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駅から徒歩何分以内が分かれ目? 不動産のプロが考える資産価値の高いマンションとは

2025年1月28日公開(2025年1月28日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

マンションを買うのであれば、将来的に資産価値の向上が期待できる物件を選びたいものだが、そのためにはどんなポイントに注目しておけばいいのだろうか。不動産のプロに資産性の高いマンションの見分け方を聞いた調査結果をもとに考察していきたい。(住宅ジャーナーリスト・山下和之)

マンションの管理状況が資産価値に大きく影響する

 不動産情報サービスのアットホームが、アットホーム加盟店の不動産仲介会社を対象に、「不動産のプロに聞いた!『資産性の高いマンションか見極めるポイント』ランキング」と題した調査結果をリリースしている。

 マンションの売買に日常的に携わっている人たちの評価だけに、どんな点が注目されているのか気になるところではないだろうか。一口にマンションといっても、条件によってさまざまな違いがあるが、本件では建物の「条件・設備」「周辺環境」に分けて調査している。

 まず、「条件・設備」について資産価値の高いマンションの条件としては、図表1のような項目が挙がっている。

図表1『資産性の高いマンションか見極めるポイント』ランキング【条件・設備編】

 トップになったのは、「管理状況」の67.0%で、2位の「修繕積立金が適正である」の47.2%に、20ポイント近い差をつけている。不動産のプロたちは、何よりもマンションの管理状況が資産価値に大きく影響すると考えているようだ。

管理のほかには眺望や耐震性の高さも重要

 2位以下の項目をみても、2位の「修繕積立金が適正である」、3位の「外観や内廊下がメンテナンスされている」(44.2%)、4位の「共用部の清潔さ」(43.8%)などの上位項目は、適切な管理が行われてこそ可能になるものだから、その点からも「管理状況」がトップに挙がり、2位以下に大きな差をつけているのも納得のいくところだ。

 その他、物件の条件としては、「眺望・日当たりが良い」(43.8%)、「耐震性」(41.8%)などが続いている。高層マンションで眺望が開け、かつ日当たりのいい住戸なら、かなりの資産性を期待できるといっていいだろう。

 また、地震大国ニッポンにおいては、耐震性の高さも重要。建物を頑丈にして、耐震構造を強化するだけでなく、揺れを吸収するダンパーと呼ばれる装置を付けた制震構造、揺れを建物に直接伝えないようにする免震構造のマンションもある。超高層マンションなどでは、制震+免震のハイブリッド構造も増えている。

徒歩時間の短いマンションほど資産性が高い

 「周辺環境」面では、「最寄り駅との距離」が72.8%のトップになっている。

図表2『資産性の高いマンションか見極めるポイント』ランキング【周辺環境編】

 2位の「周辺環境の充実性(スーパーマーケットやコンビニなど)」が51.5%、3位の「エリアの人気」は50.6%だから、「最寄り駅との距離」が2位以下に20ポイント以上の差をつけており、ここでも「条件・設備」の「管理状況」同様に、断然のトップといっていいだろう。

 最寄り駅との距離が近いということは、それだけ利便性の良い場所にあるということ。各種の商業施設や公共施設などの利便性にも恵まれているケースが多く、その意味でも、駅前マンション、駅近マンションなどの徒歩時間の短いマンションなら、高い資産性を期待できると考えていいだろう。

 ただ、そうはいっても、近ければいいというものではないだろう。駅周辺に繁華街などがあって、治安が懸念される物件は、子どもや若い女性がいる家庭にはあまり歓迎されず、それよりは、4位に挙がった「治安の良さ」(39.7%)を重視するかもしれない。最寄り駅からの距離が多少遠くても、人気の高いエリアにあって、雰囲気がよく、治安もよさそうな場所にあるマンションなら、一定の資産性を期待してもいいのかもしれない。

 一定の人気がある閑静な住宅地は、駅前というよりは、駅から数分以上離れた場所に形成さされていることが多い。そうした人気エリアに建つマンションであれば、駅からある程度離れているほうがいいかもしれない。

資産価値が高い駅徒歩時間とは?

 例外はあるとはいえ、やはりマンションにとっては、駅前、駅近であることが資産価値に大きく影響してくるのは間違いない。では、最寄り駅からの徒歩時間はどれくらいなら資産価値が高いと考えるべきなのか。これについて考えていきたい。

 東京カンテイの調査によると、2023年に首都圏で分譲された新築マンションの徒歩時間は図表3のようになっている。徒歩時間1分刻みでみると、5分が最も多く、1分から5分までで全体の4割強を占めている。

図表3【2023年】首都圏で分譲された新築マンション・新築戸建ての徒歩時間

 6分を超えると、ジワジワと戸数が減って、11分、12分を超えると格段に少なくなってくる。その意味では、マンションの最寄り駅からの徒歩時間の条件としては、できれば徒歩5分以内、最低でも11分、12分以内が資産価値の高さの絶対条件といってもいいのかもしれない。

 さらにいえば、駅直結やペデストリアンデッキでつながっていて、雨天でも雨に濡れずに通勤・通学、買い物などができるマンションならなお評価が高い。資産価値の向上を期待していいだろう。

 一方で、戸建て住宅はマンションとは異なる動きを見せている。最寄り駅からの徒歩時間が15分に近づくにつれて戸数が増加し、15分を頂点にその後減少していく傾向がある。これは、駅近よりも土地の広さや静かな住環境、さらには駐車スペースの有無が重視される戸建てならではの特徴といえる。

徒歩3分だと標準的なマンションより4.5%程度高い評価に

 中古マンションの価格を査定する際に用いられる「マンション価格査定マニュアル」(不動産流通推進センター)をみると交通の便としては、徒歩時間6分の評点を±0とし、標準点としている。先の東京カンテイの調査で、徒歩5分が最も多い点と、符合する考え方といっていいだろう。

 そこから徒歩時間が短くなると、徒歩5分は評価ポイントが1.5ポイン付加され、4分は+3.0ポイント、3分は+4.5ポイント、2分は+6.0ポイント、1分は+7.5ポイントのプラスとなる。逆に6分を超えて7分になると-1.5ポイント、8分は-3.0ポイント、9分は-4.0ポイント、10分は-5.0ポイントと設定されている。

 他の要素との兼ね合いがあるので、一概に決めつけることはできないが、徒歩3分だと標準的なマンションより4.5%程度高く評価される可能性が高い。そして人気エリアのマンションであれば、実際にはそれ以上に高くなるだろう。

 特に、商業施設、公共施設などの生活利便施設が充実しているエリアなら、同じエリアの標準的なマンションに比べると、1.5倍、2.0倍の価格で販売されることも珍しくない。もちろん、その分、将来的な資産価値の向上も期待できるはずだ。

「駅近」は資産価値アップに「譲れない線」

 前出の東京カンテイ「マンション・一戸建て住宅データ白書」には、新築マンションの徒歩時間別の供給シェアに関する調査結果が含まれている。

 そのデータによると、地価や建築費の上昇などによってマンション価格が上がり、駅前、駅近での用地取得が困難になり、徒歩7分以内の割合は一時的に減少していた。しかし、2023年には3年ぶりに増加し、54.2%(2022年)から62.7%と、8.5ポイントもシェアを上昇させた。

 東京カンテイではこの点について、「駅近マンションの市場における評価の高さと売れ行きの良さが、駅近物件を『譲れない線』としてマンション計画に反映させている」と分析している。

 駅近に用地を確保して分譲マンションを販売するには、価格が相当に高くならざるを得ない。しかし、高額でも利便性の高いマンションを手に入れたいというニーズが強く、そうしたマンションほど売れる。したがって、将来の資産価値の向上も期待できるというわけだ。

 利便性の高いマンションは価格高騰で買いにくくなっているといっても、資産価値を考えれば、何としても駅近マンションを手に入れておきたいところだ。

都心は無理なら、郊外で駅近マンションを探す選択肢も

 駅前、駅近マンションなら資産価値が高いとはいっても、首都圏、特に都心やその近くの駅近マンションとなると、億単位の資金が必要になるエリアが多く、平均的な会社員では簡単に手が届かない。

 しかし、郊外でもターミナル駅や商業施設・公共施設などが充実した駅には、駅近マンションが比較的リーズナブルな価格で購入可能なエリアがある。

 先の図表2にあったように、「周辺環境面」からみれば、「エリアの将来性(再開発エリアかどうか)」、「ターミナル駅」、「急行停車駅」、「自治体が景観を整備している」などが、資産価値に大きく影響してくるとする不動産のプロが少なくない。

 そうした将来性の高そうなエリアで駅近マンションを見つけて、住みながら資産価値の向上を待つのもいいのではないだろうか。

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