今月も首都圏新築の新築マンション市況(新規販売戸数、平均価格、契約率)、中古マンション市況を解説する。2025年1月24日、日本銀行金融政策決定会合において政策金利を0.5%程度にする追加の利上げが決定した。これを受けて、価格が高止まりしている新築マンションの売れ行きにも影響が出そうだ。また、注目物件である「ルネ柏ディアパーク」について解説する。(不動産アナリスト・岡本郁雄)
首都圏の新築マンション市況【2024年12月度のデータ】
2024年12月度の首都圏新築マンション市場を見てみたい。発売戸数は、前年同月比2.4%減少の5,819戸。初月契約率は、63.7%と6割台が続いており低調な売れ行きだ。しかし、そのなかでも超高層物件の売れ行きは好調で契約率は90.5%となっている。
建築費の上昇トレンドは続いており、とくに工期が長く、大量の建築資材や人手が必要な大規模タワーマンションへの影響が大きい。一方で、中古マンション価格の高騰もあり、新築タワーマンションへの注目度が増しているようだ。
また、首都圏の新築マンションの1戸当たりの平均価格は7,335万円となっており、前年同月比では、367万円のアップとなっている。東京23区の供給シェアは32.1%と低いが、郊外エリアの価格が上昇しており平均価格を押し上げている。
販売在庫数は6,814戸で、前月末よりも1,609戸の増加。2023年12月末の販売在庫数は6,283戸だったので、昨年対比でも増加している。

首都圏の新築マンション市場動向2024年12月
エリア別の動向は?
エリア別の平均価格は、東京23区が1億822万円。東京都下が6,135万円、神奈川県が6,516万円、埼玉県が5,176万円、千葉県が5,629万円。㎡単価の伸び率が高いのは、東京23区と都下だけである。
東京23区では、1億円以上の住戸の供給が638戸あったが574戸が成約し、成約率は約9割。高価格帯のマンションの売れ行きは好調だ。
エリア別の首都圏新築マンションの販売動向(2024年12月)

首都圏の中古マンションの市況【2024年12月度のデータ】
続いて中古マンション市場を見てみよう。中古市場は、新築マンションの価格上昇に引っ張られて価格が上昇している都心エリアと、新築マンションの売れ行き鈍化の影響を受けている郊外エリアで状況が異なっている。
2024年12月度の首都圏の中古マンション成約件数は前年の同月比7.4%増の3,158件となり、11月に続き前年を上回った。平均成約価格は前年の同月比3.2%上昇の4,935万円。平均成約㎡単価は、前年の同月比4.3%上昇の78.05万円となっている。成約㎡単価が前年の同月を上回るのは、56カ月連続となる。
また、2024年12月の新規登録物件の㎡単価は、82.73万円となっていて前年の同月比11.5%上昇。成約㎡単価との隔たりが4万円以上あり上昇相場を踏まえ売主の値付けも強気になりつつある。
下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンションの価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。在庫件数は、いったん落ち込みはあったものの2023年からは4万戸台を維持している。

首都圏の中古マンション市場動向2024年12月

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2024年12月の中古マンションの新規登録物件数は、対前年の同月比で2.9%減少の14,311件。在庫件数は前年同月比で3.3%減少し44,981件となっている。新規登録件数が前年同月比でマイナスとなるのは10カ月連続だ。
地域別の動向は?
次に地域別の中古マンション動向を見てみてみよう。
首都圏の中古マンション成約㎡単価(2024年12月)

成約㎡単価をみると、東京23区が堅調に上昇しており都下や千葉県も昨年の同月比を大きく上昇。成約件数は、東京23区が前年の同月比で微減。千葉県、神奈川県が大きく増加している。
東京23区の中古マンション価格が上昇する一方で、埼玉県、千葉県では、中古マンションの成約平均価格はまだ値ごろ感がある。予算重視で中古マンションを探すのであれば、郊外に目を向けるのも一考であろう。
全389戸「ルネ柏ディアパーク」 可動収納ユニット「UGOCLO」で自在な暮らしを提案

次に今月の注目マンション「ルネ柏ディアパーク」を紹介する。
不動産経済研究所発表の首都圏の新築マンション市場動向2024年によれば、同年に首都圏で発売された新築マンションの平均価格は7,820万円。前年比では下落したものの埼玉県が5,542万円、千葉県が5,689万円となり首都圏で値ごろ感のある新築マンションを購入することが極めて困難になりつつある。
「ルネ柏ディアパーク」は、総合地所株式会社が京成電鉄株式会社、株式会社FJネクストとの共同事業で分譲を開始したJR常磐線柏駅徒歩15分の地に位置する全389戸の大規模マンションである。新型コンパクト3LDKを提案するなど予算を抑えたいニーズに応えるものでもある。
2024年12月にスタートした第1期分譲では、約70戸の住戸に申し込みが入るなど売れ行きも堅調だ。
「ルネ柏ディアパーク」は「豊四季台(とよしきだい)景観重点地区」に指定されている歴史ある住宅街にあり、豊四季台公園や認定こども園、豊四季診療所などが身近にある暮らしやすい場所である。ピーコックストアやドラッグストアなどの買い物施設や教育関連施設も充実している。最寄えきの柏駅には、柏高島屋ステーションモールなどの繁華街があるが、地区名が現すように豊かで自然あふれる住環境になっている。
また、至近の向原住宅バス停留所から、 柏駅西口バス停留所へは9分程度。JR常磐線・東武野田線の柏駅を利用できる。
もともとは、UR賃貸住宅があった場所に2023年5月にマンション用地として取得。2024年5月に着工しており2026年8月に完成が予定されている。物件のコンセプトは、「Well- Living」。Living(住まい・暮らし)で叶えるWellness(ウェルネス)という発想。SDGsによって注目されるウェルネスとは健康を基盤に豊かな人生・輝く人生をデザインしていく生き方。これを住まいと暮らしを通して実現していこうというものである。

建物は5棟で構成されている。豊四季台のランドマークを目指し、四季の移ろいをテーマにしたデザインとなっている。高さ4.5mの二層吹き抜けがあるエントランスホール、大地と緑をテーマにしたエントランスラウンジ、パーティルームやマルチラウンジ、ゲストルーム、使い勝手の良いランドリールームやサウナルーム、スタディラウンジなど10の共有空間がある。
緑溢れるランドスケープも特長で、敷地内の緑地率は約23%。サクラやモミジなど四季の植栽のほか、バードパス(鳥が移動するルートや渡りの経路)や、巣箱も設けて生物多様性の保全を評価する「ABINC認証」も取得している。強化外皮基準(断熱性能)を満たし、省エネによる一次エネルギーの消費量を基準値より20%削減。「ZEH-M Oriented」基準を満たすなど省エネ性能にも優れている。
「ルネ柏ディアパーク」の注目したいポイントは、可動収納ユニット「UGOCLO(ウゴクロ)」を約90%の住戸に採用した生活シーンを踏まえた独自の間取り提案。コンパクトな専有面積でありながら家事動線など使い勝手に配慮した新型3LDKプランも採用され人気となっている。

たとえば、間口6.25m、専有面積81.31㎡のモデルルームA1タイプでは、「UGOCLO Plus(ウゴクロプラス)」を採用。さらに、1列可動のUGOCLO S(ウゴクロエス)、1列可動で通り抜けができるUGOCLO Half(ウゴクロハーフ)など多彩な可動収納ユニットでライフスタイルの変化に応じた住空間を作り上げることができる。また、アウトフレーム工法のスッキリした空間も魅力である。
コンパクト3LDKの新提案は、間口5.4m専有面積62.43㎡のモデルルームD2タイプで確認できる。洋室1は約5.5畳で、リビングダイニングに面した洋室2が約3.8畳、洋室3が約3.5畳。吊り型クローゼットを用意することで、ベッドを置いても居室の機能を果たす。洗面室横のランドリークローゼットや玄関のシューズインクローゼットなど収納量にも配慮がなされている。カウンターを設けたキッチンなどライフシーンを考えた住まいの提案が魅力的な住戸だ。専有面積が抑えられているので第1期の価格は、3,400万円台からとお値ごろ。
2025年1月19日時点の資料請求件数は約800件で約360組が来場し、売れ行き好調とのこと。20代から30代の購入が目立ち、子育て世帯が約4割と多いのも特徴的だ。勤務先は、東京都内が約6割を占めている。JR常盤線の上野東京ライン開業以降、東京都心へのアクセスは大きく向上した。
首都圏の新築マンションで5,000万円台で購入できる値ごろ感のある3LDKタイプが数少なくなりつつあるなか、地元を中心に多くのファミリー層に支持されている。また「ミハマシティ検見川浜Ⅱ街区」が全戸完売するなど、千葉県内でも4,000万円台で購入できる新築マンションの在庫が少なくなりつつある。「ルネ柏ディアパーク」は、首都圏のマンションラインアップが限られつつあるなかで予算を重視しつつ豊かな暮らしを求めるファミリー層の選択肢になるであろう。
まとめ
不動産経済研究所の2025年首都圏新築マンション供給戸数の予想は、2024年よりも13%増加の2万6,000千戸。予想ベースでは近年のなかでも低水準であり、昨今の建築費高騰の状況を踏まえると予想よりも減少する可能性もありうる。新築マンション供給の低水準化は、住替需要を喚起せず売物件数を抑える要因にもなる。築浅マンションの品薄感は、2025年も続くと見てよいだろう。
公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」によれば、2024年の中古マンション成約件数は、2年連続で前年を上回る37,222件。平均成約㎡単価、平均成約価格ともに6.9%上昇し、12年連続の対前年アップしている。成約㎡単価は、101.3%の上昇とこの12年間で2倍を超える上昇となった。
成約件数は、新築マンションの年間供給戸数を大きく上回っており、マンション市場では中古の流通がメインになりつつあることを示している。そして、中古マンションと新築マンションを並行して検討するユーザーも増えている。納得感のある購入判断をするためには、新築マンションと中古マンションの両市場を確認しておく必要があるだろう。
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