新築マンション「シティテラス杉並方南町」は東京都杉並区の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。何といっても注目は、「方南町」駅徒歩1分という立地だろう。方南町駅は2019年度に丸ノ内線と直通化されるため、工事が完成すれば、新宿、銀座、大手町などへ乗り換えなしで行くことができるようになる。始発駅なので、座っての通勤も可能だ。建物は外観やエントランスホールの魅力に加え、住み心地を高める工夫が随所にみられる。価格は決して安くはないが、杉並区内の駅徒歩1分のマンションとしてみれば、割高感はない。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。
最寄り駅の「方南町」駅が2019年度に丸ノ内線と直通
すでに、建物が完成しているのだが、話題の駅を利用できることで注目度がアップしているマンションが「シティテラス杉並方南町」。杉並区内に建設され、全298戸の大規模で、3LDKを中心にしたファミリー向けの間取りが用意されるマンションだ。
話題の駅というのは、東京メトロ丸ノ内線の方南町駅。丸ノ内線分岐線の始発駅で、新宿駅まで11分の所要時間となる。が、この方南町駅から都心部に向かう場合、現在は少々面倒。途中の中野坂上駅で支線から本線への乗り換えが必要であるからだ。下りの場合も、中野坂上駅での乗り換えが必要となる。しかし、この面倒さはまもなく解消されることになっている。
というのも、方南町駅のある支線部でホームの改良工事が進んでおり、本線の電車がそのまま方南町まで来るようになるからだ。また、方南町駅に新しい商業施設ができる計画もある。
工事の完成は2019年度の予定なので、まもなくだ。工事が完成すれば、新宿駅、赤坂見附駅、銀座駅、東京駅、大手町駅まで乗り換えなしで行くことができ、始発駅なので座って通勤も可能になる。利便性が向上するだろう。
もっとも、丸ノ内線には荻窪始発も新宿始発もあるため、本数はそれほど多くならないだろう。が、乗り換え無しで銀座、大手町、東京の都心中枢駅に行けるというメリットは大きい。
その方南町駅から徒歩1分もしくは2分(住宅棟によって異なる)立地条件であるため、「シティテラス杉並方南町」への注目が高まっているわけだ。
シティテラス杉並方南町(※新築時のデータです)
- 価格
- 6,698万円~8,698万円
- 完成時期
- 竣工済み
- 東京都杉並区方南二丁目459番1他
- 東京メトロ丸ノ内線「方南町」駅徒歩1分(ノース)、徒歩2分(サウス) ほか
- 間取り
- 1LD・K+2S~3LD・K
- 専有面積
- 54.68㎡~70.45㎡
- 総戸数
- 298戸
- 売主
- 住友不動産
- 施工会社
- 三井住友建設
※データは2019年1月31日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
1LDK+2S~3LDKが6698万円~8698万円
近年、駅近マンションの人気が高まっている。それは、「駅近ならば、将来の値下がりが少ない。値上がりすることだってある」という点がクローズアップされているためと考えられる。
「駅近」を好む人がいるため、駅から徒歩3分以内のマンションは、売れ行きがよい。それに伴って、「駅近」のマンションは価格が高騰している。ところが、東京メトロ丸ノ内線方南町駅から徒歩1分、2分の「シティテラス杉並方南町」は、どうだろう。
「駅近」なのだが、価格がびっくりするほど高い、というわけでもない。
取材時点で購入できる住戸は約54㎡〜70㎡の1LDK+2S(納戸)〜3LDKが6698万円~8698万円だった。決して安くはないが、23区内の杉並区内で駅徒歩1分であることを考えれば納得できる設定だ。
都下の三鷹や国分寺、神奈川県の武蔵小杉、みなとみらい21地区の駅近マンションと代わらないか、むしろ安い価格設定といえる。
その理由は、駅周辺に大型商業施設がないこと、街に華やかさがないことなどがあげられるだろう。要するに、街の魅力が乏しいわけだ。
しかし、マンションの近くまで行くと、新宿の高層ビル群が間近に見える。新宿駅からタクシーで帰宅したとしても、タクシー料金は1500円から1700円程度に収まる距離感だ。都心近接で、便利な場所であることは間違いない。
これだけ便利なのに、夜は静か。駅徒歩1分で静かなのは、駅周辺に大型商業施設がないから。そう考えれば、駅周辺に華やかさがないことも、悪くないと思える。
外壁は手間のかかるコンクリート打放しで独特のオーラ
「シティテラス杉並方南町」は、建物の魅力も大きい。
外観にコンクリート打放しとタイル張り部分を多くしている。デザイナーズマンションを連想させる外観だ。
コンクリート打放しとは、現場打ちコンクリートの上に塗装・タイル・石張りなどを行わず、型枠を外した直後のコンクリート面をそのまま見せる仕上げ方法を指す。タイル張りや塗装を行わない分、安上がりな仕上げと思われるかもしれない。
が、実際は、非常に手間とお金がかかる仕上げなのだ。理由は、タイル張り、塗装を行わない分、細心の注意を払ってコンクリート打設を行わなければならないから。型を外したらそれでおしまい、となるため、やり直しがきかない。1回勝負でコンクリート打ちを行うので、神経を使うし、手間もかかるわけだ。
手間はかかるが、見事に打放された壁は美しく、独特のオーラを放つ。だから、個性的な建物を造ろうとする建築家が好んで採用している。
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エントランスホールは3層吹き抜けでガラスのカーテンウォール
そのコンクリート打放し外壁を持つことは、「シティテラス杉並方南町」の財産となるだろう。加えて、同マンションの財産となるのが、3層吹き抜けでガラスのカーテンウォールを備えるエントランスホール。高さ約9mの大空間で、美術館や大型ホテルのロビーを思わせる。
このように、見る人を魅了する外観とエントランスホールを私は高く評価する。というのも、コンクリート打放しの外壁も高さ約9mのガラスウォールも経年変化を起こしにくく、むしろ風格を増す素材であるから。何十年経っても、「ステキなマンションね」と思わせる要素となるわけだ。これは将来、中古で売ろうとするときに有利な要因になる。
中古で売る気がなくても、それらが美しいと居住者は気分がよい。外観とエントランスホールの魅力は資産価値を左右する要素になるわけだ。じつは、そのことに最初に気がついた不動産会社は、住友不動産だった。
住友不動産がつくるマンションはデザイナーズのような美しさが身上。「シティテラス杉並方南町」は、そのことを改めて思い起こさせてくれた。
「シティテラス方南町」には、子育て世帯にうれしい特徴がある。それは、マンションの敷地内に保育施設が設けられ、医療施設もあることだ。
一方で、華美な共用施設は設けず、毎月の管理費・修繕積立金を抑えている。これは、長く住み続ける上で、うれしい特徴となるだろう。
住み心地を高める工夫を随所に盛り込む
「シティテラス杉並方南町」の住戸は、2LDK〜4LDKで、柱形を極力住戸の外に出すアウトフレーム工法を採用。玄関からLDに向かう廊下を短くする工夫もあって、室内の有効面積が拡大されている。
住戸内では、ウォークインクローゼットや納戸といった大型収納を必ず1つ設置されるようになっており、設備機器のレベルも高い。キッチンにはディスポーザーと食器洗い乾燥機が標準設置され、カウンターは天然石仕上げに。手洗い器が別に設置されるタンクレストイレで浴室にはミストサウナも標準設置される
バルコニーの奥行は1.8mとゆとりがある。そして、バルコニー内で水が使いやすいよう、ミニシンクも設けられる。設備の充実ぶりは、最近のマンションのなかでは高いといえる。
このほか、全戸の玄関にドアカメラが設置され、玄関の鍵を携帯するだけでオートロックが解錠されるハンズフリー方式も特徴。共用廊下側にデザインルーバーを設けて視線を遮るようにしたり、共用廊下の外側にマルチコア=設備格納部分を取り付け、そのなかにエアコン室外機を収めてしまう、住友不動産独自の「S-マルチコア」も採用される。
「シティテラス杉並方南町」は、住み心地を高める工夫を随所に盛り込み、納得感の大きいマンションと評価される。
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