新築マンションを購入したら固定資産税はいくらかかる? 計算方法、相場、軽減措置を解説!

2020年12月11日公開(2020年12月11日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

新築マンションを購入すると、毎年支払わなくてはならない固定資産税。地域によっては都市計画税もかかります。新築マンション購入の際は、固定資産税がどのくらいかかるのか、その計算方法や軽減措置などについて知り、予算を立てておくことが大切です。

新築マンションの固定資産税とは

 固定資産税とは、土地や建物などの固定資産を課税対象とする地方税(各市町村が課税する税金)です。分譲マンションの場合、毎年1月1日時点で、そのマンションの区分所有者として登記されている人に、固定資産税の支払い義務が課せられます。
※区分所有者とは、分譲マンションのように各住戸が独立した建物の、専有部分を所有する人のこと。

 固定資産税は、マンションの区分所有者として登記されている限り、毎年支払いが発生します。支払い方法は、年に4回送付される「納税通知書」で毎回支払う方法と、1年分のまとめ払いがあります。

 分譲マンションの場合、土地と建物それぞれに固定資産税がかかるのが特徴です。では、それぞれの固定資産税がどのように算出されるのかを見てみましょう。

固定資産税の計算方法

 固定資産税は、土地・建物それぞれの「固定資産税評価額」に地方税の税率を掛けて計算します。固定資産税評価額は、購入した金額ではなく不動産の評価額のことで、土地・建物ともに3年に1度、評価額が見直されます。

 地方税の税率は基本的に自治体が決めるものですが、ほとんどの場合、1.4%を採用しており、以下の計算式で求められます。

固定資産税額=(土地の固定資産税評価額×1.4%)+(建物の固定資産税評価額×1.4%)

 なお、土地・建物どちらも計算方法が複雑なので、購入前に正確な数字を知りたいという人は、販売する不動産会社に確認することをおすすめします。

土地の固定資産税評価額の計算方法

 土地の固定資産税評価額は、地価公示価格(土地の路線価)の7割程度となり、以下の計算式で求められます。

土地の固定資産税評価額=土地の路線価(※)× 土地の面積(※)× 0.7

※路線価とは、道路に接している宅地1㎡の評価額で、毎年、国税庁が価格を決定し発表されます。路線価は、国税庁の「路線価図のページ」で調べることができます。
※土地の面積は、マンションの建物が建造されている土地を、住戸数および住戸面積によって、区分所有者の持ち分割合を計算して算出します。土地(敷地)面積、住戸数、住戸面積は、マンションの物件概要を参考にしてください。

  土地の固定資産税評価額は、路線価だけでなく土地の形状によっても上下します。同じ500㎡の土地でも間口が広い場合と間口が狭く奥行きが長い、いわゆるうなぎの寝床タイプでは、前者のほうが高額に評価される傾向があります。

建物の固定資産税評価額の計算方法

 建物の固定資産税評価額は、建築費の5割~7割ほどが目安です。土地の場合と違って、建物の老朽化とともに価値が下がっていくので、固定資産税評価額も築年数とともに低くなります。ただし、リフォームや改装工事によって建物の価値がアップしたと考えられる場合は、評価額が上がるケースもあります。

建物の固定資産税評価額=評点1点あたりの価額(※)×床面積×単位面積あたりの再建築費評点(※)×経年減点補正率(※)

※評点1点あたりの価額とは、固定資産を物価水準に合わせるための1円あたりの調整補整率のことで、 木造は0.94、非木造は1.1。
※再建築費評点とは、その家屋と全く同じものをもう一度建てた時にかかる建築費のこと。
※経年減点補正率とは、使用年数ごとに下がっていく家屋の価値の減少率のこと。

都市計画税の計算方法

 マンションが「市街化区域」にある場合に限って、固定資産税のほかに都市計画税が発生します。市街化区域とは、都道府県知事が優先的に市街化を図るべき区域として選んだエリアのことです。購入するマンションが市街化区域にあるかどうかは、市区役所の窓口か不動産業者に確認する必要があります。

 都市計画税は以下の計算式で求められます。税率は0.3%を制限税率(超えてはいけない上限)として、各地方自治体が設定しています。

都市計画税=固定資産税評価額×0.3%(制限税率) 

 固定資産税評価額は、先に述べた計算方法で求めることができますが、正確な額は、市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得できる、固定資産評価証明書に記載されています。この証明書は、原則としてその固定資産の所有者本人が取得できます。

軽減措置で減税が可能に

 土地は固定資産税と都市計画税に、建物(新築の居住用)は固定資産税に軽減措置が用意されています。新築分譲マンションの場合、ほとんどの物件が適用対象となり、減税が可能です。

 土地の固定資産税と都市計画税の軽減措置は以下のとおりです。小規模住宅用地(住宅用地のうち、住戸一戸あたり200㎡以下の部分)は、課税標準額の1/6に、200㎡を超える部分は、課税標準額の1/3に軽減されます。

◆土地の固定資産税と都市計画税の軽減措置
土地の条件 固定資産税の軽減内容 都市計画税の軽減内容
小規模住宅用地部分(200㎡以下の部分)   課税標準額を1/6に軽減
※建物の課税床面積の10倍が上限
課税標準額を1/3に軽減
一般住宅用地 (上記以外)   課税標準額を1/3に軽減
※建物の課税床面積の10倍が上限
課税標準額を2/3に軽減

 新築建物(居住用)の軽減措置の条件と内容は以下のとおりです。なお、この軽減措置は令和4年3月31日まで新築の場合に限ります。

◆新築建物(居住用)の固定資産税の軽減措置
新築建物の条件 軽減内容
以下の2つを満たした新築の場合
・居住部分の床面積の割合が1/2以上
・居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下
・3階建て以上の耐火構造・準耐火構造住宅 (マンション等)は、新築後 5年間、税額が1/2に
・一般の住宅(上記以外)は、新築後3年間、税額が1/2に
認定長期優良住宅の場合
(劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性、居住環境、住戸面積、維持保全計画の項目がある)
・新築から5年間は税額が1/2になる
・マンション等は7年間、税額が1/2に減額
※減額を受けるには新築した年の翌年(1月1日新築の場合はその年)の1月31日までに申告が必要

 ただし建物の固定資産税は、建物の老朽化により下がっていくため、軽減措置がなくなったからといって急に高騰するわけではありません。

タワーマンションの上階など
固定資産税が高くなる場合も

 基本的には、マンションの固定資産税はどの階の物件でも同じ扱いです。しかし、タワーマンションの場合は、20階と3階では明らかに資産価値が異なるため、固定資産税を調節するように変更されました。2018年以降に建設された60mを超えるタワーマンション(基本的に20階以上)で、中間階を基準(30階建なら15階を増減なし)として1階下がるごとに約0.26%の減税、1階上がることに約0.26%の増税になります。ただし、この増減税はわずかです。

 また、吹き抜けのあるタイプなど天井が高い住宅は、資産価値が高く評価されるため、固定資産税が高くなる傾向があります。ただし、天井高と増税率の関係は各自治体で異なるため、税務課に確認するようにしましょう。

新築マンションの固定資産税の相場は?

 新築マンションを購入すると、どのくらい固定資産税を支払わなくてはいけないのか気になるところ。ここでは、固定資産税の目安として、一般的な新築マンションの固定資産税を計算してみましょう。

 前述のとおり、土地に関しては、マンションの物件概要欄の敷地面積を住戸数で割ることで、各世帯にどのくらいの割り当てになるのか、およその数値が分かりますが、正確な数値を調べるには、不動産会社に課税標準額を確認する必要があります。

・土地の固定資産税評価額を2,000万円(1/6の軽減措置あり)、建物の固定資産税評価額を800万円(1/2の軽減措置あり)とした場合

土地の固定資産税:2,000万円×1.4%×1/6 ≒ 47,000円
建物の固定資産税:800万円×1.4%×1/2 = 56,000円

 上記のように、土地の固定資産税が47,000円、建物の固定資産税が112,000円なので、1年間に支払う固定資産税の総額は、以下の金額になります。

固定資産税総額:土地(47,000円)+建物(56,000円)= 103,000円

 新築分譲マンションの固定資産税の相場は8万〜10万円といわれているため、この場合もほぼ相場どおりといえます。

新築マンション購入時は、無理なく支払える資金計画を立てよう

 新築マンションの固定資産税について解説しました。固定資産税は、購入価格ではなく土地・建物の評価額によって計算されます。

 また、評価額は購入価格より低くなる場合がほとんどです。評価額がどのくらいになり、固定資産税を毎年どのくらい支払うことになるのか、不動産会社に確認しておきましょう。

 購入する新築分譲マンションに軽減措置が適用されるかどうかの確認も必要です。固定資産税のほか、修繕積立金などのランニングコストも計算し、無理なく支払い続けられるかどうか、しっかりと計画を立てることが大切です。

【関連記事はこちら】>>修繕積立金の相場は? 安い新築マンションには要注意!? 20年後には積立負担額が2倍以上になる可能性も!

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