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販売戸数が大きく減少!新築・中古マンション市場動向や注目物件やなどを不動産アナリストが解説【2024年9月版】

2024年9月18日公開(2024年9月17日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

首都圏の新築マンション市場は販売戸数が減少し、人気の二極化が進行している。中古マンション市場も価格上昇が続く一方、成約件数が減少しており、地域ごとの差が大きくなっている。特に東京都心部では在庫の減少が顕著である。今月も2024年7月のデータをもとに首都圏新築・中古マンション市場を解説する。また注目のマンションは「ブランズタワー橋本」を紹介する。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

首都圏の新築マンション市況【2024年7月データ】

 最初に、2024年7月度の首都圏新築マンション市場を見てみたい。厳しいと言える状況だ。新規発売戸数は前年同月比で大幅に減少し、契約率は好不調ラインの70%を超えたものの、低水準にとどまっている。平均価格はエリアによって変動しており、新築マンションの売れ行きが二極化していることがわかる。

 株式会社不動産経済研究所によれば、2024年7月度の新築分譲マンション発売戸数は、前年同月と比べ42.3%減少の1,496戸。契約率は70.9%となっており、2024年3月以来の70%台となった。

 また、首都圏新築マンションの戸あたり平均価格は、東京23区の供給シェアが減ったことから7,847万円となっており前年同月比では、2,093万円のダウンとなっている。2023年7月度の東京23区の供給シェアは、59.5%。2024年7月度は、40.7%まで下がっている。昨年は、高額物件の販売が多かったことも影響している。

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2024年7月」)

 販売在庫は5,300戸で、前月末よりも118戸の減少。2023年5月末の販売在庫は4,936戸だったので、昨年対比では増加している。なお、即日完売物件は「パークタワー大森」など5物件だった。

 首都圏新築マンションの地域別の発売状況は下表のようになっている。

(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2024年7月」)

 また、契約率は地域によって異なり、好不調の目安となる70%を上回ったのは、東京23区と神奈川県となっている。供給戸数が減少する中で、新築マンションの売行きが二極化しており、物件の選別化が進んでいることがわかる。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。先述の通り、契約率は好調ラインの70%をわずかに上回る結果となった。

過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

 続いて、中古マンション市場を見てみよう。

首都圏の中古マンション市況【2024年7月データ】

 中古マンション市況は価格が上昇しているものの、成約件数が減少している。また、エリアによって在庫や価格の動きに大きな差があることから、市場は一部で活況を見せつつも、全体的には慎重な動きが見られる。

 公益財団法人東日本不動産流通機構によれば、2024年7月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比1.3%減少の3,193件となっており14ヵ月ぶりに前年実績を下回った

 成約価格は、前年同月比10.7%上昇の5,049万円。平均成約㎡単価も対前年同月比9.8%上昇の78.97万円となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、51カ月連続となる。また、2024年7月の新規登録物件の㎡単価は76.29万円となっていて、前月よりも2.0%上昇した。

首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「月例速報マーケットウォッチ サマリーレポート2024年7月度」)

 2024年7月の新規登録件数は、対前年同月比で8.6%減少の15,661件。在庫件数は前年同月比で3.7%減少し、44,509件となっている。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。在庫件数は、高水準のままだが緩やかに減少しつつある。

公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成
公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成

 次に、地域別の中古マンション動向を見てみよう。

(出典:東日本不動産流通機構発表「月例速報マーケットウォッチ サマリーレポート 2024年7月度」)

 在庫の減少が目立つのが東京都心部だ。千代田区、中央区、港区の都心3区の在庫は、2023年7月度の3,169件から2,401件へと直近1年間で24.2%もの減少。成約㎡単価は、157.37万円から200.04万円へと大きく伸び27.1%もの上昇となった。

 東京23区内ではすべてのエリアで在庫が減少傾向にあり、城東地区は-17.9%、城南地区は-11.4%、城西地区は-16.3%、城北地区は-16.2%の減少が見られる。一方で、多摩地区や埼玉県、千葉県、神奈川県などは在庫の増加傾向が続いている。

 埼玉県、千葉県、神奈川県では、中古マンションの成約平均価格も大きな上昇は見られず、さいたま市が4,090万円、千葉県総武地区(市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、浦安市、習志野市、八千代市)が3,198万円、川崎市が4,862万円。ファミリー層にも十分手が届く価格だ。中古マンションの需給バランスは、新築マンションの供給戸数や価格帯にも影響する。供給が活発な千葉市や東武東上線は、新築も中古も選択肢が豊富にある

 次に、今月の注目マンション「ブランズタワー橋本」を紹介する。

再開発が進行中! 橋本駅徒歩4分「ブランズタワー橋本」

「ブランズタワー橋本」エントランスイメージ(出典:公式ホームページより)
「ブランズタワー橋本」エントランスイメージ(出典:公式ホームページから)

 橋本駅徒歩4分の場所に誕生する 29 階建て・総戸数458戸の新築分譲タワーマンション「ブランズタワー橋本」。その第1期1次の販売が2024年8月にスタートした。

 環境先進マンションブランド「BRANZ(ブランズ)」のフラッグシップとして超高層ランドマークタワーが誕生。緑豊かな森と広場を整備し、豊かなライフスタイルを提案する。

 「ブランズタワー橋本」の周辺エリアは、リニア中央新幹線の新駅(神奈川県駅※仮称)開業を見据えた約13.7haの大規模再開発(土地区画整理事業)が進行中。オフィス、インキュベーション施設、商業、福祉・医療機関など多彩な施設が計画されている。

 JR東海からは、工事の遅れからリニア中央新幹線の開業時期が早くても2034年以降になるとの見解が示されている。橋本駅周辺にはアリオ橋本やミウィ橋本といった商業施設が集積しており、開発によって都市機能が高まれば街の魅力もアップするだろう。

「ブランズタワー橋本」の完成予想模型(筆者撮影)
「ブランズタワー橋本」の完成予想模型(筆者撮影)

 建物は、約10,000㎡の敷地に総合設計制度を活用した29階建ての超高層ランドマークタワーである。緑豊かな森と広場(「つながる森」と「つながる広場」)を整備し、環境先進マンション「BRANZ」のフラッグシップとして緑地スペースを確保している。

 丹沢山地・多摩丘陵の自然の植生を踏まえた生態系のネットワークを結ぶ植栽計画により、公開空地に緑豊かな景観を創造する。

 さらに、ZEH・低炭素建築物認定を取得し、2024年度のABINC認証(※)も取得予定である。また、非化石証書付の一括受電と太陽光発電による再生可能エネルギーの利用、平置き駐車場および自走式駐車場計35区画のEV充電設備対応、輸入車EVカーシェアの導入など、カーボンニュートラルを目指した超高層・環境先進タワー&ガーデンを実現する。

ABINC認証は、生物多様性に配慮した環境づくりを行っている施設に与えられる認証。主にビルやオフィスの緑地管理が基準を満たしているか審査される。

 自然や都市の景観に溶け込む外観ファサードや、2層吹き抜けのエントランスホールには、二重らせんのシンボリックなツリーを設置しており、本物件のコンセプトを象徴するデザインとなっている。

 また、1階には医療モールがあり、2階にはロングテーブル、パーソナルスペース、リモートワーク対応の個室ブースなど、用途に応じた3つのスペースを設けたコワーキング・ラウンジを設置している。

 パーティー利用やアートワークにも活用できるコミュニティ・ハウスや、大小2室のゲストルームも用意している。28階のスカイラウンジでは、ライブラリー&カフェバーが運営されており、約400冊の選書と食事やお酒を含むドリンクメニューが提供されている。

 さらにコンシェルジュサービスに加え、株式会社ヤナセとの業務提携による輸入車EVカーシェア、株式会社モンベルの商品を導入した防災備品、住民同士のコミュニティ醸成サービス「GOKINJO」、地域情報コミュニケーションサービス「まちベル」、そして多摩美術大学との連携によるワークショップなど、さまざまなサービスが導入される予定である。

ブランズタワー橋本 のモデルルーム(筆者撮影)
ブランズタワー橋本 のモデルルーム(筆者撮影)

 住戸プランニングは、カップルやファミリー層をターゲットにした多彩な間取りを用意。リビング・ダイニングの天井高は、22階相当の70Cタイプで約2.5m、28階相当のBtタイプで約2.6mありスッキリとしたプランニングだ。設備仕様は、ディスポーザーや洗面カウンターなど充実している。

 第1期1次の販売価格は公式ホームページによると、4,098万円~2億4,888万円最多価格帯は、4,300万円台・7600万円台・1億1,500万円台(※100万円単位)となっている。

 橋本駅は、京王相模原線の始発駅。相模湖などの自然が身近で都市の利便と自然が楽しめるロケーションだ。第1期1次の販売戸数は39戸と戸数規模にしては控えめだが今後の動向に注目したい。

まとめ

 2024年8月23日に公表された消費者物価指数全国2024年7月分は、総合指数が前年同月比2.8%の上昇となり、2%を超える水準が続いている。政策金利のさらなる引き上げは、今後の経済や物価、雇用の動向を注視してからになるだろうが、日銀は金融正常化に向けての姿勢は崩していない。

 政策金利の変更をうけて、金融機関では普通預金の金利を0.1%にするなど預金金利引き上げの動きが相次ぐ。住宅ローン金利の引き上げ幅は小さく、金利負担は極めて少ないが政策金利の行方には注意が必要だ。これからのマンション購入には、返済計画を含めた長期的な視点が求められるのではなかろうか。

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