【パークコート渋谷 ザ タワー】都心一等地の定期借地権マンションは、老後資金形成の秘策!? 価格、スペックを分析

2019年10月23日公開(2024年4月11日更新)
櫻井幸雄:住宅評論家

新築マンション「パークコート渋谷  ザ  タワー」は、渋谷駅から徒歩8分、地上39階建て、全505戸の超高層タワーマンション。70年後に更地にして地主に土地を返却するという「定期借地権物件」だが、当然ながら価格は所有権物件よりかなり割安となる。都心一等地の定期借地権マンションは長期に渡り安定した家賃収入を見込めるという。リタイア後は大家として高額の老後資金を得ることも可能なのか? 不動産のプロが徹底分析する。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。

毎月の支出は高めだが、一括前払いの地代で割安感あり!
デメリットは毎月かかる解体準備金

 「パークコート渋谷ザタワー」は都心一等地に立地する超高層マンションである。

 建設地は、渋谷区宇田川町というより、渋谷区役所と渋谷公会堂があった場所といったほうが分かりやすいだろう。ちなみに、渋谷区役所も渋谷公会堂も新しい建物に建て替えられている。

 本来はもっと注目を集めてよい大変魅力的な物件なのだが、「パークコート渋谷 ザ タワー」は現在粛々と販売が進み、先着順で購入できる住戸もある(2019年9月末現在)。

 先着順で購入できる住戸は、約40㎡の1LDKが8350万円、約74㎡の2LDKが1億2540万円など。現在の都心マンション相場からすると、高額すぎることはない。むしろ、割安である。

 にもかかわらず、注目度が低いのは、「定期借地権方式」という独特の権利形態にありそうだ。

 通常の分譲マンションが所有権分譲となるのに対し、定期借地権では、土地は定期借地権の賃借権という権利になり、建物のみ区分所有権となる。土地を期限付きで借りるため、いずれは返還しなければならない。その点に不安や疑問を感じる人が多い。

 しかし、「パークコート渋谷  ザ タワー」の定期借地権は、これまでと異なる部分がいくつもあり、所有権分譲に近い形態といえる

 従来と最も大きく異なる点は、「地代」。定期借地権では毎月、地代を払うことになるのだが、それを一括前払いとした。先の先着順販売・分譲価格には、この前払い地代が含まれており、その額は約1200万円から2200万円。それを差し引くと、約40㎡〜73㎡の分譲価格は約7000万円から1億円ということになる。都心の高層マンションとしては、だいぶ割安だ。そして、地代を含めた分譲価格を住宅ローンで組むことができる。

 それなら、購入できるという人も多いのではないだろうか。

 ただし、購入してからは毎月管理費、修繕積立金とともに解体準備金を支払う必要がある。超高層マンションは全てそうなのだが、毎月支払う管理費が高くなる。それに修繕積立金と解体準備金を加えると、毎月の支出はそれなりに高くなる。先ほどの約40㎡〜73㎡住戸で3万5000円から7万8000円ほどとなる。

 毎月の支出が多くなるが、超高層マンションであれば、仕方ない、と納得できるかどうか。そこが、購入を決める前のハードルになるだろう。

「パークコート渋谷 ザ タワー」は39階建ての高層タワーだ

【完売】パークコート渋谷 ザ タワー(※新築時のデータです)

価格
完成時期
2020年9月下旬竣工予定
  • 東京都渋谷区宇田川町28番49他
  • 東急東横線・東急田園都市線「渋谷」駅 徒歩8分 他
間取り
1LDK ~ 3LDK
専有面積
43.38㎡ ~ 208.89㎡
総戸数
505戸(総販売戸数355戸)
売主
三井不動産レジデンシャル株式会社
施工会社
_

※データは2020年12月4日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。

現役時代は自宅として、リタイア後30年は賃貸で活用
定借マンションは相続税対策としても有効

 同マンションの地主は渋谷区となる。

 定期借地期間は、2021~2093年までの約70年という長期設定。これには最終的な解体期間が含まれているので(最後は解体して更地に戻す)、実質約70年となる。70年あれば、たいていの人は死ぬまで暮らすことができる。

 しかし、実際に定期借地権付きマンションを買った人の多くは最後まで住み続ける気はない。そして、次のような利用法が考えられる。

 「都心の一等地なので、会社勤めしている間は住み続け、リタイアしたら、賃貸に出す。その賃貸収入を年金に加えよう」と。

 この方法をとると、後半の30年から35年くらいは賃貸収入が見込める。今から30年後、渋谷区宇田川でひときわ目立つ超高層マンションならば、高額家賃で賃すことができるはずだ。現在の家賃水準でいえば、70㎡程度の2LDKが40万円以上。都心の高級賃貸相場はここ10年ほど、毎年上がり続けている。30年後も上がり続けるとすれば、40万円の家賃が50万円になるか、60万円になるか……。

 高い家賃で賃貸に出した後、定借マンションの持ち主は地方にある親の実家に戻る、というような住まい方をする人もいるだろう。実家に戻れなければ、地方で安い賃貸を借りたり、高齢者向けの賃貸住宅を借りてもよい。

 リタイア後の住まいであれば、便利な場所である必要はないので、安い賃料で借りることができる。

 つまり、都心一等地の定期借地権マンションは、豊かな老後を約束してくれるわけだ。実際、これまで分譲された都心部の定期借地権付きマンションは、賃貸に出して高い家賃収入を得ているケースが多い。ましてや、渋谷区宇田川で代々木公園の緑が身近な一等地の高級マンションである、将来の不安はない。

 なお、賃貸に出す場合、2093年までという期限があるので、定期借家方式が好ましい。2年とか3年の期限を切って賃貸の契約を結び、契約が終了するとき、新たに契約を結び直す。貸す側の都合で賃貸契約を終了させやすい方式で、現在、高級賃貸マンションの多くがこの定期借家方式を採用している。

 そして、高い家賃収入が得られるのに、相続するときの税金は安いというメリットもある。定期借地権方式であるため、土地は相続の対象外。建物は40数年で減価償却するからだ。

公園の緑と特徴ある建築物を見下ろす北側眺望は、格別
都内有数の絶景が魅力

マンション北側からの眺望は素晴らしい

 「パークコート渋谷 ザ タワー」は、割安で分譲できる定期借地権のメリットを活かし、建物にお金をかけている。ガラス面の多い外観は、超高層マンションが多い都心部でもひときわ個性的。1、2階にリッチなラウンジ(共用空間)をつくり、20、21階にはアルコールも提供されるパークビューラウンジを設置。フィットネスやゴルフシミュレーションを楽しむスペースもある。利用価値も高いわけだ。

 そして、住戸は眺望重視で、大きな窓が特徴。上層部は、窓を下向きに設置しており、思い切り眺めのよさを楽しむことができる。

 このマンションからの眺望は、北向きが特に素晴らしいだろう。それは、代々木公園の緑と、新宿御苑の緑が広がるから。が、それだけでなく、手前に代々木第一体育館、第二体育館という日本を代表する建築物があることにも言及すべきだ。

 緑と造形物、2つの対照的な「美」がそろう。それはどれほどの感動をもたらしてくれるのだろうか。

 筆者は、これまで35年近くマンションの取材を続けているのだが、生涯で最も感動したマンションの眺望は、「深沢ハウス」というマンションの上層階から駒沢公園を見下ろしたときのものだった。駒沢公園の緑と体育館の造形美が見事なコントラストを醸しだし、鳥肌が立ったのを覚えている。「パークコート渋谷 ザ タワー」では、同様のコントラストを満喫できるだろう。

 それは、単なる緑のスペース、単なるビル群を見るよりも、数倍すばらしいものになるはず。その眺望を満喫できるのが「パークコート渋谷 ザ タワー」の20、21階にあるザ パークビューラウンジ。このマンションに住む人は、誰もがビューラウンジでの眺望を楽しむことができる。それもまた、同マンションの隠れた特性なのである。

 

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