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関西・中部エリア絶好調!大阪・名古屋などの新築・中古マンション最新市況と注目物件を解説【2024年9月版】

2024年9月15日公開(2024年10月4日更新)
神納まお:フリーライター

2024年7月の関西・中部圏のマンション市場(※9月現在では7月データが最新となる)は、先月に引き続き全体として好調を維持している。今月も関西・中部圏の新築マンション市場動向のほか、新築マンションと中古マンションの市況、そして注目のマンション「モアグレース一宮本町」(愛知県一宮市)について解説する。

関西・中部圏の新築マンション市況【2024年7月データ】

 2024年7月の関西・中部圏の新築マンション市場は、おおむね好調に推移している。関西エリアでは特に契約率が高く、在庫が減少した。

 関西・中部圏の新築マンション市況について、詳しく見ていく。

関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)

(出典:不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向2024年7月」)

 

 2024年7月の新築分譲マンション発売戸数は1,524戸、対前年同月比82.1%アップ、対前月比48%アップ。2カ月ぶりに前年同月を上回った

 契約率は82.2%、前年同月比15.5ポイントアップ、前月比では6.9ポイントアップ。4カ月ぶりに80%を超えた平均価格は4,975万円で3カ月ぶりにダウン、㎡単価は78.6万円で、9カ月ぶりにダウンとなった。

 未販売在庫数は7月末時点2,548戸、前月末比103戸の減少となった。発売戸数の増加は郊外大規模物件の発売があり、7月としては2021年(1,950戸)以来の高水準となった。

 戸当たり平均価格・㎡単価の下落は、販売物件に占める都心タワーなど高価格・高単価物件の比率が低かったため。

 下のグラフは、過去3年間の近畿圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。

過去5年間の近畿圏(関西)の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移 不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の近畿圏(関西)の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移 不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

 平均価格をエリア別にみると、大阪市内の平均価格は前年同月比12.9%ダウンの4,625万円と、全体平均を下回る。神戸市は5,988万円、京都市は6,631万円と、価格の高さが目立つ。特に京都市は㎡単価も101.3万円と大阪市の89.7万円を大きく上回る。

 なお、2024年8月の発売戸数は900戸程度の見込みとなっている。2023年8月の発売戸数は878戸だった。

中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)

 愛知県を中心とした中部エリアについては、新築マンションの月別データはない。今回は、政策金利の利上げモードのなかでの中部エリアの新築マンション市場について考えてみる。

 住宅ローンの金利上昇によって、借入総額の減少と支払い額アップとなり購入者が減れば、マンションを含む不動産価格が下落するのではないかと予想することはできる。

 価格が高騰している原因が地価の上昇であればそうなるといえるが、新築マンションの場合はその割合は大きいとは言えない。デベロッパーにとっては資材高騰と人手不足(労働環境改革)による工期延長(プロジェクト借り入れの金利負担アップ)の負担は変わらないため、購入者が買える価格帯への引き下げはしたくてもできない。

 つまり、購入者が減ることはあっても(売れなくても)マンション価格がすぐに大きく下がる可能性は低いことになる。これで何が起こるかというと、在庫が増え、デベロッパーは新規のマンション用地を買い控えることになる。

 下記にマンションを含む不動産価格が引き続き「上がる要因」と「下がる要因」をそれぞれまとめた。

【上がる要因】
・インフレ傾向が続く
・中国やインドなどの富裕層が円安を背景に不動産投資を増加させる
・資材費、人件費のアップは続くうえ、巨額の資金を持つ投資家が買い進む

【下がる要因】
・景気の減速
・金利上昇で一部の都心などを除いて需要が減る

 これらは中部圏だけでなく国内全体の話だ。名古屋についていえば、リニア中央新幹線開業が2037年に延期されたとはいえ、名古屋駅周辺はリニア開業に向けてまちづくりの計画が進行する。海外の投資家が買い進むメリットがある。地元経済が底堅いエリアということも含め、個人の購入者が金利の影響で受ける減速感も東京や大阪に比べれば少ないだろう。

 ただし、海外の不動産は下落傾向にあり、アメリカの利下げにより円高へ振れれば、海外投資家は売り始めるかもしれない。そうなると首都圏で新築マンションも中古マンションも供給過剰になり、やがて中部エリアにも影響するだろう。

関西・中部圏の中古マンション市況【2024年7月データ】

 次に中古マンションの市況を見ていく。近畿圏の成約価格は2,970万円(前年同月比3.5%増)、中部圏は2426万円(前年同月比9.8%増)だった。堅調な動きを取り戻してきている。

関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)

近畿圏の中古マンション市場動向(出典:公益社団法人近畿圏不動産流通機構発表「マンスリーリポート 2024年8月号」)

 成約件数は前年比プラス、2019年7月と同数となり、コロナ禍前の水準と並んだ。平均成約㎡単価は13カ月連続で前年同月を上回った。新規登録物件数はわずかながら増加し、19カ月連続で前年同月を上回った。

 新規登録㎡単価は平均成約㎡単価の伸び率を上回り、高額な売り物件が増える動きがみられる。

 成約件数をエリア別にみると、大阪府北部(池田市・箕面市・豊中市・吹田市・摂津市など)と東部(門真市・守口市・枚方市・寝屋川市・大東市・四條畷市・東大阪市など)、兵庫県他(神戸市と阪神間を除く兵庫県内)、滋賀県、和歌山県は2ケタ増となった。

 一方、京都市と奈良県は2ケタ減となるなど、取引動向には地域差もみられた。

 成約㎡単価は大阪市が12カ月連続で上昇。大阪府南部(堺市・羽曳野市・藤井寺市・富田林市・大阪狭山市・岸和田市・泉大津市など)と神戸市、兵庫県他は2ケタ上昇となった。一方で京都府他(京都市以外)と和歌山県は2ケタ下落となった。

 下のグラフは、過去3年間の近畿圏(関西)の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。

公益社団法人近畿圏不動産流通機構発表「マンスリーリポート No.139 2024年8月号」をもとに編集部が作成
公益社団法人近畿圏不動産流通機構発表「マンスリーリポート No.139 2024年8月号」をもとに編集部が作成

中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)

中部圏の中古マンション市場動向(出典:公益社団法人中部圏不動産流通機構発表「月例速報 マーケットウォッチ2024年7月」

 成約件数・新規登録物件数ともに前年同月比アップ、成約価格は平均で2426万円と前年同月比9.8ポイントアップ。平均成約㎡単価と新規登録㎡単価もアップしており、全体の市況は好調を維持している

 エリア別にみると、取引のメインとなる愛知県ですべての項目が前年比プラス傾向にあり、他のエリアをけん引する。

今月の注目のマンション「モアグレース一宮本町」

 次に、今月の注目マンション「モアグレース一宮本町」を紹介する。販売するのは愛知県・岐阜県のマンションデベロッパー、エムジーホーム。場所は愛知県一宮市の市街地で、13階建てが2棟並び、総戸数は75戸となる。

デザイン | モアグレース一宮本町 | 一宮市本町の分譲マンション
「モアグレース一宮本町」外観予想CG(公式サイトから) 

 1フロア3戸設定なので、角住戸が多くなる。角住戸率は66%(50邸/75邸)。

 「モアグレース一宮本町」は大規模マンションでもタワーマンションでもなく、共用施設なども一般的な分譲マンションと大きな差はないが、手元のスマホやタブレットを使うスマート「IoT(※)」システムが便利そうだ。

 これはどこにいても自在に来客の対応や光熱費のチェック、テレビ・照明・エアコンなどのリモコン操作、室内カメラ機能やお湯はりや床暖房・給湯器の操作・確認などができるというもの。「モアグレース一宮本町」で注目されるのは立地面、交通利便性と「住みやすさ」だ。以下に説明する。

※IoTとはインターネットに接続された「モノ」がデータをやりとりし、自動で制御・管理を行う技術のこと。これにより、生活や仕事が効率化される。

ロケーションについて

 「モアグレース一宮本町」の交通ロケーションは、一宮総合駅(JR東海道線「尾張一宮」駅・名鉄名古屋本線・尾西線「名鉄一宮」駅)徒歩6分となる。

 一宮総合駅は、JR東海道線と名鉄名古屋本線が乗り入れており、名古屋・岐阜方面への移動が速い。名古屋駅まで13分、時間帯によっては11分。岐阜駅まで8分。

 名古屋駅までの時間は、地下鉄東山線で言うと今池や池下駅と同じくらいである。名古屋市外から複数の路線が利用でき、ここまで短時間で移動できるのは一宮市の総合駅しかない。

 さらに、名古屋・岐阜方面どちらもJRと名鉄がほぼ並行して走り、どちらかがトラブルで運行停止になってもリスクが避けられるなど、選択肢がある。特に通勤で使う人は助かるだろう。

 駅舎内にはバスターミナルがあり、市内各地や周辺市町村へのアクセスも良好だ。一宮市役所をはじめ都市機能が集積する中枢エリアにあるため、名鉄バスや市が運営するバスの停留所も多い。

 近くにある総合大雄会病院、少し離れている一宮市立市民病院にも、バスで行きやすい立地になっている。

 また、もうひとつの「住みやすさ」は、あまり知られていないが、立地的に夏が涼しい点にある。

 一宮市の北側の岐阜市も南側の名古屋市も夏は暑いことで知られている。ところが一宮市は岐阜や名古屋に比べて1〜2°C低いことが多く、体感的にも涼しく感じられるほどだ。これは、一宮市の北側と西側を木曽川が流れていることが関係している。愛知県は豊田市なども暑くなることで有名だが、少なくとも愛知県内の平地で一番涼しいのは一宮市だろう。

 生活ロケーションでは、歩いてすぐアーケードの商店街がある。一宮駅の駅ビルには28の専門店が入る商業施設のアスティ一宮があり、スーパーマーケットの成城石井は平日23時まで営業している。ほか、駅ビルにはドラッグストアや飲食店、ベーカリー、お弁当、お総菜、テイクアウト、スイーツ店などが入る。さらに図書館、書店、各種メディカルクリニックなど。同施設の入るビルの5〜7階には図書室もある。

 教育機関は市立の小学校が徒歩9分、中学校は2.5キロほどの距離があるが、自転車通学が可能。

現地の様子は

 現地は建設中で、引き渡しは2025年12月中旬(予定)。接道は北側と東側の2方向道路。北側は商店街通りで、歩道に屋根がある。

「モアグレース一宮本町」現地北東から(筆者撮影)
「モアグレース一宮本町」現地北東から(筆者撮影)

 南側には少し離れて3階建てと5階建ての建物があり、位置によっては1、2階の住戸は陰になる時間がある。

「モアグレース一宮本町」現地北西側(筆者撮影)
「モアグレース一宮本町」現地北西側(筆者撮影)

 「モアグレース一宮本町」は高層マンションではないが、まわりに高い建物がないため眺望は良い。

「モアグレース一宮本町」現地東側(筆者撮影)
「モアグレース一宮本町」現地東側(筆者撮影)

「モアグレース一宮本町」販売価格は

 「モアグレース一宮本町」は1期販売がスタートしたばかりで、申し込み状況は10戸前後(2024/8取材時)、5階から10階あたりでの検討者が多い。現在ヒアリングできる価格は限られているが、8階の住戸で2LDK・63.53㎡が4,090万円~4LDK・83.83㎡が5,640万(角住戸)となっている。

 安い方では2階の3LDK・72.75㎡で3600万円台、最上階の4LDK・83.83㎡で5,900万円台。坪単価は160万円台〜230万円ほど。

まとめ

 全体として不動産市況は好調といえるが、2024年8月は、東京株式市場で日経平均株価がブラックマンデーを超える史上最大の下げ幅を記録。翌日は一転、過去最大の上げ幅で戻すなど乱高下が続いた。不動産市況に大きな混乱はないが、新築マンション・中古マンションともに8月のデータに異変が起きていないか注目したい。

※関西圏は大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県の6府県エリア
※​中部圏は富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の7県エリア

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