「地権者住戸」が多いマンションの注意点や購入前のチェックポイントを解説! 新築マンション購入前の注意点(4)

2020年9月6日公開(2020年9月14日更新)
高田七穂

高田七穂(たかだ・なお)氏:不動産・住生活ライター。住まいの選び方、管理、リフォーム、資金計画、買い替え、空き家対策など、住宅全般をテーマに執筆している。著書に「最高のマンションを手に入れる方法絶対にだまされないマンションの買い方」(エクスナレッジムック)、『間違いだらけのマンション選び2013-2014」(エクスナレッジムック)など。

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新築マンションの価格表などに、「地権者住戸」と書かれているのを目にしたことはないでしょうか? 「地権者住戸」は再開発マンションなどにはほぼ存在する住戸ですが、「地権者住戸」が多い物件の場合、事前に確認しておきたい点があります。(不動産・住生活ライター・高田七穂)

地権者住戸とは?

地権者住戸の多いマンションの注意点
再開発マンションなどは地権者住戸が含まれることが多い(出所:PIXTA)

 マンションには「等価交換方式」という方法で分譲される住戸があります。これは、不動産会社が買い取った土地にマンションを建てたとき、土地代を支払うのに代えて、​土地の元持ち主に、その土地の持分価格にあたる住戸を提供するものです。

 この「等価交換方式によって、土地の元持ち主に割り振られる住戸を地権者住戸」といいます。

 近年増えている再開発マンションでは、複数の地主から土地を買い取ってまとまった敷地を確保する必要があることから、総戸数の中に一定数の「地権者住戸」が含まれるケースがほとんどです。

 また、築年数のたった分譲マンションを建て替える際、元々住んでいた人の多くが「地権者住戸」を取得して、建て替え後も住み続けるケースがあります。

マンションの決め事は多数決で決まるため、「地権者住戸」が多い場合は注意!

 便利な立地にあることも少なくない「再開発マンション」や「建て替えマンション」は、決して悪い選択ではありません。

 一方で、価値観の異なる特定の「旧地主=地権者」が数多くの住戸を所有するマンションの場合、長年住んでいるうちに、管理組合の運営に支障をきたすケースがみられます。

 では、「地権者住戸」が多いマンションで起こり得る問題について説明する前に、まずはマンションの議決権の仕組みをみていきましょう。

 通常、マンションの分譲後、所有者全員で住み心地の良い環境を作っていくために、多数決で物事を決めていきます。多くの場合、多数決の議決権は専有部の割合によって決まります。各住戸の広さに差がなければ、一般的には1つの住戸が1票を持つ仕組みになっているのです。

 この場合、たとえば「管理規約の変更」は、総議決権の4分の3以上の賛成で、「毎年の予算の決定」は過半数以上の賛成で、「建て替え」は5分の4以上の賛成で、といった具合です。

 ここで、元の地主が複数の住戸を所有していたらどうなるのか、過去にあったYさんのケースを見てみましょう。

マンションの方針が、少数の地権者の意見で決まる!?

 あるマンションを中古で購入したYさん。以前の地主たちは全体の半数を超える「地権者住戸」を所有していました。

 「最近、マンションを大規模に修繕する話が持ちあがってきたので、みんなでどんな業者がいいか募ることになったんです。でも元の地主たちがすぐに『その業者はどうも信用できない。私たちが昔から付き合っている業者はどうかな』って言うんです。結局、元地主たちが推す業者に決まりました。今までも、この一言でだめになった話は少なくないんです…」と、ため息をつきます。

 Yさんのマンションでは、半数を超える戸数と議決権を持っている元地主たちが反対したために、防犯カメラの設置やペットの飼育可とする規約改正案が否決され、現状を変えるのは難しい状態でした。

 これは極端なケースかもしれませんが、Yさんのマンションのように、以前の地主がマンション全体の方向性を決めてしまうこともあるのです。

地権者住戸の条件は平等か?

 旧地主と新規購入者との間で、年齢層や所有する室内のスペースに大きな違いがあると、価値観も大きく異なるかもしれません。

 管理組合の運営は、所有者間で話し合って決めていくものですが、所有者の価値観に差があると、たとえば「修繕積立金を値上げする」といった議案などに合意するには、時間を要する可能性があります。

 また、旧地主のなかには、取得した住戸を自分で住まずに賃貸にする人がいるかもしれません。賃貸住戸が多くなると、長期的にみて、管理組合の役員の成り手を探すのに苦労しそうです。

 過去には地主にメリットがある契約で分譲されたマンションも存在していました。たとえば、駐車場使用料や管理費を免除する特約を旧地主に設定しているという例も。不動産会社が土地との交換条件として旧地主に有利な権利を与えていたのです。このため、2003年に施行された「改正区分所有法」では、各所有者に利害の衡平が図られるように定めなければならないことが明記されました。

マンション購入前に「地権者住戸」の割合を確認しよう

 では、実際に新築マンションを購入する場合、どのようなことに目を向ければいいのでしょうか。

 まず、販売パンフレットやホームページの物件概要で、「総戸数」を調べます。そのうちいくつが「地権者住戸」や「非分譲住戸」などと表記されているのかに注目してみましょう。一般販売される戸数は「販売戸数」と表記されています。「総戸数」から「地権者住戸」や「非分譲住戸」を引いた数が販売戸数となります。

 総戸数と販売戸数に差がある場合、その理由をマンションの担当者に尋ねてみましょう。もし元の地主に分譲されていれば、その住戸は何戸あるのか、使用条件に自分たちと違いはないのか、なども尋ねておきます。

 また、購入前に、管理規約案を見せてもらえるのであれば、その内容を確認しておきましょう。

 前述したように、一定数の「地権者住戸」が存在することに問題はありません。元の地主たちが多くを占めていても、新しく入居してきた人たちを歓迎し、よいコミュニティーづくりに励んでいるマンションは少なくありません。

 ただ、「地権者住戸」の割合が極端に多い物件や、特定の人に大量に分譲される物件を選ぼうとするなら、その内情をできる限りチェックしておいたほうがよいでしょう。

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