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地価上昇でマンション価格はどうなる?  注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説!【2024年10月版】

2024年10月11日公開(2024年10月10日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

全国的に中心市街地の地価上昇が続いている。7月1日時点の地価動向を示す令和6年都道府県地価調査によれば、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも全国平均で3年連続上昇し、上昇幅が拡大。インバウンドによる都市の活性化や低金利に支えられた堅調な住宅需要が後押ししている。建築費の上昇も続いており、原価ベースで考えると新築マンション価格上昇は、続くと見てよいだろう。今月も2024年8月のデータをもとに首都圏新築・中古マンション市場を解説する。また注目のマンションでは「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」を紹介する。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

首都圏の新築マンション市況【2024年8月度】

 まずは、2024年8月の首都圏新築マンション市場を見てみたい。先月に引き続き好調とは言えない状況だ。2024年8月度の新築分譲マンション発売戸数は、前年同月と比べ50.4%減少の728戸、契約率は、63.5%となっており、再び好不調の目安とされる70%を割り込んだ

 また、首都圏新築マンションの1戸あたり平均価格は9,532万円となっており、前年同月比では、2,337万円のアップとなっている。

 価格の大幅上昇の要因は、東京23区の供給シェアと価格の上昇。東京23区の供給は、345戸でシェアは47.4%となっており、平均価格は1億3,948万円と前年同月比で62.2%上昇した。

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2024年8月」)

 販売在庫は5,110戸で、前月末よりも190戸の減少。2023年8月末の販売在庫は4,712戸だったので、昨年対比では増加している。

 首都圏新築マンションの地域別の発売状況は下表のようになっている。

(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2024年8月」)
 

 エリア別の平均価格は、東京23区が13,948万円。東京都下が5,148万円、神奈川県が5,995万円、埼玉県が5,382万円、千葉県は、5,293万円。東京23区は㎡単価が44.6%上昇しており、価格上昇が際立っている。

 また、契約率は地域によって異なり好不調の目安となる70%を上回ったのは、東京23区のみ。価格上昇が続く中で、郊外エリアは地元層が購入の中心になっており、客だまりの有無が売れ行きを左右しているようだ。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。契約率は好調ラインの70%を下回る結果となった。

首都圏の新築マンション価格と契約率の推移

過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移 不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

 続いて中古マンション市場を見てみよう。

首都圏の中古マンション市況【2024年8月】

 2024年8月の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比2.9%減少の2,229件となっており、2カ月連続で前年実績を下回った。

 成約価格は、前年同月比-1.1%の4,651万円。平均成約㎡単価は、対前年同月比+0.9%上昇の74.77万円となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、52カ月連続となる。

 また、成約価格が前年同月比で下落するのは2020年5月以来51カ月ぶりとなる。成約価格の下落は、需要の一時的な減少や市場の価格調整が影響していると考えられる。

 2024年8月の新規登録物件の㎡単価は、79.51万円となっていて、前月よりも4.2%上昇した。

首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「月例速報マーケットウォッチ サマリーレポート2024年8月度」)

 2024年8月の新規登録物件数は、対前年同月比で0.9%減少の14,572件。在庫件数は前年同月比で1.7%減少し45,192件となっている。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。在庫件数は高水準となっており、4万5千戸前後で推移している。

首都圏の中古マンション在庫件数、成約㎡単価、在庫㎡単価の推移

公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成
公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成

 次に地域別の中古マンション動向を見てみてみよう。

(出典:東日本不動産流通機構発表「月例速報マーケットウォッチ サマリーレポート 2024年8月度」)

 在庫の減少が目立つ東京都心部だが、千代田区、中央区、港区の都心3区の在庫は、前月の2,401件から2,553件へと増加した。成約件数が155件と前年同月比で13.9%減ったのが一因で、成約㎡単価も200.04万円からへ180.68万円へと下落した。昨年同月比でみると158.58万円から13.9%伸びたが一時的な株価の大幅下落の影響があったのかもしれない。

 成約件数は、前年同月比で見ると城東地区(-16.1%)、城南地区(+11.9%)、城西地区(-21.7%)、城北地区(-7.4%)と東京23区で成約が伸びているのは城南地区のみだ。いっぽうで、埼玉県、千葉県、神奈川県などは、成約件数の大きな落ち込みは見られず、千葉県の成約件数は、前年同月比+9.2%の伸びだ。

 埼玉県、千葉県、神奈川県では、中古マンションの成約平均価格はまだ値ごろ感があり、さいたま市が3,918万円、千葉県総武地区(市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、浦安市、習志野市、八千代市)が3,637万円、川崎市が4,832万円。ファミリー層にも十分手が届く価格となっている。値ごろ感のある東京都に近接したエリアの中古マンションも狙い目だろう。

 次に、今月の注目マンション「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」を紹介する。

宮前平駅徒歩3分の閑静な邸宅154邸「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」

「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」の建設地(筆者撮影/2024年9月)
「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」の建設地(筆者撮影/2024年9月)

  「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」は、東急田園都市線の宮前平駅北口から徒歩3分、南方向に傾斜するロケーションに建つ総戸数154戸の大規模レジデンスだ。

 周囲は、戸建て住宅が広がる駅近でありながら静けさと開放感がある。南側と東側が道路に面した角地立地で3棟の建物をコの字形に配している。

 特徴が多くみられるのはバルコニーだ。棟ごとに特徴付けたプランニングで、南向きの「VISTA」棟と東向きの「GLARE」のバルコニーにはトランクルームを設置し、バルコニースペースの収納力を向上。また、3棟ともに通常、妨げになりやすい室外機をバルコニーの先に外向きに配置している。

 プライバシーが重視された「SERENE」棟には奥行き約2.8mのハーフバルコニーを設置し、外部からの視線を気にせずバルコニーライフを愉しむことができる。物干し金物はマンションで初めての採用となる取り外し可能な「屋外用ホスクリーン」を採用した。

 2024年9月15日に第1期1次54戸の登録受け付けを開始。49戸に対し73件の登録と好調なスタートを切っている。第1期1次の販売価格は、8,388万円~1億4,288万円専有面積は、74.95㎡~94.19㎡。高騰する都心のマンションに比べるとパワーカップルなら十分手が届く価格設定だ。2024年9月末時点での資料請求件数は、約2500件と多くの反響を集めている。

 評価されているのは、駅近かつ閑静で日当たりの良い南傾斜のロケーション。宮前平駅は、1966年開業と半世紀以上に及ぶ街づくりの歴史があり、駅近のまとまった用地を取得するのは容易ではない。

 建設地は、第一種中高層住居専用地域(※)に位置し、快適な住空間が保たれている一方、小中学校や区役所をはじめとした公共施設が集積するなど、生活利便性の高さも兼ね備えている。主に3階以上の住宅が建てられ、学校や病院など限られた施設のみ許可され、店舗や工場は制限される地域

 東急田園都市線の停車駅(渋谷-中央林間)で過去10年で分譲された新築マンションのうち、住居専用地域で駅徒歩3分以内の物件は全体の2.4%(2024年2月MRC調べ)と限られている。

「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」の外観完成予想CG(出典:公式ホームページから)
「ザ・パークハウス 宮前平二丁目」の外観完成予想CG(出典:公式ホームページから)

 外観デザインは、垂直ラインと水平ラインを異なる素材で強調。「丘×樹×風」の建築コンセプトを石・木・ガラスで表現することで、この地ならではの上質感や落ち着きを創り出す。共用部としては「マスターラウンジ」を設置し、数人が寛げる大きなソファを配した交流空間となっている。緩やかに仕切られたミーティングスペースとパーソナルスペースも用意する。また、南東角には植栽にあふれた提供公園を設けられている。

 平均専有面積77㎡の広さと個性的なプランバリエーションで多様なライフスタイルに対応。ZEH-M Orientedを取得し、断熱性を高め、高効率設備の導入によって快適な室内環境を保ちつつ、年間の一次エネルギー消費量を20%以上削減する。

 ポイントは早々出会えない立地にふさわしい、住戸プランと設備・仕様。田園都市線駅近の大規模レジデンスということもあり、今後も注目を集めそうだ。

予算重視なら郊外エリアが狙い目

 株式会社ワンノブアカインドが運営する「マンションレビュー」によれば、2024年8月度の全国市区町村 中古マンション価格騰落率ランキングのトップは、東京都港区。前年同月比率で31.91%の上昇。坪単価をベースに70㎡の価格に換算した「中古マンション価格」は1億4193万円となり、1億4千万円を突破した。千代田区が1億2010万円、中央区が1億1807万円、渋谷区が1億1208万円。もはや都心で70㎡を購入するのは中古マンションでも高嶺の花だ。

 2024年9月に発表された令和6年都道府県地価調査によれば、2024年7月1日時点の地価は、全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続でプラスに。上昇幅も拡大しており、東京圏は住宅地で3.6%、商業地で6.2%の上昇。インバウンド需要が急回復している台東区浅草エリアでは、25%上昇の地点もある。

 商業地の上昇率トップ3の行政区は、渋谷区の13.1%(前年4.5%)、台東区 12.5%(前年7.0%)、文京区の11.7%(前年6.8%)と都心は上昇幅が拡大している。地価上昇の波は、さらに千葉県市川市や埼玉県川口市、神奈川県川崎市など都心近郊エリアへも拡大しており、マンション適地が限られる中、新築マンション価格は今後も高止まりしそうだ。

 一方で、郊外エリアの中古マンション価格は、都心のような需給ひっ迫が見られない。都心のような富裕層や外国人の投資目的購入が目立たないからだ。予算重視で考えるなら、まだ手が届きやすい郊外エリアのマンションに目を向けてみてはいかがだろうか。

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