「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」の価格、スペック・立地を徹底的に調査した。
総戸数4500戸、約1万人 が暮らす街「幕張ベイパーク」
「三井不動産レジデンシャル」、「野村不動産」、「三菱地所レジデンス」など、不動産会社7社による共同事業で、計画総戸数約4500戸、約1万人が暮らす街をつくる――。「幕張ベイパーク」を一言で表すと、以上のようになる。
加えて、「米国オレゴン州ポートランドをモデルとした未来志向の新しい暮らし方を提案・応援する街」となるのだが、その説明を聞く前に、日本を代表する不動産会社が集まって開発する大規模マンションであることに興味をそそられた人は多いはずだ。
「首都圏最大級となる総面積17万5809㎡・8区画に約4500戸、約1万人」。東京五輪の選手村が作られる中央区勝どきエリアと同様規模で、最先端の街が新たに誕生するのだから、見過ごすわけにはいかない。そう思う人が多いためだろうか、販売センターが開く前の2017年6月末時点で資料請求数が2816件(3カ月と14日間での数字)に達していた。間違いなく、注目のマンションである。
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- 価格
- ー
- 完成時期
- 2018年12月予定
- 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-18・1-19
- 京葉線「海浜幕張」駅徒歩15分
- 間取り
- 2LDK~4LDK
- 専有面積
- 58.97㎡~104.35㎡
- 総戸数
- 503戸
- 売主
- 三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンス、伊藤忠都市開発、東方地所、富士見地所/袖カ浦興業
- 施工会社
- 熊谷組
※データは2017年7月10日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」は、地上37階の免震タワー棟と地上8階のレジデンス棟で503戸
「幕張ベイパーク」では、約4500戸が一気に販売されるわけではない。今後10年以上にわたって、段階的に分譲が進められる。その第1弾となる「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」の販売センターが9月16日にオープンした。
「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」は、地上37階建ての免震タワー棟と地上8階建てのレジデンス棟に分かれ、合計503戸の構成。敷地内に保育所や店舗、コワーキングスペース(椅子、デスク、ネットワーク環境を共用し、個人もしくは少人数が仕事の場として借りることができる空間)などを併設。アフタースクール、つまり学童保育の場も提供され、子どもを預けての共働きや、自宅近くで仕事をするスタイルにも対応するマンションとなっている。
もともと海浜幕張エリアは、海が身近な新都心として開発が進んできた。その幕張新都心で、これから求められるのはどんな生活スタイルなのか。その答えを、ポートランドのライフスタイルをモデルに実現させようとするマンションというわけだ。
ワクワクさせてくれる要素の多い街づくり……これまでの例でいうと、同じ千葉県内の「柏の葉キャンパス」や神奈川県川崎市の「武蔵小杉駅周辺再開発エリア」のような街づくりがこれから始まるわけだ。
「海浜幕張」駅徒歩15分は、かなり不利な条件
ただし、このマンションには、「柏の葉キャンパス」や武蔵小杉のマンションと異なる点がひとつある。
それは、「海浜幕張駅から徒歩15分」であることだ。
「柏の葉キャンパス」も武蔵小杉も駅前からマンション群が始まっており、「駅近のマンションに人気が集中」という時流にもマッチして評価を高めた。
しかし、「幕張ベイパーク」の敷地は駅から離れており、今回分譲される「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」は最も駅寄りの配置なのだが、それでも駅から徒歩15分もしくはバス利用となる。
一般に「駅近」と呼べるのは、「駅から歩いて3分以内」。その条件を満たすマンションならば、リセールバリューが上がり、買ったときと同じかそれ以上の値段で売れる可能性が高まる。
逆に、「駅から歩いて3分」を超えると、徐々にリセールバリューが下がる。「駅から徒歩5分」とか「徒歩7分」であれば下がり方は小さいが、「徒歩10分」を超えると、値下がり幅が大きくなる可能性がある。
そう考えると、「徒歩15分」はかなり不利な条件だ。「将来、どれくらいの価格で売れるのか」を気にする人にとっては、致命的な欠点になりかねない。
加えて、実際に歩いてみてもシンドイという事実もある。徒歩15分は信号の待ち時間等を勘案していないので、実際は17分とか18分もかかることを覚悟しなければならないからだ。
同マンションでの生活が始まるときにはバス路線が拡充されることになっている。幅広の道路が整備されているので、海浜幕張駅までストレスなく行き来できるだろう。それでも、「駅から徒歩15分、もしくはバス利用」という立地特性は大きな障害になりかねない。そんな場所で4500戸のマンションを売って大丈夫なのか、と心配の声も上がりそうだ。
ところが、幕張新都心には「徒歩15分」を普通と考える特殊事情がある。
幕張新都心では駅から遠いのは当たり前
最寄り駅であるJR京葉線「海浜幕張」駅は快速停車駅。快速電車を利用した場合、東京駅まで最短30分。だから、駅近くに住めば都心への通勤が楽なはず……なのだが、残念ながら、海浜幕張駅エリアでは、“駅近マンション”が存在しない。
というのも、同駅を中心にした幕張新都心では明確なゾーン分けが行われ、駅周辺は商業ゾーンでマンションは建設されないからだ。商業ゾーンの西側つまり東京側はオフィスゾーンでこちらにもマンションはない。
商業ゾーンの東側は駅周辺の喧噪と“縁切り”するように公園ゾーンが横たわり、公園奥に住宅ゾーンが配置される。つまり、マンションは駅から遠い立地となる。
再開発による新都心づくりでは、このゾーン分けが曖昧となり、商業・オフィスゾーンにマンションが建設されているところもある。が、幕張新都心は初志貫徹。当初の計画通りゾーン分けが守られている。
幕張新都心では、「マンションが駅から遠い」のは当たり前。その前提に立ったうえで「それでも魅力的なマンション」を模索し続けているのが、幕張新都心のマンションなのだ。
深夜、通り道の公園を歩いてみた
実際、幕張新都心には建物や敷地内の工夫満載のマンションが多い。東京23区内の物件より二回り以上広いし、天井も高い。設備や共用・サービスも充実する。この魅力が評価され、「駅から徒歩10分以上が当たり前」のマンションでも人気となる、珍しい場所になっている。
駅から徒歩10分以上で、駅とマンションエリアとの間には公園が横たわる——この立地条件から、深夜の帰宅時、バスに乗らない場合は公園内の道を通ることになる。
この道は怖いのではないか……そう考えられるのだが、実際に取材すると、びっくりするくらい多くの人が深夜に公園内の道を歩いて帰宅しており、怖さはなかった。これもまた、幕張新都心の特殊事情といえるだろう。
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1994年5月からマンション分譲が始まった幕張新都心
幕張新都心で最初のマンション分譲が始まったのは1994年の5月。国内不動産会社が集結し、6つのグループに分かれて「幕張ベイタウンパティオス」1番街から6番街という6つのマンションを建設したときだ。ちなみに、最初の分譲価格は1K〜5LDKが2160万円から8050万円(櫻井幸雄取材メモによる)。バブル最盛期にしてはお手頃だった。これは借地権方式をとって価格を抑えたためによる。土地所有者は当時の千葉県企業庁(現在は千葉県)だった。
その後、21世紀に入っても3、4年おきくらいのペースで新築マンションが継続的に分譲され、売れ続けた。さらに、UR都市機構の賃貸マンションとしてパティオスの7番街から22番街までが建設されてきた。現在、その賃料は、3LDKで月額16万円程度。駅から離れた場所のマンションなのに、人気は落ちることがなかったわけだ。その意味で、幕張新都心はマンション市況において希有な場所といえる。
「幕張ベイパーククロスタワー&レジデンス」は、管理費を抑えるためか、共用施設は多彩だが控え目
その幕張新都心で、海浜幕張駅から徒歩15分もしくはバス便の場所で分譲が始まる「幕張ベイパーククロスタワー&レジデンス」はとにかくスケールが大きい。
そして、販売センターも巨大である。
シアターは左右が大きく床までスクリーンになり、海浜幕張の海岸シーンでは足元まで波がくる感触を味わえる。身近な公園での楽しみ、敷地内の有効な共用施設もテンポよく紹介され、「このマンションに住む魅力」を十二分に満喫させてくれる。見学者としては、このシアターで圧倒され、判断力が鈍らないように注意が必要だろう。それほど、よくできたシアター映像である。
地上37階建ての超高層タワー棟は免震構造を採用。タワー棟、レジデンス棟ともに、外観・外構デザインを光井純氏が担当する。エントランス部分には石板をあしらった柱や水盤があり、高級マンションの風情がある。ガラス張りで明るいロビー・ラウンジも好印象。ゲストルーム、キッズルーム、コミュニティルーム、30階のスカイビューラウンジなど共用施設も多彩だが、盛りだくさんというほどではない。共用施設が多いために管理費が高くなることを避けたのかもしれない。
それでも、24時間有人管理で、敷地内に保育所やコンビニエンスストアなどがあるため、必要にして十分な共用施設といえる。
3LDKは75㎡と広めだが、廊下が長いのがネック
「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」の住戸は、約59㎡〜106㎡の2LDK〜4LDK。モデルルームとして、平均的な75㎡・3LDKタイプと最も大きな106㎡住戸の二つが用意されている。
近年、首都圏のマンションでは70㎡前後の3LDKが増えている。それに比べて、75㎡の3LDKはひとまわり大きなサイズいえる。
しかしながら、モデルルームは玄関からLDまでの廊下が長く、廊下に面積を取られている感があった。廊下が長くなってしまったのは、玄関を設けたい部分に柱があり、玄関を横にずらしたためと考えられる。
一般的に、75㎡クラスの住戸では、間取りの四隅に柱が配置される。柱が四隅にあれば、「柱が邪魔で玄関を横にずらす」ことはあり得ない。ところが、「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」の超高層タワー棟では、間取り四隅に柱が配置されるのは基本的に80㎡以上。80㎡に満たない間取りは四隅ではなく、中央部分に2本の柱が配置されるケースが多い。これは、スパン(柱と柱の間隔)が通常のマンションより広いためと考えられる。スパンを広げられたのは免震構造の恩恵だろう。
四隅ではなく中央部分に2本の柱を配置するだけであるため、柱によって住戸内が狭くなる弊害が少なくなる。一方で、一部の住戸で玄関からLDまでの距離が長くなるという結果も生じてしまったのだろう。
今回、75㎡タイプのモデルルームでは、この「玄関からLDまでの廊下が長い」例をあえて見せている。これは、良心的な販売方法と評価できる。
キッチン部分も天井が高いマンションは希少
モデルルームで、もうひとつ気がついたのは、天井が高いこと。こちらは間違いなく長所である。LDで2m60㎝と、一般的な2m40㎝よりも20㎝高い。この天井の高さがキッチン上部まで続いている(キッチンの一部は天井が下がる)。「キッチン部分も天井が高い」マンションは希少である。
加えて、室内全体に下がり天井が少ないことにも驚いた。聞けば、キッチンからバルコニーまで通す排気ダクトも省スペース化し、極力下がり天井を排除したのだそうだ。その結果生まれる開放感は「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」が誇るべき特徴である。
キッチンにはディスポーザーと食器洗い乾燥機を標準設置。トイレにはローシルエットタンクの美しい便器と、便器とは別の手洗いも標準設置される。
3LDKで75㎡は5000万円台後半、106㎡は8000万円台前半
モデルルームになっている75㎡タイプ・31階で、分譲価格は5000万円台後半になる見通しという。下層階であれば、もっと安くなるはずだ。
一方、大型住戸である106㎡タイプは31階で、8000万円台前半になる見通し。こちらは、3LDKの基本プランが2LDKのメニュープランに変更されていた。約28.5畳のLDコーナーサッシが付き、富士山や都心部の夜景が楽しめる間取りである。
私は、この106㎡モデルルームを見て、三井不動産レジデンシャルが誇る最高級ブランド「パークマンション」のテイストを感じた。パークマンションほど贅を凝らすと分譲価格が跳ね上がるので、許される範囲で……それでも、都心部で5億円、10億円するパークマンションの気品を、それよりずっとお手軽な価格帯で味わうことができる。106㎡のモデルルームは、実に見応えのある住居である。
資産価値の維持は難しいかもしれないが……
「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」は、環境のよさや居住性の高さを大事する人に向くマンションだと考えられる。「将来、高く売れる」「高く貸せる」ことよりも、自分と家族が幸せに暮らすことができれば、それでよいと考えるファミリーにふさわしいマンションである。
幸せに暮らして「このマンションから離れたくない」と考えれば、人に貸すことも売ることもない。 だったら、リセールバリューはどうでもよいこととなる。考えてみれば、幕張新都心の住宅は、どれもリセールバリューとは異なる価値を追求しているように思える。
「人生、お金がすべてじゃないよ」と自信を持って言える人にふさわしい場所であり、マンションだろう。
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