2024年11月の関西・中部圏のマンション市場(※2025年1月現在では11月のデータが最新となる)は、先月に引き続き全体として堅調を維持している。今月も関西・中部圏の新築マンション市場動向のほか、中古マンションの市況、注目のマンションなどについて解説する。
関西・中部圏の新築マンション市況【2024年11月のデータ】
2024年11月の関西・中部圏の新築マンション市場は、おおむね好調に推移している。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
発売戸数は1,730戸で、前年同月比69.4%増加し、4カ月ぶりに前年同月を上回る結果となった。契約率は80.9%、前年同月比18.5ポイント増と高水準を維持し、6カ月連続で70%超えを記録。平均価格は5,225万円で、前年同月比および前月比ともに減少。一方、㎡単価は89.2万円と10.4%増加し、4カ月連続の上昇を続けている。
複数の大型物件が初回売り出しを迎えたことが、市場全体の好調につながった。投資用マンション(4物件、計455戸)を除いた契約率も79.0%を記録し、引き続き堅調。未販売在庫数は10月末時点で2,421戸となり、前月末から1戸の増加となった。

2024年11月の関西の新築分譲マンションのデータ

平均価格をエリア別に見ると、大阪市内の平均価格は前年同月比3.1%減の5,562万円。ただし、㎡単価では15.4%増の108.1万円を記録した。兵庫県下(神戸市を除く)と京都市部では、平均価格が6,000万円を超える結果となった。
神戸市部の平均価格は4,558万円で、大阪市部を超える577戸の大量供給が見られた。なお、2024年12月の発売戸数は約2,800戸と見込まれている。参考までに、2023年12月の発売戸数は3,888戸であった。
中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
愛知県を中心とした中部エリアについては、新築マンションの月別データはない。今回は、国土交通省が先月発表している、主要都市の高度利用地等における地価動向をまとめた「地価LOOKレポート(2024年第3四半期)」を分析してみる。
全国の主要都市の利便性や住環境に優れた地区におけるマンション需要が堅調であったことに加え、店舗・ホテル需要も堅調に推移したことなどにより、上昇傾向が継続した。3期連続で住宅地及び商業地の全地区において上昇(住宅地は10期連続、商業地は3期連続)となった。東京・大阪同様、名古屋圏でも、前回と同様、測定する全8地区において上昇となった。

下記、エリアごとに動向をまとめた。
・名古屋駅エリア:リニア新幹線の整備効果で上昇傾向
名古屋駅エリアでは、リニア中央新幹線駅整備による将来的な発展性などから取引価格の上昇傾向が当期も続いている。当地区の地価動向はやや上昇で推移しており、今後も不動産取得需要が堅調な状態が続くと見込まれる。将来の地価動向もやや上昇で推移すると予想される。
・栄エリア:立地選別が進むも市場は堅調
栄エリアでは、高層マンション等の開発を目的としたマンション開発素地について、建築費の高止まりにより、採算が取れる立地を選別する動きが進行中。それでもデベロッパーなどの需要は総じて堅調で、当期もその状況が続いている。市場全体は堅調だが、立地の選別により取引価格の上昇傾向は緩やかになった。
・名古屋市東部:交通利便性の高さで安定した需要
名古屋市東部を中心とした住宅地エリアでは、比較的優れた交通利便性等から安定した需要が続いている。マンションデベロッパー等による物件選別の動きや住宅ローン金利動向、分譲価格の高騰による一戸建て需要への移行など懸念材料はあるものの、マンション開発素地取得需要は堅調に推移。需給窮迫により、取引価格の上昇傾向は当分続くと見込まれる。
関西・中部圏の中古マンション市況【2024年11月のデータ】
次に関西・中部圏の中古マンションの市況を見ていく。中古マンション市場は総じて堅調を維持している。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
近畿圏の中古マンションの市場動向や需給状況【2024年11月】

近畿圏の中古マンション市場は堅調に推移しており、成約件数は前年比で11%増加し、2ケタの伸びを記録した。2024年に入ってからは増加基調が続いており、コロナ禍前の水準をすでに上回っている。新規登録物件数についても好調で、23カ月連続で前年同月を上回った。また、成約㎡単価は17カ月連続で前年同月を上回り、新規登録㎡単価も6カ月連続で上昇。ただし、成約㎡単価、新規登録㎡単価の上昇率は鈍化しているが、新規登録物件の高額化傾向は続いている。
エリア別の動向では、大阪府東部(門真市、守口市、枚方市、寝屋川市、交野市、大東市、四條畷市、東大阪市など)や神戸市、京都市で成約件数が2ケタ増となる好調な動きが見られた。一方で、地域ごとに成約㎡単価の動きにばらつきがあるのが特徴的である。
大阪府東部、神戸市、京都府他(京都府内の京都市以外)の3エリアでは成約㎡単価が2ケタ上昇を記録し、大阪市も17カ月連続で単価が上昇している。一方、阪神間(尼崎市、西宮市、芦屋市、宝塚市、伊丹市、川西市、三田市など)や京都市では、成約㎡単価が下落傾向を続けており、エリアごとの差が顕著となっている。
中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
中部圏の中古マンションの市場動向や需給状況【2024年11月】
中部圏の中古マンション市場は堅調に推移しており、成約件数は前年同月比で20.8%の増加を記録した。成約価格も平均で2,376万円となり、前年同月比6.1%増となっている。一方で、新規登録㎡単価はわずかに減少し、新規登録価格も2,209万円で前年同月比3.4%の減少を示した。この背景には、専有面積の縮小や築年数の増加が影響していると考えられる。
エリア別に見ると、取引のメインとなる愛知県は全体の数値とほぼ比例した動きを見せており、地域ごとに大きな隔たりは見られない。また、中部圏全体の在庫状況は増加傾向が続いており、2024年11月時点で8,805戸に達している。この在庫の増加は1年以上続いており、供給過多の状態が徐々に顕在化している。
今月の注目のマンション 「(仮称)パークタワー大阪天満プロジェクト」
次に、今月の注目マンション「(仮称)パークタワー大阪天満プロジェクト」を紹介する。三井不動産レジデンシャルと京阪電鉄不動産は、大阪市北区天満1丁目に地上30階、高さ104.90m、総戸数161戸のタワーマンションを計画している。

大阪城の北、大川と寝屋川が合流するリバーサイドに立地し、都会の中の自然あふれるロケーション。三菱東京UFJ銀行研修所跡に計画されている。
交通ロケーションについて
「(仮称)パークタワー大阪天満プロジェクト」の交通アクセスは以下の通り。
● JR東西線大阪天満宮駅 徒歩12分
● Osaka Metro 谷町線・堺筋線の南森町駅 徒歩15分
最寄りとなる京阪本線・Osaka Metro谷町線の天満橋駅へは、天満橋を渡ってすぐ。京阪本線は中之島方面と京都方面、Osaka Metro谷町線は梅田方面と天王寺方面へつながる。天満橋駅は大阪シティバスのバスターミナルがある拠点になっており、各方面への移動に便利だ。
また、目の前の川崎橋で大川を渡れば、JR東西線の大阪城北詰駅まで徒歩14分ほど。
現地の様子は
「(仮称)パークタワー大阪天満プロジェクト」現地は2024年5月に着工しており、2027年9月末に落成する(予定)。接道は南側、北側、西側の3方向道路となっている。

東側にも緑地帯がありすぐ道路になる。

周辺で高い建物は北西にある26階建ての「ロジュマンタワーOSAKA」。北西方向以外は視界が抜けている。

とくに南から東方向はリバービューとなり、遮るものがない。大阪城の天守閣までは800mだが、手前に「ダブルツリーbyヒルトン大阪城」と「テレビ大阪」のビルがあるため、かなり高層階でないとキャッスルビューは望めないだろう。


「(仮称)パークタワー大阪天満プロジェクト」予想価格は
「(仮称)パークタワー大阪天満プロジェクト」の販売価格はいくらになるだろうか。周辺ではすぐ近くの「シエリアタワー大阪天満(築3年)」が坪単価で400万円台後半。現時点では詳細なプランの設定などがわからないが、物件概要によれば、間取りは1LDK・2LDK・3LDK、専有面積 43.21㎡〜156.38㎡となっている。
低層階の1LDKは坪単価で500万円前後、価格にして6000万円台〜。高層階で平均坪単価700万円、70㎡で1億円台、100㎡クラスの3LDKなら3億円前後もありえる価格帯になりそうだ。
まとめ
2024年のマンション市況は総じて堅調といえる1年だった。2025年も懸念材料はないとは言えないものの、大幅な金融政策の変更などがないかぎり、市場は引き続き安定的に推移すると予想される。とくに首都圏の動向を含め今後の市況変化に注意したい。
※関西圏は大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県の6府県エリア
※中部圏は富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の7県エリア
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