新築マンション「グレーシアタワーズ海老名」は神奈川県海老名市の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。鹿島建設施工の免震マンションであり、スペックは問題ない。短所はマイナー感のある海老名という立地だが、魅力的な路線が複数利用できることと、新しい街づくりが進んでいることから、海老名駅周辺のマンション立地として評判はうなぎのぼり。15年ほど前に3000万円で分譲されたマンションが今では4000万円にまで値上がりしている。約70㎡の3LDKが5000万円前後という価格設定には納得感がある。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。
マイナー感のある海老名で盛んな新規分譲
神奈川県のほぼ中央に位置する海老名市の海老名駅周辺では、近年、新規分譲マンションの供給が盛ん。今も、複数のマンションが「好評分譲中」となっている。「グレーシアタワーズ海老名」はそのなかのひとつだ。
「海老名駅周辺で多くのマンションが分譲されている、しかもその価格水準は結構高い(後で、詳しく解説)」と言う話を聞くと、多くの人が「なぜ海老名で?」と思いがち。そんな田舎で高額のマンションを買わなくてもいいだろう、というわけだ。
この「立地のマイナー感」が、同マンション及び「海老名」という場所の最大の短所となる。そこで、同マンションの特徴について解説する前に、なぜ海老名で分譲マンションが多く、値段が上がっているのか、について私の考えをまとめたい。
グレーシアタワーズ海老名(※新築時のデータです)
- 価格
- ー
- 完成時期
- 2019年5月下旬(イースト棟)、2020年1月下旬(ウエスト棟)
- 神奈川県海老名市扇町14番12,13,14(イースト棟)、14番4(ウェスト棟)(地番)
- JR相模線「海老名」駅徒歩3分、相鉄本線「海老名」駅徒歩5分、小田急小田原線「海老名」駅徒歩5分
- 間取り
- 2LDK~4LDK
- 専有面積
- 56.86㎡~108.13㎡
- 総戸数
- 477戸
- 売主
- 相鉄不動産、伊藤忠都市開発、鹿島建設
- 施工会社
- 鹿島建設
※データは2019年1月29日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
交通の要所で新しい街づくりが進む
「海老名」は、交通の要所だ。相鉄本線・小田急小田原線・JR相模線が利用でき、相鉄本線は上りの始発電車が利用できる。相鉄本線は現在、JR線・東急東横線への直通工事を行っており、開通すれば、都心へのアクセスが向上する。小田急小田原線では2016年3月からロマンスカーが停車するようになった。JR相模線は、中央リニア新幹線の停車駅となる予定の「橋本」駅に直結する。
利便性の高い路線が複数利用できること、それが海老名駅の魅力となる。
そして、駅周辺での新しい街づくりが進んでいる。2015年には大規模商業施設「ららぽーと海老名」がオープン。相鉄本線・小田急小田原線海老名駅から「ららぽーと海老名」までのペディストリアンデッキには動く歩道も設置されている。
交通の要所であり、駅周辺で新しい街づくりが進み、駅周辺には超高層の建物があって、その数が今後も増える…。すべて、川崎市の武蔵小杉駅と共通する要素である。これらの要素が活気を生み、新規マンションが継続的に分譲されている、と考えられる。
隣接する厚木市には、自動車メーカーや電機メーカーの工場、研究所が多く、そこに勤務する人が、勤務地にも都心にも近い場所として海老名駅周辺を好む。それも、海老名駅の人気を支えているものと考えられる。
海老名駅徒歩3分で道路を隔てた向かい側には「ららぽーと海老名」
海老名駅を最寄りとするマンションで、現在分譲中物件のひとつが、「グレーシアタワーズ海老名」だ。JR相模線の海老名駅から徒歩3分で、相鉄本線・小田急小田原線の海老名駅からは徒歩5分。海老名駅の南口側で、「ららぽーと海老名」があり、街路樹付きの歩道が整備されて、上郷第一児童公園や国分寺尼寺児童公園がある側だ。
駅にも近いが、大型商業施設の「ららぽーと海老名」も近い。「マンションから徒歩2分」とされているが、マンションの敷地から道路を隔てた向かい側にららぽーとがある。
この便利さと子育てしやすい環境が、同マンションの特徴になっている。
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鹿島建設の施工による免震マンション
「グレーシアタワーズ海老名」を建設するのは、スーパーゼネコンの鹿島建設で、2棟に別れた建物には免震構造が採用される。これも、同マンションの特徴だ。
現在、スーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社がマンションの施工を受け持つケースが少なくなっている。もちろんスーパーゼネコン以外の建設会社でも、工事に不安はない。建設会社はどこも、しっかりとした工事を行っている。それでも、「鹿島建設がつくった免震構造のマンション」であることは大きなアピールポイントになる。それなら、なおさら安心というわけだ。
これまで、「海老名」駅周辺で、鹿島建設が建設したマンションはなかった。「鹿島建設施工」が大きなアピールポイントになっているゆえんである。
駅近物件なのに敷地内の緑化率は22.57%
このほか、共用部の特徴として注目したいのは、敷地内に芝生のプライベートガーデンがあり、敷地内の緑が多いこと。緑化率は22.57%だという。これは、駅に近い場所の超高層マンションとしては大きな緑化率だ。駅に近い場所はどうしても「土地の有効活用」を第一に考えられ、緑が少なくなりがちなのだ。その点、「グレーシアタワーズ海老名」は、緑が多い。
2つの棟に設けられるエントランスホールは天井が高く、ホテルのロビーを思わせる。
住戸の玄関キーをバッグやポケットに入れておけば、オートロックが解除される「ラクセスキー」を採用。このラクセスキーは家族で1本ずつ持つことができ、「長男が今帰宅した」ことなどがスマートホンで分かる仕組みも採用されている。
全407戸は、2LDK〜4LDKのファミリータイプがそろえられ、70㎡以上の3LDKが中心。住戸内の柱を極力外に出して室内の有効面積を拡大する工夫も採用される。
住戸内設備では、キッチンにディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)と食器洗い乾燥機が全戸標準設置となり、LDの床暖房、浴室のミストサウナも標準設置だ。さらに、住戸内で使用する水すべての塩素を低減させる「良水工房」も全戸に標準設置される。
「グレーシアタワーズ海老名」は、災害に備えた設備類も充実している。例えば、停電時にエレベーターや水道設備などを動かす非常用電源は72時間分が備えられるし、各フロアに防災備蓄倉庫が備えられる。ちなみに、24時間ゴミ出し可能な集積所も各フロアに設置される計画だ。
3LDKで5000万円前後の価格設定は納得感あり
その価格帯は、この記事を書く時点(1月下旬)の購入可能住戸で約56㎡〜83㎡の2LDKから3LDKが4418万円〜7758万円。70㎡前後の3LDKで5000万円前後となっていた。
超高層マンションの場合、下層階と上層階で価格の幅が広く、安い住戸の価格帯だけで価格評価を出すことはできない。逆に、値段の高い住戸だけで評価を出すこともしにくい。
注目すべきは、一般的な広さをもつ3LDKが5000万円前後となっている点だろう。5000万円前後だから、4000万円台後半の3LDKもある。
これは、現在の首都圏マンション価格相場から見て、順当、もしくは安い水準といえる。といっても、以前から海老名駅周辺のマンション価格を知っている人にとっては、「高い」という評価になる。実際、海老名で分譲マンションが増え始めた15年ほど前は、3LDKが3000万円台で購入できた。それも、80㎡以上の広さがある、ゆったりした3LDKが、だ。それと比べてしまうと、70㎡クラスで5000万円前後というのは、非常に高いということになる。
しかし、時代が変わっている。
15年ほど前には、南口側の開発は実現しておらず、「ららぽーと海老名」もなかった。魅力も注目度も飛躍的にアップしている現在。15年前の価格水準を維持することはできない。
ちなみに、15年ほど前に3000万円台で分譲されたマンションは、今1000万円程度は値上がりしている。魅力がかさ上げされた分、新築分譲マンションの価格が上がるのも当然のことといえる。
現在においては納得感のある価格設定であり、「グレーシアタワーズ海老名」も順調に販売を続けている。
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