【グレーシア藤沢鵠沼】は“買い”なのか？
価格・スペック・立地をプロが徹底調査！

新築マンション「グレーシア藤沢鵠沼」は神奈川県藤沢市の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。超高層の基準には届かない19階建てだが、藤沢駅周辺では最高層。しかも、東急ハンズ発祥の地という由緒ある立地だ。南向き中心で、高層階からは江の島と湘南の海も見える。価格は高めに設定されそうだが、人気化は必至だ。（住宅評論家・櫻井幸雄）※新築販売時の記事です。

「グレーシア藤沢鵠沼」は、藤沢駅から徒歩7分でも、高人気マンションとなる可能性大！

 「グレーシア藤沢鵠沼（くげぬま）」は、JR東海道本線・湘南新宿ライン・小田急江ノ島線が利用できる「藤沢」駅南口から徒歩7分の立地で、地上19階建て。ここまでの特徴は、とくに際立つものではない。

　今、マンション探しをする多くの人が求めるのは、駅に近い立地（できれば徒歩3分以内、少なくとも徒歩5分以内）で、地上20階建て以上の超高層マンション。その点、「グレーシア藤沢鵠沼」は駅近ではなく、超高層の基準に届かない19階建て。普通だったら、注目度は低い。多くの人にとって、気にもかけないマンションとなりかねない。

　ところが、「グレーシア藤沢鵠沼」は、「藤沢駅から徒歩7分」であることと「地上19階建て」であることに誇りをもっている。そのぶん価格も強気に設定されている新築マンションである。

　そんなに高くして、買う人がいるのだろうか。そういう批判も出てきそうだ。

　しかし、たとえ価格が高くて設定されても売れるだろう。「グレーシア藤沢鵠沼」は、人気マンションになると私は見ている。その理由を説明しよう。

東急ハンズ発祥の由緒ある立地
“一等地マンション”は値下がりしにくい

 「グレーシア藤沢鵠沼」の建設地は、かつて東急プラザ南館のあった場所だ。

　そう聞くと、藤沢市在住者の多くは「ああ、東急ハンズのお隣か」と思い当たる。1976年、渋谷の東急ハンズができる2年ほど前に、東急ハンズ第1号店が誕生したのが建設地隣接の現・藤沢プラザ本館の地だった。以後、閉店する2006年までの30年間、その地は「ハンズ」と呼ばれ、藤沢市はもちろん隣接する鎌倉市、茅ヶ崎市の人たちが集まり、文化の発信地として誇らしく思われた場所だった。

　地元の人たちにとって感慨深い地に建設されるマンションは、どうしたって注目物件になる。都心で同潤会アパートがあった場所に建設されたマンション、有名な財界人の邸宅や別邸跡に建設されたマンション、コンサートが開かれた会館跡地に建設されたマンション…。私自身、それら“一等地”に建設されたマンション名をよく覚えている。そして、そのような“一等地マンション”は値下がりしにくいという事実もある。

　値下がりしにくいのは、「有名な場所のマンションだから、それに負けない立派な建物をつくろうとする」からだと私は考えている。場所の由来とつくりのよさで値下がりがしにくいわけだ。もっとも、つくりをよくするため、分譲価格は高めになってしまう。だから、販売当初は「高すぎる」という批判が出がち。

　分譲価格が高くなってしまうのは、由緒ある場所に建設されるマンションの宿命なのである。

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地上19階は「藤沢」駅周辺では最高層
全204戸で共用施設やサービスも充実

 「グレーシア藤沢鵠沼」は地上19階建てで全204戸。これは、「藤沢」駅を最寄りとするエリアで最高層であり、最大級の戸数規模となる。そう、「藤沢」駅周辺には超高層・大規模マンションがなく、同マンションは19階建てでも、「藤沢」駅周辺でもっとも背の高いマンションとなる。

　エリア最高層の上層階からは湘南の海が見える。敷地の南側が湘南の海となり、マンションの15階相当の高さから撮った写真では、江ノ島と海がはっきり見えた。これなら、バルコニーから海がみえる住戸が多くなりそうだ。

　全204戸の大規模であるため、共用施設やサービスが充実する。が、華美な施設があるわけではない。必要なものを充実させる一方で、毎月の管理費を抑えようという工夫がみてとれる。たとえば、人気の高いコンシェルジュサービスを設け、災害時に役立つ防災備蓄倉庫は各階にひとつずつ設置される。

　一方で、集会室はマルチスタジオと名付け、分割して利用できるように工夫される。充実と節約を上手に組み合わせた共用サービスと評価される。

「グレーシア藤沢鵠沼」の間取りは、60㎡台〜110㎡台まで、21ものタイプバリエーションがある！

　その建物は白と黒ではっきり色分けされ、シンメトリー（左右対称）を強調するデザイン。藤沢を含む湘南エリアのマンションを取材すると、リゾート色を前面に押し出したデザインが多いのだが、「グレーシア藤沢鵠沼」の外観はシャープで都会的なもの。アロハシャツやTシャツを着た人の中にスーツ姿を発見するようで、新鮮な印象だ。完成したら、個性的で目立つマンションとなるだろう。

　全204戸は南向き中心。間取りは60㎡台から110㎡台の大型住戸まで21のタイプバリエーションをもつ。3LDKは70㎡以上の広さが中心となり、100㎡を超える大型住戸が4つ用意されている。

　価格は3LDKが4000万円台から。そして、最上階で100㎡を超える住戸は、当然億ションだろうが、真っ先に売れてしまうはず。それが、“一等地”でエリア最高層マンションのセオリーである。

　住戸内のつくりもよく、二重床二重天井を採用し、天井高は約2.4ｍ、最上階住戸は天井高が約2.6ｍもある。バルコニーは奥行約2ｍだ。

　南向き住戸は日当たり良好となり、夏は暑くなりやすい。その点、バルコニーが2ｍ以上張り出していると、適度に日陰が生じて、過ごしやすくなるだろう。バルコニーにはスロップシンク（外部水栓）が付くのも、注目すべき特徴だ。

　水栓があれば、真夏に水を浴びる…。盛大に浴びるのは控えるべきだが、軽く浴びて「プハーッ」などと言ってみたい。そんな暮らし方が想像できる。

　すべての住戸にウォークインクローゼットとパントリー（食品庫）が付き、収納が充実。キッチンにはディスポーザー（生ゴミ粉砕処理機）と食器洗い乾燥機を標準設置されるなど、設備仕様のレベルが高い。

ロマンスカーや湘南ライナー
を使えば都心へのアクセスも便利

 「グレーシア藤沢鵠沼」の建設地は駅から徒歩7分だが、便利な場所でもある。イトーヨーカドー藤沢店が徒歩1分、藤沢プラザ本館は徒歩1分など、商業施設に囲まれ、便利さが集約されている。

　一方で、「グレーシア藤沢鵠沼」の建設地は緑や水辺といった潤い要素も多い。建物の南東側に奥田公園と境川の流れがあり、南向き高層階からは江ノ島と湘南の海もみえる。海が見えるバルコニーなら、なおさら水浴びを、と妄想が広がる。

　最後に、「藤沢」駅は都心へのアクセスもよいことを説明しよう。

　「東京」駅からJR東海道本線で46分、「新宿」駅から小田急江ノ島線で56分となる。その小田急江ノ島線ではロマンスカーが利用できる。運賃のほかに特急料金（藤沢—新宿は620円）が必要になるが、ロマンスカーの人気は高く、本数も利用可能駅も増え続けている。

　JR東海道線では、湘南ライナー（湘南新宿ラインではおはようライナー）という列車があり、運賃のほかにライナー券（510円）を購入して乗車できる。こちらは座席指定ではないが、座席数しかライナー券を発行しないので「必ず座れる」ことになっている。

 「藤沢」駅はロマンスカーと湘南ライナー、おはようライナーが利用しやすい数少ない駅のひとつでもあるのだ。

　このように、一等地マンション、藤沢駅周辺で最高層、設備仕様のレベルが高くアクセスもよいといった理由から、「グレーシア藤沢鵠沼」は、高人気マンションとなると見ている。

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