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新築マンション契約後にキャンセルはできる? 契約解除の注意点や違約金などを解説

2020年12月20日公開(2020年12月18日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

購入を決めていた新築マンションをキャンセル(売買契約を解除)したいとき、不動産会社はキャンセルを受け付けてくれるのか? また、売買契約をキャンセルした場合、違約金などペナルティーは発生するのか、気になる人も多いでしょう。ここでは、新築マンション購入の流れに沿った、キャンセルタイミングの注意点やペナルティーについて解説します。

新築マンション購入後、
キャンセルは可能だが注意点あり

新築マンション契約後のキャンセル
新築マンションの契約解除は双方の合意が必要(出所:PIXTA)

 結論から言うと、新築マンションの購入はキャンセル(売買契約を解除)することができます。ただし、安易にキャンセルできないようにいろいろな取り決めがされているので注意が必要です。

 その注意点とは、「キャンセル可能かどうかは、双方の合意による」ということです。

 当然ですが、マンションの売買契約は、不動産会社などの売り手側と買い手側、双方の合意のもとで締結されます。これと同じく、購入したマンションをキャンセルしたいときにも、売り手側と買い手側の合意が必要となります。

 このように売り手と買い手、双方の合意がとれればキャンセルすることは可能。買い手側からの一方的なキャンセルは不可能(ペナルティーが発生する)となることを覚えておきましょう。

新築マンションは、売買契約解除のタイミングによってペナルティーが発生する

 マンションの購入をキャンセルしたいとなった場合、タイミングによっては「手付金の放棄」というペナルティーが科せられます。つまり、売り主に支払った手付金が取られてしまうということです。

 新築マンション購入時の手付金は、一般的に物件価格の5〜10%が目安となります。

【関連記事はこちら】>>住宅購入の費用は、物件価格の最大10%!? 「諸費用」と「事前に用意する費用」を解説!

 たとえば物件価格が4000万円の場合、キャンセルを申し出るタイミングとキャンセル理由によっては、手付金として支払った400万円(物件価格の10%の場合)が返ってこない場合があります。

 新築マンション購入の流れの中で、キャンセルでペナルティーが発生するタイミングは以下のとおりです。

【ペナルティーが発生するタイミング】

1.マンションの購入申し込みをする
2.住宅ローンの仮審査を受ける

↓ ↓ ↓ ここからペナルティー発生↓ ↓ ↓ 
3.売り主とマンションの売買契約を結び、手付金を支払う
4.住宅ローンの本審査を受ける
5.決済から鍵の受け渡し

 このように、売り主と売買契約を結び、手付金を支払った後に、買い手の都合でキャンセルをすると、ペナルティーが発生してしまうので注意が必要です。

 手付金の放棄となる、買い手都合のキャンセルとは、どのようなケースがあるのでしょうか。具体的な事例を2つ紹介します。

転勤・介護などで引っ越すことになった

 急な転勤、親族の介護が発生したなどの理由で引っ越しが必要になり、購入したマンションに入居できなくなる場合があります。購入者からするとやむを得ない事情ですが、この場合は買い手都合となるため、売買契約後のキャンセルはペナルティーの対象となり、手付金の返金はありません。

もっと良い物件に乗り換えたい

 立地面、設備面、価格面などでほかに魅力的な新築マンションを見つけたので乗り換えたいといった場合、キャンセルするのは買い手都合になるため、ペナルティーが発生します。

 さらにこのケースでは、手付金の放棄に加えて、売買契約書に記載がある場合に限り、違約金(キャンセル料)が発生する可能性もあります。この違約金は、一般的に売買代金の20%が上限と定められていることが多いです。

 たとえば、4000万円の新築マンションを売買契約済みであれば、手付金400万円(10%の場合)と違約金800万円(20%の場合)の合計1200万円も支払うことになります。

 そのため、ほかの物件への乗り換えでキャンセルする場合は、慎重な決断が必要です。

新築マンション売買契約後、キャンセルしてもペナルティーが発生しないケース

 ここからは、新築マンションの売買契約後、キャンセルしてもペナルティーが発生しない事例を3つ紹介します。

販売価格が変更になり、予算がオーバーした

 販売価格に加えて基礎工事費用が必要だったなど、物件価格が想定以上の金額になってしまう場合があります。このような予算オーバーによるキャンセルは、売買契約書に条項があるかどうかでペナルティーの有無が異なるのです。

 売買契約書に「設定金額以上の金額となった場合は解約となる」と記載があれば、売買契約後でもペナルティー無しで解約できる可能性があります。予算オーバーのためキャンセルしたい場合は、まずは売買契約書の内容を確認しましょう。

住宅ローンの審査に通らなかった

 住宅ローンの本審査に通らなかったという理由でキャンセルする場合、住宅ローン特約の有無がペナルティーの発生に影響します。

 住宅ローン特約とは、住宅ローンが審査落ちで契約解除となってしまっても、買い手が不利益を負わないよう定めることを指します。このような住宅ローン特約が売買契約に盛り込まれている場合、手付金を返金したうえで売買契約のキャンセルが成立します。

入居後に何らかのトラブルが発生した(契約不適合責任)

 雨漏りがしたなど、入居後何らかのトラブルや不具合が発生した場合のキャンセルは、売買契約書と重要事項説明書の記載を確認しましょう。記載内容によってペナルティーの発生有無が異なります。

新築マンションの重要事項説明書
重要事項説明書(出所:PIXTA)

 購入した新築マンションに何らかの不具合が発生した場合、本来は売り主の責任(契約不適合責任)のため、損害賠償請求や修繕要求、契約の解除、つまりキャンセルが可能です。

 このように、売り手側の都合でキャンセルとなった場合は、手付金の倍の金額が買い手に支払われ、キャンセルとなります。

 ただし重要事項説明書に、発生するトラブルや不具合の可能性が記載されていた場合、通常損耗の範囲で契約不適合とならない可能性があるので注意が必要です。

 通常損耗の範囲で契約不適合となるのは、老朽化している中古マンションなどの経年劣化があたりますが、新築マンション購入時でも不具合が起きる可能性はあります。購入時は、売買契約書とともに重要事項説明書の記載内容も確認しておきましょう

※重要事項説明書とは、マンションの売買契約を結ぶ前に、“宅地建物取引士”の資格を持つ人が購入予定者に対して物件内容・契約内容の説明と共に交付する書類のこと。

新築マンション購入後のキャンセルを防ぐため、購入前に心がけておきたいこと

 ここまで説明したように、新築マンション売買契約後のキャンセルは、ペナルティーを考えなるべく避けたいものです。ここからは、キャンセルをしなくてすむように、購入前に心がけておきたいことを解説します。

購入を焦らずじっくり検討する

 購入したいマンションが見つかると、早く購入しないとほかの人に購入されてしまう、と焦ってしまうことがあります。立地条件や価格などの条件がそろっていればなおさらでしょう。けれども、焦らずじっくり検討してから購入を決めるのが重要です。

 購入したい気持ちだけが先走ってしまうと、転勤や介護、引っ越しなどの可能性を忘れてしまうことがあります。さらに、この物件を決めたあとに、もっと条件の良い物件が販売されるかもしれません。購入したいマンションがあったら、まずは焦らず検討しましょう。

信頼できる不動産会社か確認する

 購入しようと考えている物件の不動産会社が、信頼できるところか見極めることも大切です。その見極め方は、購入したい物件に関して、疑問や不安ができたらすぐに不動産会社に聞くこと。それに対して面倒くさがったり、曖昧な答えをする不動産会社なら、信頼できるとは言えないでしょう。新築マンション購入では、売買契約締結前に、疑問点や不安点は解決しておくことが重要なのです。

 なかには、「人気のマンションなので、ほかに希望者が出てくる前に先に手付金と契約書のサインだけ済ませて欲しい」と売買契約の締結を迫ってくる営業担当者もいます。こういった営業トークに惑わされて、安易に売買契約を締結してしまわないように注意しましょう。

新築マンション購入後のキャンセルは慎重に

 新築マンションは、売買契約を締結後に、買い手側の都合でキャンセルすると手付金の放棄というペナルティーが課されます。売り手側の都合や住宅ローンに通らなかったなどの例外もありますが、基本的にキャンセルはペナルティーがある、と考えておきましょう。

 キャンセルを防ぐために、新築マンションの売買契約を締結する際に慎重に考え行動するとともに、信頼できる不動産会社から購入することをおすすめします。

【関連記事はこちら】>>マンション購入後に不動産会社が倒産したらどうなる? 倒産しにくい会社の見極め方とは!?

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