2024年6月の関西・中部圏のマンション市場(※8月現在では6月データが最新となる)は、先月に引き続き全体として好調を維持している。今月も関西・中部圏の新築マンション市場動向のほか、新築マンションと中古マンションの市況、そして注目のマンション「グランドメゾン西天満タワー(仮)」について解説する。
関西・中部圏の新築マンション市況【2024年6月】
2024年6月の関西・中部圏の新築マンション市場は、おおむね好調に推移している。また近畿圏の新築分譲マンション市場動向2024年上半期(1〜6月、不動産経済研究所)が発表された。それも含め、関西・中部圏の新築マンション市況について、詳しく見ていく。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
2024年6月の関西の新築分譲マンションデータ
2024年6月の新築分譲マンション発売戸数は1030戸、対前年同月比25.6%減、対前月比2%減。7カ月ぶりに前年同月を下回った。
契約率は75.3%、前年同月比0.3ポイントダウン、前月比では6.6ポイントアップ。平均価格は5,629万円で2カ月連続のアップ、㎡単価は108万円で、8カ月連続のアップとなった。
未販売在庫数は6月末時点2651戸、前月末比45戸の減少となった。
下のグラフは、過去3年間の近畿圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。3カ月ぶりに好不調ラインの70%を超える結果となった。
契約率、平均価格、㎡単価の高さは、うめきた2期開発の「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE」最終分譲の即日完売(平均1億9145万円)が影響している。戸当り価格、単価ともに6月としては調査開始(1973年)以降の最高値を更新した。
平均価格をエリア別にみると、大阪市内の平均価格は前年同月比160%アップの9,039万円。神戸市は前年同月比48.8%ダウンの2,558万円。なお、2024年7月の近畿圏の発売戸数は1,000戸程度の見込みとなっている。2023年7月の発売戸数は837戸だった。
近畿圏新築分譲マンション市場動向2024年上半期
株式会社不動産経済研究所は、近畿圏の新築分譲マンション市場動向2024年上半期(1〜6月)のデータを発表した。主な指標をまとめてみると、すべての項目で前年を上回る結果となった。
2024年6月の関西の新築分譲マンションデータ
特に戸当たり平均価格は1973年の調査開始以降の最高値を更新、㎡単価は1973年の調査開始以降の最高値を4年連続で更新した。
エリア別にみると、価格アップは特に大阪市内と兵庫県下(神戸市を除く)で顕著だ。契約率も高く、月別に見てきたデータが半期で裏付けされた形となり、近畿圏の新築マンション市場は堅調と言える。
下半期(7〜12 月)の販売見込みは、約1万戸の見込みだ。
中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
名古屋を中心とする東海エリアは月別のデータがないが、国税庁による令和6年度路線価が公表され、全体的に地価の上昇傾向が明らかになった。コロナ禍からの経済活動の回復が反映されているとみられる。
東海3県の平均は愛知県でプラス3.2%と3年連続で上昇したほか、三重県ではプラス0.1%。愛知県と三重県で上昇し、岐阜県は去年を0.2%下回ったものの下落幅は小さくなった。中部エリアでは20年連続で名古屋市中村区名駅1丁目の「名駅通り」で1,288万円/㎡が最高地点だった。
北陸エリアでは新幹線延伸のJR福井駅前で8.6%上昇し、伸び率が全国5位だった。上昇は2年連続で、JR金沢駅前は2年連続、JR富山駅前は3年連続で上昇した。ただし今回の路線価は能登半島地震発生前が対象。
地価上昇に加え、資材費の上昇や建設業界の人手不足などによる建築費の高騰が止まらないなか、外国資本の流入も大きくマンション価格の先は読みにくい状態が続く。金利や株価の動き、今後はアメリカの動きにも左右されるだろう。地価の上昇も続くとは言い切れない。
関西・中部圏の中古マンション市況【2024年6月】
次に中古マンションの市況を見ていく。近畿圏の成約価格は3,005万円(前年同月比12.2%増)と2ケタアップ、中部圏は2,343万円(2.3%増)だった。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
近畿圏の中古マンションの市場動向や需給状況【2024年6月】
成約件数は5月に前年比で2ケタ減となったが再び増加に転じ、コロナ禍前の水準を大きく上回った。平均成約㎡単価は12カ月連続で前年同月を上回り、上昇率は引き続き高く、高額物件を中心に取引が強まっている。
新規登録物件数は18カ月連続で前年同月を上回った。新規登録㎡単価はわずかに上昇に転じたものの、成約㎡単価に対して新規登録㎡単価の伸びは横ばいとなり、高額な売り出し価格の物件が増える傾向にはない。
成約件数をエリア別にみると、全体に増加したなかで、大阪市は先月の減少から増加に転じ、京都市は3カ月連続で増加している。全体に減少していた先月に対し再び堅調な動きを取り戻したといえる。
成約㎡単価は全体的に上昇傾向が続き、大阪市と京都市、兵庫県他(神戸市と阪神間を除く全エリア)は前年比で2ケタ上昇となり、大阪市と大阪府北部は12カ月連続で上昇した。取引が増加に転じる中で㎡単価も上昇が続き、高額な物件取引が目立った。
下のグラフは、過去3年間の近畿圏(関西)の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。
中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
中部圏の中古マンションの市場動向や需給状況【2024年6月】
成約件数・新規登録物件数ともに前年同月比アップ、成約価格は平均で2,343万円と前年同月比2.3ポイントアップ。全体の市況は好調を維持している。
在庫件数は前月と同じ8,577件、前年比では増加しているものの、増加率はこの1年で減少している。
エリア別にみると、成約件数は取引のメインとなる愛知県で2ケタアップしているが、平均成約㎡単価・新規登録㎡単価や成約価格は下がっている。これらの価格的な数値は石川や福井、富山の北陸3県が全体的にアップしてカバーしている形だ。
今月の注目のマンション「グランドメゾン西天満タワー(仮)」
次に、今月の注目マンション「グランドメゾン西天満タワー(仮)」を紹介する。積水ハウスは大阪府大阪市北区西天満4丁目に地上36階、高さ126.32m、敷地面積1,658㎡、延べ面積26,465㎡のタワーマンションを建設している。
現地の計画看板には「(仮称)グランドメゾン西天満4丁目タワー新築工事」と表示されている。確定ではないが、本マンションは「グランドメゾン西天満タワー」といったネーミングになりそうだ。
「グランドメゾン西天満タワー(仮)」の高さは126.32mだが、屋上建屋は含まれていない。現地計画看板によると竣工は2028年1月予定。戸数は不明だが、床面積や立面図から推測すると200戸前後だろうか。
ロケーションについて
「グランドメゾン西天満タワー(仮)」の交通ロケーションは、Osaka Metro東梅田駅および南森町駅・JR東西線北新地駅から約600m、徒歩7~8分となる。
(※筆者の計測によります。実際の距離や所要時間には誤差が発生する可能性があります)
特定の駅に至近というわけではないが、地下鉄のOsaka Metro2路線とJR、さらに南へ600mあまりで京阪の大江橋駅もある。
梅田駅やJR大阪駅まででも徒歩10分圏内に位置している。梅田エリアの南東ぎりぎりといってよい。
生活ロケーションは、梅田駅周辺施設以外では半径200~500m以内にスーパーやドラッグストアがあり、コンビニエンスストアも真横にデイリーヤマザキがあるほか、点在する。教育機関は小学校が400mほど、中学校は1キロ近く先にある。
現地の様子は
接道は北側と東側と西側の3方向道路。北側は曽根崎通りで、交通量は多い。北側には11階建てのビルがあるが、道路を挟んでいるため40m以上は離れている。西側には道路を挟んでがオフィスビルが隣接している。
現地は着工したばかりで、まだ建物はない。東側は道路を挟んで13階建ての宇治電ビルディングがあり、1階にコンビニエンスストアのデイリーヤマザキと郵便局が入っている。
南側は、6階建てのオフィスビル。
西側は道路を挟んで9階建てのビル。
「グランドメゾン西天満タワー(仮)」予想販売価格は
着工したばかりでまだホームページも情報もない「グランドメゾン西天満タワー(仮)」だが、予想できる販売価格はいくらくらいだろうか。近隣相場や過去事例などから分析してみよう。
近隣で販売中のマンションでは、同じ大阪市北区西天満アドレスで100mほど南の「Brillia淀屋橋」が、50㎡1LDKプランで5000万円台後半、坪単価で300万円台後半。2LDKは7,000万円台〜、3LDKは9,000万円台〜で、中心坪単価は400万円台だ。
中古マンションでは西天満6丁目築年数16年、15階建ての9階で坪単価300万円前後の事例があり、西天満2丁目で築年数13年、10階建ての2階で坪単価270万円。今までは、西天満の辺りは梅田の繁華街から少し離れたエリアで交通ロケーションとしてもさほど注目されることはなかった。
しかし今回、「グランドメゾン西天満タワー(仮)」が出来ることによって感覚が変わるかもしれない。梅田中心部からの距離は堂島や中津、中崎町といった現在タワーマンションが販売されているエリアと変わらない。
「グランドメゾン西天満タワー(仮)」の2LDKから3LDKのボリューム価格帯で、1億2,000万円〜2億円前後というラインも考えられる。坪単価は600万円というラインだ。そうなると1LDK低層住戸でも8,000万円前後からということになる。ちなみに東側と北西側に13階のビルがあるが、それ以上の階ならどの方向も眺望は良いだろう。
まとめ
7月に発表された路線価では、標準宅地における評価基準額の対前年変動率は全国平均で2.3%上昇(前年は1.5%上昇)となり、3年連続で上昇した。最高路線価の東京・銀座に続き2位に大阪市北区角田町の御堂筋が入り、1平方メートル当たり2,024万円(前年比5.4%上昇)。
全体として不動産市況は好調といえるし、各データもそれを裏付けている。しかし国内には不安材料も多く、関西・中部圏のマンション市場は東京の不動産動向や企業の景況感(日銀短観)にも注意したい。
※関西圏は大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県の6府県エリア
※中部圏は富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の7県エリア
注目記事>>新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説
◆新築マンション人気ランキング |