新築マンション「グレーシアタワー三鷹」は東京・三鷹市の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。「JR中央線」「三鷹」「駅直結」「再開発」「超高層」……人気要素をいくつも持つ「グレーシアタワー三鷹」は、販売センターが開く前から資料請求が殺到。今でも予約が取りにくいほどモデルルームに見学者が集まっている。分譲価格次第では早期に販売終了になる可能性がある。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。
販売センターが開く前から資料請求が殺到
「グレーシアタワー三鷹」の特性を簡潔に言い表すと、『JR中央線「三鷹」駅と直結し、複合再開発で生まれる超高層タワーマンション』ということになる。わずか30文字余りの説明に、首都圏でマンションを探している人が思わず目をとめるキーワードが5つもある。「JR中央線」「三鷹」「駅直結」「再開発」「超高層」だ。
人気要素を5つも備えるため、「グレーシアタワー三鷹」は、計画が発表された時点から注目を集めていた。販売センターが開く前から資料請求が殺到し、モデルルームの公開が始まると、予約が取りにくいほど見学者が集まっている。
しかし、人気が過熱しているマンションかと言われれば、ちょっと違う気がする。注目度は高いのだが、どこか冷めている部分があるような…。
価格が高く、購入できる人が限られているからか。販売センターが駅から少し離れた場所にあり、期待したほど建物が大きくないせいか。が、いずれも、大きな要因ではない。
グレーシアタワー三鷹(※新築時のデータです)
- 価格
- ー
- 完成時期
- 2019年2月予定
- 東京都三鷹市下連雀3丁目307-4(地番)他
- JR中央線「三鷹」駅徒歩1分
- 間取り
- 1LDK~3LDK
- 専有面積
- 40.06~90.66㎡
- 総戸数
- 184戸
- 売主
- 相鉄不動産、三菱地所レジデンス
- 施工会社
- 五洋建設
※データは2018年1月31日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
北口側に建つ「武蔵野タワーズ」の価格は下がらず
思い起こしてみると、三鷹駅を最寄りとする大規模マンションは、以前も冷めた目で見られたことがあった。
以前のマンションとは、2008年頃に分譲された「武蔵野タワーズ」だ。野村不動産、三菱地所(当時)、NTT都市開発、オリックス不動産が事業主となり、JR「三鷹」駅の北口側。駅から見える場所に複合開発で建設された、2棟の超高層タワーマンションだ。総戸数570戸は、下層階の安い住戸で60m²が6000万円台。上層階100m²住戸で1億5000万円程度。9000万円台、1億円台の3LDKが多く、分譲当時は「高い」とされた。
ところが現在、中古になっても値段が下がらないし、なにより中古で売り出される住戸が少ないマンションになっている。住んでみれば、やはり便利で、離れがたいマンションになっているわけだ。しかし、新築時分譲時の人気はどこか冷めたところがあった。
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価格は2008年分譲の「武蔵野タワーズ」と同レベル
三鷹は、駅近くから一戸建て住宅地が広がる、一戸建て中心の場所で、マンションも低層、中層のものが多い。その三鷹駅周辺に超高層の大規模マンションが登場すると、違和感があるというか、拒否反応を示す人も住民も出てくる。
地元住民の気持ちを考えて、超高層・大規模マンション分譲は浮かれることなく、粛々と行われる。その姿勢が、どこか冷めたものを感じさせるのかもしれない。
しかし、駅に近く、商業施設などとの複合再開発で生み出されるマンションは、なんといっても便利で暮らしやすい。そして、「グレーシアタワー三鷹」の分譲価格は、2008年に分譲された「武蔵野タワーズ」と大差ない。
2008年から現在まで、首都圏のマンション市況は大きく変わった。2008年はマンション価格が下がっていた時期で、リーマンショックにより日本経済も少なからぬ影響を受けた。その後、東日本大震災を経て、2013年に東京五輪招致が決定。不動産価格は上がり続けている。
「グレーシアタワー三鷹」は、10年前の「武蔵野タワーズ」と同レベルの価格水準で売られている。「武蔵野タワーズ」が高すぎた、ともいえる。しかし、その「武蔵野タワーズ」で中古マンションが分譲時と変わらぬ価格水準で売り出されている。
ということは、10年の時を経て、「グレーシアタワー三鷹」は、適正価格で販売されていることになる。
中心価格帯は、60m²で7000万円台、
70m²で8000万円台を予想
同マンションの分譲価格は、今回調査時点(2018年1月31日)では「未定」。4月9日時点で「4月下旬から始まる第1期4次分譲で、約40m²から約83m²の1LDK〜3LDKが5400万円台から1億1900万円」となっていた。この価格設定をみると、5400万円住戸(約40m²)の倍以上の広さがある約83m²住戸が、価格も倍+αの1億1900万円ということになる。面積割合から言って、順当な価格案分と判定できる。
超高層マンションの多くは、下層階住戸の価格を割安にして、上層階住戸の価格を上げるケースが多い。その場合、「○○万円から○○万円」という価格表示の幅が大きくなりがち。その点、「グレーシアタワー三鷹」で現在分譲されている住戸の価格幅は小さく、順当である。
こういう価格設定であれば、中心価格帯は、60m²で7000万円、70m²で8000万円くらいと推測できる。駅に近い超高層マンションの場合、まず高層階の高額住戸から売れてゆく。地元の富裕層が、「上層階は抑えたい」と思うからだ。つぎに、下層階で割安な価格設定の住戸が売れる。最後に、中間階で価格設定も中間レベルの住戸が残るものだ。
新築マンション人気ランキング(東京都下)でも、グレーシアタワー三鷹は高い人気倍率を誇っている。「グレーシアタワー三鷹」の分譲は、そろそろ最終段階に入っているのかもしれない。
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