新築・中古マンションの市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説!【2025年4月版】

2025年4月18日公開(2025年4月18日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

今月も首都圏新築マンション市況(新規販売戸数、平均価格、契約率)、および中古マンションの市況を解説する。2025年2月度における首都圏中古マンションの成約件数は前年同月比+23.9%、中古戸建て住宅成約件数は前年同月比+44.8%と大幅に増えている。日本銀行の政策金利の引き上げに伴い、住宅ローン金利の先高観から中古住宅の購入に動いたと予想される。また、大規模建築物として日本初の『ZEH-M』分譲マンション「Brillia 深沢八丁目」についても解説をしていく。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

首都圏新築マンションの市況【2025年2月度のデータ】

 2025年2月度の首都圏新築マンション市況を見ていく。発売戸数は、前年の同月比2.4%減少の1,288戸。初月契約率は69.7%となり低調だった前月よりも大きく回復した。中古市場と同様、金利の先高観から購入に動くユーザーが多かったようだ。

 また、首都圏新築マンションの1戸当たりの平均価格は7,943万円。前年の同月比では、821万円のアップとなっている。東京23区の供給シェアが31.9%、東京都のシェアが44.6%と前月よりも高まったことが価格を押し上げた理由と考えられる。

不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移 不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

首都圏の新築マンション市場動向2025年1月

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向 2025年2月」)

 2025年2月の販売在庫数は6,238戸で、前年同月比で494戸増加している。

エリア別の動向は?

エリア別の首都圏新築マンションの販売動向(2025年2月)

(出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向 2025年2月」)

 エリア別の平均価格は、東京23区が1億392万円。東京都下が5,357万円、神奈川県が6,701万円、埼玉県が9,958万円、千葉県が5,963万円。埼玉県で価格上昇が際立つのが、県内の主要駅前での再開発によるタワーマンションの供給があった影響。エリア全体というよりも物件の個別性が強まっており、地域の相場観を掴むのは困難になってきている。

 都心のマンションが高騰する中、JR総武線・京浜東北線など都心部へ直結する主要駅での再開発プロジェクトは、今後も注目を集めるであろう。

首都圏の中古マンション市況【2025年2月度のデータ】

 続いて中古マンションの市況を見ていく。中古市場は、好調だった前月を上回る成約数の高い伸びを記録した。2025年2月度の首都圏中古マンションの成約件数は前年の同月比23.9%増の4,152件となり、4カ月連続で前年同月より成約率アップ。月次の成約件数が4,000件を超えるのは、2021年3月度の4,228件以来3年11カ月ぶりとなる。

 2025年1月に行われた日本銀行の金融政策決定会合で、政策金利が引き上げられたことによる住宅ローン金利の先高観が引き渡し時期の早い中古マンションの購入を後押ししたと考えられる。

 平均成約価格は前年同月比2.6%上昇の4,985万円。平均成約㎡単価は、対前年同月比4.8%上昇の79.14万円となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、2020年5月から58カ月連続となる。

 また、2025年2月の新規登録物件の㎡単価は、前月を上回る87.71万円となっていて前年同月比18.2%の上昇。成約㎡単価との隔たりは拡大している。

首都圏の中古マンション市場動向2025年2月
 

首都圏の中古マンション市況(出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2025年2月度」)

 2025年2月の新規登録物件数は、対前年同月比で7.3%減少の1万5,507件。在庫件数は前年の同月比で5.1%減少し4万5,214件となっている。新規登録件数が前年の同月比でマイナスとなるのは12カ月連続である。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏中古マンションの価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。

公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成
公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成

地域別の動向は?

首都圏中古マンションの成約㎡単価(2025年2月)
 

 次に地域別の中古マンションの動向を見てみてみよう。まず驚くのが、成約件数の伸びだ。東京23区が前年の同月比31.1%増加の1,899件、東京都多摩も22.0%増加の405件に。埼玉県が18.0%増加の452件、千葉県が5.2%増加の445件、神奈川県も24.5%増加の951件となっている。

 いっぽう、成約㎡単価をみると、前年の同月比で大きく上昇しているのは東京23区のみ。成約数の伸びに対して価格が伸びていない。これは住宅ローンの金利が上昇する中で、今が売り時と考えた人が一定数いたからであろう。新規登録物件価格が上昇したこともあり、在庫㎡単価は一段と高くなっている。値ごろ感のある中古マンションの購入は、ますます難しくなりそうだ。

大規模建築物として日本初の『ZEH-M』 分譲マンション「Brillia(ブリリア)深沢八丁目」

「Brillia-深沢八丁目」の上空からの写真(出典:公式ホームページから)
「Brillia-深沢八丁目」の上空からの写真(出典:公式ホームページから)

  次に今月の注目マンション「Brillia(ブリリア)深沢8丁目」を紹介する。

 東京建物株式会社が分譲を開始している「Brillia 深沢八丁目」は、東急田園都市線桜新町駅から徒歩9分に立地する、地上3階建て、総戸数38戸の分譲マンション。東京建物が発表した資料によると、ZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)シリーズ最高ランクのZEH-M基準の100%以上を達成している。大規模建築物(延床面積2,000㎡以上)で適合する物件としては日本初となる。

 同資料では、ZEH-M基準のランク区分についても詳しく解説されている。ZEH-Mは、一次エネルギー消費量削減率に応じてZEH-M(100%以上)、Nearly ZEH-M(75~100%)、ZEH-M Ready(50~75%)、ZEH-M Oriented(20~50%)の4ランクに分けられている。

 高い断熱性能による省エネと、太陽光パネルや燃料電池「エネファーム」による創エネを組み合わせることで、住棟全体で一次エネルギー消費量削減率が100%以上の『ZEH-M』と、住戸ごとで一次エネルギー消費量削減率が100%以上の『ZEH』(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の両方の基準を満たしている。

 また、省エネ・省CO2に係る先導的な技術を導入した住宅および建築物のリーディングプロジェクトに対する国土交通省の支援事業「令和5年度サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されている。加えて、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)による建築物環境性能評価にて最高位となるSランクを取得している。

 「Brillia 深沢八丁目」では、高断熱サッシや全熱交換器等の採用により、技術基準上の『ZEH-M』の要件である「断熱等性能等級5」より高い「断熱等性能等級6」を全住戸で取得。冷暖房に係る電力消費の抑制などにより、基準一次エネルギー消費量から住棟全体で44%の省エネとなる。通常のZEH-Mシリーズの住宅よりもさらに快適な温熱環境を実現している。

 また、屋上全面に設置した336枚の太陽光パネルと全住戸に標準設置した燃料電池「エネファーム」により57%の創エネを実現し、省エネと創エネを組み合わせること住棟全体で101%の一次エネルギー消費量削減率を達成している。

 住戸ごとの平均では114%の一次エネルギー消費量削減率を達成。本物件における省エネ、創エネにより、一般的な省エネ基準の住戸と比較して年間で11万1,000円(月平均約9,200円)の光熱費削減が見込まれる。

 住戸内のリビングには太陽光パネルやエネファームから給電される停電時専用のコンセントを設置し、停電時にも電力利用が可能になっている。また、本物件内の駐車場全13区画は太陽光発電と蓄電池が連携したEV充電区画とであり、非常時にはEV自動車から共用部照明等への電力の供給が可能なV2H(Vehicle to Home)設備を併設している。

 「Brillia 深沢八丁目」は、一般定期借地権分譲となっており約70年間の借地期間となる。立地するエリアである深沢アドレスの邸宅街のなかでも桜新町駅徒歩圏の第一種低層住居専用地域でこれだけの敷地があるマンションは、限られており、売れ行きも堅調である。

「Brillia深沢八丁目」の外観(筆者撮影)
「Brillia深沢八丁目」の外観(筆者撮影)

 現地は、落ち着いた住宅街で、建物高さが10m(もしくは12m)に制限された第一種低層住居専用地域であり高層建物がまわりになく、住戸からの景観が開放感にあふれている。3階住戸からの景色も素晴らしい。リビングダイニングには断熱性の高いアルミと樹脂が一体になったサッシを採用。全体の色調を合わせ上質な仕上がりになっている。

 また、ディスポーザーやエネファームの採用など設備スペックも充実している。さらに、全熱交換器によって寒暖差を抑えヒートショックが防げるバスなど、健康面にも配慮が行きとどいている。

 住戸は、専有面積63.88㎡~134.15㎡ 間取りは2LDK~4LDK。予定最高価格は、1階70㎡台のモデルルームタイプが1億3,500万円台予定となっている。昨今の価格上昇を受け、定期借地権とはいえ相応の価格設定となっている。それでも堅調な売れ行きを示しているのは、立地の希少性とグレード感のある商品企画、また、ZEH-Mを実現した次世代基準マンションへの期待だろう。

まとめ

 2025年3月19日に国土交通省から公表された令和7年地価公示によれば、令和6年1月からの1年間の地価動向は、全国平均で、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅も拡大している。なかでも東京圏、大阪圏の伸びが中でも顕著である。

 東京圏商業地では、渋谷区『桜丘町14-6』が32.7%上昇、台東区『浅草1-1-2』が29.0%上昇など外国人のインバウンド需要の増加を反映した結果に。東京都区部商業地の平均上昇率は、11.8%にも上り23区中17区が10%を上回った。東京都区部は、住宅地の上昇率が極めて高く、好調な住宅市場を映し出している。

 都心だけでなく、ファミリー層に支持されている郊外エリアも伸びが顕著。千葉県の住宅地上昇率トップ3は、すべて子育てファミリー層に人気の「流山おおたかの森」駅周辺部で上昇率は、いずれも18%台と高い伸びだ。都内でも「足立区綾瀬一丁目」、「北区赤羽一丁目」など通勤利便性の高い街も上昇率上位にランクしている。

 こうした地価上昇が、新築マンション価格に反映されてくるのは数年先になるだけに、マンションの価格上昇は、まだまだ続きそうだ。

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