新築マンションは現物を見ない「青田売り」が主流!
理由は、不動産会社が借金の利息を減らすためだった新築マンション購入前の注意点(1)

2020年3月4日公開(2020年3月3日更新)
高田七穂

高田七穂(たかだ・なお)不動産・住生活ライター。住まいの選び方、管理、リフォーム、資金計画、買い替え、空き家対策など、住宅全般をテーマに執筆している。著書に「最高のマンションを手に入れる方法絶対にだまされないマンションの買い方」(エクスナレッジムック)、『間違いだらけのマンション選び2013-2014」(エクスナレッジムック)など。

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新築マンションでは、不動産会社は「青田売り」という現物ができる前にマンションを販売する手法を取るのが一般的です。購入希望者は、モデルルームを見るだけで人生最大の買い物をしなければなりません。どうして新築マンションは「青田売り」になるのか、その理由と対策を考えてみたいと思います。(不動産・住生活ライター・高田七穂)

現物を見ないまま買う「青田売り」

新築マンションは現物を見ないで買う「青田買い」が主流 出典:PIXTA
新築マンションは現物を見ないで買う「青田買い」が主流 出典:PIXTA

 新築マンションを購入しようと思ったら、多くの場合、まずモデルルームに来訪の予約を入れ、日時を決めます。当日、モデルルームで内装や設備などを確認、疑問点を質問し、気に入れば資金計画を立てて契約するという流れが一般的です。

 このとき、新築マンションの現物はまだ完成していないことがほとんど。現物がないまま販売することになりますが、これを「青田売り」と言います。

 新築マンションの場合、モデルルームはありますが、そのモデルルームの間取りが住みたい住戸の間取りと同じとは限りません。むしろ、欲しい住戸と同じほうが少ないのではないでしょうか。高額な住宅を購入するというのに、欲しいものとは異なる間取りから自分が居住する空間をイメージするしかないのです。

 加えて、日当たりや風通しなどは残念ながら、実感できません。モデルルームにある模型を見たり、現地を何度か訪れたりすることで想像するしかなく、本当のところは完成したマンションの室内を見るまでわからないのです。住宅に関する複数のアンケートでも、現物を見ないまま購入する「青田売り」に不安を感じている人は、少なくない結果となっています。

「青田売り」は購入後に思わぬ不満を引き起こす場合も

 賃貸マンションや中古マンションを選ぶときは、建物を実際に見て、室内の広さや使い勝手、日当たりや風通し、窓からの眺望などを確認するのが一般的です。洋服なら試着、車なら試乗をするでしょう。ところが、一生で最も高い買い物であるマンションだけは、「青田売り」の物件を買うのが当たり前になっているのです。

 「青田売り」マンションを購入した人のなかには、住んでから「梁がこんなに出ているとは思わなかった」「予想外に風が強く、風の音がうるさい」などの不満を持つ人がいます。「青田売り」だと、こういったイメージの違いが、購入後の不満につながるのです。その点からいえば、中古マンションや完成済みマンションを購入するほうが、リスクは少なく、居住後のメリットやデメリットも理解しやすいと言えます。

土地を仕入れ、企画し、工事を発注するのがデベロッパー(不動産会社)

 では、新築マンションはなぜ「青田売り」なのでしょうか。その理由を説明する前に、マンションがどのようにしてつくられるのかについて知っておきましょう。

 マンションが建ち、販売されて購入者が決まり、入居に至るまでには多くの会社が関係しています。

 土地を仕入れ、建物を企画し、建設会社に工事を発注するという一連の仕事を行うのは、広告の社名欄に「事業主」と示された会社です。この会社を「デベロッパー」といいます。デベロッパーは販売も行いますが、グループ会社や他社に販売を委託することもあります。

 ちなみに、建物をつくるのは、事業主とは別の会社になります。デベロッパーから業務を請け負うのは、「建設会社」で、建設会社の業務は大きく分けて3つあります。事業主の要望を受けてマンションのプランを考え、図面にまとめる「設計」、図面に基づいてマンションの工事を行う「施工」、工事が図面通りに正しく行われているかを確認する業務を担う「工事監理」です。

「青田売り」が行われる理由

 さて、デベロッパーは事業を手がける際に、金融機関から億単位のお金を借り入れて、事業資金を調達しています。その後、マンションを引き渡すまでの間、ずっと利息を金融機関に払い続けています。ここで、順調に売れていけば、マンションの引き渡し時点で販売代金が手元に入ります。代金を借り入れ資金に充てることができるので、利息を減らせます。一方で、なかなか売れなければ、利息を払い続ける期間が延びてしまいます。こうなると、不動産会社にとっては、膨れ上がった利息が大きな負担になってしまいます。

 早く販売を開始できればいいのでしょうが、マンションの販売ができるのは、法律で建物のプランなどを示した図面を役所などに提出して「建築確認」を取得した後と決まっています。販売活動前から「予告広告」といって価格を知らせず物件情報や販売開始時期のみを告知して、購入希望者の反応を探るデベロッパーも少なくありません。デベロッパーはそれだけ早く販売を開始したいのです。また、完成後の売れ残った住戸の管理費、修繕積立金もデベロッパーの負担になります。

「青田売り」物件の対策は?

 それでは、立地や間取りなどで気に入った新築マンションが「青田売り」でしか手に入らないとしたら、どうすればいいのでしょうか。それは自分で納得のいくまで調べること、営業担当者に質問することです。

 まず、デベロッパーの評判をはじめ、現地の様子や周辺環境の確認、過去に同じディベロッパーからマンションを購入した人の話を聞くなど、自分で調べられる情報はモデルルーム見学前にチェックしておくことをおすすめします。

 また、マンションでは部屋からの眺望も大切なチェックポイントですが、最近では、コンピューターグラフィックスやバーチャルリアリティーを用いて眺望を確認できる仕組みを整えているデベロッパーがあります。こうしたデベロッパーでは、モデルルーム見学をすると、最後にパソコン上で希望する部屋の眺望を見ることができます。

マンションは、完成後の販売も増えている
新築マンションは、完成後の販売も増えている。出所:PIXTA

 ここで実際の眺望を確認するのはもちろんですが、将来周囲に別の建物が建ち、眺望に変化がないかどうかを知ることができます。実際の眺望から都合の悪いものが消されていると、「不動産の表示に関する公正競争規約」に違反する可能性があるため、デベロッパーは必ず知らせる義務があります。映像等に「実際のものとは異なる場合がある」というサインがあれば、どこがどのように違うのか営業担当者に確認するようにしましょう。

 このようにできる限り事前に調査、確認をして、「青田売り」のリスクを少しでも軽減させることが現実的な対処法と言えます。

 また、現在は価格の上昇、販売の長期化にともない、完成した建物内にモデルルームをつくるケースや完成した在庫を販売するケースも増えています。どうしても不安な人はこうした選択肢もあります。

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