「HARUMI FLAG SKY DUO(スカイデュオ)」の入居開始で街はどう変わった? 晴海フラッグの課題や展望も解説!

2025年11月12日公開(2025年11月11日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

晴海オリンピック選手村跡地「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」で、板状棟の入居が始まっておよそ1年が経った。2025年9月からは新築ツインタワー「HARUMI FLAG SKY DUO(スカイデュオ)」の入居が始まった。タワーマンションの竣工で、「HARUMI FLAG」の街はどう変わっていくのか。最新の状況を記者がレポートする。(フリー記者・後藤利恵子)

「HARUMI FLAG SKY DUO」の入居開始した現在の街の様子

街の中央にそびえ建つツインタワーの「HARUMI FLAG SKY DUO(スカイデュオ)」(画像;記者が撮影)

 地上50階建ての超高層ツインタワー「HARUMI FLAG SKY DUO(晴海フラッグ スカイデュオ)」の入居が始まったのは、2025年9月19日だった。前回の取材で「HARUMI FLAG」の街を訪れたのは、同年の4月。ツインタワーは建設中で、完成していたのは板状棟だけ。そのため街には人影もまばらだった。
※板状棟とは、横長の板のような形状のマンションで中層タイプに多い。晴海フラッグにはこの板状棟とタワー棟がある。

 今回の取材は10月後半。現地を訪れてみると、そのスケール感は想像以上だった。タワー前のプロムナードには、買い物や散歩を楽しむ家族連れやジョギングをする人たちの姿が見られ、街は活況を呈していた

 タワー棟の1階部分には飲食施設が入り、昼食時には列ができている。すぐ隣の「ららテラス HARUMI FLAG」と合わせて、生活利便性は一段と高まっている。

「HARUMI FLAG SKY DUO」はSUN VILLAGEに位置する(出典:HARUMI FLAG SKY DUO プレスリリース2025年9月19日

 街全体で見ると、タワー棟は単なる住宅群ではなく、街の中心核として機能し始めているように見える。新しい街と新築マンションに移り住んだ人達の高揚感も感じられた。

「HARUMI FLAG」の課題は、都心への交通手段と立地リスク

 一方で、街として捉えた場合の「HARUMI FLAG」の利便性には課題も残っている。そのひとつが交通アクセス。

 鉄道の最寄り駅は都営大江戸線「勝どき」駅だが、徒歩では18分かかる。都営などのバス便は整備されたものの、通勤時間帯には混雑が目立つ。

 一方、信号や停留所が少なく、渋滞の影響を受けにくい東京BRT(バス高速輸送システム)は、到着時間が正確なため、鉄道とバスの中間のような位置づけとなる。ただ、朝の時間帯を除き、運行本数が限られているのがネックだ。

 地元の利用者の話によると、「BRTもようやく定着してきたが、朝の便は満席。長い目で見れば地下鉄新線などの交通手段の実現に期待している」とのこと。

 記者が利用した昼間の時間帯はBRTの利用者は少なく、新橋駅までは約5分と快適だったが、通勤時間帯の様子は異なるという。街の各所に約400台のコミュニティサイクルが設置されており、自転車を利用する人の姿も多くみられたが、悪天候の場合には利用者は減ることになる。

HARUMI FLAGの都営バス、東京BRT、コミュニティバスの停留所の位置(出典:HARUMI FLAG ACCESS

2040年代前半、都心部・臨海地域地下鉄の「晴海(仮称)」駅が開業予定

 湾岸エリアに明確な定義はないが、東京湾岸の埋め立て地を指す。代表的なところでは、中央区の月島、勝どき、晴海、江東区の豊洲、東雲、有明、港区の台場、汐留、芝浦、品川区の品川シーサイドなどだ。晴海はこのエリアのほぼ中心に位置している。

 都心部とされる湾岸エリアだが、このエリアを交通利便性の観点で見ると、はっきりと明暗が分かれる。

 汐留や芝浦は物件のある場所で条件が変わるが、そもそも都心中心部に位置しているし、月島や勝どき、豊洲は都心部へダイレクトで行ける地下鉄線があるため、利便性の良いエリアといえる。

 一方、有明、台場、品川シーサイド駅は、臨海線または、ゆりかもめ線というマイナーな路線しかない。有楽町線や大江戸線が利用できるエリアとは利便性に差がある。

 利便性の高い北エリアと低い南エリアに分けると、晴海は中間あたりになるが、現在はけっして利便性が高いとは言えない。

 ただ、現在進められている「都心部・臨海地域地下鉄構想」での地下鉄新路線が誕生すると、東京、新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場、有明・東京ビッグサイトの7駅(いずれも仮称)が新設される。

 東京駅(仮称)から有明・東京ビッグサイト駅(仮称)間の所要時間は約10分から15分程度になる。

 東京都はこの地下鉄構想について、すでに整備する方針を決定しており、建設に向けた準備段階に入っている。2030年代前半に着工、2040年代前半の開業予定だ。この交通インフラの整備が進めば、「HARUMI FLAG」のアクセスは大幅に向上することになる。 

暮らす街へと変わりつつある「HARUMI FLAG」

 街としての「HARUMI FLAG」は、「HARUMI FLAG SKY DUO」の完成によって、大規模な再開発事業として話題を集めたエリアから、暮らす街へと変わりつつある。

 今後の焦点は、この新しい街がどのように成長していくかである。しかし、「HARUMI FLAG」という街が完成を迎えるのは、新地下鉄線が開通し、新駅が誕生する2040年以降になるのであろう。

「HARUMI FLAG SKY DUO」の特徴と価格

 「HARUMI FLAG」最後の分譲となる「HARUMI FLAG SKY DUO」は、「SUN VILLAGE T棟」と「PARK VILLAGE T棟」のツインタワーで構成され、地上50階、総戸数は1,455戸という大規模マンションだ。

 外観はガラスを基調に、水平ラインを強調したシャープなデザイン。夜はツインタワーの上層部がライトアップされ、東京湾岸の夜景の中で大きな存在感を放っている。

 さらに魅力的なのはウォーターフロントの眺望だ。上層階からは東京湾の向こうにレインボーブリッジ、台場方面、南東にはゲートブリッジや羽田空港、北西には豊洲や築地の再開発エリアが一望できる。

共用施設のスカイラウンジは圧巻

 共用施設も充実している。特に象徴的な空間が、2つのタワー棟の48階に設けられたスカイラウンジだ。

 都心方面を望む「SUN VILLAGE」のタワー棟には、「SKY LOUNGE URBAN(シティビュー)」があり、シックな雰囲気のバーラウンジや「BOOK CORNER」が設置されている。また、外部の宿泊者を受け入れるゲストルームも設けられており、東京湾を一望できる眺望を活かした設計となっている。

 一方、「PARK VILLAGE」には、オーシャンフロントの景観が楽しめる「SKY LOUNGE OCEAN」があり、ビリヤードが設置されたバーラウンジとなっている。

 そのほか、フィットネスルーム、キッズルーム、テレワークブースなど、ファミリー層を想定した共用施設がある。

「HARUMI FLAG SKY DUO」の現在の価格は?

 「HARUMI FLAG SKY DUO(スカイデュオ)」の分譲時の平均坪単価は、450万〜500万円台(2025年春時点)となっている。

 湾岸エリアの中ではやや高めの価格設定だが、タワー棟の立地条件や眺望価値を考慮すれば妥当な水準といえるだろう。特に高層階は大きな人気が高く、投資および実需の両面から注目されている。

 販売担当者によると、「購入者層は30〜40代のファミリーを中心に、湾岸エリアに再開発以前から住んでいた家族たちの住み替え需要も多い」とのこと。

 タワー棟周辺では高級車が多くみられ、パワーカップルが多いことを物語っている。最近では、世帯年収1500万円程度の共働き夫婦が、50年のペアローンで1億円近い住宅ローンを組む例もみられるという。完成から間もないが、いくつかの部屋がすでに売りに出されている

 売り出し価格は坪単価で650万円~1550万円と、かなり高くなっている。入居が始まったばかりでの売却は「転売」ではないかとの批判も上がっているが、すでに引き渡しが終わった物件について、ディベロッパーや当局が規制をかけるのは難しいだろう。今後、どこまで価格が上昇していくのか注視したいところだ。

中古物件一覧を見る

【関連記事】>>【HARUMI FLAG SKY DUO(晴海フラッグ )】最終期の価格や販売スケジュール、マンションとしての価値を分析!

 
  • RSS最新記事

注目記事>>新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説
 

【注目の大規模物件】 【新築マンションの基礎】
HARUMI FLAG(晴海フラッグ)
三田ガーデンヒルズ
グランドヒルズ南青山
パークタワー勝どきミッド/サウス
ワールドタワーレジデンス
パークタワー西新宿
新築・中古マンションの市場動向
最新の新築マンション相場や価格は?
値引きをする会社はどこ?
「音」のトラブル!遮音性の確認法
管理のチェックポイント
住み心地を決める「階高」
◆新築マンション人気ランキング
TOP