東京五輪の選手村を再開発するプロジェクト 「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」が始動し、インターネットサイトにHPが開設された。マンション部分の販売は、来年2019年5月末から、とされているのだが、HPには早くもアクセスが殺到。多くの人が関心を示している。この「HARUMI FLAG」とは、どんなマンションなのか。そして、買いかどうか。今分かっている情報と私の予測を基に解説したい。
「HARUMI FLAG」はリノベ物件なので割安?
「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」とは、晴海に建設される東京五輪選手村を中心にした大規模開発プロジェクトの名称。東京五輪の最中は選手村として使われ、厳重なセキュリティで守られる。当然、部外者は立ち入り禁止だ。
この選手村エリアは、五輪後に開放され、新しい街として開発される。選手村は分譲マンションと賃貸マンションに作り替えられ、公園や商業施設、公立の小中学校もつくられる。湾岸の晴海エリアに新しい街区が誕生するわけだ。
分譲マンションとして50階程度の超高層マンションが2棟建設される計画だが、この2棟は東京五輪後に着工、分譲される。その時期、内容等はまったく公表されていない。
「来年5月末から分譲が始まる」とされているのは、東京五輪で選手村として使われた建物をマンション住戸に大幅変更する、いわばリノベ住宅である。リノベとはいえ、中古扱いとなるため、価格が抑えられるだろうとの期待もあり、多くの人が販売開始の半年前から熱い視線を送っているわけだ。

◆HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)(販売前) | ||||
価格 | 未定 | 入居時期 | 【SEA VILLAGE】未定【SUN VILLAGE第一工区】未定【PARK VILLAGE第一工区】未定 | |
交通 | 【4街区】都営大江戸線「勝どき」駅(A3b出口利用)下車徒歩17分(E棟)・18分(D棟)・19分(C棟)・20分(B棟)・21分(A棟) 他 | 所在地 | 東京都中央区晴海5丁目502番、503番、504番 | |
間取り | 【4街区】3LDK~4LDK 【5街区第一工区】2LDK~4LDK 【6街区第一工区】2LDK~4LDK |
専有面積 | 【4街区】一般販売住戸:85.37㎡~152.10㎡(トランクルーム面積0.42㎡~1.58㎡含む) 【5街区第一工区】一般販売戸:61.06㎡~116.58㎡ 【6街区第一工区】一般販売戸:66.59㎡~108.31㎡ |
|
総戸数 | 【4街区】686戸 【5街区第一工区】1089戸 【6街区第一工区】915戸 |
売主 | 三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産社、東京建物八重洲分室、NTT都市開発、新日鉄興和不動産、大和ハウス工業 | |
※データは2018年11月14日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
【関連記事はこちら】>>価格大公開!【HARUMI FLAG(晴海フラッグ)】事前案内会スタート! 潜入レポートで、5000万円台の部屋を発見
「HARUMI FLAG」の住戸は広い。その分、値段は高め?
「HARUMI FLAG」の概要は以下の通り。
分譲される住戸は4145戸。60㎡台から150㎡台までの広さとなり、最も数が多いのは85㎡台の広さで、220戸が供給される。分譲予定価格は未定。この概要とともに、代表的な間取りもいくつか公開されている。
以上のデータから、いくつものことが見えてくる。
まず、「HARUMI FLAG」で分譲される住戸は、広い。選手村として使用する一人部屋を2つ以上つなげて1住戸にするようなことが行われるようなので、大きな住戸になってしまうのだろう。
五輪選手は基本的に大柄なので、選手村として世界に恥ずかしくない一人部屋をつくろうとすると、40㎡以上の広さは必要。それを2つつなげただけで85㎡程度の住戸ができてしまう。
だから、HPで公開されている代表的間取りは、90㎡以上や100㎡以上のものが並んでいる。90㎡を超える住戸は浴室も大きい。一般的な分譲3LDKの浴室が1418(1.4m×1.8m)であるのに対し、ふたまわりくらい大きな1620(1.6m×2m)サイズのものが採用され、なかには1822(1.8m×2.2m)という、高級マンションでもなかなかお目にかかれないサイズの浴室付き住戸もあった。
間取り図を見る限り、キッチンでは、通常のシステムキッチンとは別にカップボードも標準設置されるようだ。住戸内に柱形が入らないアウトポール設計を採用するなど、基本設計のレベルが高い。
以上から推測されるのは、「中古扱いだから、大幅に安くなる」とは単純にいえないということ。日本を代表する不動産会社が集結してつくりあげ、リノベーションするマンション群なので、商品企画のレベルが高く、ある程度の販売価格になるのは仕方ないだろう。
現在、湾岸エリアの新築マンションは3.3㎡あたり400万円を超える水準まで上がっている。これに対し、「HARUMI FLAG」は2割程度安い設定、3.3㎡あたり300万円かそれを少し超える程度になるのではないか。それが、現時点での予測価格となる。
せめて、70㎡3LDKが6000万円台だったら

3.3㎡あたりで300万円を少し超えたくらいの価格設定でも、「中央区内で、なんでもそろっている最先端の街である」というポテンシャルを考えると、割安だと判定される。しかし、問題は、3.3㎡単価ではなく、グロス価格つまり分譲価格がいくらになるか、だ。
分譲価格を考えるとき、「広い住戸をそろえている」ことがアダになる。
3.3㎡あたりの単価が低くても、85㎡、95㎡というような広い面積になると、分譲価格は高額になってしまう。3.3㎡あたり300万円として85㎡では7700万円。95㎡では、8600万円だ。
そうなると、手が出ない、という人が多いだろう。地方に住む富裕層が都心の拠点として、また将来の資産形成を考えて都心のマンションを買う場合、1億円前後の価格は頃合いとなる。100㎡前後の広さもちょうどよい。だから、お金持ちにとって、「HARUMI FLAG」の住戸は魅力的に映るだろう。
しかし、中堅サラリーマンにとっては、高すぎるし、広すぎる。せめて70㎡で6000万円台にしてほしかった、との恨み節が聞こえてきそうだ。
もし買えるなら、買っておきたい
では、総合的に見て「HARUMI FLAG」は、買いか。
3.3㎡あたり300万円程度になる、というのは私の予測で、どうなるかは分からない。正式価格がそれよりも安く設定されれば、あっという間に売り切れるだろう。その場合は、抽選に当たるかどうか、が大きな問題になる。
3.3㎡あたり300万円程度、もしく300万円台前半の設定になると、購入できる人は限られる。それでも、間違いなく売れるはずだ。
都心部では新築物件が少なくなっており、これから先も増えることは予想しづらい。そして、高額化した都心マンションは暴落することなく、高止まりしている。
そんな状況のなか、「HARUMI FLAG」は、希少な中央区物件としての希少価値がある。だから、3.3㎡あたりで300万円を超えても買い、と判定したわけだ。
冒頭に書いた、「HARUMI FLAG」内で東京五輪後に着工する2棟の超高層マンションは、ピカピカの新築マンションとして分譲、もしくは賃借される。その金額は、いったいどれくらいになるか、見当もつかない。分譲の場合、3.3㎡あたり400万円か、500万円か……。
値段の高い新築分譲マンションの横で売られる、「選手村として使われたリノベ物件4125戸」は、やはり割安との評価が定着するだろう。
これまで、日本では「必要以上に広い」と言われたマンションがいくつかある。千葉県の幕張ベイタウンや広尾ガーデンヒルズ、深沢ハウス……それらは、中古になっても人気が落ちず、むしろ人気が上がるケースが多い。
「必要以上に広い」と言うのは、多くのは場合、投資家目線での評価。居住者にとって、広い住戸は「好ましい」以外のなにものでもない。
【関連記事はこちら】>>価格大公開!【HARUMI FLAG(晴海フラッグ)】事前案内会スタート! 潜入レポートで、5000万円台の部屋を発見
「HARUMI FLAG」は、その広いマンション住戸を都心部につくろうとしている。その意義は大きいと評価される。もし、買えるのなら、買っておきたい。それが私の偽らざる気持ちである。
【編集部追記】
オリンピック開催が1年延期になったことで、販売が延期になっていた「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」だが、2021年6月公式ホームページ上で、8月下旬からパビリオン(モデルルーム)を再開することが発表された。「SUN VILLAGE」第1期、「SEA VILLAGE」第2期の販売は、2021年11月中旬から行われる予定だ。
◆HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)(販売前) | ||||
価格 | 未定 | 入居時期 | 【SEA VILLAGE】未定【SUN VILLAGE第一工区】未定【PARK VILLAGE第一工区】未定 | |
交通 | 【4街区】都営大江戸線「勝どき」駅(A3b出口利用)下車徒歩17分(E棟)・18分(D棟)・19分(C棟)・20分(B棟)・21分(A棟) 他 | 所在地 | 東京都中央区晴海5丁目502番、503番、504番 | |
間取り | 【4街区】3LDK~4LDK 【5街区第一工区】2LDK~4LDK 【6街区第一工区】2LDK~4LDK |
専有面積 | 【4街区】一般販売住戸:85.37㎡~152.10㎡(トランクルーム面積0.42㎡~1.58㎡含む) 【5街区第一工区】一般販売戸:61.06㎡~116.58㎡ 【6街区第一工区】一般販売戸:66.59㎡~108.31㎡ |
|
総戸数 | 【4街区】686戸 【5街区第一工区】1089戸 【6街区第一工区】915戸 |
売主 | 三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、住友商事、東急不動産社、東京建物八重洲分室、NTT都市開発、新日鉄興和不動産、大和ハウス工業 | |
※データは2018年11月14日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
注目記事>>新築マンションで気になる「音」のトラブル! 壁や床の遮音性は、厚さと工法を確認
注目記事>>最新の新築マンション最新市況は? 価格動向、人気物件を解説
注目記事>>新築マンションを値引きする会社はどこ?デベロッパーごとに解説
【注目の大規模物件】 | 【新築マンションの基礎】 |
■パークタワー勝どきミッド/サウス ■シティテラス新小岩 ■名古屋ザ・タワー ■レ・ジェイドつくば Station Front ■パークホームズ千葉 ■Brillia Tower 聖蹟桜ヶ丘 |
■最新の市況は? ■首都圏の新築・中古マンション市況? ■値引きをする会社はどこ? ■壁や床の工法の違い ■管理のチェックポイント ■住み心地を決める「階高」 |
◆新築マンション人気ランキング |
![]() |
![]() |