中古マンション購入の成否は内覧にあり! 実際に見学して分かった「日当たり良好物件」の落とし穴とは

2025年8月6日公開(2025年8月5日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

中古マンション購入で成否のカギを握るのが「内覧」。営業担当者の話を聞くだけで、なんとなく内覧を終えてしまう人も多いはず。価格や間取りはネットで調べられても、においなど感覚的なものは、実際に現地に行き内覧をしないとわからない。今回は、初心者のための失敗しない内覧チェックポイントなどをわかりやすく紹介する。

中古マンションの内覧初心者は「空き室」の物件から始めよう

中古マンションの内覧初心者には空き室の見学がおすすめ
中古マンションの内覧初心者には空き室の見学がおすすめ(出所:PIXTA)

 まず、チラシやネットで気になる物件を見つけたときは、該当する部屋が居住中なのか、空き室なのかを確認しよう。物件情報の「状況」などの項目に「居住中」「空き室」のどちらかの記載があるはずだ。

 中古マンションでは、所有者がまだ該当物件に住んでいる「居住中」のケースが多いが、内覧初心者は「空き室」を選ぶことをおすすめする。

 同じマンション内に空き室の売却物件がある場合、希望する部屋ではなくても、先に空き室を内覧するのも手だ。その際、専有部以外の共用部をしっかりと見学し、合格点かどうかを判断しよう。

 居住中物件の場合、住人立ち会いのもとでの内覧となることが多く、実際に室内を見られる範囲は限られてくる

 部屋に家具などが置いてあるため、壁や床の状態は検分できない。また、クローゼットの中を見ることもはばかられる。居住中物件を内覧する場合は、遠慮せずに隅々まで見せてもらうという強い気持ちが必要になってくる。

「共用部」の内覧チェックポイント

 不動産会社の物件担当者と内覧する場合、室内に入る前に建物の外観や共用部を見てまわることが多い。比較的新しいマンションの場合、まずは最新の共用施設を見てほしいという気持ちが担当者にはある。

 とくにチェックしておきたい共用部は下記の4点だ。

  • ・エントランスやエレベーター前が清掃されているか
  • ・ゴミ置き場のルールが守られているか
  • ・掲示板にどのような「お知らせ」が掲示されているか
  • ・駐輪場の自転車はきれいに収まっているか

 これらの様子から、住民のモラル感や管理組合の機能が見えてくる。ゴミ置き場のルールが守られていない、掲示板にクレームに関するものが多い場合は要注意である。

【関連記事】>>駐車場やゴミ置き場から住人のマナーや管理状態が分かる! 中古マンション購入前に確認しておきたい共用部とは

「専有部」の内覧チェックポイント

 リビングや水回りなどの専有部を内覧するときのポイントを見ていこう。

リビング・寝室のチェックポイント

  • ・壁クロスの剝がれや浮きがないか
  • ・天井に雨漏りのシミ、窓の結露はないか
  • ・カビやペットの臭いはしないか
  • ・日差しはどの程度あるか
  • ・窓を開けて風通しをチェック
  • ・窓からの眺望、隣家との距離や開放感はあるか
  • ・窓をあけて、外部からの騒音を確認
  • ・収納の数やサイズは足りているか
  • ・コンセントの位置と数

 室内のチェックで忘れがちになるのが臭いの確認だ。カビやペットなどの臭いは現場でしか確認できない重要なポイントである。

 もうひとつ重要なのが音の確認。周辺の騒音に関しては、幹線道路や鉄道の線路が近い場合はとくに注意が必要だ。「昼間は静かだと思ったが、じつは隣が深夜営業の飲食店だった」というような落とし穴もある

 一方、マンションでは上下左右の部屋の音も気になるところだが、これは内覧で確認することはかなり難しい。

水回りのチェックポイント

  • ・キッチン、浴室、洗面台、トイレの水栓を開けて、水の出を確認
  • ・換気扇は実際に作動させて音や臭いを確認
  • ・リフォームの有無、機器の交換記録を確認

 水回りはとくにリフォーム費用がかさむ場所のため、状態の良し悪しの確認は購入判断や値段交渉に直結するポイントになる。

 リフォーム済みの物件の場合、具体的なリフォーム部分を営業担当者に聞いてみよう。ビフォーアフターの記録や資料があるかどうかはかならず確認すること。

 マンションによっては給排水管が共用部と専有部にあるケースがある。専有部にある場合は、リフォームの際に追加費用がかかることがあるので、ここも確認しておきたい。

 古い換気扇は換気能力が低く、動作していても臭いが抜けていない場合がある。レンジ周りで異臭がしないかもかならずチェックしよう。

内覧時に見落としがちなチェックポイントは?

 専有部や共用部以外にもチェックしておきたい重要なポイントがある。

「管理・修繕」の確認

 建物の管理・修繕については、内覧時に営業担当者にしっかり確認しよう。 

  • ・修繕履歴(大規模修繕の実施年と主な内容)
  • ・今後の長期計画がたっているか、資金は足りているか(修繕積立金の値上げの可能性はあるか)
  • ・マンションの管理会社と管理体制

 最低限聞いておきたいことは、大規模修繕の時期と修繕積立金の資金計画だ。資金計画については、過去の大規模修繕時に100万円など一時金の出費がなかったか、また今後の資金計画で一時金の予定はあるかを確認しておきたい。合わせて、大規模修繕時に大規模修繕ローンを金融機関から借りていないかもチェックしておこう。

 マンションの修繕積立金の徴収方法は、「段階増額積立方式」と「均等積立方式」がある。段階増額方式は、新築時の負担を抑えるために入居当初は低額から始め、5年後、10年後など段階的に引き上げる方式だ。均等積立方式は当初から一定額を積み立て続ける方式で、初期負担はやや高めだが、将来の急な値上げがなく、長期的な資金計画が立てやすい特徴がある。

 最近では、この「均等積立方式」をとるマンションが増えているが、中古マンションでは、「段階増額積立方式」を採用しているケースが多い。近く値上げを予定していても知らされない場合があるので、注意したい。

【関連記事】>>マンションの修繕積立金は10倍増額されるケースも! 資金不足で劣化リスクを抱える建物が増えている

周辺環境と街の雰囲気を歩いてチェック

 周辺環境も暮らしやすさに直結する。とくに注意したい点は以下の3点だ。

  • ・最寄り駅までの所要時間、また道の平坦さや街灯の有無を確認
  • ・スーパー、ドラッグストア、病院は近くにあるか
  • ・昼と夜の雰囲気の違い

 とくにスーパーなど日常の買い物環境は大切なので、しっかりチェックしたい。街の雰囲気が自分のライフスタイルに合うかは、歩いて確かめるのが一番だ。子育て中の家庭は保育園や学校の距離と評判も調べてみよう。

【関連記事】>>中古マンション購入のリスク3選! 新築高騰の今、見逃せない落とし穴を解説

実際に中古マンション「パークタワー勝どき」を内覧

 今回は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅直結のツインタワーマンション「パークタワー勝どき」を実際に内覧した。

「パークタワー勝どき」(筆者撮影)
  • 完成:2023年8月
  • 東京都中央区勝どき4丁目5−16
  • 〈ミッド〉45階建て 1121戸 勝どき駅徒歩1分(駅直結)
  • 〈サウス〉58階建て 1665戸 勝どき駅徒歩2分

 まずは内覧する部屋を指定し、2つの不動産会社に連絡をした。1社はメールで見学希望を、もう1社は電話で話を聞いた。

 共通していたのは、すぐに詳細な物件情報がメールで送られてきたこと。希望に近い他物件の情報も含まれており、比較検討するには役立つ。

 空き室と居住中物件の両方に内覧希望をしたが、居住中の部屋は居住者と調整がつかず、希望の日程での内覧はできなかった。一方、空き室は比較的すんなりと日程が決まった。

 パークタワー勝どきは築2年の物件なので、室内のチェックポイントについてとくに気になる点はなかった。しかし、実際の内覧は営業担当者の説明を受けながらになるため、チェックリストを持参して、項目をチェックしながら進めていく必要性を感じた

 共用施設については、スタディルームやカンファレンスルームなど、自宅マンションで快適に仕事をするスペースが充実している。

「パークタワー勝どき」のカンファレンスルーム(画像:公式サイト

実際に内覧してわかった予想外のリスク

 想像と違ったのは、日当たり。昨今の夏場の異常気象は、日当たりの良さが逆にリスクになる。内覧した南西向きの部屋は、日当たりをウリにした物件ではあったが、エアコンが稼働していても西日のあたる夕方は、かなり暑さを感じる。

 冬の寒さは、ある程度築年数が経ったマンションであっても、気密性が高いため問題になることはほとんどない。

 これから購入を考えている人は、夏に気温が上がりやすい南向きと西向きの部屋の日当たりはしっかりチェックする必要がある。とくに、ベランダのないタイプで窓が外部に接している部屋は、室内が高温になりやすい。

まとめ

 中古マンションの内覧に際して、とくに意識したいのは以下の3点だ。

  • ・掲示板が整っていて清掃も行き届いているか
  • ・図面ではわからない日当たり、音、風通し、臭いは問題ないか
  • ・日常生活に必要な施設への距離や所要時間を確認する

 「マンションは立地と管理」と言われる。最低限、掲示板と清掃状態で住民のモラル感や管理の状況を自分の目で確認しよう。

 また、昨今の異常気象や災害に備え、ライフラインに直結する施設までの距離は以前にもまして重要になっている。

 マンションに直結していればよいが、徒歩圏内にある避難場所や施設が必須条件と言えるだろう。建物が1981年以降の「新耐震基準」に適合しているかも確認しておきたい。

 内覧は、物件購入前の最大のイベントといえる。準備をするのとしないのとでは大きな違いが出ることを知っておこう。

【関連記事】>>東京都の中古マンションランキング・トップ100! 価格と値上がり率が高い物件は?

 
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