 |
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対応物件 | マンション |
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対応エリア | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県 |
運営会社 | SREホールディングス株式会社(ソニーグループ) |
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