定期借地権付きマンションとは? 
メリット・デメリットについても解説
新築マンション購入前の注意点(3)

2020年9月2日公開(2020年12月11日更新)
高田七穂:住生活ライター

東京都心部の「定期借地権付きマンション」として売り出された「シティタワー品川」は、中古価格が2008年販売時の2倍以上に跳ね上がり話題となりました。価格面では魅力的な「定期借地権付きマンション」ですが、長い目で見ると本当にお買い得なのでしょうか? 今回は、「定期借地権付きマンション」のメリット、デメリットを考えてみたいと思います。(不動産・住生活ライター・高田七穂)

定期借地権付きマンションとは? 

定期借地権付きマンション
写真を拡大 定期借地権付きマンションのイメージ図

 分譲マンションでは多くの場合、土地は購入者の共有となります。土地の持ち分は、購入する専有部分の持分割合で計算されるため、広い部屋を購入した人ほど土地の持ち分が大きくなるということです。この場合、分譲マンションのホームページの物件概要には、「敷地の権利形態は所有権の共有」と書かれています。
 
 これに対し、土地の上に立っているマンションだけが分譲され、マンション購入者は一定期間、借地として土地を利用することを「定期借地権付きマンション」といいます。実際、市場に売りに出される定期借地権付きマンションはそれほど多くはありませんが、分譲マンションのホームページの物件概要をよく見ると、「定期借地権」と書かれています。

 借地の期間は、契約内容によりますが、近年では50年〜70年程度の長期契約が多いようです。一般的には、期限が来ると建物を壊し、更地にして返すことが契約に盛り込まれています。土地付きのマンションと大きく異なるのはこの部分です。

 また、契約更新のない「定期借地権付きマンション」に対し、特別な理由がない限り借地権契約が更新される「普通借地権付きマンション」というものもあります。

「定期借地権付きマンション」のメリット

 まずは「定期借地権付きマンション」のメリットから見ていきましょう。

① 価格が安い

 定期借地権付きマンションの一番の魅力は価格が安いことでしょう。同エリアのマンションと比べると、土地を購入しない分、2~3割ほど安い価格設定になるのが一般的。5,000万円の新築マンションが4,000万円以下になることがあるわけですから、かなりのインパクトがあります。

② 不要になる税金がある

 まず、土地付きのマンションを購入する場合課税される「不動産取得税」が不要となります。こちらは購入時の1回きりですが、大きいのは毎年課税される「固定資産税」と「都市計画税」。定期借地権付きマンションの場合、土地は所有していないため、これらの税金はかかりません。

③ 一等地の物件が手に入る可能性がある

 特に東京都心部の場合、通常のマンションが建つことのない利便性の高い好立地に「定期借地権付きマンション」が建てられることがあります。最近では、再開発の進む渋谷の一等地に「パークコート渋谷 ザ タワー」が分譲され、注目を集めました。

【関連記事はこちら】>>【パークコート渋谷 ザ タワー】都心一等地の定期借地権マンションは、老後資金形成の秘策!? 価格、スペックを分析

 また、何十年後かに土地が戻ってくるため、定期借地権付きマンションであれば建設を決断しやすいことから、好立地に土地を持つオーナーにとってもメリットがあると言えます。

「定期借地権付きマンション」のデメリット

 価格が安い分、デメリットもあります。「定期借地権付きマンション」のデメリットを見てみましょう。

① 「地代」、「解体積立金」がかかる

 土地付きのマンションを購入した場合、毎月支払う費用は、ローンに加え、修繕積立金や管理費があります。「定期借地権付きマンション」では、これ以外に、「地代」と「解体積立金」が必要になります。地代と解体積立金を合わせると、地域によるものの、毎月1万円以上はかかる物件が多いようです。東京都心部の物件では、この2~3倍になることもあります。

 また、地代や解体積立金は経済状況次第で値上がりする可能性もあり、入居時には「権利金(返還されない)」や「保証金(無利息で返還)」が必要な場合もあります。

② 適切な修繕が行われない可能性がある

 土地の返還期限が近づくにしたがって、修繕をしようという所有者の総意が薄れていく可能性があります。通常、マンションでは、12年~17年程度に一度、外壁などを修繕する「大規模修繕工事」を行います。しかし、建設から時間がたつほど、いずれ壊すと分かっている建物にお金をかけて修繕するでしょうか。マンションによっては、スラム化する危険性も考えられます

 一方で、一定期間を過ぎて解体されるマンションは、買い替えが進み、現在問題となっている年配者だけが住む老朽化マンションではなく、若い世代も入り交じる、という見方もできます。ただ、いずれにしても修繕の考え方が難しく、居住者によって対応が異なるということが言えそうです。

③ 簡単に売却できない

 「定期借地権付きマンション」の場合、期限が近づき、建物残存期間が短くなると簡単に売却先が見つかりにくくなります。売却には地主の承諾が必要な場合があります。また、売却先が見つかっても、売却価格は低くなる可能性があります。

将来設計がしっかりと立っている人には魅力的!

 価格面では大きなメリットのある「定期借地権付きマンション」ですが、当然ながらデメリットもあるため、よく検討してから購入を決めるようにしましょう。

 「将来実家に帰るまでの間、利便性の良いマンションに住みたい」、「高齢のため最後の住み替えにしたい」など、将来設計がしっかりと立っている人にとって、「定期借地権付きマンション」は魅力的な選択肢の一つと言えそうです。

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