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築30年以上の築古中古マンションは、管理費や修繕費の滞納金と建て替え問題に注意!中古マンション購入前の注意点(4)

2021年3月17日公開(2022年3月30日更新)
高田七穂:住生活ライター

築30年以上が経過した築古と呼ばれる中古マンションで特に気になるのが、管理費、修繕積立金の滞納金の有無と建て替えの問題です。特にマンション全体が抱える多額の滞納金は、将来のマンション維持に支障を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

希望の住戸に管理費、修繕積立金の滞納金がないかを確認!

 中古マンションの購入時に、まず必ず押さえておきたいのが、滞納金の額です。毎月支払うべき管理費や修繕積立金が何らかの理由で支払われないままになっているのが、滞納金です。

 注意したいのが、部屋の売り主が管理費や修繕積立金を払っていないにもかかわらず、そのような滞納金がある状態で売りに出される住戸があるということです。

 不動産会社が契約に関する重要事項を消費者に説明する「重要事項説明」の段階で滞納金があればその金額も説明されますが、その時点では遅すぎます。

 そのままでは、買い主側が売り主の滞納金の支払い義務を引き継ぐことになってしまいます。そうならないためにも、中古マンションを購入する場合は、早い時期に購入を検討している部屋の滞納の有無を確認しておきましょう。

 もし、滞納金があれば、売却までに売り主側に支払ってもらうように確約してもらいます。あるいは、売却価格を下げてもらって、中古マンション購入後にその分をこちらで払うという方法もあります。

 売却価格は変わらないのに、購入後に滞納金を支払うことにならないよう、契約前に仲介をする不動産会社にしっかり依頼しましょう。また、決まった内容は、契約書に明記したいものです。

【関連記事はこちら】>>修繕積立金の相場は?安い新築マンションには要注意!?

管理会社は滞納者に一定期間催促するだけ

 管理会社が、滞納金を徴収する義務を負うものと思っている人は少なくないようです。しかし、管理組合が管理会社に委託した業務内容を記した「管理委託契約書」では、多くの場合、支払いが遅れている人に、管理会社が催促する期間や方法が定められているにすぎません。

 その期間は管理会社と管理組合との契約に基づき、通常3カ月から半年程度となっています。これは管理の責任は、管理組合(所有者たちで作った組合)にあるからです。マンションが管理会社の所有物で建物管理を行っているわけではないのです。

■高額な一時金が必要になることも

 滞納金が多いと、さまざまな問題が生じます。たとえば、早急に修繕をしなければならないくらい建物が古くなっているなら、各世帯から「一時金」として、数十万円単位のお金を徴収せざるを得ないことがあります。

 これまでにも中古マンションを購入し、居住後数年して数十万円の一時金を負担させられたという例があります。滞納者への強い催促を行ってこなかった管理組合と理事会のツケを、新規に購入した人が払うことになるのです。

 ただ、滞納している人が全くいないという中古マンションは少ないので、マンションに滞納金があるというだけで購入を控える必要はありません。ですが、金額が膨らんでいれば、管理体制に問題がある可能性があることを頭に入れておきましょう。

■滞納金は5年で時効が成立する?!

 滞納金の支払いをめぐっては、20年近く前に最高裁で判決が出ました。このとき「マンションの滞納管理費は5年で時効」となりました。その際の裁判では、総額173万9920円のうち、5年以上過ぎた104万200円は時効と判断されたのです。最高裁の判断ですから、判例となりました。これにより、5年を超えた分は回収できなくなりました。

 2020年4月1日から改正民法が施行されましたが、それでも管理費や修繕積立金の時効は5年と考えられており、大きな変化はないようです。

マンション全体の滞納金も必ず確認すること

滞納金があることは後から気が付くことが多い
滞納金があることは後から気付くことが多い(画像:PIXTA)

 「自分の部屋に滞納金がないから」といって安心はできません。マンション全体に多額の滞納金があるケースもあります。

 多額の滞納金があると、予定通り修繕ができず、マンションの維持管理が適切に行われなくなる可能性があります。マンション全体の滞納金額は、重要事項説明で告げられますが、その段階で情報を得るのは遅いのです。

 中古マンションの購入を検討している場合、早めに不動産会社に尋ねましょう。できる限り、直前の決算期の額を教えてもらうようにします。

 過去には、マンション全体で多額の滞納金がある住戸を仲介した不動産会社が、調査を怠り、そのことを買い主側に説明しなかったとして、買い主側が、仲介した会社を訴えた例がありました。買い主側は、多額の滞納によりマンションの資産価値が大幅に下落するはずとして、説明があれば購入しなかったと主張しました。

 最終的に仲介した会社が手数料を返して、和解となりましたが、買い主側からすると、このために使った時間と精神的な負担は相当大きいものだったはずです。

旧耐震マンションの建て替えには有利な制度も

築古は、建て替えも視野に入れて検討する必要がある(画像:PIXTA)
築古は、建て替えも視野に入れて検討する必要がある(画像:PIXTA)

 築古マンションの場合、もう一つ気になるのが建て替えの問題です。

 築30年~40年頃になると、建て替えの話が出てくるマンションがあります。きちんと管理をしていけば、コンクリート自体はまだ十分、維持できます。ただ、設備などが古くなり、不便を感じるという意見が上がってくるようになるのです。

 また、1981年6月以前に建築確認を受けたマンションのほとんどが旧耐震基準で建築されていますので、大地震が到来する可能性を考えて、建て替えようという話が出てくることもあります。

 旧耐震基準で建てられたマンションの建て替えを促すため、容積率の割り増しを行う制度があります(詳しくは、「国土交通省:容積率の緩和特例について」参照)。

 容積率とは、「敷地面積に対する総床面積の割合」のことで、%で表されます。容積率200%といえば敷地面積に対して2倍の総床面積を持つ建物が建てられます。1000㎡の敷地があれば、建物の総床面積は2000㎡が上限ということになります。

 容積率の数値は都市計画によって定められていますが、老朽化した分譲マンションの建て替えを促進するため、旧耐震基準の建物についてこの容積率が緩和されます。

 マンションの容積率に余裕があれば、その分を利用して建て替え後の住戸を増やすことができるということになります。増えた住戸を売却すれば、建築費の一部を賄うことができ、住んでいる人の負担も減らせます。過去にはこういった手法で、建て替えを実施した事例が見られました。

建て替えの実施例はわずか

 ただ、実際にマンションの建て替えを行うには、区分所有者と議決権の5分の4以上の賛成が必要で、その道のりは簡単ではありません。

 国土交通省の調査によれば、2020年4月時点でマンションの建て替えは、建て替え決議などの実施準備中も含めて、全国でわずか295件(被災マンションは除外)でした。実際、建て替えには、合意形成を図るために非常に時間がかかります。住み慣れた住戸から離れたくない人にどう対応するか、借り住まい費用を負担しづらい人にどう対応するか、など問題が山積しているからです。

 しかも、近年の建て替え事例では、戸当たりの負担額が増えています。負担金があるなら建て替えには反対だという話は少なくありません。2012年~2016年に竣工したマンションでは、負担金の平均は戸当たり約1100万円にのぼっています。

 実際の建て替えが行われたケースでも、高齢になって1千万円を超える金額を支払った上に、部屋が狭くなったり、負担金が支払えずに区分所有権を売却し、遠方に引っ越しせざるをえなかったりした人も出ています。

 購入しようとする中古マンションが築20年以内であれば、まだ建て替えは検討に上がっていないでしょう。ですが、居住後10年、15年とたつにつれ、そういった話が持ち上がってくるかもしれません。住んでみると時間の流れはあっという間です。

築古の中古マンションは、滞納金の有無や建て替えについて調べよう

 築古のマンションを購入する際には、管理費や修繕費の滞納金はないか、建て替えの話が出ているのか、あるいは将来的に建て替えの話が起きる可能性があるかなどを調べる必要があります。

 新築マンションを選ぶ以上に長期的な視野にたって物件選びをすることが大切になるでしょう。

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