マンションの建築構造を解説! RC造とSRC造の違いなど、基本を知っておこう

2020年12月25日公開(2020年12月18日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

マンション構造というと、建築用語の難しさに戸惑うこともあるかもしれません。ただ、基本的なことを知るだけでマンション建築に対する理解がぐっと深まります。ここでは、構造の基本となるRC造とSRC造の意味、ラーメン構造と壁式構造の違い、また建物構造に大きな影響を与えるコンクリートについて分かりやすく説明していきます。

RC造とSRC造の違いは、材料の差

 マンションの構造でよく聞く言葉に、RC造(Reinforced Concrete)とSRC造(Steel Framed Reinforced Concrete)という用語があります。RC造とは「鉄筋コンクリート造」、SRC造とは「鉄骨鉄筋コンクリート造」のことで、両者の違いは構造部分に使われている材料になります。

SRC造のマンション
SRC造のマンション構造(出所:PIXTA)

 本体の材料が、RC造はコンクリートと鉄筋の組み合わせSRC造は鉄骨の骨組みに、コンクリートと鉄筋の組み合わせでつくられています。一般的にマンションの多くは、この2つのどちらかの構造になります。

 RC造とSRC造の大きな違いは、鉄骨が使用されているか否かです。RC造の特徴は、比較的自由な間取りをつくることができる点が挙げられます。一方で重量が重いため、高い建物や軟弱地盤には向いていません。

 SRC造は、主に中高層以上やタワーマンションに採用されます。これは、柱や梁の大きさの調整がしやすく、建物全体の重量を抑えながら、高い耐震性を維持できるという特性があるからです。ただし、コストが高いというデメリットがあります。

RC造とSRC造の特徴の違い
構造 材料 主なメリット 主なデメリット
RC造 鉄筋、
コンクリート
間取りの自由度が高い 重量が重い
SRC造 鉄骨、鉄筋、
コンクリート
軽量化が可能、耐久性が高い コストが高い

柱と梁でつくる「ラーメン構造」
壁で支える「壁式構造」

 それでは次に、構造形式について説明しましょう。マンションの建物で使われている構造形式は、主に「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。RC造では、「ラーメン構造」や「壁式構造」が、SRC造では、主に「ラーメン構造」が採用されています

 最も一般的に採用されている形式が「ラーメン構造」で、垂直方向に立つ柱と水平方向に立つ梁(はり)で骨組みをつくって建物本体を支える方式になります。ちなみに「ラーメン構造」という名称から、食べ物を想像する人もいるかもしれませんが、ドイツ語で「額縁」という意味の「Rahmen」が語源です。

 「ラーメン構造」は、開口部が比較的大きく取れるのが特徴で、壁の配置にも自由度があります。ただ、構造上必要な「耐力壁」は取り外すことができないため、リフォームの際には注意が必要です。

 RC造の構造形式には、「ラーメン構造」のほかに「壁式構造」があります。「壁式構造」は、壁が柱や梁の役割を果たして建物を支えます。耐震性が高く、柱や梁の出っ張りがないので住戸内がすっきりするのがメリット。一方で、窓などの開口部が大きいと建物を支える力が弱くなるため、開口部の取り方や大きさは限定されます。

ラーメン構造と壁式構造の特徴の違い
構造 材料 主なメリット 主なデメリット
ラーメン構造 柱、梁の骨組みに壁や床を配置 開口部が大きい 梁や柱が室内に出る場合がある
壁式構造 壁が建物全体を支える 梁や柱がなく、室内がスッキリする 開口部が狭い
ラーメン構造と壁式構造の違い
ラーメン構造と壁式構造の違い(出所:PIXTA)

 このように、マンションは建物の強度や設計の考え方、経済性も考慮してふさわしい構造材料や構造形式が選ばれます。一概に、どういった材料や形式が良いかということはいえないのです。

コンクリート強度のカギを握る現場作業

 構造材料や構造形式のほかに、建物の強度に大きな影響を与えるものに、コンクリートがあります。完成してしまえば同じように見えるコンクリートですが、その質によって強度や劣化の速度などに大きな違いが出る場合があります

 コンクリートはセメント(粘土を含む石灰石や石膏を焼いて作った粉末)に水と骨材と呼ばれる砂や砂利を混ぜ合わせた建材で、強度が非常に高いため住宅やビルなどの建物の構造部分に多く使用されます。

型枠に流し込まれるセメントの様子
型枠に流し込まれるセメントの様子(出所:PIXTA)

 コンクリートを作るうえで重要になるのが、セメントに混ぜる水の量になります。セメント重量に対し水が少ないほうが硬いコンクリートができますが、水が少ないとコンクリートが型枠のなかをスムーズに流れません。型枠をはずした時に表面に凹凸ができやすくなるなど作業がしにくいという欠点があります。そのため、セメント重量に対し混ぜ合わせる水は適正量が決められているのです。

 コンクリートは、工場であらかじめ適正な比率に混ぜ合わせたものが各マンションの建設現場に運ばれてきます。問題は、現場に到着したあとに作業をしやすくするため、水をさらに加えてしまうこと。こうした、通称「シャブコン」と呼ばれる行為や、コンクリートが硬化するために必要な養生が不十分なケース、さらに、強度を保つための十分な期間を置かないまま、次の工程に移るなどもコンクリートの強度上問題です。

 このように、施工現場の対応によって建物の構造に悪影響が出ることがあります。構造設計がしっかりしていてもコンクリートに問題があれば、建物の性能は発揮されないのです。現場の作業は下請け業者が行うことが多く、確認のしようがありませんが、やはり施工会社の信頼性は重要なポイントだと言えるでしょう。

間取りや設備だけでなく、構造も確認しておこう

 マンションの基本的な構造やコンクリートの重要性についてお分かりいただけたでしょうか。マンション購入時には、共有施設や間取りなどに気をとられ、建物などハード面の確認を忘れがちです。ホームページやマンション資料の「物件概要」で、購入前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。

【関連記事はこちら】>>新築マンションで気になる「音」のトラブル! 壁や床の遮音性は、厚さと工法を確認しよう

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