「シティテラス多摩川」の価格や特徴を分析! 第1期販売で割安感が強い理由とは?

2023年1月24日公開(2024年4月30日更新)
櫻井幸雄:住宅評論家

住友不動産の新築マンション「シティテラス多摩川」は、調布駅を最寄り駅とする総戸数905戸・全11棟の極めてスケールの大きな大型物件だ。調布市に位置する敷地は約3万7000㎡となる。調布市は都心へのアクセスが良く、駅前再開発が進んでいることから人気が上昇している。そんななか「シティテラス多摩川」は、割安感のある価格や建物、周辺地域などに注目が高まっている。(住宅評論家・櫻井幸雄)

「シティテラス多摩川」の第1期販売住戸の半分以上は4000万円台!割安の理由とは?

「シティテラス多摩川」の外観予想図
「シティテラス多摩川」の外観予想図

 「シティテラス多摩川」は東京都調布市内に建設される大規模マンションだ。第1期予定価格が「1LDK+S(約55㎡)が3390万円」「3LDK(約72㎡)が3890万円~」などとなっており、価格面でも注目される。第1期として販売される予定住戸の広さ、価格などは以下の通り。

シティテラス多摩川(物件詳細はこちら)
シティテラス多摩川価格未定
完成時期2024年12月
交通
所在地東京都調布市染地三丁目1-811、同番943(地番)
間取り1K~4LD・K
専有面積30.68㎡~87.01㎡
物件の特徴総戸数900戸
  • 都心近接ポジションに誕生する、南向き中心の全900邸大規模レジデンス。
  • オール自走式駐車場(立体・平置)を採用
  • コミュニティルーム・ゲストルーム・テレワークルーム等共用施設が充実。
施工株式会社長谷工コーポレーション
売主住友不動産株式会社株式会社長谷工コーポレーション

 ちなみに、第1期販売住戸24戸の最多価格帯は、5100万円台(3戸)となっている。最多価格帯が5100万円台となると、多くの住戸が5000万円以上という印象を受けがち。しかし、第1期として販売される住戸の半分以上は1000万円単位でみると4000万円台。つまり、4000万円から4999万円となっている。

 調布駅を最寄りとする新築マンションで5000万円を切るファミリータイプを多くそろえているのだから、割安感が強い。その理由は、調布駅から徒歩圏ではないからだろう。

 「シティテラス多摩川」の場合、最寄りのバス停から調布駅南口行きのバスに乗ると、所要時間は約13分。そのバス停まで、同マンションから歩いて4分〜6分となる。ここで、「バス停まで4分〜6分」という表記に違和感を抱く人がいるだろう。4分なら4分、6分なら6分と記すべきだ、と。確かに、2022年8月31日までならば、バス停まで徒歩4分という表記になっただろう。

 しかし、公正取引法が改正され、同年9月1日以降「敷地出入り口から」ではなく、各住棟からの所要時間を記すことに変わった。「シティテラス多摩川」の場合、総戸数905戸・全11棟の巨大スケールなので、棟によっては「徒歩4分」であり、最も遠い棟では「徒歩6分」となってしまう。

 実際に建設現場に行ってみると、建設地のフェンス前からバス停が見えた。「バス停から4分〜6分」という表記から受ける印象ほどには遠くない。従来の表記であれば、バス停まで徒歩3分になった可能性もありそうだ。

 ところが、今の表記では、バス停まで徒歩4分〜6分となる。バス停から調布駅南口のバス停まで所要時間13分を合計すると、マンションを出て調布駅までの所要時間は合計で17分から19分だ。「駅まで遠い」ことが、「シティテラス多摩川」の最大の弱点といえる。人によっては、それだけで購入検討の対象外とするケースも出てくるだろう。

 しかしながら、「シティテラス多摩川」は、駅から離れた物件と切り捨てるには惜しい特徴を備えている。また、駅から離れた場所にポツンと立つマンションでもない。

 同マンションの周辺では、これまで多くのマンションが分譲されてきた。その中には大規模マンションが多く、2016年に完成した全325戸の「パークホームズ調布桜堤通り」をはじめ、総戸数が200戸を超える大規模マンションが複数立っている。そして、一戸建ても多い。駅からバス便でも、多くの人が好んでマイホームを買う場所のマンションなのだ。

調布駅から離れてもマンションが売れる2つの理由

 駅から離れてもマンションが売れる理由は、2つあると考えられる。1つは、「人気が高い調布駅で納得感ある価格で購入できるのであれば、バス利用でもよい」と考える人が多いから。もう1つは、「駅から離れることで得られる環境の良さ」があるからだ。それぞれについて、説明したい。

3LDK・70㎡以上の広さで4000万円台なら、バス利用でもよい

 まず、「人気が高い調布駅で納得感ある価格で購入できるのであれば、バス利用でもよい」と考える人が多い点について。

 価格の手頃さについては、説明した通り。3LDKタイプでも4000万円台までの価格で購入できる住戸が多くなる。その3LDKタイプは70㎡以上の広さが確保され、ゆとりがある。この広さ、この価格ならば、バス利用でもよい、と考える人が多くなって当然だろう。

 そのバス利用だが、駅までのルートは朝の通勤時間帯も混雑せず、ほぼタイムテーブル通りの運行となる。そして、京王線調布駅は特急を含むすべての電車が利用でき、新宿駅まで通常23分。通勤時間帯は特急利用で18分の所要時間となる。マンションから調布駅まで17分から19分でも、電車に乗ってしまえばあとは早い。

調布駅前の様子(筆者撮影)
調布駅前の様子(筆者撮影)

 調布駅は、都心部に近いため、東京都下といっても住宅地としての人気は以前から高い。さらに、2012年、京王線調布駅のホームは地下に入り、地上には歩行者専用の広場や新しい商業施設が整備された。

 この再開発以降、調布駅周辺のマンション価格が上昇。駅に近い新築マンション3LDKは7000万円以上になってしまった。だからこそ、新築マンション3LDKが4000万円台、5000万円台で購入できるなら、バス利用の場所でもよい、という発想が生まれているわけだ。

 なお、「シティテラス多摩川」からは複数のバス停、バス路線を選ぶことができ、そのひとつ「多摩川住宅南口」バス停からは小田急線の「狛江駅北口」に向かうバスを利用でき、所要時間は約8分となる。

狛江駅前の様子(筆者撮影)
狛江駅前の様子(筆者撮影)

 狛江駅へは同マンションから歩いても20分程度。歩けない距離ではないし、自転車ならば10分ほどだ。小田急線狛江駅からは途中の代々木上原駅で東京メトロ千代田線に乗り入れる電車を利用すれば、表参道駅まで22分(平常時は25分)、大手町駅まで35分(同39分)。こちらの使い勝手も悪くない。

多摩川に近く、複数の公園もあり、開放感が大きい場所

 次に、「駅から離れることで得られる環境の良さ」について詳しく説明したい。「シティテラス多摩川」の建設地は新宿から直線距離で約14km。都心近接といえる立地だが、環境の良さが際立つ。

 建設地は多摩川に近い場所で、空が大きく感じられる。多摩川沿いには、川面を眺める遊歩道が整備され、休日はそぞろ歩きやジョギングを楽しむ人の姿が絶えない。複数の公園もあり、開放感が大きい。

多摩川沿いの遊歩道(筆者撮影)
多摩川沿いの遊歩道(筆者撮影)

 建設地の近くには歴史ある映画スタジオ「日活調布撮影所」があり、調布市のシンボルにもなっている。ちなみに調布市は「角川大映スタジオ」など古くからの映画スタジオや映画関連会社が多く、その理由から現在の調布駅の構内には往年の名画「大魔神」や「ガメラ」シリーズの壁画装飾が施されている。

 そして、この日活調布撮影所がある一帯は、昭和時代から、住宅地としての開発が進んだ。1960年代に開発された「多摩川住宅」もそのひとつ。「多摩川住宅」は、東京都住宅供給公社が最初につくった大規模団地で、その先進性でモデル団地ともされた。街路樹付きの歩道や公園が整備され、緑豊かで静かな環境が特徴である。

駅から離れても周辺環境が整っている理由

 その「多摩川住宅」は2017年に地区計画が設定され、再開発が始まった。総面積約50ヘクタール(50万㎡)となる壮大なプロジェクトだ。

 じつは、「シティテラス多摩川」は、その第1弾として登場するマンションなのである。モデル団地となっていただけあって、建設地周辺に生活施設はすべて身近にそろっている。たとえば、通学区の染地小学校が徒歩8分〜11分で、中学校は徒歩11分から14分だ。

 マンション建設地から徒歩5分〜8分のところに交番があり、その裏には生協やドラッグストアがある。生協は、より大きな店舗への建て替え工事が始まった。

 さらに、少し距離があるが、ABCマートなどがテナントで入っている大型店舗の「イトーヨーカドー 国領店」が徒歩15分〜19分。「シティテラス多摩川」は、これから建設されるマンションだが、すでに周辺環境が整っている。それは、歴史ある大規模団地の建て替えで誕生するマンションであるからだ。


大型店舗の「イトーヨーカード 国領店」(筆者撮影)
大型店舗の「イトーヨーカード 国領店」(筆者撮影)

 「多摩川住宅」の建て替えは引き続き行われ、次の大型プロジェクトも控えている。このように、スケールの大きな建て替えプロジェクトは、計画が進むごとに価格が上がっていくケースが多い。

結果として、「最初の分譲が最も安かった」という声が出てくるものだ。「シティテラス多摩川」は、まさにその「最初の分譲」に当たることも覚えておきたい。

「シティテラス多摩川」は全905戸のスケールメリットで、共用施設が充実

 「シティテラス多摩川」のモデルルームは、調布駅周辺ではなく、新宿の住友三角ビル(正式名称:新宿住友ビルディング)内にある住友不動産総合マンションギャラリー新宿館で公開されている。

 そこでは、「シティテラス多摩川」の建物外観や共用部の説明を模型ではなく、映像で行っている。オンライン見学が増えていることに合わせた手法だ。

 その映像によると、全905戸の建物は11棟に分かれ、南向き中心、つまり多摩川の方向を向いた住戸が多くなる。多摩川とその緑地までの間に建物はなく、住戸によっては目の前に開放的な景観が広がるわけだ。

 このように多摩川に近い立地だと、川の氾濫を心配する人も出てきそうだ。そのため、今の新築マンションは、万が一災害が起きたときでも被害を最小限に抑える工夫が凝らされる。

 住友不動産の場合、たとえ床下浸水が起きても、停電が起きないよう、機械室を2階に配置するようにしている。「シティテラス多摩川」でも、機械室は2階に設置される計画である。

 建物外観はアースカラーのタイル張り部分を中心にした落ち着いた色合いで、随所に配置された縦のアクセントは黒やオレンジで色づけされる。このアクセントも印象的だ。敷地内には樹木が多く、緑地面積は9880㎡となり、約4万5000本の樹木が配置されるし、敷地内に4つのパティオ(中庭)も設けられる。

 駐車場は機械を用いない自走式と平置き式。将来、駐車場装置のメンテナンスや更新で予想以上のお金がかかる、といった事態が起きないようにしている。

 マンションの顔となるエントランス部分も上品。そして、重厚さも備える。車寄せは特大で、これなら運転に自信がない人でも不安なく利用できるだろう。

「シティテラス多摩川」車寄せ部分イメージ
「シティテラス多摩川」車寄せ部分イメージ

 住宅棟とは別に共用棟があり、その中に2層吹き抜けのエントランスホールやオープンラウンジ、ビジネスシーンにも対応するテレワークルーム、コミュニティルーム、キッズルーム&ペアレンツスペース、2つのゲストルームなどが配置される。

 まさに、大規模マンションのスケールメリットを生かした共用施設といえる。その価値は、マンションでの生活が始まってから実感できるはずだ。

 以上の共用施設は、豪華なつくりだが、運営にお金がかかるものはない。自走式と平置きの駐車場も維持費が安く済む方式だ。これにより、毎月の管理費・修繕積立金を抑えようとしているのも「シティテラス多摩川」の隠れた特徴となっている。

ゆとりある3LDKが中心のZEHマンション「シティテラス多摩川」

 「シティテラス多摩川」の住戸は、3LDK中心。その3LDKはすべて70㎡以上とゆとりがある。その広さを生かし、ウォークインクローゼットが2つと納戸が付くなど、収納充実のプランニングとなっている。

 景色のよさを堪能するため、バルコニーにはガラス手すりを採用。下がり天井が少なく、キッチン部分でも天井高が2.2m以上ある。

 システムキッチンの天然御影石のカウンターが標準設置となり、浴室にはミストサウナも付く。さらに、ZEH(ゼッチ)マンションとなっており、LDだけでなく、隣り合う居室にも床暖房が入る。(ちなみにZEHマンションとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称。住宅の断熱性や省エネ効果を高め、太陽光発電などの自然エネルギーを創り、年間の消費エネルギーをプラマイで概ねゼロにする住宅を指す)。窓の断熱性能を上げてあり、年間の光熱費を抑えることができる。住戸のクオリティーが高いことも「シティテラス多摩川」の注目点となる。

「シティテラス多摩川」のモデルルーム(筆者撮影)
「シティテラス多摩川」のモデルルーム(筆者撮影)

「シティテラス多摩川」は買いか?

 「シティテラス多摩川」は、建物の性能、周辺環境に秀でたマンションとなる。駅からバス利用となる分、価格が抑えられる。が、価格のわりに建物のスペックが高い。大規模な建て替えプロジェクトの第1弾であるため、最初は特に割安感が強いと感じられた。

シティテラス多摩川(物件詳細はこちら)
シティテラス多摩川価格未定
完成時期2024年12月
交通
所在地東京都調布市染地三丁目1-811、同番943(地番)
間取り1K~4LD・K
専有面積30.68㎡~87.01㎡
物件の特徴総戸数900戸
  • 都心近接ポジションに誕生する、南向き中心の全900邸大規模レジデンス。
  • オール自走式駐車場(立体・平置)を採用
  • コミュニティルーム・ゲストルーム・テレワークルーム等共用施設が充実。
施工株式会社長谷工コーポレーション
売主住友不動産株式会社株式会社長谷工コーポレーション

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