マンション購入のカギは、将来売却するときの資産価値「リセール指数」にあり! 書籍『住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術』<最終回>

【第3回】2025年7月1日公開(2025年7月1日更新)
高田一洋:一心エステート株式会社代表取締役CEO

将来価格が上がる資産性の高いマンションを購入したい場合、どのように選べばいいのでしょうか。マンション売買のプロである筆者が考案した、売却時の資産価値を表す「リセール指数」について解説します。検討中のマンションを見極めるための指標として、参考にしてください。【一心エステート株式会社代表取締役 高田一洋 著:書籍『住んでよし、売って良よし、貸してよし。高級マンション超活用術 不動産は「リセール指数」で買いなさい』(みらいパブリッシング)から一部転載】<第1回はこちら><第2回はこちら

マンション売却時の資産価値を表す「リセール指数」

マンションは売却するときの資産価値を測るのが大事
マンション購入の具体的な指標となる「リセール指数」(出所:PIXTA)

 今回は「リセール指数」という考え方についてお話していきます。「リセール指数」とは、取得した物件を再び売却する際の資産価値を表すオリジナルの言葉です。

 「リセール指数」が低いほど値崩れしやすく、高いほど売却益が多く見込めます。「リセール指数」の高い高級マンションを選ぶことが、「住み替え長者」になる秘訣です。

 ビジネスの世界には逆算思考というものがあります。逆算思考とは、ゴールを起点にタスクを決める考え方のことで、多くの成功者だけでなく、スポーツ選手の間でも活用される自分の目標を確実に達成するための思考法です。

 この逆算思考は、実は不動産で成功している富裕層も共通の認識としてもっています。ライフステージが変わることで住み替えを検討するとき、現在の家を売却する、あるいは、保有して賃貸にする、という選択肢が発生します。

 ですが、売却の場合、どうしても売りにくい物件が存在します。例えば、広すぎて販売価格そのものが高くなったり、古すぎてリフォーム費用がかさみ、売値を上げざるを得なくなったりして、買い手側に割高感を与えてしまう家です。

 たとえ高級マンションでも、中古マンションで価格が高すぎると、それだけで購入を検討するお客さまの層は狭くなってしまいます。また、駅から徒歩15分以上やバスを利用しないといけないエリア、都市部へのアクセスのよくない駅など、不便な場所にある物件もなかなか買い手がつきません。

 売れたとしても、思い通りの価格では売れない可能性が高いでしょう。売却が難航すると、住み替えのための資金調達が難しくなってしまいます。しかし、不動産の成功者たちは逆算思考を使って、住み替えによる売却というゴールを想定して逆算し、買うべき物件を探しています。

「リセール指数」が高くなるマンション5原則

 では、そのような物件を、どう探せばいいのか。その際、私が基準としてお伝えしているのが「リセール指数」です。これは私が10年以上、不動産会社に在籍し、東京都心の高額不動産の売買・賃貸仲介の実績を積み上げてきたなかで編み出した、売却を前提とした優良物件を見極める評価スコアです。

 私自身、3回の住み替えを行い、すべて売却益、賃貸利益を出しています。その後、さらなる理想を追求するために独立しました。「リセール指数」を使ってお客さまのライフステージに合わせた住み替えを提案してきた結果、渋谷区、港区、目黒区エリアで「友人・知人に紹介したい不動産会社ナンバーワン」に選ばれるようになりました。

 「リセール指数」は、「売却益×売りやすさ・貸しやすさ×値上がり率」で決まります。

・10年後、20年後に売ったときに値上がりする物件か?
・売りたいときにすぐ買い手がつくか?
・20年後も高く貸せるか?
・借主が退去しても次がすぐに決まるか?

 これらを評価して、表に点数を入れ、点数の高い、つまり「リセール指数」の高い物件を検討していきます。リセール指数がアップする5原則は次の通りです。

1. エリアの優位性

 交通の利便性が高いこと。特に、都市部へのアクセスがよいこと。

2. 立地の優位性

 駅に近い、商業施設がある、再開発エリアであるなど。それによって土地の価値が高いこと。

3. ブランドの優位性

 知名度が高く、エリアを代表するマンションであること。東京でいえば、白金、青山、表参道、六本木、広尾など、誰もが知っているブランド価値の高い住居表示をもっていること。

4. 眺望の優位性

 オーシャンビュー、緑に囲まれている、公園のすぐ近く、富士山や東京スカイツリー、東京タワーが見えるなど、ほかの建物に邪魔されることなく眺望がよいこと。

5. スペックの優位性

 広さ、築年数、総戸数、部屋のきれいさ、豪華なエントランスやゲストハウスなど共有部の設備やサービスが充実、コンシェルジュが常駐しているなど。

 これらのポイントが含まれていると、「リセール指数」の評価が上がります。不動産成功者は、「リセール指数」の高い「お金持ちマンション」を選びます。みなさんもこの「リセール指数」を基準に住居を選び、住み替え長者になってください。

「リセール指数」は、どう算定する?

 前項でお伝えしたように、「リセール指数」は、「売却益×売りやすさ×値上がり率」で決まります。まず、「売却益」「売りやすさ」「値上がり率」について一つずつ解説します。

売却益

 売却益は、残債との相関関係でみていきます。まず、仮に8000万円で購入した築5年の物件で、住宅ローンを8000万円で組んだ場合の10年後の残債を計算してみましょう。

 ローン期間は35年、金利0.525%で、2023年7月に返済をスタートしたとします。10年後の2033年7月時点での残債は、5862万2007円で、10年間で26.7%、4分の1以上返済している計算になります。

 今の日本は驚くほどの低金利なので、住宅ローンの残債もかなり少なくなっている印象を受けると思います。次に、8000万円の物件が10年後にどうなっているかを予測します。

 私がよく参考にするのは、ライフルホームズが提供しているWebサービス「プライスマップ」です。620万戸以上のマンションの参考価格を公開しているサイトで、同じエリア内の築15年のマンション価格を見ると、今とどれぐらいの価格差が出るか見込みが立つと思います。1カ所だけでは不安ですから、5~10カ所調べて平均価格を出すのもいいでしょう。(※相場は10年間横ばいと仮定)

 そして、売れそうな金額からローンの残債を引いてプラスになるか、マイナスになるか計算します。例えば、8000万円で買ったマンションが10年後に7500万円で売れる見込みなら、5860万円を引いて1600万円以上のプラスになります。それが売却益の目論見です。【予想売価ーローンの残債】で、より利益の高い物件を選ぶことが大切です。

 また、人に貸した場合の賃料も相場を調べて計算してみることをおすすめします。月額30万円が相場だとしたら、礼金(敷金)・更新料などを入れて、年間に入る家賃はだいたい12~12.5カ月分ですから1年で360万円、10年で3600万円の家賃収入が得られる計算です。

売りやすさ

 売却益に対して、売りやすさは10年後の換金性、希少性を考慮します。売りたいときにすぐに買い手がつく前提としては、エリア(人が集まる場所)や立地(駅から近い・複数路線のターミナル駅)のよいことが最上位ですが、広さや居住の快適性、日常生活の利便性、生活環境などが大きくかかわってきます。

 注目すべきは広さです。日本では70㎡前後の広さの物件数が一般的です。もちろん人によって快適な広さは違います。しかし、あくまで「リセール指数」の観点でいうと、いわゆるファミリータイプの70㎡の3LDKは世の中にあふれているので、ほかの㎡数の物件と比較して低いと考えた方がよいといえます。

中古マンションのリセールバリュー
出所:不動産マーケット情報(三井住友トラスト不動産)

 上のグラフを見ると、80㎡台、100㎡以上になると絶対数が少ないこともあって「リセール指数」が高く、最も高いのは50㎡台であることがわかります。生活の利便性も売りやすさに直結します。教育施設、商業施設、ランドマーク的な施設など、日々の生活利便性が高い施設が近くにあると売りやすいといえます。

 また、マンションの1階にスーパーや飲食店、医療機関が入っている、住戸が上層階の角部屋、リフォーム済みであるなど、ほかのマンションの住戸と比較して売りやすい魅力があるかどうかもポイントです。

 その逆で、スーパー、コンビニが近くにない、小学校・中学校が近くにない物件は、買い手を探しづらいことが多いので要注意です。そのほか、ある程度の戸数があると、管理費・修繕費が抑えられる傾向にあったり、共用施設が充実していたりするので、競合優位性があるといえます。

 これらは賃貸に出す場合にも、「貸しやすい」「退去してもすぐに次の借り手がつきやすい」という点で重要なポイントになります。

値上がり率

 三つ目の値上がり率は、将来的に繁栄する場所なのかを見極めるのがポイントです。RESAS(地域経済分析システム)などを参考に、人口が集まる場所・沿線を選ぶのが第一優先ですが、ほかにも大規模な開発があるか、再開発地域か、新駅・商業施設・オフィスビルなど大規模な施設が近くにあるか、といった観点で物件を見定めることが大切です。

 前回の記事でも解説しましたが、「地域名 再開発」で検索すると、大規模な再開発事業が計画されているかどうかだけでなく、新駅計画、都市計画道路もすべてぶら下がって出てきます。

 また、東京カンテイの「価格天気図」を見ると、全国の中古マンションの価格動向がお天気マークでわかりやすく表現され、継続的にウォッチすることで価格の上がり下がりが理解しやすくなると思います。

 不動産のプロが参考にするサイトなので、正しい情報が得られるはずです。よければ参考にしてみてください。需要に対して供給が少ないほど選ばれる確率が上がり、「リセール指数」が高くなります。

 下に「リセール指数」の算定表を載せていますので、購入予定の物件を0~3点で評価し、合計点=「リセール指数」の高い物件を選んでいきましょう。

マンション購入時に売却時の資産価値がわかる

 書籍では、ほかにもリセール指数の高い物件の見分け方や優先順位の付け方を解説しています。マンション購入の一助として、活用いただけると幸いです。

【第1回】>>高級マンションなら「住み替え長者」も夢じゃない! サラリーマンが今すぐ賃貸をやめるべき理由

【第2回】>>10年後に価値が倍になるエリアとマンションは、どう探すのか? プロの視点から購入基準を解説

住んでよし、売って良よし、貸してよし。高級マンション超活用術 不動産は「リセール指数」で買いなさい
(高田一洋 著・みらいパブリッシング)
高級マンション超活用術

売れない負債マンションを買ってしまう人が実に7割いるというなか、本当に資産価値の高いマンションを買うにはどうしたらいいのか。

本書では、不動産売買のプロである筆者がすすめる都市部の高級マンションの購入メリットや見極め方を徹底解説している。買い方だけでなく、売却益を得るための売り方も伝授する。

 高級マンションの「半投半住」を通して、豊かな暮らしだけでなく、資産を築く方法を知るのに適した1冊。

【関連記事】>>東京都の中古マンション相場と今後の価格推移は?購入・売却の参考に!

【関連記事】>>【2025年版】価格が上がる都心6区の注目マンション11選!プロが着目する価値上昇の3大要素を解説

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